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郵政民営化情報システム検討会議第5回会合 議事要旨

日時
平成16年11月30日(火) 
16:00~17:51
場所
中央合同庁舎第四号館(4階)
共用第二特別会議室

○加藤座長 それでは、今日もまたお忙しいところありがとうございました。定刻になりましたので、これより郵政民営化情報システム検討会議の第5回会合を開催いたします。
 前回の最後にお断りさせていただきましたとおり、今後のこの会議における検討の方向性を考えさせていただいたのですが、公社から大きなリスク要因としてご指摘のある金融制度との関係と、会計についての諸問題についてご議論いただく必要があるのではないかということが問題になってまいりました。そこで、ワーキングユニットを開催して、先生方にご相談申し上げたのでありますが、ご賛同いただきましたので、本日はこの2点についてご議論をいただこうと思います。
 具体的な議事進行でございますが、最初に、本日は金融庁の銀行代理店制度の見直しを担当されております三井信用制度参事官にご出席をいただいておりますので、銀行代理店制度の見直しについての検討状況などについてご説明をいただき、質疑応答などを行うのが最初の議題でございます。これを30分程度いたしまして、その後、お手元に会計等についての関連資料をご用意させていただきましたので、簡単にそれを事務局より紹介いたしまして、自由討議に移りたいと考えております。
 それでは、三井参事官、よろしくお願いします。

