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郵政民営化情報システム検討会議第1回会合 議事要旨

日時
平成16年10月12日(火) 
10:07~11:29
場所
中央合同庁舎第四号館(4階)
共用第四特別会議室

○中城審議官 大変お待たせいたしました。それでは、これより郵政民営化情報システム会議の第1回会合を開催いたします。本日はお忙しいところお集まりいただきましてありがとうございました。
 本来会議の進行は、座長にお願いするところでございますが、最初の会合でもございますので、僭越ながら最初に事務的なご連絡などを私から申し上げさせていただきます。
 まず、メンバーの方を私からご紹介させていただきます。
 本会議の座長を務められます加藤寛千葉商科大学学長でございます。

○加藤座長 よろしくどうぞ。

○中城審議官 次に、天野吉和トヨタ自動車CIOでございます。

○天野CIO トヨタ自動車の天野でございます。おくれてすみませんでした。

○中城審議官 宮田秀明東京大学教授でございます。

○宮田教授 宮田でございます。よろしくお願いします。

○中城審議官 満塩尚史KPMGビジネスアシュアランスシニアマネージャ、環境省CIO補佐官でございます。

○満塩シニアマネージャ 満塩でございます。よろしくお願いいたします。

○中城審議官 中山清美日本公認会計士協会IT委員会委員長でございます。

○中山委員長 中山でございます。よろしくお願いいたします。

○中城審議官 國領二郎慶応義塾大学教授でございます。

○國領教授 國領でございます。よろしくお願いします。

○中城審議官 また、オブザーバーとして山下泉日本郵政公社CIOにも参加していただいております。

○山下CIO 山下でございます。よろしくお願いいたします。

○中城審議官 以後、議事に入りたいと思いますが、議論の内容につきましては、毎回の会議終了後に事務局より記者ブリーフィングを行い、その後事務局の責任で取りまとめた議事概要を速やかに公開し、さらにできるだけ早く皆様にチェックをいただいた上で議事要旨を公開することとさせていただきますので、お含みおきください。
 また、竹中郵政民営化担当大臣におかれましては、本日から臨時国会が開会したこともありまして、ただいま政務中でございますけれども、時間が確保できましたらこちらにまいりまして、皆様にぜひごあいさつしたいということでございますので、その際には若干お時間をいただきたいと思います。
 それでは、加藤座長、よろしくお願いいたします。

○加藤座長 それでは、大変皆様方お忙しい時間をいただきまして、まことにありがとうございました。
 これから、我々がどんなふうに考えていくかということについて、いろいろと議論を進めていくわけでございますが、何分私は本当に皆様方に比べて全くの素人でございますから、皆様方からご意見をいろいろいただきながら、私自身が納得できれば国民の皆さんも同じような水準ならば納得できるだろうと、こんなふうに思っております。そんなわけで、ぜひ皆様方からご意見をいただければと思っておりますが、最初に議題といたしまして、本会議のミッションでございますが、郵政民営化の基本方針につきまして、事務局より説明を受けたいと思います。

○中城審議官 それでは、お手元に資料2「郵政民営化の基本方針について」という資料がございますのでごらんください。これは、平成16年9月10日に経済財政諮問会議で諮問、答申され、その後、閣議決定されたものでございます。
 概要についてざっとご説明いたします。1枚めくっていただきたいと思います。
 郵政民営化の基本方針、前文でございますけれども、明治以来の大改革であるということ。
 そして1番目に、郵政公社の4つの機能というものを有する潜在力が十分に発揮され、市場における経営の自由度の拡大を通じて良質で多様なサービスが安い料金で提供が可能になり、国民の利便性を最大限に向上させるということ。
 2番目に、郵政公社に対する「見えない国民負担」が最小化されるということ。
 3番目に、公的部門に流れていた資金を民間部門に流し、国民の貯蓄を経済の活性化につなげることが可能になること。
 こうした国民の利益を実現するために民営化を進めるということでございますが、以下の基本方針に従って、2007年に日本郵政公社を民営化し、移行期を経て、最終的な民営化を実現するとされております。
 まず1番目に、基本的視点でございますけれども、4つの機能が民営化を通じてそれぞれの市場に吸収統合され、市場原理の下で自立することが重要であるということで、そのための必要条件として、1として、経営の自由度の拡大。2番目に、民間とのイコールフッティングの確保。1枚めくっていただきまして、3番目に、事業毎の損益の明確化と事業間のリスク遮断の徹底ということが書かれております。
 次に、最終的な民営化時点における組織形態の枠組みでありますが、1としまして、機能ごとに株式会社を設立するということで、4機能をそれぞれ株式会社として独立させ、窓口ネットワーク会社、郵便事業会社、郵便貯金会社、郵便保険会社とする。
 地域会社への分割につきましては、地域分割するか否かについては、新会社の経営陣の判断に委ねることにしております。
 3番目に、持株会社の設立ですが、経営の一体性を確保するために、国は、4事業会社を子会社とする純粋持株会社を設立するということにしております。
 それから、公社承継法人でございますが、郵貯と簡保の旧契約とそれに見合う資産勘定を保有する法人を、郵政公社を承継する法人として設立するということになっております。
 その次のページでございますが、3といたしまして、最終的な民営化時点における各事業会社等のあり方ということでございますが、1番目に、窓口ネットワーク会社、この業務の内容でございますが、適切な受託料の設定及び新規サービスの提供により、地域の発展に貢献しつつ、収益力の確保を図るということでございまして、そのため、郵便、郵便貯金、郵便保険の各事業会社から窓口業務を受託する。
 それから、民間金融機関からの業務受託の他、小売サービス、旅行代理店サービス、チケットオフィスサービスの提供、介護サービスやケアプランナーの仲介サービス等地域と密着した幅広い事業分野への進出を可能にするということになっております。
 次に、(2)の郵便事業会社でございますが、業務の内容としましては、従来の郵便業務(窓口業務は窓口ネットワーク会社に委託)に加え、広く国内外の物流事業への進出を可能にする。高齢者への在宅福祉サービス支援、情報提供サービス等地域社会への貢献サービスは、適切な受託料を得て、引き続き受託するということになっております。
 次のページ、4ページですが、郵便貯金会社。
 業務の内容ですが、民間金融機関と同様に、銀行法等の一般に適用される金融関係法令に基づき業務を行う(窓口業務や集金業務は窓口ネットワーク会社に委託)というふうになっております。
 4番目の郵便保険会社の業務の内容も、民間生命保険会社と同様に、保険業法等の一般に適用される金融関係法令に基づき業務を行う(窓口業務や集金業務は窓口ネットワーク会社に委託)ということになっております。
 5番目、公社承継法人でございますが、郵貯・簡保の既契約を引継ぎ、既契約を履行する。その次のページで、郵貯・簡保の既契約に係る資産の運用は、それぞれ郵便貯金会社及び郵便保険会社に行わせるということになっております。
 4番目に、移行期・準備期のあり方でございますが、移行期のあり方としまして、移行期における組織形態。
 国は、日本郵政公社を廃止し、4事業会社と国が全額株式を保有する純粋持株会社を設立する。設立時期は2007年4月とする。情報システムの観点からそれが可能かどうかについては、専門家による検討の場を郵政民営化準備室に設置し、年内に結論を得るということになっておりまして、この情報システム検討会議もこの閣議決定のここの部分に基づいて設置されているわけでございます。
 窓口ネットワーク会社及び郵便事業会社の株式については、持株会社が全額保有するが、郵便貯金会社、郵便保険会社については、移行期間中に株式を売却し、民有民営を実現する。その際には、新会社全体の経営状況及び世界の金融情勢等の動向のレビューも行う。また、国は、移行期間中に持株会社の株式の売却を開始するが、発行済み株式総数の3分の1を超える株式は保有する。
 公社承継法人を設立する。公社承継法人は、郵便貯金、簡易保険の旧契約を引継ぎ履行することを業務とする。旧契約の管理・運用は郵便貯金会社と郵便保険会社に行わせるということになっております。
 次に、経営の自由度でございますが、窓口ネットワーク会社においては、試行期間を設けつつ、民間金融商品等の取り扱いを段階的に拡大し、地域の「ファミリーバンク」、「ワンストップ・コンビニエンス・オフィス」として地域密着型のサービスを提供することになっております。
 また、郵便事業会社においては、国際的な物流市場をはじめとする新分野への進出を図る。
 次のページにいきまして、郵便貯金及び郵便保険事業の経営でございますが、郵便貯金及び郵便保険事業は、当面、限度額を現行水準(1千万円)に維持する。その際、貯金及び保険は、預金者、被保険者ごとに新契約と旧契約とを合算して管理する。その上で、経営資源の強化等、最終的な民営化に向けた準備を進める。
 民間金融機関への影響、追加的な国民負担の回避、国債市場への影響を考慮した適切な資産運用を行うが、民有民営化の進展に対応し、厳密なALMの下で貸付等も段階的に拡大できるようにする。
 大量の国債を保有していることを踏まえ、市場関係者の予測可能性を高めるため、適切な配慮を行う。
 イコールフッティングの確保。
 新会社は、移行期当初から民間企業と同様の法的枠組みに定められた業務を行い、政府保証の廃止、納税義務、預金保険機構ないし生命保険契約者保護機構への加入等の義務を負う。
 移行期の終了。
 移行期は遅くとも2017年3月末までに終了する。
 郵便貯金会社及び郵便保険会社は、遅くとも上記の期限までに最終的な枠組みに移行するものとする。そのため、移行期における両社のあり方については、銀行法、保険業法等の特例法を時限立法で制定し、対応することとするということにしております。
 次に、準備期のあり方ですが、これは2007年4月の民営化までの時期は、準備期と位置付け、民営化に向けた準備を行うということで、経営委員会の設置、それから勘定区分の話、それから新旧契約の分離の準備、国際物流事業への進出を可能とする、投信窓販の提供を可能とする、その他新規事業分野への進出を準備するということが書かれております。それから、関連施設につきましては、郵便貯金関連施設事業、簡易保険加入者福祉施設事業に係る施設、その他関連施設については、分社化後のあり方を検討することにしております。
 次に、雇用のあり方でございますが、民営化の時点で現に郵政公社の職員である者は、新会社の設立とともに国家公務員の身分を離れ、新会社の職員となる。
 人材の確保や勤労意欲・経営努力を促進する措置の導入等、待遇のあり方について制度設計の中で工夫する。
 それから、職員のモラールや労使関係の安定に配慮することになっております。
 次に、推進体制の整備でありますけれども、これは、郵政民営化推進本部というものを設置するということになっておりますが、これは9月10日の同日付で設置が決められております。そして先週、第1回目の本部が開かれたところであります。
 それから、民営化後、推進本部の下に、有識者から成る監視組織を設置するということになっておりまして、民営化後、3年ごとにレビューを行うことにしております。
 最後に、法案の提出でございますけれども、以上の基本方針に沿って、政府は早急に郵政民営化法案策定作業を開始するということになっておりまして、基本的法案や主要関連法案は次期通常国会へ提出し、その確実な成立を図るということになっております。
 以上が郵政民営化の基本方針の概要でございます。