○三井参事官 三井でございます。よろしくお願いいたします。着席させていただいて、ご説明させてきます。
 横長の資料1、「銀行代理店制度 金融庁」という資料を1枚おめくりいただければと思います。今まで、銀行代理店というものはどういうもので、どうなっているのかということについてごく簡単に現状をご説明いたします。
 1ページ目でございますが、銀行の代理店とはということで、やや法律っぽい説明がしてあります。銀行の委任を受けて、当該銀行のために銀行の業務の全部または一部の代理をするものをいうということで、実際には、その代理店が個人のもの、法人のもの、金融機関のものと3種類ございます。これはやや法律の形式、法的な説明の面もありますが、現行の制度の立てつけがこのようになっているということでございます。
 まず、現在の銀行代理店制度につきましては、昔の銀行店舗の認可制、店舗行政、資金需給なりその銀行サービスに対する需給を勘案しまして、当局が裁量的に銀行の出店ないしその店舗の配置につきまして毎年認可をすると、こういういわゆる店舗行政というのが長らく行われてまいりました。それにつきまして、平成12年に金融システム改革の日本版ビックバンの一環といたしまして、認可制から届出制に変えると、こういうふうな業務の規制緩和の中で、銀行代理店制度がややおくれていろいろな規制緩和の要望があってきているわけでございますが、まず最初に、現状についてごく簡単に説明します。非常に全体としてはバランスの悪い制度になっていますことを、2ページ以下の過去の経緯を織りまぜながら説明させていただきます。
 大きく規制の柱を3つに着目しますと、まず出資規制、代理店に対してだれが所有者、オーナーであるかという規制でございまして、個人については当然のことながら出資規制はできませんのでやっていないと。片や法人については、銀行の100%出資子会社であるか、あるいは銀行の親会社である銀行持株会社の100%子会社、いわゆる100%兄弟会社でなければならないという、これはかなり厳しい規制がかかっています。金融機関が代理店になる場合、A銀行の代理店としてB銀行に窓口業務をやってもらうという場合には、出資規制は一切ございません、ゼロ%でもいいということでございます。
 それから、2番目と3番目は、これは業務範囲の制限でございますが、銀行代理店が銀行代理業務あるいは銀行の窓口の仲介業務以外の業務ができるかということでございまして、個人代理店、法人代理店については銀行の代理業務、仲介業務だけをやってくださいと、こういうことになっています。すなわち、専業義務、兼業の禁止ということになっています。片や金融機関につきましては、金融機関本体が銀行業務以外に付随業務あるいは法定他業と言いますが、証券、保険について一部の業務が解禁されておりますが、そういう銀行が銀行の本業以外の他業は銀行本体としてはできますけれども、そういったものについて、個人、法人代理店は専業義務がありますから兼営できませんけれども、金融機関の代理店というのは当然できるわけでございます。
 それから、代理業務の制限でございまして、これは銀行の業務の代理あるいは仲介窓口業務であるとしても、預金、貸し出し、為替、債務保証、手形の引き受け、金銭の収納等、保護預かり、両替の代理に限定されております。かつ金融機関の代理店については、証券会社が代理店となって行う銀行の代理業務については証券業務、それから、保険が代理店となって行う銀行の代理業務については貸し付けに限定しております。
 1枚めくっていただきまして、先ほど申しました銀行代理店制度にかかる規制改革の経緯につきまして、若干簡単に触れさせていただきます。
 最初に申したとおり、いわゆる店舗行政から金融の自由化、特に金融システム改革ビックバンということで、その店舗の認可制を廃止いたしまして届出制に変更いたしました。代理店も一種店舗戦略の一つでございますので、柔軟なものにするということで届出制にこの時点で変えさせていただきました。銀行法上は明文、法律の本文におきまして、代理店を例えば100%出資以外の会社にするとか、あるいはそのことを禁止するとか、あるいは銀行の代理店が銀行以外の業務を一切行ってはならないと、こういうふうな業務制限を法律本体では掲げておりません。法律上は、一種店舗に代理店を含むような考え方で届出の対象にし、その営業店舗での銀行業務が適正に行われるように適切な措置を銀行本体が講じなければならないと、こういうふうな規制があるのみでございまして、内閣府令におきまして、先ほど1ページにありましたような規制をしておるということでございます。
 その平成12年以降の推移でございますが、細かい話が非常にモザイク的に書いてありまして、大きな流れがつかみにくいかと存じますので、大きく言って、今、申し上げた3つの柱、出資規制ですね、それから兼業の話、それから業務範囲の中で、特に出資と業務範囲に大きく分けてご説明いたしますと、例えば、13年9月ですね、上から3つ目の箱でございますけれども、例えば業務内容を拡大したいであるとか、あるいは法人代理店で従たる事務所の設置というのがあります。これは、代理店を法人でやりまして、代理店の法人が支店をいっぱい持つ、したがって、その銀行本体の支店以外に銀行が窓口を委託している法人である代理店が支店をいっぱい持てるようにしてほしいであるとか、それからその下にある銀行による銀行代理店業務、これは、A銀行の窓口の代理業務をB銀行がやると、こういった要望がありました。
 その下にある14年3月29日、これは閣議決定された規制改革推進3か年計画でございますけれども、ちょっと読ませていただきますが、「法人が銀行の代理店になる際のいわゆる100%子会社規制及び専業規制について、顧客の利便性向上や銀行経営の効率を高める観点から、銀行がほかの銀行の代理店となる場合についてはこれを適用しないよう、所要の措置を講ずる」ということでございまして、少なくとも銀行が代理店になる場合には、業務を委託する側の銀行の子会社である必要はない、あるいは出資関係を一切要求しないでくれという要望にこたえるものをしておりまして、1枚めくっていただきまして、3ページでございます。
 14年4月1日、これは直前のものではなくて、以前の要望にこたえるものとして認可制から届出制に変えるとか、あるいは金融機関代理店の制度を創設するとか、あるいは代理店の支店の設置の解禁であるとか、代理業務の拡大をしました。
 それで、さらにまた14年9月には、その代理業務に対する規制を撤廃してくれ、その業務範囲についての規制を撤廃してほしいであるとか、あるいは法人代理店における100%出資規制を緩和してほしいであるとか、こういった要望が出されまして、15年3月の閣議決定では、保険会社であるとか他金融機関の代理業務について規制を緩和すると、こういうことを決めております。
 さらに15年9月については、また同じく法人代理店の100%出資規制の緩和であるとか代理業務の拡大といったものが、さらにまた要望がありまして、16年3月19日、これが直近のものでございますけれども、読ませていただきますと、「銀行代理店制度については、金融機関の健全性や決済システムに与える影響等の観点を踏まえつつ、資本関係規制等制度の見直しを行うこととし、平成16年度中に検討を行い、措置する」というふうになっております。
 それで、その以前の要望を受けて、あるいは閣議決定を受けて、今年の4月からは金融機関代理店の種類の範囲の拡大をしております。
 もう1枚めくっていただきまして、今、問題になっている銀行代理店につきまして、出資規制であるとか、業務範囲規制を大幅に緩和すべしということを決めた際の今年の3月の閣議決定についての該当部分を抜き刷りしてございます。実施予定時期としては、16年度中に措置をするということでございますので、これに素直にこたえるとすると、16年度中に開始される国会に法案を提出するんですから、次期通常国会に改正法案を提出するというのが素直な結論になります。
 今、申し上げたようなことを受けまして、部内でいろいろ勉強し始めたところでございます。例えば、今のこの閣議決定に至るに当たりまして、例えば銀行業界あるいは幅広く預金取扱金融機関からは、出資規制とか専業規制、これが非常に厳しいものですから、例えば機動的な代理店設置に妨げになっているであるとか、あるいは兼業禁止により多様な顧客ニーズへの十分な対応ができないということから、今の代理店制度というのは使い物にならない。したがって、極めて例も少ないということで、今後のビジネスモデルの展開あるいは営業戦略についても非常に不自由である、こういうふうな要望が出されておりました。
 そういったことを受けて当方で勉強いたしまして、今、考えているところでございますが、あるいはその業界の意見も聴取し、私どもとしても銀行業務の適正な遂行であるとか、あるいは決済システムの円滑かつ安定的な決済システムの維持といったことの観点とあわせ考慮して、どのような規制緩和がいいか検討しているところでございます。具体的に申しますと、例えば今100%でございますが、仮に中小の金融機関が3社で共同して代理店をつくるということになりますと、出資規制はそれだけで33%になってしまいます。さらに複数の会社であるとか、あるいはその関連する、隣接する金融関連の業界なり会社と共同して設立するということになれば、さらに実際の出資額は下がってくると、そういったニーズが現実にあるということを考えますと、出資規制を引き続き要求し続けるということがかなり障害になってくるのではないかということから、これを撤廃する可能性を探っております。
 片や現在の銀行代理店制度は、先ほど口頭でご説明いたしましたが、銀行法上、はっきりと第三者といいますか、出資関係のない全くの第三者に代理店をお願いしちゃいけないとか、あるいは代理店が全く他業をしてはいけないということが法律上定められておりません。内閣府令で規制していると。さらにその代理店に対して、直接の監督制度が銀行法上は定められておりません。現状は、銀行本体について、例えば問題のある行為があった場合には、業務改善命令等を講じることができますが、代理店自体に対して業務の是正を金融庁として命ずることはできませんし、代理店自身に対して極端に法令違反とか、顧客対応上問題のある行為があったからといって業務を停止することはできないという仕組みになっています。さらに個人代理店につきましては、個人でございまして出資関係がございませんから、ましてやまさに銀行との契約関係なり人的信頼関係によって業務の改善というものが銀行を通じて何かできるということが期待されている状況でございまして、代理店そのものに対して何らかのアクションが起こせるということにはなっていないということでございます。
 隣接の業種についての制度を見ますと、例えば今回、国会を通していただきました信託業法、今、信託銀行のやっている業務を信託銀行以外の業種にも開放するんですが、免許制でお客さんのお金を幅広く国民から預かって運用等をする事業で、銀行に似た重い責務を負っている業態でございますが、信託代理店制度というものを法律上、正面から位置づけております。これに対して、登録制という参入規制をかけまして、例えば利益相反取引であるとか、お客さんに対して非常に悪いことをするような法令違反があった場合には、一定の行政処分等ができるような制度を整備してございます。同様の制度は、最近導入されました証券仲介業におきましても整備されておりますし、昔から保険代理店制度というのがございますが、そういったものにも同様の規制がかかっております。
 そういうことを合わせ考慮いたしますと、現状、代理店そのものに対して適切な監督が十分にできているかどうか、あるいはでき得る担保としての制度が法制上あるかどうかということを加味いたしまして、そういった代理店に対する適切な業務遂行を確保するための一定の監督上の措置を法律上位置づけまして、そうすることによりまして業務の適切な遂行をしっかり確保していただくということをしつつ、片や出資規制であるとか、あるいは兼業を一切認めないと、こういうかなり硬直的な規制については撤廃する方向で検討できるのではないかというふうに考えている次第でございますが、いずれにいたしましても、まだこの時期十分に関係当局なり関係業界との意見交換も途上でございますし、また法制でございますので、法制局初めとする関係省庁にもご相談しながら、今後、よく議論し検討してまいりたいと、こういうふうに思っている次第でございます。
 簡単でございますけれども、説明は以上にさせていただきます。

○加藤座長 大変ありがとうございました。
 それでは、どうぞ皆様方、ご意見がありましたら、あるいはご質問などございましたら。
 國領さん。

○國領教授 すみません、じゃあ口火を切るということナ。
 全く素朴な質問で恐縮ですけれども、この話がやっぱり話題になっているのは、窓口ネットワーク会社と貯金会社との関係ということになるわけですよね。そうすると、少なくとも今の想定だと2007年時点というのは100%子会社同士という水平的な関係になるわけ─親子ではなく兄弟みたいな感じと理解するわけですよね、多分。とすると、要するに同一持株会社の下の兄弟会社で全部100%資本関係ということかと思うんですが、これは何かそういうことを想定された仕組みになっているんでしょうか。

○三井参事官 銀行代理店制度の規制見直しは、今後数年来というかもう少し長いスパンで、預金取扱金融機関全体という意味での金融界からのさまざまな規制緩和要望と、それから当局として描いている金融ビックバンであるとか金融システム改革と、こういったものの観点から検討してきておりまして、代理店制度というものについてもそういった構えの大きな中で規制改革が必要であるというふうに考えてやってきているものでございます。したがいまして、これまでの大きな流れがピンポイントでこの郵政民営化の具体的なスキームを念頭に置いているわけではございません。
 そういうことで、それを前提にいたしまして現状の代理店制度、100%子会社でありかつ100%兄弟会社は現に銀行代理店になれるわけでございますので、その意味では現状でもそういう100%出資関係でつながっているものというのは代理店として存在しますし、現状でもできるということでございますが、民営化の話はさておき、100%の資本関係はつながっているということが銀行代理店たりうる最低の条件であるべきなのかどうかということからしてみると、先ほど申しましたように、それはちょっとやや時代おくれかなということを考えておりまして、その金融機関の要望もそれはそれとして金融システム改革の中で取り込んでいける、むしろ規制緩和して取り込んでいける。かつ1%とか3%とかを要求するのも意味がない話でございますので、そこは法律上しっかりした監督をする、あるいはコード・オブ・コンタクトをきちんと定めるという中で出資規制は撤廃すると、こういうふうなことを考えています。それがまた100%子会社、兄弟会社である2007年時点の郵政会社がどう入るかということとは、直接我々はそれをピンポイントで考えているわけではないんですが、含まれ得る可能性はあるのではないか、含まれ得るというのは、今のような規制緩和をした場合に、あるいは規制緩和をしてもしなくても100%出資兄弟会社が銀行代理店ができないということではないと思うんです。

○國領教授 質問の趣旨は、どちらかというとこれは不確実性要因ですかという質問の趣旨だったわけで、今いただいたお答えは、そうではありませんというふうに聞こえました。

○高橋参事官 ちょっと確認なんですけれども、今の代理店規制ですと100%の出資関係というのが制度の対象になっていて、ただ一方で専業義務というのがありますね。ですから多分、今のままですと、専業義務というところがちょっと不確定要因になり得るということだと思うんですけれども、さっきのお話ですと出資関係の規制と専業義務というのは、この規制緩和の流れの中でだんだんなくなる方向だということですから、その意味でのリスクは少ないという理解でよろしいんでしょうか。

○三井参事官 ご指摘のとおりでございます。

○加藤座長 はい、どうぞ。

○満塩シニアマネージャ 今、出てきました専業義務であるとか代理業務のところの業という言葉のところなんですけれども、業というところにシステムの物理的な分離、分割みたいなところまで含めて求めるということをビジネスモデルとして求めている、このレベルの話としては見えないと思うんですが、そういったニュアンスで私なんかはとらえていないんですが、その辺はいかがでしょうか。

○三井参事官 まず、システムについては、当然決済システムを担っておりますので、我々としては関心があるわけでございます。ただし、それはあくまで長い決済システムの連鎖の中で、中核的な決済システムは、あくまで銀行がお客さんとの窓口を代理店とか仲介業者に委託したとしても、銀行間の中核的な決済は、例えば銀行間の手形交換であるとか日銀のシステムを通じて行われるわけでございまして、その末端に窓口があるということで、その末端が中核的なシステムに悪影響を与えないように適正に業務が遂行されているかという意味において、私どもは関心を持っています。
 したがって、先ほど申しました法制度上代理店を正面から位置づけるといたしまして、そこは、例えば適正な業務遂行能力があるかどうかということを仮に登録なり許可なりでチェックをすると、あるいは日ごろの監督業務の中でチェックするという場合に、例えば人的構成とか財産的基礎というのが各法制でよく用いられておりますが、それに加えてA例えばシステム面、これは今、銀行業務全体で重要なものがありますが、それが適正にきちんと動いているかということについてはチェックしていきたいというふうに思っております。それが分離かどうかということよりも、きちんと決済が行われるということに関心があるわけでございます。

○加藤座長 ほかにございませんでしょうか。
 それでは、三井参事官、大変お忙しいところありがとうございました。有益な指摘をいただきました。どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、そのほかの配付資料につきまして、事務局から説明をお願いしたいと思います。
 どうぞ。