○加藤座長 ありがとうございました。
 何かご質問などございますでしょうか。いきなりご質問と言われてもたくさんあるかもしれませんけれども。よろしゅうございましょうか。一応この基本方針で我々としては進んでいくということで考えたいと思いますが。
 それでは続きまして、分社化に当たって検討すべき事項などにつきまして、事務局より説明を受けたいと思います。どうぞ。

○高橋参事官 事務局をやらせていただきます参事官の高橋でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 検討事項の前に、資料1で郵政民営化情報システム検討会議の開催という紙がありますので、これを1回確認したいと思います。
 郵政民営化情報システム検討会議の開催について、資料1ということで書いてありますけれども、1番の趣旨でございますが、今、中城の方から説明がありましたけれども、平成16年9月10日に閣議決定されました「郵政民営化の基本方針」を受けまして、情報システムの観点から、4事業と持株会社の設置時期を2007年4月とすることが可能かどうかにつきまして、専門家による検討を行うためにこの会議を設けられておりまして、実は、結論は年内に得るということで、期限が区切られております。
 構成等は、これは別紙のとおり、今ここにご出席いただいている方でございますけれども、学識経験者と有識者により構成すると。会議は座長が招集をいたします。座長は会議を主宰いたしまして、会議は必要に応じまして、関係者の出席を求めたり意見を聴取することができるということになっています。
 この会議の庶務は内閣官房、具体的には我々郵政民営化準備室において処理をいたしまして、日本郵政公社との密接な協力の下に運営するという形で、これは実務に関する話なので、郵政公社とも緊密な連絡をとりながら行いたいというふうに考えおります。
 次に、検討課題、いきなり検討課題で恐縮ですが、資料3でございます。
 案と書いてございますのは、実は、本来であればこれ郵政公社さんからご説明いただいた方がより適切だと思ったんですが、時間の都合により、なかなかできないということでありましたので、事務局の方からとりあえずのところをまとめさせていただいたところでございます。 
 ですから、その点必要であれば郵政公社さんに後で適切に修正なり論点を加えていただいても構わないと思いますけれども、とりあえず考えられるところはこの5つぐらいではないかなというふうに考えております。
 1つは、民営化のために必要なシステム対応ということがあります。いずれにしろ民営化するわけでございますので、会計制度、かなり変わります。特に、今までずっと公的な主体で公会計ということだったんですけれども、会計が物すごく変わると思います。そこに対する必要なシステムというのがまずあると思います。
 2番目は、これは分社化ということを2007年4月という形で言っておりますけれども、分社化のために必要なシステムということが挙げられると思います。一般に分社化ですとシステムは分離するわけでして、統合というのはちょっと違いますけれども、いずれにしろ今の1つの会社を4つに分けるということでありますので、そのために必要なシステムは何かということでございます。
 3番目は、システム開発に必要な業務要件のレベルというのはどういうものであるかと。業務要件というのはシステム開発作業に入るまでに決定すべき事項というふうに言われておりますけれども、特に法的、税務的なフレームワークとか組織、あと業務なんかが重要だと思います。それぞれ、あと各社間の契約というのもそこに含まれるかなと思います。いずれにしろ、そのようなものについて、今、詳細な制度設計というのは郵政民営化準備室の方で並行的に進められておりますけれども、その作業と並行しましてシステム開発に必要な業務要件のレベル、どこまでやるかということが検討課題になろうかなと思います。
 それとご承知のとおり、4番目は、郵政公社は今巨大な会社でありまして、恐らく日本でも有数の巨大なシステムを運営されております。ですが、そのシステムというのを全面的に入れかえるというか、既存のシステムがどこまで活用できるかどうか。聞くところによりますと、今3事業という形で分かれておりまして、その3事業のシステムというのはかなり独立的という話もございますけれども、そうなりますと、分社化に当たってどこまで既存のシステムが活用できるかどうか、修正すべき点はどういう点があるかどうかというのは1つの問題点になろうかと思います。
 最後は、以上などを合わせた論点ですけれども、調達、設計、テストなどに要する期間はどの程度かということでございます。
 ここの検討会は実際にシステムを構築するというのではなくて、そのシステムが構築できるかどうかというのを検討する場でございますので、そのレベルにおいて要する時間がどの程度かというのをここで検討していただきたいというふうに考えおります。
 以上が私たち事務方で限られた情報のもとでつくり上げました検討課題でございます。
 以上です。

○加藤座長 ありがとうございました。
 それでは、皆様方、これからどんなふうに我々で議論したらいいのか、検討すべき事項、検討課題につきましては、また修正することも可能なようでございますから、これに付加することも含めまして、皆様方のご意見をいただきたいと思っております。いかがでございましょうか。どうぞ。

○山下CIO 今の高橋さんのご説明で公社ができないといっているというふうにおっしゃったんですけれども、きょう急にと言われたので、きょうは資料が間に合わないと申し上げました。次回、今週いっぱいぐらいで資料はできますので、私どもが、4つの事業会社、持株会社と公社承継法人と、6つの組織単位への分社化をやるということでございますから、それに対してどのぐらいの作業負担がかかるかということで、ぜひ私どもの判断を説明させていただきたいと思います。今の検討課題のご説明については基本的にはこれでよいと思うんですけれども、あともう1つ、私どもの立場からは非常に恥ずかしい話ですが、公社のIT体制というのは脆弱でございまして、そうした公社のITマネジメント力の評価というのも一つのポイントになると思います。分社化に向けて膨大な作業をやるに当たって公社のIT体制を強化していかなければいけないんですけれども、どうしても公務員の給与とかいろんな問題もありまして、そう簡単に人員の増強もできないわけですから、今の公社のITマネジメント力でこれだけの膨大な作業をどれだけこなしていけるのかという点も1つの大きなポイントではないかと思います。