○高橋参事官 それでは、事務局より説明をさせていただきます。
 まず、資料2、これは第7回ワーキングユニットの模様でございまして、11月25日に開催されましたものです。冒頭、座長よりご紹介がありましたとおりでございまして、座長のご紹介に尽きておるわけで、このワーキングユニットの議論の結果、先ほどまで金融庁の三井参事かから、それに関係する制度、要するに銀行代理店制度についてのご紹介をいただいたところでございますし、その後、ご紹介するとおり、会計に関する諸問題をご議論いただきたいということでございます。
 続きまして、資料が今日はたくさんあるんですけれども、資料3、横長のものですが、こちらは第5回のワーキングユニットにおきまして、中山先生からご提案をいただきました窓口、郵便局における4事業の収支管理手法についての資料でございます。既に先生方にはご案内の資料でございますが、今回は会計についてご議論をいただくということで、ご参考までに配付させていただきました。説明は省略いたします。
 続きまして、資料4でございます。これは、先ほどご覧いただきましたワーキングユニットでのご意見を受けまして、事務局において作成させていただきました。まだ未定稿の資料でございますけれども、公社のご指摘の点につきまして関係法令を整理させていただいたペーパーでございます。
 まず、公社のご説明によりますと、2007年4月までに対応不可能な事項といたしまして、大きく言えば四半期決算、月次決算、銀行法、保険業法対応及び連結決算が挙げられておりました。これにつきまして法令等の適用関係を見ますと、まず四半期決算でございますけれども、これは単体の方の上から3番目の欄でございますが、証券取引所規則による上場会社に対する義務づけでございますので、仮に2007年4月上場でないということであれば、これは2007年4月の段階では適用を受けないということでございます。
 次に、月次決算。月次決算は一番下でございますけれども、月次決算といたしましては、日計表の提出が求められているわけでございますが、これはここに書いてございますとおり、総合的な監督指針というガイドラインに基づくものでありまして、法令に基づくものではございません。ですから、法令により特例というのは今のところは必要がないのではないかというふうに存じます。それとあと銀行法、保険業法対応としましては、これらの作成義務、期限、そのもの以外に勘定科目がどうなるか等について検討課題があるかと存じますが、これらにつきましては、今後、制度設計において主要な検討がなされるものと考えております。
 最後に連結決算でございますが、次のページをご覧いただきますれば、これは単体と連結で書いておりますけれども、商法会計といたしましては、年次決算につきまして商法特例法による義務づけの対象となるかと存じますが、記載のとおり経過措置となっておりまして、有価証券報告書提出会社に該当しない場合は、当分の間適用除外となっているところでございます。銀行法、保険業法に求められる連結決算につきましては、施行規則により年次決算、中間決算ともにこの真ん中あたりに書いてありますけれども、3カ月以内の提出が求められております。これは銀行法施行規則34条の24というところに四角で囲ってあると思いますけれども、求められておりますが、記載のとおり、その下に監督官庁の承認による提出期限の延長が認められております。その3項を読みますと、やむを得ない事由により提出できない場合には、あらかじめ承認を受けて提出を延長することができるという規定がございます。
 なお、資料では、持株会社規制のみをご紹介させていただいておりますけれども、銀行及び保険会社にも同様な規定がございますので、郵便貯金会社、郵便保険会社が仮に子会社を有する場合であっても同様な対応が想定されるということでございます。
 次に、資料5でございます。これは簡単に、もしちょっと不正確でしたら中山先生あたりに後で補足をしていただければ幸いでございますけれども、これは、本日の議題が議論の取りまとめに向けた検討ということでございますが、これまでご紹介いたしました会v等に関する資料とは性質が若干ことなりますが、前回、会合に提出いただきました主な意見につきまして、若干リスク評価の各論をまとめ方を大括りなものにいたしまして、さらに前回会合でいただいた意見などを盛り込んで再編集させていただきましたので、配付しております。
 最後に資料6、これは前回会合におきまして、山下オブザーバーの方から、2007年4月までの対応に公社が必要と考える事項について口頭でご発言がございましたが、それを紙ベースでご提出いただきましたので配付させていただきました。
 事務局からは以上でございます。

○加藤座長 ありがとうございました。
 それでは、今、事務局から公社が作成した資料の紹介を含めまして、前回、ご説明のあったものでありますから、ここでは説明は省略させていただきますが、何か補足がございましたらどうぞ。
 よろしゅうございますか。

○山下CIO はい。

○加藤座長 それでは、皆様方からご質問とご意見をお願いいたします。
 はい、どうぞ、宮田さん。

○宮田教授 この資料6は、前回議論した内容ですね、ほとんど。

○高橋参事官 そうです。資料6は、前回、基本的には山下オブザーバーが口頭で発言していた資料を紙ベースにしたものです。

○宮田教授 紙になったということですか。

○高橋参事官 ええ。ちょっと前回、聞き取りづらかった点もありましたので、ちょっと紙ベースで確認をさせていただいたということです。

○宮田教授 そうですか。多少違っている気もしますけれども、これはもう一度これに対して議論するべきなんでしょうか。

○加藤座長 結構です、どうぞ。

○宮田教授 前回もお話ししましたが、まず4万2,000人月というのが、既にこのうち1万7,000人月は2007年4月に対応可能なように作業を進めている部分ですね。ですから、引き算いたしますと、新規に対応しなきゃいけないのは2万5,000人月ですか。これは事実関係の確認です。
 それから、2005年6月末までに確定してから作業が始まるというような表現がずっと出ているんですけれども、私は民間ではないんですが、私はほとんど半分民間みたいな仕事をやっていますので民間的なセンスなんですけれども、こういうふうな仕事のスタートの仕方というのは民間的じゃないなという気がいたします。つまり民営化というものがもう決まっているという前提であれば作業は今すぐに始めるべきだし、会計的なものであれば明らかに見直さなくちゃいけない、本当に今始めるべきではないかと思いますので、確定されてから仕事を始めるというような発想自身が民間的じゃないなという気がいたします。先に発生しそうなリスクは早めに作業を始めて取り除くというのが一般的な考え方だろうと思います。
 それから、(4)ですか、一番最後のところはこの前の発言とはちょっと違って、「情報システム検討会議の先生方を中心とする」と書いてありまして、これはびっくりしたんですけれども、やはり情報システムの話と全体の会社の経営とは切り離せない問題ですから、この部分だけを切り離して何らかの機関でサポートするというのは余り現実的ではないだろうと思うんですね。前回、私は意見申し上げたんですけれども、やはり経営諮問会議もしくは経営者そのものがまとめて情報システムも一緒にやらないとうまくできないんだろうと思うんですね。
 以上でございます。

○加藤座長 山下さん、どうぞ。

○山下CIO まず、2005年6月までに、要件を確定するという言い方はどうかというご指摘でございますけれども、これは私ども第2回の検討会議でご説明しましたように、もちろんシステム開発に向けての準備は今からずっとしていくわけですけれども、どこかでシステム開発に入らなきゃいけないわけですから、やはり業務要件をどこかで固めるということが前提になります。それは、私どもはもともと来年12月末までに政省令が決まった段階で業務要件を凍結して、それから3年間のスケジュール想定を行っていったわけでございます。
 これに対しまして、先生方から、開発着手の時期をもっと早めるべきである、そのためには、公社が必要と考える業務要件を準備室に提示して早く固めてもらえばいいんじゃないかと、そういうアドバイスをいただきました。そういうことで、暫定対応のスケジュールを考えるに当たりまして、2ページのところにございますように、公社としては先生方のアドバイスに従いまして、公社として確定が必要な業務要件の詳細なリストをできるだけ早くつくって、法律との関係もありますので来年3月までには取りまとめて準備室にお出しして、準備室では関係省庁と協力して政省令とか省庁ガイドライン等、システム開発に必要な業務要件について必要な手当を私どもに6月末までに教えていただくと。それで基本的に仕様凍結をしてから21カ月間の開発期間をとることェできる。私どもとしましては、やはり最低限の開発期間として21カ月間、これでもテスト期間も非常に短いですし、非常にタイトだということなんですが、少なくとも21カ月間はこれでとれるということです。私どもとして、必要な業務要件のリストをお出しして早めに決めていただき、それでもって早く開発にスタートするという趣旨でございまして、そういう意味でご理解をいただけるんじゃないかというふうに思っているんですが。
 それから、2つ目の点の先生方に第三者機関として監視していただくということでございますけれども、これは前回申し上げましたように、私どもとしては、仮にこの21カ月間というところで、郵貯のシステムを含むミッションクリティカルなシステムについて開発するわけです。それがテストをしたときにうまく回らないと、テスト期間が3カ月しかありません。1回しかできませんので、そうするとそれでスタートしていいのかどうか。経営者としてはスタートできないという判断はしていても、法律ではいかなきゃいけないということになります。そういう意味でセーフガードみたいなものが求められると考えます。それからここにお示しした条件がきちっと来年の6月までに決めていただけるのかとか、やはり今度の場合には非常にタイトな時間制約の中で重要な国民生活のインフラにかかわるシステムを構築するわけですから、それぞれ関係者が最大限努力しないとできないということでございます。その意味で、私どもは当然一生懸命やりますし、それから準備室の方にも一生懸命やっていただくわけですが、そういう条件がきちっと遵守されているかどうか、両方がきちっとやっているかどうかというのを先生方に監視していただく。特にこのシステムの前提条件は、法律で決まるわけですから、経営者の判断でやめるかやめないかということはできないわけです。従って、そこのセーフガードは第三者機関できちっと見ていただき、これは公社がうまくやらなかったからこうなったので、責任はきちっと追及しつつ、システムの稼動は延ばす。あるいは政府の省令の決定が遅れたからこう見直すとか、そういういわば公的な枠組みをつくっていただかないと、我々だけでシステムのゴーサインを判断できる仕組みではないですし、もともと極めてタイト開発期間だということで、こういうセーフガードがやはり必要だというふうに私どもは考えている次第でございます。