○加藤座長 ほかにいかがでしょうか。

○高橋参事官 この会議が急にできたこともありまして、いろんな意味で先生方にもショートノーティスで本当に申しわけなく思っております。
 先週の火曜かそこらですけれども、大体こういうのができるということだったんですけれども、そのときにやはり言いましたら、ちょっと難しいなという話だったので我々の方で用意をいたしました。
 ぜひお願いしたいのは、民営化の基本方針ができる前の話というのは結構いろいろなところで出ているわけなんですけれども、民営化の基本方針ができた後、もちろん民営化の基本方針ができる前は不確実的な要素が極めて多かったのはそのとおりだと思いますけれども、民営化の基本方針が一応できまして、システム設計においてはかなりの程度いろんな情報量が出てきたと思うんです。そういうのを踏まえまして、ぜひお話を伺えたらなというふうに思っております。

○加藤座長 宮田先生。

○宮田教授 情報システムをある程度明確に理解することが先ですよね。それがないとどういうふうに直すと言われても、直し方にはいろんな考え方があるはずなんです。ですから、それはすごく重要で、ある1つの考え方でこうすれば幾らかかるということを試算しても余り意味がありませんから、現状を理解して、変え方、分割の仕方、それ自身がいろいろあるだろうと思いますので、そのあたりをわかる資料を、まず現状を理解して、それはどういうふうに変えるべきか。そこのところから議論入った方がいいのではないかと思います。いかがでしょう。

○加藤座長 どうぞ、天野先生。

○天野CIO 次回にご提出されるという資料の中には、ここらでいうと、いわゆるどういう業務フローがあって、そこにどれぐらいの、僕ら計算機というとステップ数があって、要するにどれぐらいの計算機ボリュームがあってとか、そういう、詳細とまではいきませんけれども、A4にワンシステム10枚ぐらいのものは書いていただけるのかどうか。それが1つと、あと郵政さんがどういうふうに直され、どのように直されようとしているかという、多分案が一、二、数個はあると思うんですけれども、その辺まで書いていただけると、多分議論が早く進むのかなという気が私は、します。
 それと、私個人的にもう1つお願いしたいのは、今までの既存のシステムの話はよろしいんですけれども、窓口ネットワークってちょっと内容僕よくわかっていないので申しわけないんですが、そこのところの業務の扱いを郵政公社さんの方が、官は官でいいと思うんですけれども、どのように、例えば公社さんだったらどのように分割されようとしているのか。多分これも案、システムから見たときにどこで区切るかによって、窓口さんと今度の新しい会社さんの間のインターフェースをどうとるかというのは多分、その辺随分違ってくるので、その案もしあればお示し願えれば、議論は早くなるのではないかと僕は思うんですけれども。

○加藤座長 可能でございますか。

○山下CIO まず公社の方は、私どもは、『まないたの鯉』の方で、制度設計自体は準備室の方でされるわけですので、私どもの理解としては、窓口ネットワーク会社というのは基本方針で定められましたけれども、その具体的な中身については、準備室のほうでこれから議論をつめていかれるということだと思います。
 実は、私ども当然、窓口会社が実務的にどう回るか等議論している最中ですけれども、なかなか、どういう会社になるかというイメージがなかなかつかめないのが現状です。私どもは基本方針が決定される段階で、3年から5年ぐらいかかるだろうと判断したのは、分社化の詳細は不明でしたので非常に大ざっぱにこういうふうに切り分けたら、あるいはこういう会社をつくるんだったら新しいシステムが要って、といった、ごく大雑把な前提をおいて試算した結果です。ですから現段階で今、まさに有識者会議でその詳細について検討されているわけですので、その動きをみながら、同時並行的に作業を進めていく必要があるのではないかと思います。公社の方から民営化会社はこういう姿になるというのを出すのは、そういう立場にもありませんし、準備室のほうでも現時点ではなかなか難しいということだと思います。
 それから、前者につきましては、公社には非常に膨大なシステムがございますので、最初にその全体像をご説明させていただき、そのうえで我々がどういう判断で3年から5年かかると判断したかについての説明をさせていただきたいと考えております。主要なシステム、特に民営化対応の一番重いところについては、ベンダーからの説明も含めて、今天野さんからご指摘のあったような形で資料を準備できるようにしたいと思います。

(竹中大臣入室)

○加藤座長 ぜひそういうふうにお願いしたいと思いますが、今、竹中大臣が到着されましたので。きょうは国会が始まって、紛糾したら来られないということでしたから、順調なようでございますので、到着をされました。一言ごあいさつをいただきたいと思います。

○竹中大臣 竹中平蔵でございます。先生方には、本当にお忙しい中、無理をお願いいたしましてこの委員会に参加をいただきまして、本当にありがとうごエいます。
 この委員会の趣旨、ここまでに至る経緯等々、既に事務方から説明があったかと思いますが、郵政民営化というのは本当に大変な事業だと思います。それのスタート台を決める上でこの委員会がどうしても必要だということで発足に至ったわけでございます。
 まさに専門家の皆様方に独立的な立場で、忌憚なくご議論をいただきたいと思っております。小泉総理自身もこの委員会のメンバーの方々に、非常に信頼感を持っているところでございます。公社の生田総裁にもメンバーリストをお見せしたところ、これは豪華なメンバーですねというふうにおっしゃっておられました。
 もう一度申し上げますけれども、独立の立場でぜひ専門家としてのご意見を賜りたいと思っております。加藤先生には、また取りまとめの大変面倒なお仕事をお願いいたしますが、何とぞよろしくお願いいたします。
 きょうは、今ご紹介ありましたように国会の初日でありまして、なかなかいろんな儀式が重なっておりまして、私またすぐ退席しなければいけませんが、また機会を見て一度ゆっくりといろんなお話をさせていただきたいと思っております。どうかよろしくお願いいたします。

○加藤座長 どうもありがとうございました。

(竹中大臣退室)

 今、竹中大臣からもお話がございましたけれども、非常にこの会議が重視されておりますので、忌憚のないご意見をいろいろいただきたいと思っておりますが、今既に山下さんからもこんなふうに実情はなっているということをこの次の機会にお示しいただけるわけでございますから、我々もそれを見てからまた検討しなければならないと、こういうふうに思いますけれども、ほかにご意見ございませんでしょうか。いかがでございますか。どうぞ。

○満塩シニアマネージャ まずは、検討課題の方なんですが、可能かどうかということでのいわゆる可否判断的なところが1つあるかと思います。今並んでいるのがそちらの方だと思いますが、また、私結構実務の方に近いと思っていますので、そうしますと判断があった上でもやはりそれを実施するための必要な条件、要件、そういったものが多分細かいところが出てくると思うんですね。ですからそういったところの整備もある程度しなければいけないのかなと。若干、制度上のこういうふうにしてほしいというようなところも郵政の方からも出てくるかと思いますので、そういった整備も必要かなというふうに思っています。
 もう1点、この会議が12月までに終了した後で、実際にまた彼は郵政の方で構築されるわけですけれども、そのときに実際それがうまく回っていくか、構築されていくかということをやはりどうやって確認していくか、ウオッチしていくかというところの、こちらの課題、もしくは何らかの提言なりをしていくべきかなというふうに思っています。
 あと今、次回の資料のお話のところになったかと思うんですが、今たぶん郵政公社の方からこういうふうに我々判断しましたというような資料が出てくるかと思いますが、もし可能ならばというところで申し上げますと、例えば分社化するとしての逆に課題としての整備、要はできる、できないということではなくて、やるとしたらこういったところが問題ですよねというところの整備をしていただいた方が、特に2か月というこの短期間の中で判断を下すためには、やはりそういったところがなければ、正直言って十分な議論ができないといふうに思っています。 ○加藤座長 どうぞ。

○高橋参事官 資料なんですけれども、郵政公社さんに次回やっていただく感じにすると、なるべく前広に資料を、この場でだとなかなかちょっと議論しにくいんだと思うんですね。ですから、この委員会というのはITですから、いわばメールでどんどんできるわけなので、できるだけ前広に資料をお願いして、それで読んできて、ここの議論は最後の締めみたいな形でお願いできたらなというふうに思っております。
 それとあと、これは何分にもこの場だけで議論を全部尽くすのはかなり難しいと思いまして、公社さんの方にも場合によっては行くこともあり得るというか、そういう機会もできないかどうかということを考えておりますので、公社さんの方にはそういう機会もあり得るということでぜひご理解いただきたいなというふうに思っております。

○加藤座長 今の意味がちょっとわからなかったんですが、公社の方に行くというのは。

○高橋参事官 要するにこの場だけでは非常に難しくて、実際問題いろんな資料をもらって、いろいろとメールとかそういうので事前に読んで、それでここでやりますけれども、そこで意が尽くせないときには、場合によってはここのうちの何人かの方が公社に行って話をすると、そういうこともあり得ると。そのくらいちょっと弾力的にやらないと、何分にも年内ですから、本当に数回なんですね。数回で仮にP時間半なり2時間という形にしますと、10時間以内ですから、そこではちょっとなかなかこの専門の議論は尽くすというのは難しいのではないかなと思いますので、なるべく場外の話も円滑にやりたいと思いますので、公社さんの方でご協力のほどお願いしたいなというふうに思っております。

○加藤座長 そうすると、ワーキンググループみたいなものをつくろうということも考えられますね。

○高橋参事官 そうですね。

○加藤座長 ほかにご意見。どうぞ。

○國領教授 ちょっと質問が幾つか並んでしまう感じで恐縮なんですけれども、この検討会議のミッションとしては、2007年4月が可能かどうかという、やっぱりタイミング的なところが主だというふうに考えてよろしいわけですよね。その場合の可能かというのが、これ先ほどの満塩さんのご発言とも関連するんですけれども、可能というものの意味が、恐らくはそんな黒白の可能か、不可能かとかという話にはならずに、多分こんな暫定措置、こんな暫定措置、こんな暫定措置というようなものを認められれば不可能ではないかもしれないけれども、そんな暫定措置の固まりであるならばやらない方がましだというような判断になろうかもしれないというようなところなんだと思うんですけれども、その辺のことについて加減をどうするかとかいうのも議論の範疇なんでしょうかということ。
 それからもう1つ、幾つも並んで恐縮ですが、恐らく今後こういったようなことをやるんだとすると、今あるものを単に民営化するということだけではなくて、やはり大もとのところでのミッションとして、この国のやっぱり金融のお金の流れ方を変えるとかという話になりますと、これだけの巨大な資金ですので、業態がある程度変化していく中でそれを支えきる仕組みにしていかないと、今あるものを単に分けることだけに時間をたくさん費やしていくのは将来に向けて不健全なんだろうと思うので、その辺のことについてもやっぱり見越したものを考えるということでよろしいかということ。
 それから、ぜひちょっと一度お伺いしたいのが、今現在ボトルネックとしてどこが一番大きいというふうに認識されているかというところでありまして、実を言うと私自身、電電公社を民営化するときの作業部隊の中にいたので、いかに現金主義会計を発生主義会計にするのが面倒くさいかというのはよくわかっているつもりなんですが、やれないことはないと。ただしいろんな仮説と暫定とのお化けみたいなものをつくって、無理やり移行させるんですけれども、どの辺に一番ボトルネックを感じていらっしゃるかということをぜひちょっと、とてもざっくりですがご質問させてください。
 すみません、以上です。

○加藤座長 今の國領先生の出されました問題、非常に重要な問題なんですが、私、素人なりに考えまして、多分、皆様方非常にそういうシステムについて専門家でいらっしゃいますから、お考えいただくときに非常に技術的にお考えになる点が若干あるんだと思うんですね。そういう場合、我々の頭の中でどちらかというと、技術だけで答えが出るものではないので、そこのところをどういうふうに我々は将来の金融の図がどんなふうに変わるのかというようなことも頭の中に入れておかないとできないですね。そういう意味で私は恐らく考え方としては、そういったことまでも議論の中に出てくるんだろうというふうに思っております。
 それから、検討課題で私もちょっと不思議に思いながら見ていたんですけれども、今國領先生のおっしゃったことの中に入っているんですけれども、既存のものを分社化するという頭でいるわけですね。全部これやめてしまって、全く新しくやってしまう、4つのものをつくってしまうというのとどっちかどういいのかとか、そういう考え方もあり得るのではないかと思うんです。そうしますと、ちょっと検討課題の中にはそこまでは入っていないような気もするんですけれども、しかし恐らく入っているんですよね、高橋さん。わからないけれども、それはいずれ議論をしているうちに出てくるかと思いますね。
 それから、最後におっしゃったことも非常に私は重要な問題だなと思いながらお聞きしておりましたけれども、今の状況の中で、こういうシステムを変えるときに我々はよく小さなもので、こんな大きな巨大なものをやったことはないんですけれども、小さなものをいろいろやりますときに思いますことは、やっぱり期間とそれからお金ですよね。どのくらいの金かけて、それでどのくらいの期間でやってしまうか。そこら辺で素人的に考えると、できないといっていたのが結構やるといったらできてしまったり、あるいはできるだろうと思っていたら意外に難しくてできなかったりするような、そういうボトルネックがやっぱり出てきますね。そういうことは我々も頭の中に入れながらやらなければいけないので、やっぱり議論していく途中でもっていろいろとまたご意見いただいて、さらにそれを検討するような小グループをつくって検討していただくことが起こってくるのではないかというような、私は一種の予想でございますけれども、そんなことを頭の中に思っております。
 何か、つけ加えることありませんか。

○高橋参事官 國領先生の非常に重要なご指摘でありまして、私自身余り状態変化なんか正直いって、二、三年ですから、その変化というのはそれほど大きくなく、かつ10年ぐらい考えると物すごく変化があるんですね。でも変化があるというのはいつの世の中でも一緒でして、実はその変化というのとシステムというのは、結構変化に応じてシステムというのもそれなりに組み直せるのかなと正直言って思っておりましたので、余り大きな状態変化というのは、少なくとも2007年までではそれほどないのかなという、そういう印象は多少、正直言って持っておりました。
 ただ、非常に重要なご指摘で、今、加藤先生も新たにつくったらどうかという非常にドラスティックというか、大胆なご意見もあって、そうかなと多少思ったりもして、私も多少技術系なので、目先というか、そういうことを考えると、余り大きな変化もなく、それでこの郵政民営化の話も2007年と今の違いを考えると、どの程度業務が違うのかなと正直言って思っておりまして、そうすると確かに切り分けはあるんですけれども、やっている業務というのは大きくは変わらないのか。もちろんそれから以降10年ぐらいたつとすごく変わってくるんでしょうけれども、そんなようなちょっとイメージを持っておりましたので、改めて勉強になりました。