○間瀬執行役員 一番最初のご指摘なんですけれども、4万2,000人月に対して1万7,000人月が既に作業に入っているんじゃないかというご指摘でございますが、この4万2,000人月は暫定システムで必要となる開発量を基に算定した人数でございまして、現在、1万7,000人月が既に契約して作業に入っているというものではございません。
 特に今回のシステムの特徴は、あくまでも現在の公社の仕組みの中で作業をやっていかなきゃいけないものというよりは、今、準備室の方で鋭意進めていただいております制度設計が変わることによっての開発量が多いわけですので、そこのところが固まってきた上で作業に着手するのが一番いいと考えております。ただ、先生方からもご指摘のとおり、民間になることによって民間と公社の何が違うのかということに対しては、現在、私どもの方でどう変わるんだろうということで、まだ実際の民営分社化の制度設計が決まっていないんですが、民間会社と公社の違いについて勉強しながら、どれぐらいの作業が必要になるかということ、それからどういうことをやらなきゃいけないかということについては、鋭意担当の方で取り組んでいるところでございます。

○加藤座長 どうぞ。

○満塩シニアマネージャ 特に今、期間のお話が出ましたので、若干少し流れ的に変わるかもしれませんが、外観的なところでお話しすると、過去の例とかを見ると、私もちょっとインターネットから若干資料等を引いて、例えばりそな銀行とか埼玉りそなというところの分割の話がありました。ここでも日経コンピュータ等、やはり偉業とはたたえられてはいるんですが、やはり実際見ていますと、2002年3月に基本方針をまとめた形で、その後2003年3月に分割と、約1年でやっております。あとちょっと古目の話ですが大和証券グループが、これも彼らのホームページの方から見ていたんですが、持株会社制度への移行決定が98年になされて、99年にはもうその体制をつくっていると。外観だけのお話なので、システム的に本当にどうなったかというのは若干見えないところなんですが、そこは調整されていると思われます。そういった外観上のところからも、私もシステムの方のお話をして、情報システムの観点から外観的に全く2年以上かかりますと言うのは、正直言ってつらいところがございます。
 そういう意味では、りそなのお話がちょっといろいろ書かれているので、ちょっと見ているところによりますと、先ほどちょっとお話を金融庁の方にも聞きましたが、物理的な分割という単純なお話ではなくて論理的な分割であるとか、そういったところもあって、先ほども言葉として出ていましたように、きっちりと決算できるかというところがポイントであって、情報システム自身の専業性とかそういったところを直接的に問うているわけではないというお話だったと理解していますので、そういった観点からも、今までのご説明の中でそのまま即私の方として全部理解できるかと言われると、ちょっとつらいところがございます、というのが意見です。

○加藤座長 先に山下さんから。

○山下CIO ただいまのお話ですけれども、例えば大和証券の場合は、私もヒアリングしましたけれども、基本的にはシステムをコピーして使っているわけですね、同じ証券会社のシステムですから。もちろん業態はリテールとインベストバンキングで違うわけですけれども、むだにはなるんだけれども、急ぐためにコピーをしてやったということでございます。あるいはりそな銀行も、同じ銀行の分社化ですから、それは比較的簡単だと思うんですね。
 ただ、今回の場合の問題は、要するに窓口会社という新しい会社をつくって、しかも4つの異業種ですよね、それを分けていくということでございます、それが一つ。それから何度も申し上げておりますけれども、我々はまだ基本的には官の仕組みのままであるのを、民営化するということです。大和証券さんもりそなさんも、もともとのシステムが既に商法も民間会社としての対応も全部できるような仕組みになっているうえでの分社化です。我々は前回も詳しくご説明させていただいたように、民になるところがものすごく大変でございまして、そういった意味でなかなかパラレルに比較はできないというふうに私は思います。
 私どもはやりたくないとか、決してそういうことを言っているんじゃなくて、私どもとしては政府の基本方針に沿って、この資料の一番最初にも書いてありますように、極力早期にやりたい。我々だっていつまでも手足を縛られた経営でこれだけの大きな環境変化に対応していくのは困難ですので早く民営化した方がいい。それは私どもも本当にそう思っているんです。ただそうはいっても、やはり時間の制約、タイミングの問題がありまですので、その間にこれだけの大きな作業をしなければいけないので、そのリスクをちゃんとコントロールできる範囲内に抑えなければならない。ですからそういう意味では、こういうセーフガードをつけていただければ、そういった意味では何とかやれるかもしれないということを申し上げているわけであります。決してもともとやれないと言っているわけではなく、我々としてはもちろんきちっとした形で早期にやりたい。ただ、これだけのリスクがあるので、これをどうやってカバーできるかという検討をお願いしているので、それは大和証券さんとかりそなさんとは全然スケールも、また質も違う話だと思います。その点はぜひご理解をいただきたいと思います。