○加藤座長 ほかにいかがでしょうか。

○山下CIO 今の國領先生のご指摘ですが、まず中長期的な観点からは全く新しいものをつくった方がいいのではないかというご提言ですけれども、大変重要なポイントをついておられると思います。今の民営化をめぐる議論では、全く民営化に伴うコストということが議論されていないんです。ともかく2007年4月まで間に合わすんだと。そのため、コストについては全く触れられていない。私どもの立場からすればやっぱり新しいビジネスモデルがどうなるかとか、一体どういうビジネスができるか、そのために一番いい、システムとしてはどういうのが考えられるのかということを検討するのが本当だと思います。そのほうが多分コストはミニマムになるんだろうと思うんですが、その時間的な余裕は全くないわけですので、そういった意味で言うと、私どもはともかくこのタイムスケジュールの中で、今、これから準備室で具体的に決めていかれるものに対して情報システム面でどう対応していくかということでございます。ただ、本来の経営の立場からいいますと、今の先生のご指摘は非常に重要なポイントだと思います。私どもとしましても、幾らコストがかかってもともかくやるんだということであれば、それに伴う、民営化に伴うプラスの収入によってうまくコンペンセイトされる必要があるわけで、その点は非常に重要であるというふうに思っています。
 それから、ボトルネックとして何が一番大きいのかというご質問でございますけれども、実はいろいろあるというのが実情です。まず今おっしゃった、例えば単純に民営化するということだけを考えても、民間企業と同等の納税とか預金保険機構に入るとか、新旧勘定の分離ということで、預金のシステムを変えなければいけないということもありますし、それから会計、新しい会計機能の経営計算をやらなければいけない。それから窓口業務の区分による4事業会計も入れなければいけないということで、単純な3事業一体の民営化対応だけでも相当大変だと考えています。私どもの、今おっしゃった、会計面では、昨年4月に公社になりまして初めて企業会計原則で決算を行いましたけれども、官から民への転換というのは大変でございました。会計情報システムが未整備なためにかなりの作業を手作業でやっておりますので、大変な苦労をしました。5月25日に一応決算をまとめましたので、タイムリー・ディスクロージャーだということで会計監査人チェック前のステータスということで公表はしたんですが、やはり会計監査人から修正をしなければ適正と認められないということでかなりの修正を余儀なくされまして、6月18日に修正公表した経緯がございます。その後、監事の監査を受けて、6月30日の理事会で最終決定したということですから、民間並みにするには相当作業スケジュールを早めなければいけませんし、それに合わせて税会計の対応もしなければいけない。NTTさんからいろいろお話を伺っていますけれども、この会計面での実務的な対応だけでも大変だなという感じでございます。このように、3事業一体の民営化対応だけでも相当大変だということが第1にあります。
 それから第2は、やはりポイントは新しく窓口ネットワーク会社というのができるわけナす。分社化というのは、多分縦割りの会社がそのまま分かれていくというのが普通だと思うんですが、これを3つの会社に加え、横に切って窓口機能を切り出すという異例の分社化です。この窓口会社がまた中身がよくわからないわけですよ。そういうことで、基本方針が決まったからはっきりしたと高橋さんがおっしゃいましたけれども、具体的に一体どういう会社になって、3事業会社との切り分けがどうなるか、4社間の資金決済方法がどうなるのか、手数料算定のためのシステムは一体どうなるのか、固定資産の振り分けはどうなるのか等々を考えていきますと、具体的にどういうシステム対応をしていいのかよくわからないということがあります。加えてこれはマスコミ情報ですが、今回の民営化というのは国会で相当もめる可能性もあると。6月までにきちっと1回の審議で決まるのか。それから膨大な法律が変わりますから、政省令が固まるのが大体早くて多分年末ではないかと思います。ということは、2007年4月までに残されたのは1年3か月しかないわけですね。
 私ども官の制約ということで、新規システムの開発につきましては、WTO調達ルールというのがありまして、これで最低6か月の期間がかかります。調達の入札、契約手続だけで6か月かかります。それから、システム設計、製造、移行・テストが1年以上かかるということで、相当時間がかかるということでございます。そういった官特有の制約があるということも大きい。
 それから、もう1つ、私どもは100以上のシステムを抱えていまして、そのうち例えば、貯金システムというのは、1日平均1,500万件以上の取引をやって、365日24時間動いているシステムでございます。こういう巨大システムも含めて同時並行的に一斉にIT対応をやらなければいけない。こういう大きなシステムの一斉の改修、新規の構築というものを同時にやるということは、やはり相当なリスクがあるというふうに考えております。多分この3つが、私どもとしてこの民営化対応について一番大きなリスクを感じている点でございます。

○加藤座長 ほかにございますか。

○中山委員長 先ほど山下さん、公社のIT体制そのものにやっぱり不安があるというふうにおっしゃっていましたけれども、既に公社になったときに、当然会計システム等更新されているかと思いますし、それ以前からもさまざまなシステムの入れかえ、更新等行われていると思うんですが、そういった中でも今までどうやっていわゆるプロジェクトマネジメントというんですか、システム開発の体制を公社内で整えていて、どういう形で管理されていて、どういうふうに作業されていたのか。今回、先ほどおっしゃったように並行作業と。既存のシステムは当然円滑に運用していくというのは当然ありますし、それをしつつ新しいシステム、あるいは移行のシステムをつくるわけですけれども、もし同時並行でやった場合、そういったプロジェクトマネジメントという方々を、社内というか、公社内で十分確保することが可能なのかどうか。今まではどうやって確保されていたのかなということをちょっとお聞きしたいなと思うんですが。

○山下CIO 恥ずかしい話をしなければいけないのですが、私どもは今100以上のシステムがあるわけですが、私どもの場合、基本的に公社になるまでは完全縦割りで郵便、貯金、保険がそれぞれの部門で縦割りでやっていまして、今でも全体を把握している人というのはだれもいないんです。そういう意味で、IT体制が脆弱なものですから、生田総裁が私をCIOに任命して、全体を統括しろという指示をいただいております。ただCIOに任命されましたけれども、取り敢えずは格別の権限もなかったんです。それを、組織改革やIT改革プロジャクトを1年間かけてやり、この4月からコーポレートIT部門というのをつくって、そこのものについては私が一応権限を持つような形になりましたけれども、依然、郵便貯金、保険、それから共通部門のかなりの部分というのは引き続きそれぞれの部門が担当し、いわゆる連邦制のコーポレート・ガバナンス体制を組んでいます。その下でIT戦略委員会で毎月1回、案件ごとに審査をやってはおるんですけれども、ITマネジメント体制という意味では非常に弱いのが実情です。
 それから、ITのスタッフでございますけれども、公社スタートのときは運用部隊もいれて300名でございました。その後、ずっと増やしてきまして、現在では400名程度の体制にしましたけれども、仕様書を見ていろいろ企画・管理できるような人は200人ぐらいしかいない状況です。年間3,000億円以上のシステム経費を使って、膨大なIT投資を行っている現状に比べて非常に体制が弱い。私どもとしては強化していかなければいけないと思っているわけでございまして、外部からも人をとってきているんですけれども、これはやっぱり公務員ということで給料が安いので、なかなか思うにまかせない、やっと5人ぐらいとってはいるんですけれども、いいなと思う人はほとんど給料が安過ぎてとれないという状況でございます。そういった意味では、公社になって一生懸命IT改革をしながら体制強化を進めているわけでございますけれども、実際には専門家は非常に少ない。しかもいまだにバラバラのIT体制の中で、IT戦略委員会のところで統一をとりながらやっているという状況でございます。

○加藤座長 ちょっとわからなかった。今のお話の中で、全体を把握している人はほとんどいないとおっしゃいましたね。そうすると、バラバラということですね。

○山下CIO はい、そうです。

○加藤座長 ということは、何でそれを一体にしなければいけないかという発想がどこから出でくるんですか。

○山下CIO いや、ですから、例えば、今度の民営化対応に向けてプロジェクトマネジメントをやる場合に、多くのシステムが一斉に改修をしなければいけないわけですね。その相互の影響は一体どうなるかとか、全体がどういう、今全体のシステムの構成とかそういうものがどうなっているか、あるいはコード番号なんかも統一されていないわけですよ。そういったものを全部見直していかなければいけないわけですけれども、そういった形でシステム全体の改修が動き出したときにどこが一番大きな問題になるか、どういう影響があるかとかということについて……

○加藤座長 では、一体でやるとしても、あるいは分社化してやるにしても、いずれにしてもシステムをつくらなければだめだと、こういうことですね。

○山下CIO いや、今申し上げているのはプロジェクトマネジメントの体制として、強いかどうかということのご質問でございまして、今度の場合には、同時に、ごく短期間のうちにいろんなシステムについて手をつけなければいけないわけですね。これについてこれからご議論いただきますけれども、例えば窓口ネットワーク会社は、新しい会社ですので、新しい業務システムをつくらなければいけないのではないか。あるいは貯金システムをどういうふうに改修しなければいけないかとか、そういうプロジェクトが一斉に動き出すわけですね。
 それから、あと大きいのは、やっぱり会計システムをどうつくるか、4つの会社について。それぞれについて相互に影響するわけでございますけれども、私は責任者としてIT戦略委員会では全体の動向は見ますけれども、その中身自体については全体を把握している人がいないわけです。ですから、それぞれについて情報をつき合わせながら、やっていかなければなりませんので大変時間がかかるわけでございます。
 先ほど天野さんからそれぞれのフロー図をということはご指摘がありましたけれども、多分これもベンダーと一緒に作成しないと、それぞれ標準的なものはないのが現状でございますから、今一生懸命IT台帳をつくっているような状況でございますので、そういった面でも時間がかかるということでございます。