○加藤座長 天野さん、どうぞ。

○天野CIO 早く民営化したいというご意見だそうで、僕の方から1つお願いというか教えていただきたいのは、そのためにあるガイドラインをつけてほしい、それを2005年の6月までに仕様凍結してほしい、とのことですが、逆に私が民間の立場で言うと、もともとのシステムがあって、あるアロワンスの中で話をするんだと思うんです。仕様が100のうちの例えば80ぐらい決まれば、データベースの設計に特に支障がなければ変更があるだろうと。逆に言うと、2年なり3年なり、今だと2009年7月とおっしゃっている文面もありますので、そうするとそんなに長い間の環境変化に耐えられるような仕様が今出ますか。逆に言うと、仕様はある程度決まった段階でフレキシブルに考えた方が、かえって公社さんの民営化が促進できるんじゃないかというような感じは私は思います。逆に言うと、じゃあ、どこのところは変えていただくと今の公社さんがお持ちのシステムから困るという話は、今、多分検討されていると思うんですけれども、そういうお話をされた方が早く仕様凍結ができるんじゃないかという感じも私はします。

○間瀬執行役員 システムをつくる上で、今、天野先生が言われたように、必ずしも100点満点で仕様を固めていくということは普通あり得ないと思っています。それはそのとおりだと思いますし、やはり80%ぐらいで固まったところでスタートしていくというやり方になると思います。
 私どもの方から、こうしてほしい、ああしてほしいというのを出した方が良いのではないかというお話があるんですが、まだ具体的に何がどうなっているのかよくわからないのが現状です。我々は基本方針しか読んでいなくて、そこのところからいろいろ作業を見積もっておりますので、固まってきたところでスタートしていく、システム屋が言う意見ではないと思いますけれども、そういう対応にな驍カゃないかなというふうに感じております。

○山下CIO 多分、天野さんが言っておられるのと我々と状況が違うのは、やはりトヨタさんの場合には自分の経営判断で、要するに自分の考えたことが自由にできるんだろうと思うんです。私どもは政府がお決めになった基本方針に基づいて今、制度設計が行われ、法律が決まり、政省令が決まり、そういう枠組みの中でシステムをつくるわけですね。その前提としては、民営化でございますから、この間もご報告しましたように、私どもの業務フローは全然それに対応できない。今、一生懸命その業務をどういうふうに見直すかというところを作業しているわけでございまして、それ自体もすごく時間がかかる。それから法律もどういう枠組みになるかもこれから決まっていくわけでございまして、その点はやはり民間と多少違うところです。もちろん、だから100%この6月末で固めるまで全部動けないと言っているつもりはないんですが、基本的には21カ月の間に、これだけの大きなプロジェクトですから、できるだけ手戻りのないような形でやらないと間に合わなくなるわけでございます。我々としては、たしか宮田先生と國領先生からアドバイスをいただいたような気がしますけれども、ともかく公社として政府に対し早く決めてもらうことを言って、それを決めてもらって早くとっかかればいいじゃないかということで、そういうことであれば、従来であれば15カ月間しかとれないところを21カ月とれる。法律とか決まらない前であったとしても、これはこういうふうになるよということを言っていただければ、我々としてシステムの開発にかかれるわけです。そこで我々としては21カ月の期間で、そうするとテスト期間も3カ月とれることになります。そういうやり方が、これだけのプロジェクトをやるためにはやはりどうしても必要だということが、ここに書かせていただいたセーフガードの意味でございます。

○中山委員長 先日の口頭だけの山下さんからの説明から、今回、2ページの下にあるように、来年3月までに公社さんの方でいろいろな調整リスト、ご希望の方をまとめて、この分だけ要は作業は前倒しになってくるというのは、前回の資料、お話等から比べればちょっと前進というか、期間が延びてきているという面で、我々としてはこの辺はよかったのかなと思うんですが、例えば、何回か前のワーキングユニットで私の方でお話しさせていただいた、要はお金の流れがどんぶり的になっていて、一番問題になっていると。何のお金か、郵便なのか貯金なのか保険なのか、要はさらに詳細レベルなところがよくわからないところが最大の問題ですということで、日計表を例にとってご説明いただいたんですけれども、例えばそこを変えるということでしたら、システムとしては例えば2007年4月から完全に詳細なシステムとして日次集計を全部管理するシステムを立ち上げるわけですけれども、その前例として紙ベースでもあの部分に関してもっと詳細に、要はどんぶりになっている部分を分離したような形での日計表、例えば来年4月から1年間紙で運用させていくと。慣れたところでシステムに入れかえるというようなことをするのであればもう少しスムーズな、先ほど山下さんもおっしゃっていた官から民への移行部分というんですか、ならし部分というんですか、紙でのならし部分というのが半年なり1年なり、1年間ずっとやるのが難しいのであれば、とりあえず4月からもうちょっと詳しくして、さらに10月から本当にシステムを入れるようなやり方で、詳しいレベルでの日計表にしていくとか、そういった手作業部分での業務のやり方を2007年4月に一気に変えるのではなくて、それ以前に少しずつ変えていって、その結果、うまくシステムに慣れていただくというようなことも考えられるのではないかと思うんですが、これはちょっとシステムだけのお話じゃないので、山下さんとか間瀬さんだけでお答えできる部分ではないとは思うんですけれども、そういう進め方がこの間の日計表とかを拝見すると、今すぐ変えてもいいんじゃないのかなと思われる部分もありましたので、それはもっと前倒しの中に入れられる要素というのが、例えばの例ですがありましたので、実はもっと調べるともっとほかにもいろいろな業務の中でああいったものがあるのかなと思うんですが、その辺もちょっと洗い出していただいて、ここで言うような来年3月までの取りまとめ、準備室へ提出する資料、あるいは公社さん自身での業務フローの改良というところに充てていただけると、もうちょっとこの開発のところの負荷が減ってくるのではないかという気がするんですが、いかがでしょうか。

○山下CIO その点はおっしゃるとおりだと思います。私ども特に業務フローのところについては早急にやっていかなきゃいけないということで、プロジェクトチームを立ち上げまして、できるだけおっしゃるような形で段階的に進められるようにオたいと考え、今、検討を進めているところでございます。
 ただ、この間も申し上げましたように、2万4,000の郵便局で業務をやっており、実際端末にたたいているのは8万人ということで、そういう中で、要はマスを相手にそういう訓練をやっていく必要があります。事務フローは大きく変わるわけですから、混乱を避けながらやっていく必要がありますので、そういうのも含めながら検討していきたいと思っております。

○中山委員長 2万4,000局、8万人、非常にこれは膨大な人数というのは我々もよく承知しておりまして、多分一斉にこれを切りかえたら当然大変だし、例えば端末を全部一斉に変えるとすると相当な訓練期間が必要だというのは承知しています。
 ただ、例えば今の業務フローの改善、例えば先ほど言った日計表の改良という面で言えば、例えば全部の拠点を一斉にやる必要もないのかなと。例えば、はそこの部分が出てくる拠点というのは、例えば地方の特定機関は余りなく、逆に都内のある基幹的な局が多いのであれば、そこの方々だけまず最初に慣れていただくと。そこで何かうまくいかない部分があったらもうちょっと改善していくということで、その結果をもっと小規模な局あるいは特定局に展開していくという形のやり方もあるのかなと。というのは、今のまとまった状態ですから、細かいやり方を少数のところでテスト的にやって、その結果をまとめてまた処理しても構わないと思いますので、そういう形でちょっと段階的にやることでも、一遍に2万4,000局、8万人に慣れていただくよりは、それに早く慣れるのに必要な部分から早目に手をつけていくということでも、もう少しその訓練期間というのは前倒しあるいは短縮されるのではないかと思うんですが。

○山下CIO その点は参考にさせていただきます。ありがとうございました。

○満塩シニアマネージャ 今日、私は大分違う切り方の話になって、ちょっとご助言という形になるかと思いますが、先ほどから2005年6月末までに業務フローが決まらないと、というお話があるんですが、私がお話させていただきたいのは、今、私自身が環境省のCIO補佐官としてやっている話でございます。私以外にも20数名、各省にCIO補佐官をやってございます。
 その中でやっている、一言で言うと業務システム最適化計画という計画を策定しているんですが、その中でのお話をちょっとしておくと、その中で一番最重要に掲げておりますのが、業務自身の見直しです。業務自身の見直しということになりますと、政省令が係わってきます。政省令が関わる中でどういうふうに業務を見直すか、承認行為を減らすだとか、そういったことまで踏み込んでやる、というふうなスタンスでやっております。
 今、各省の方で、そういった形で業務のところまで含めて政省令の改正もお願いしながら、─もちろんそれがすぐできる、できない、レベルによってもちろん即対応できる、できないというのはございますが、そういったところで各行政官の方に振り込んでいただいて、業務の見直しというのをやっていただいています。その上にというかその下にというか、それをベースに今度はシステムをどう監視をしていくかというお話をしているところです。ですからそういった意味では、まさに逆に郵政公社さんとしても一歩そこまで踏み込んで、2005年6月末を待たずに、それこそご自分たちの業務としてどういうふうにやるんだというところを、それこそ法律上、変えられるか変えられないかといろいろありますが、踏み込んで業務の見直しをされた方がよろしいのかなというふうに思っています。ちょっと意識的なものかもしれませんが、そういったところで各省行政官を取り込んでいる状態ですので、逆にそこのあたりをご理解いただいた上で進めていただいた方がいいかなというふうに思います。

○山下CIO それはおっしゃるとおりだと思います。私どもの場合は、今度は民間会社がベンチマークになりますし、民間会社の中でも銀行がベンチマークになりますので、そういう意味で言うと、多分、環境省さんよりずっとそういうハードルが高いというか、目指すところがはっきりしています。そこに向けて私どもとしては、この間もご説明しましたが非常に大きなギャップがありますので、それを全社的なプロジェクトでつぶしていこうということでございます。ただ、やはりこの間も申し上げましたように、大組織であり、かなり長い間定着した業務フローですので、そういった意味で時間がかかるわけでして、例えば1カ月で何とかなるとか、そういうレベルの話ではありません。今、総裁の命で役員レベルでのプロジェクトチームをつくって全社的な取組みを進めている段階でございます。

○加藤座長 はい、どうぞ。

○國領教授 検討会の今の局面ということで考えたいんですけれども、やっぱりもともといただいたミッションというのが、2007年4月に分社化まで可能ですかというものなので、イエスかノーかだけ答えればいいという。その報告書を書く、そろそろ年内ということだと、いろいろいただいて勉強させていただいた資料のどの部分は入れて、どの部分は我々独自のものでやるか。その中で、郵政公社さんのどの部分について我々の意見として書かせていただくかという、そういう局面になっているんだろうと思うんです。そのときに参考にさせていただくところで、やっぱりおそらく焦点になってしまうのが2005年6月というところでありまして、ちょっと正直に言うと、このままの作文だとすごく手続論のところでほかのいろいろなものが引っ張られてしまうので、ちょっとこの作文はできないなというふうには思うんです。それはちょっと置いておいて、とりあえず何か、少なくてもコンセンサスがあるような気がしますのが、やっぱり2007年4月に実現するためには何らかの暫定的なシステムで立ち上げないとだめなんだろうなと。それをやる場合には、幾つかの対応をしておかないといけないだろうなということだろうと思うんです。
 公社内というよりは、もはや新会社内でできる業務の詰めの話と、新会社外、つまり政省令とかで決めなければいけないものがあるということだと思います。新会社内でやれるものについてはどうぞやってくださいということで、我々は知りませんということだろうと思うんですね。次のところがポイントだと思うんですけれども、じゃあ会社だけではできないものというのがやっぱりあるでしょうという論点だったのが、例えば今日の資料4とかを背景にすると、ほとんどないじゃないですかと言われちゃっているところだと思うんですね。なので、それでもここのところだけをやってもらわなきゃ困るというふうなこと、例えば「詳細な業務リストを3月までに提出していただき」というふうに書いてあるんですけれども、それってほとんどないんですよね。少なくとも公社外でというふうに表現されているものについては余りないんじゃないかというふうに言われちゃっているような気がしまして、片側で私、やはり本当に中で詰めれて頑張ればいいものだったら今すぐにでもどんどんやっていただいて、中のものってそれこそ民間会社だと思うんですね。もう片側で、やっぱり外側の要因によって振り回されるものについてきちんと固めないと本当にリスクになってしまって、それがすごく甚大な影響を与えかねないというところについては、私はシンパシーを感じているというところなんですが、これまでの議論の結果、それでもなお外でここのところはちゃんと固めてくれないと困るんだよ、というところが果たして残っているのかしらという感じなんですが、いかがでしょうか。