○加藤座長 どうぞ。

○天野CIO ここの会議はどこまでしゃべっていいのかよくわからないので、ちょっと言い過ぎになるかも。民間、例えば私どもの会社でも全体がわかっていると言われたときには、一応私になりますけれども、非常に苦しいときがあります。ではそういうときにどうするかというと、いわゆる各機能軸でわかっているというならば、その人たちを集めてきて、普通、何かワーキングかプロジェクトチームをつくっておやりになるという、多分そういうことになると思うんです。それが、お金の話とか人の話とか、僕よくわかりませんけれども、多分、そういうことまでここで議論すべきなのか、それもちょっと不思議な、そこまで公社さんの将来の情報システム部門に対しての我々はコンセンサス出すのか、それも1つよくわからない話と、もう1つは一番初めに國領さんがおっしゃった、将来のどこまでシステムを見るのだという話は、これは決めていただかないと、10年先、我々も最近カードとか金融関係も随分やっていまして、5年先は闇だということは、私たちの会社のポリシーでいうと、もう今あるやつをどんどんどんどんつけ加えて、システムとしてはベースだけをつくった後にオープン系のものをどんどんとつくればいいのではないか。要するに基幹のところと商品が変わるところは別の考え方のシステム構成をしてもいいんだとか、そういう技術的な話も含めて多分すべきだと思うんですね。
 それで、もとに戻りますけれども、やはり将来の金融政策も含めてと質問されると、このシステム検討会議というのは、多分、すみません、私は少なくともそういう議論にはちょっと違和感が覚えるので、どこまでぐらいを、例えば2007年からプラスアルファ3年、2010年までぐらいでこういうふうになりそうだということの前提条件をつけていただかないと、ちょっとシステムだけのお話にならないものですから、それはひとつお願いしたいなという感じはします。ちょっととりとめもない意見で申しわけないですけれども。

○宮田教授 私も同じ意見なんですけれども、民営化と分社化をするために、どういう基本方針でやるのか、コンセプトといってもいいですね。これを明確にしてやらないといけないだろうと。10年先の話は今、お聞きしたような状況では、多分しない方がいいと。単に民営化、分社化することに限定して、なるべく低いコストでなるべく短い時間で今の業務はなるべく変えないでやると。例えばこういうふうなコンセプトを明確にしておかないと、いかようにも発散することができます。ですから、そのあたりの考え方を明確にすることがまず第1で、多分、10年先考えないで、3年先、4年先にちゃんと業務ができることを考えてやるのか、そのあたりだと思うんですけれども、それは明確にする必要があるだろうと思いますね。
 それからもう1つ、コストマネジメント的に言えば、絶対できないことはやっぱりできないんですね。物理的にもお金的にも絶対できないことは本当にできないんですけれども、できることをできなくすることは簡単なんですね。これは非常に簡単。できることはやっぱりちゃんとできるようにするということがプロジェクトマネジメントといいまして、このためにはそれなりのやり方があると。
 今の関係者の能力が必ずしも十分でなければ、それはやりながら上げざるを得ないし、外部の力も導入する必要があるだろうし、確実にそうして上げておかないと、変えた後、人がいないというわけにはいきませんから、この作業の中でしっかりそういう力をつけていくと。能力アップというのと成果を出すのとほとんど同じですから、当然やっていかなければいけないと思うんです。ちょっと天野さんとほとんど同じなんですが、そのあたりを明確にした方がいいだろうと思います。

○加藤座長 どうぞ。

○満塩シニアマネージャ 私も今のにすごく賛成で、やっぱり短期的なミッションとしてどこをターゲットにするのか。要はまずは民営化と分社化というところまでを完全なターゲットとするのか、それともやっぱり完全に民間として利益が出るような形まで持っていくのかというところに、やっぱり長期的なミッションはもちろん利益が出るという形で構わない。もちろんそのとおりだと思いますが、短期的なミッションをどうするかというところで、今の意見に賛成です。
 それと、今お話聞いていますと若干気になりますのが、内部調達でかなりやられようとしているところがすごく気になるところが若干ございます。やはり1つは外部のコンサルだとか、専門家を期限つきで使う。こういったものも私自身もそういう意味では関係者でそういう形で使われていますし、そういったものと、あと一番最初に根本論として気になるのが、事業会社の組織形態と、システム運用の組織形態が全く一致しなければいけないかというのはちょっと別議論ではないかなというふうに思っています。特に最近だと持株会社、グループ形態の移行に関してマネジメント会社をつくったりして、情報システムの運用、管理を一元化するということも多々ありますので、そういったところもどこまで議論されているかというのがちょっと気になるところではあります。

○加藤座長 ほかにいかがでございますか。

○中山委員長 基本方針の中ではいろいろな将来の希望というんですか、こういうことをやりたいと書いていますが、それが本当に2007年4月、つまり準備期までに完全にできるようにしておく必要があるものも当然あると思いますし、逆にそれ以降の期に繰り越しておくというんですか、あえて今回は手をつけずにそれの後に開発、当然今から手をつけてもいいんでしょうけれども、完成を2007年4月にこだわらなくていい部分というのも中にはあるのかなとは思うんですが、それの選別というのが一体いつどこでできていくのかによって、やっぱり要件というのはかなり変わってくる。今やっていない業務をどこまでつけ加えようと考えると、あれもこれと多分入れようとするととんでもない量になりますので、それをすべていっぺんに開発するというのはかなり難しいと思いますが、今やっている業務に限定するのであるか、あるいは最低限これとこれだけはぜひとも加えておきたいというものがあるのかとか、その辺の選別というのはどうしてもしておかなければいけないのかなと思います。
 それと、今お話があったシステムの運用形態と実際の事業会社との形態は必ずしも一致しなくていいという、確かに今持株会社形態の会社が非常に多くなっておりますので、確かにそういう会社は非常に多くなっておりますね。ですから、当面の間であるのであれば、この窓口、郵便、郵貯、保険と、4つの事業に分かれて持株会社がつきますけれども、システム上別に一体運用ということであっても、当面では別に支障はないのかなと思いワす。
 ただ、いずれこれ売却ということが入っていますので、貯金とか保険会社が完全に民営化されて、持株会社との間で関係が切れてきてしまった場合は、その時点では完全に一体運用というのはかなり難しくなる。これは我々第3者というか、外部の監査人の立場として、全く違う会社にそこの部分を依存したまま、果たしてそれで監査上いいのかという別な問題でのレビューとか検討が必要となってまいりますので、そういったことも考えなければいけないんですが、とりあえず純粋持株の下に4つがぶら下がる状態、一体で動いていく限りでは必ずしもすべてのシステムが分離しなければいけないかというと、そんなこともないのかなという気はするんですね。

○満塩シニアマネージャ あと1点だけ、ちょっと逆に質問的になるんですが、特に基本方針の中で読んでいますと、移行期においてはほぼ民間としての取り扱い的に書かれているかと思います。多分、郵政公社の方でも一番ネックになるところは調達の部分のWTO調達、6か月最低かかりますというところなんですが、そういったところの足かせといいますか、そういったところはどこまでかけるべきなのか。ある意味、本当に民間と同じにして自由にしていいのかとか、そういったところもちょっと気になるところなんですが。

○高橋参事官 今、非常にこれからのとり進め方において非常に貴重なご意見が出ておるんですけれども、一番最初に山下さんの方が、自分たちはまないたの鯉だから一切言えないというお話があったんですけれども、1つはこれは変数だと思うんですよね。要するに、あるこういう考え方があればこういうふうにできるし、それで私が認識するに、窓口の分割というのをかなり分け方は変数だと思うんですよね。極端に言えば、すべて郵便局だけを窓口にするという話、郵便局の一部だけを窓口にするという考え方もあります。要するに線の引き方だけで、これは結構変数的なので、システム的に考えると、多少はアバウト、大ざっぱなフレームワークを言っておけば、そこはシステムを組むときにやって、あとはその入れかえというので可能という、そういう側面もあろうかと思うんですよね。ですから、まないたの鯉かもしれませんけれども、割り切って言えば変数的な扱いというか、そういうふうに考えると、ある程度意見というか、お考えをお示しいただいた方が議論が進むのかなというふうに私は思います。
 それとあと、先ほど政省令がずっと遅くなるということなんですけれども、恐らくそれを全部待ってやる必要があるかどうかという話だと思います。確かに全部決まらなければできないというのはそうかもしれませんけれども、大きなフローなりアーキテクチャーの話であればある程度は可能であると思いますし、それでたまたまここは民営化準備室ということで事務局をやっていますので、このシステムをつくるときにときどきあれですよね、システムの開発の進め方と制度をやっている人とか、そういうのがディスカッションしながらいろんな質問があって、それで非常にシステムの観点で質問があると、それが制度設計なんかでもすぐに役に立つということもありますし、逆に言うと制度設計の方がこうやって思っているという指示、非常にちょっと漠とした言い方かもしれませんけれども、それがシステムをつくるときに役に立つということもあると思いますので、そこはすべての政省令が決まらないとすべて動かないというよりかは、システムの話と制度設計というのは、同時並行的でインタラクションがある話ではないかなというふうに思いますので、そういう話をせっかくですから、こういう郵政民営化準備室ということで、一方で有識者会議というので制度設計、あと準備室の方でも制度設計をやりつつ、一方で準備室でこういうふうなシステムの検討会をやるということですから、そこは並行的に考えて、お互いに質問すればこれでわかってしまうかもしれないと。
 逆に言うと、システムをつくるときに必要な質問というのと、制度設計で政省令つくるときというのは似ているようでちょっと違うところもあると思いますので、そこは率直に公社さんがそういうふうに考えているということを言ってもらったら、実はこんな考えの制度設計ではないかといって、それで実はシステム上話が終わってしまうかもしれないので、そういう意味でここの準備室と公社で密接な連携というか、協力のもとにやっていくのがいいのかなというふうに私は思います。

○山下CIO 私どもも、民営化に向けて消極的なことを申し上げているのではありません。そうではなくて、私どもが責任を持ってシステムをつくるわけですから、間に合わないと私どもが責任を負わないといけない。そういった意味でのリスクということで申し上げているつもりです。前向きに積極的に協力していくつもりであるという点は全く同じです。
 先ほど公社として窓口会社の案を示せというご要望がありました。もちろん私どもとしてもいろんな検討はしております。しかしながら、それは有識者会議を中心に、準備室の方で法制化に向けてご検討をなさっているので、それ自体はむしろ準備室の方からこういうふうな制度設計になるんだというのを出していただくのが筋ではないかという趣旨で申し上げました。
 それから、もう1つ、並行して検討するというのは当然で、そうしないと絶対に間に合わないわけですから、もちろん我々としてはどんどん検討はしていくわけです。ただ、いずれにしても政省令が決まらないと、仕様凍結はできないので、仕様凍結をしないと調達に入れないわけですから、先ほど申し上げましたのは、政省令が決まって仕様凍結をして、それから1年3か月の間に調達から始まって一連の作業をやらなければいけないというご説明をいたしました。高橋さんのおっしゃるとおり、私どもはできるところからどんどん作業は進めていくつもりですが、仕様凍結はやっぱり政省令が固まらないとできないということになります。

○國領教授 なので、こういうときは余りできる、できないの綱引きをやるのは余り健全ではなく、恐らくちょっとかなり外部的な要因でもう決まってしまうという可能性も例えばありますよね。それで、そうなってしまったときというのは、それはやっぱり現場預かっていらっしゃるとやっぱりそれに対する対応なんかいろいろ考えられるんだと思うんですけれども、そのときに一体どの辺のことについて要求を出さないとできない、通らない、責任持てないものなのか。それは恐らくこんな暫定措置とってくれとか、こんなところやってくれとか、そういうような話にもなるでしょうし、リソースとして何が必要なのかという話にもなろうかと思いますし、それからもちろんリスクというのが一体何で、コンティンジェンシーが一体何なのかというようなことをちゃんとプランニングしなければだめというのが片側と、もう片側でもし延期ということを、分社化の方の延期ということがあるんだとすると、これはやはり延期することによっていかなるいいことがあるのかということについてよほど見せていかないと通らないという話になるだろうと思うので、その辺のところでちゃんと見せていく中で判断していただける中で、かつやっぱり実際動かし出したときに現場が大混乱にならないように、ちょっと預かっているシステムが半端なシステムではないので、その辺についてはちゃんとマネジメントしていくということだろうと思います。
 それから、先行きの話、どれぐらい未来の状態を考えるかという話も、これも確かにだから現実に移行させることを考えるとそんなことを考えていられないというのが片側であると思いますし、なのでそこは、では、だとするとどういうようなシステムの考え方になるのか。もう片側で、ちょっと私先ほど申し上げたとおり、民営化した会社の中にいた経験からいきますと、決定された瞬間にやっぱりみんな生き残りをかけて先のことに取り組み始めるようでないとだめですよね。なので、どんどん先取りしてやりたいという逆のモーメンタムが、ガーッて来るんだと思うんです。それを、多分当面は先ほどご指摘あったような外側につける、外付けのオープンシステムか何かで対応するというような話に多分なってくるんだろうと思うんですけれども、いずれはそれを統合するという話になってくる。この辺のやっぱりシナリオも描いておかないと、これもまた扱う金額が何十兆とか何百兆とかそういうシステムなので、ちょっと何かこう、新規事業何百億円かのやつに進出しましたという話とはちょっと違うような気がします。

○加藤座長 ほかにいかがでしょうか。

○天野CIO 非常に事務的なことを1つだけ。
 郵政さんでシステムを立ち上げられるときに、我々もそうですけれども、最終的な総合テストをします。そのタイミングというのは民間でいいますと、長期連休、少しお休みがとれるところにしか実はテストができませんでして、後ろが決まったら、例えば4月1日にカットオフだとすると、我々は12月か、私たちの会社ですと、12月か5月と、あと12月、8月、5月、この3回しか実はテストができません。民間側からいいますとそういう制約があるんですけれども、今回の場合ですと、いつでも、その辺はどのように考えればよろしいんでしょうか。後ろから線引きするときに、多分システム規模と開発のコストはちょっと別にして、テストのシナリオを書くときに非常に重要になると私思うので、少しお聞かせ願えたらと思うんですけれども。

○山下CIO それはおっしゃるとおりで、私どもまだ要するにシステムをどういうふうに変えるか自体もはっきりしていないのですが、私どもとしてテスト・移行には1年くらいは見なければいけないと考えております。例えば、郵貯の場合はシステムが止められるお正月に移行して、それに向けてテストをするとか、おっしゃるように非常に制限された形でしかできません。そういった意味で、テスト・移行には相当時間がかかるということを前提として、私どもとしては1年ぐらい見なければいけないのではないかなという。ただ、まだそこの具体的に、例えばこの連休に移行をするとかという、そういう段階ではまだないので、具体的な検討はしておりませんけれども。

○天野CIO そういうお話ではなくて、1年ずっとテストなのか、いやこのときに集中して必ず総合テストをしなければいけないか、どちらかを教えていただければそれで答えが出るんです。

○山下CIO 郵貯のサービスがございますので、一定の連休のところにまとめて移行をやらなければいけないということです。

○高橋参事官 連休というのはお正月ですか。

○山下CIO お正月に限らず一定の期間、どのぐらいの、テストや何かの規模にもよると思いますけれども。

○宮田教授 根本的なことなんですけれども、業務と経営を分割するということと、情報システムを分割するということが一対一対応しているようになっておらないんですけれども、なるおそれもありますね。そこら辺まず少し整備して、例えば情報整備を全く……全くではありませんけれども、限りなくゼロに近い変更で分割すると。それは幾つかあるはずですよね。その辺のところも可能性としてやっぱり考えておかないといけないと思うんですね。全くゼロからつくるというのがありましたけれども、全く逆はそのとおり今のまま動かすと。つまり経営は変わっていくかもしれないし、会計は変わるかもしれないですけれども、業務としては、サービスとしては基本的に同じだとすれば、流れも変わらないのも事実なんですね。同じように郵便があって貯金があって、一般顧客から見れば全く同じサービスが提供されているとすれば、もちろんそれは分割されて業務になった別の会社ではありますけれども、情報システムとしては現状の統合されたシステムのまま移行していくと、そういう例えば考え方もあるはずですね。その辺も議論の対象といいますか、検討の対象としていくべきではないかと思うんですね。
 もっとずっと易しい例ではありますけれども、JRが分割されても別に同じ列車、西日本の列車が東海を走って、列車の運行システム管理はこれは分割してしまったらできませんから、統合されたシステムのまま経営とかその問題だけ分割したわけですね。やっぱりこういうふうな考え方が郵政公社の場合にはできないんだろうか、これは1つの大きな切り口かもしれませんね。いかがでしょうか。

○満塩シニアマネージャ 1点だけ。今のに関連して、検討課題の方にも1個目に民営化のために必要なシステム対応ということで書かれてございますが、分社化はともかく置いておいて、民営化自身のスケジュールとしても2007年4月というのが難しいのかどうかというのがちょっと1つは切り口になっているかなと。要は、我々この2か月の間で多分、本当に民営化に必要なためのシステム要件というのを全部洗い出してそれを見ていくというのは正直言って多分この段階でできないと思うので、多分ここはもうある一定の判断をベースにと思っているんですが、こういったところちょっと、分社化はともかく置いておいて、最初の項目だけに関してのちょっと現状の、来週、次回、詳細なものが出てくるんでしょうが、ちょっとお聞かせいただければとは思います。いかがでしょうか。

○加藤座長 今の問題はやっぱり山下先生の方で今度出しますよね。

○山下CIO もちろんご説明をさせていただきます。ただ先ほどもちょっと申し上げましたけれども、3事業一体での民営化の場合にどういう対応が必要かということを今、ご質問はそういう趣旨だとすれば、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、例えば税制の面では固定資産税とか法人税とか印紙税とか、民間並みには納めていませんので、そういう納税の対応とか、それから預金保険機構へ入らなければいけないということで、それにもシステム対応が相当要ります。
 あと、大きいのは新旧勘定の分離で、貯金・保険については現在の既往の債務については分けて、資産、負債を分離して、公社承継法人と、それから新会社等に分けてやらなければいけませんので、それの対応が必要になります。
 それから、民間と同等な会計基準に基づく経理決算の導入ということで、これについては確かに公社化に向けて会計情報システムを構築したんですけれども、失敗というか、余り機能しないものができてしまいましたので、今再構築中でございます。そういう意味でいうと、システムはあるけれども、手作業の部分が引続きかなり多いという現状でございます。これを抜本的に変えていかなければいけないということ。あと仮に一体であるとしても将来の分社化を展望すると、カンパニー制というかどうかはともかくとして、4つの事業部門に分けるわけですので、窓口事業部門ができることに伴ってそれぞれの4つの事業の分計をしなければいけない。この5つが基本的に民営化を伴うマストではないかと思っております。
 それから、先ほど宮田先生の方からシステムを変えずにいろんな対応ができるのではないかというご提案がありました。私どもの場合は経営に対して責任があるわけでございます。政府から民営化の基本方針が出たわけでございまして、リスク遮断とかそういう議論もございますので、この基本方針を前提として通常のシステム開発としてやった場合には、これぐらいかかるのではないかということで計算をしています。先生方が、いや、これはこういうふうにしなくてもと、あるいは別に4社ごとに会計システムをつくらなくてもいいんだとか、窓口システム、窓口会社については業務システムは要らないとか、当面は要らないとかということであれば、それは中山さんの立場から見て認められるかどうかという観点はあると思いますけれども、そういう問題だと思います。私どもとしましては、基本方針を前提として普通に分社化して会計システムをつくるとか、業務システムをつくるとかいう前提でやっています。その前提をお示ししますので、ここまではいらないのではないかというご議論は当然あり得るし、それが中山さんの、会計監査人のお立場から見ても問題ないということであれば、そういう省略はできるということだと思います。

○宮田教授 だから前提ではもうちょっと明確にした方がいいですね。

○加藤座長 そうですね。

○宮田教授 前提条件であり、その考え方ですね。

○加藤座長 私なんか、非常にこの問題を単純に受けとめたものですから、要するに基本方針に従って民営化、分社化することは一応出ていると。それをやるということが必要なんだと、こう思っているんですけれども、ところが、いや、それは無理だよと、現状では間に合わない、とても2007年までにやることは無理ですよと。こういうことになっているから、それでは本当にそれができるのかできないのかということを検討しようというのが課題だろうと私は単純に思っているんですけれども、そういうことから考えますと、恐らく公社の方でもいろいろ考えておられて、それでこういうふうにすればこうなんですよ、この条件がなければこうですよと、そんなこといろいろお出しになるだろうと思うので、それを我々の方でも検討しながら本当にできるかできないかということを検討していけばいいのではないのかというのが、私がこの会の趣旨だろうと、こういうふうに理解をしてるんです。
 そんなわけですから、先ほどちょっと私はうっかり口が滑って金融なんていうことを言ったものだから、そんなのは関係ないよと言われましたけれども、そうなんです。別にそんなことを考える必要はないんですけれども、ただ何か今日本で考えられているときに、私はすべてがそうなんですけれども、こんなにもこの問題だけではなくて、道路公団のときもそうだし、それからいろんな構造改革の問題を考えるときに、何かそれだけできればいいよという感じでもってやっているんですけれども、本当はそうではなくて、それができたことによってどんなプラスが出るのか、どんなマイナスになるのかということをやっぱり明確にしなくてはいけないんだと思うんですよね。その辺がどうも議論がないままに来てしまうものだから、ついこういう会ができるとそっちまで考えたくなってしまうんですけれども、しかしそこまで考えるなということであれば考えずに、そこのところは遮断して中でもって中だけで考えてみたいと、こういうふうに思っておりますので、これから差し当たってはできないとおっしゃっている公社の方がどんな根拠でそれを言うのかということを出していただければ、我々としてはそれが正しいと考えるか、それともそうではないと考えるか、その辺のところはこれから議論すればいいわけですから。
 きょうはしたがって問題、いろんなところから指摘していただきましたので、その指摘していただいた問題をめぐって、これから我々としても次のときの公社から出す答えに大変期待をしておりまして、それをめぐって議論をすればいいのではないかと、こんなふうに思っておりますから、ぜひ今度よろしくお願いいたします。
 きょうは最初の会議でございましたので、どういうふうにこれから運営したらいいかということについて事務局の方の案があるかと思いますので、それを聞きまして、またご意見も申し上げながら進めさせていこうと思いますので、いかがでございましょうか。
 では、後ほどでは日程は、これはまたどういうふうになりますか。皆様方のご意見を伺いながら決めていくということになると思うんです。年内ですから、せいぜい私の頭の中でも年内というとあと2か月ぐらいしかないわけですから、せいぜいやったところで5、6回ですよね。ということなので、そこら辺できるのかなと思っています。そうしますと、やっぱりそこだけではちょっと無理だろうから、小委員会でもつくってそれを検討しなければならないということで、ワーキンググループのようなものをつくってやっていきたいと、こんなふうに考えるのが妥当ではないだろうかと、こう思いますね。したがってワーキングユニットみたいなものをつくりまして、それで事務局やあるいは郵政公社との連絡をとりながら弾力的にどういうふうに問題を突き詰めたらいいかということを進めていけば、時間内には何とか済むかなというような感じでございます。大変何か問題が大きくて、本当にできるかどうかわかりませんけれども、しかし次回の日程などにつきましては事務局から何かありましたらおっしゃってください。

○高橋参事官 事務的ですけれども、日程につきまして皆様から今後の予定をお伺い、事務的にさせていただいておりますけれども、それをもとに事務的に調整をさせていただきましてご連絡差し上げたいと思います。次回だけはちょっと具体的ですけれども、次回は皆様のご都合ということで、10月25日月曜日18時から、場所はちょっとまだわかりませんけれども、一応そこでやりたいというふうに思っております。

○加藤座長 夜ですね。

○高橋参事官 そうですね。なるべく午前中と思っていたんですけれども、ちょっと予定がなかなか都合がつかなくて、それ以降はこれは事務的にご連絡させてもらっていますけれども、大体2週間に1回ぐらいのペースで11月いっぱいぐらいまでというふうに思っております。
 また、今後の議題につきましては、座長のご指示を受けながら事務的にご連絡をさせていただきたいと思いますけれども、今のこの話ですと、次回は公社さんの方からプレゼンテーションがあるということなので、前広に資料をいただき、かつさらにここだけでは議論を尽くせないこともあるかもしれませんので、資料をいただいてそれをメンバーの方に配付させていただきながら、事前にちょっとお話を申し上げなければいけないという形になるかもしれませんので、そこをお含みおきください。なるべく早く資料の形でいただければ、我々の方からメーリングリストの形でメンバーの方に差し上げたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 以上でございます。

○加藤座長 間に合いますか。

○山下CIO 来週前半にはお配りできるように。

○加藤座長 2週間ぐらいしかありませんけれどもね。
 それではそういうことで、次回は25日ということでございますので、そのときは郵政公社の方の考え方をお示しいただいて、それを検討するということで進めていきたいと思います。
 また途中で皆様方からいろいろご意見がありましたらお出しをいただきまして、そしてさらに調査なども進めることができればと思っております。
 それでは、きょうはこれで終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。