○山下CIO まず、今、先生がおっしゃった2ページの(1)のところは、これはたくさんありますよ、決めていただかなければならない点は。例えば新旧勘定分離は一体どういう形でやるのかとか、どういう仕組みでやっていくかということを決めていただかないと。今、先生がおっしゃったのは、多分(3)の暫定対応によっていろいろ問題が起こるというところについて、決算上の問題はないんじゃないかというふうにおっしゃっておられるんだと思います。それは私どもは、法律ではそうなっているかもしれませんけれども、じゃあ当局があなたのところは遅れていいよと、そういうことを本当に担保していただけるかどうかというのを私どもは聞いているわけです。法令上はそういう道がありますと、あるいは金融庁で3カ月じゃなくてもいいよという規定がありますといっても、それが実際に本当に発動されたことがあるのかどうかわからないわけです。私どもはもともと暫定対応にはいろいろ問題があると言っているわけですが、政府の方でやっぱり大事なことだからおやりなさい、ぜひやれということでやるわけです。そのときはこういう問題が起こり得るわけですが、それはシステムが間に合わないための問題なんだから、そこについてはそういう法令、例えば法律ではないかもしれませんけれども、その下の規制とか、ガイドラインとかそういうものに反するときには、それについては、例えば一定の経過措置として、それは構いませんよというような担保をきちっとしていただきたいと言っていることでして、先生がおっしゃっていることはちょっと違うように思います。最初の点は、どういう仕組みに改正をしていくかということが問題であって、例えば窓口会社にどこまで業務を持っていくのかとか、手数料制度をどうするかとか、そういう全体の制度自体をどう設計するかというところについて、今、有識者会議とか準備室でどんどん検討をやっておられるわけで、それが決まらないとシステム設計はもちろんできないわけです。それが全部決まらなければやれないということではないので、先生方からご示唆をいただいて、我々がこのシステム設計を行うに当たって大事なものは、これとこれを早く決めていただければ謔閧ゥかります。それは、前回ちょっとお見せしましたよね。それをなるべく早くもっと精査してきちっとお出ししますから、別にそれは法律が通るとか通らないとかそういう話ではなくて、これはこういうふうにするよというのを言っていただければ我々としては基本的にできるわけです。そういうことを言っているのです、こっちの方は。しかし、そういう暫定対応だといろいろな問題が起こりますよと、申し上げているわけです。例えば、システム開発リスクも大きいし、法律上も今日は会計上は問題がないというご指摘でしたけれども、だけどそれは要するに手作業でやった場合に3カ月、4カ月かかった場合に、本当にそれでいいと言っていただけるのかどうかというところや、我々としてはやはり2007年4月に向けて一生懸命やりますけれども、その結果としてうまくいかなかった時に、あんたたち何やっているんだと言われるのでは、これは困るわけです。それは一定の猶予をちゃんと見ますよというお約束を公的枠組みとして入れていただきたい、そういうことをお願いしていることなんですけれども。

○國領教授 おそらく、大分どこが焦点かというのがはっきりしてきたと思うんですけれども、今、だから業務とおっしゃっているのが、どちらかというとやはり業務そのもの、ルーチンそのものというよりは、制度的な前提条件というのをちゃんとはっきりしてもらわないと困りますよという理解でよろしいですよね。多分、この検討会のレポートとして書ける話としては、そこについてああしろ、こうしろとかと言えないと思うので、多分言えることというのは、この辺のことについて、リスクを発生させる、法令遵守―ここにお書きいただいたものにもはっきり書いてありますけれども、とにかく第一義的に守らなければいけないのは、やはり顧客というか、国民の資産というものに棄損を与えるような変なオペレーションになるのは、これは絶対にあってはならないことだろうと思います。
 今、実を言うと、一番恐れるのが、法令遵守あたりのところで右往左往してシステムが混乱しているうちに、もっと深刻な問題の方を発生させてしまうような、へんてこなことが起こるという方を心配しているんだろうと思うんです。今出てきたルール、現実を見てみると、確かにルールの表書きの方は、要するにお目こぼし条項というのがあるかもしれないけれども、そんなものには担保がないから、現場の方としては責任が持てない、そんな感じと理解してよろしいですね。

○山下CIO はい。

○國領教授 ここから先は、ちょっともう私の意見になってしまうんですけれども、やはり政治的に意志決定をする方が、そのリスクをとるかとらないか。はっきり警告されていることで、やはり第三者的に見ても、ここの部分についてはデッドラインを延長するようなちょっと格好悪いことになるかもしれないというような警告を発した上で、政治的にそれでもやるとか、そんなずさんなことだったらやらないと判断するか、というあたりをお預けするようなレポートを書くしかないんじゃないかと思います。

○加藤座長 ほかにご意見ございませんか。
 はい、どうぞ。

○宮田教授 前回、公社さんがいないワーキングユニットというのがあったんですけれども、そのときの私たちの議論を少しご紹介すべきかと思ったんですが、今、議論が2007年4月に集中していまして、しかし、もう少し広く長く考えれば、分社化も含めて、ここでなくても民営化したときのシステムはどうなるべきかという議論をしたんですね。
 そうすると、現状がまず、郵便、貯金、保険というのはかなり独立なシステムになっているんですね。独立なシステムの先に窓口がくっついている、そんな形のシステムになっているわけですけれども、将来的、理想的には、窓口そのもののシステムを、ほとんどゼロから新規につくる必要があるだろうと。今は、ほとんどないような状態なんですね。最終的に、どういう業務をやるかわかりませんけれども、今はわからないから全然設計もできないんですけれども、例えば非常に広範囲の業務を扱うことになれば、言ってみればコンビニシステムみたいになっちゃうわけですね。それは、ゼロからつくらなくちゃいけない。しかも、それは保険、貯金、郵便とは独立につくらなくちゃいけないと。多分、それが一番理想的な将来の形だろうという議論をしたんですね。そうしないと、4つの機能が変に入れ子になっていたら何もできなくなるし、新しい業務を始めることはできないわけですから、その4つの独立な情報システムをつくるのが、将来の最終型としてあるんだろうという議論をしました。
 そういうことであれば、2007年4月にどうこうしてクリアするという話じゃなくて、非常に大きな最終ゴールを目指して、どうしても暫定対応というのが必要であれば、それは理想型とは全然違うものしかできないわけですから、それはもう最小限の烽フにして、リスクも最小にして、それは何らかの規則等とすり合わせる必要があると思いますけれども、どんどんすり合わせて最小限にする必要があるだろう。しっかりとした経営ができるために、基盤として情報システムをつくるならば、早く暫定的に会社を分けるなり民営化して、ちゃんとしたものをつくらなくちゃいけないと。今は、公社の提案の情報システムも、もちろん暫定システムも、すべて暫定システムなんですね。ですから、その暫定システムに時間とお金をかけるのは無駄ですから、リスクの面でも、それはその後が大きいと思うんですね。早くなるべく簡単に、少し乱暴な言い方をすれば、もう2007年4月にできる、それまでにとれるリスクの範囲内でやってしまおうと、こういう考え方も経営的にはあるはずなんですね。情報システムで、それはできないということもないだろうと思います。

○山下CIO またいつもと同じ議論になっちゃって本当に恐縮ですし、決して私どもも、さっき申し上げましたように、我々としては本当に早くやりたんです。
 ただ、先生、そうはおっしゃいますけれども、やはり法律で民営化、分社化というふうに決まるわけですから、その最低限のリクワイアメントがあるわけですけよね。この間から申し上げましたように、私どもまだ官ですから、民としての決算をしたり、いろいろなレポーティングをしたりとかという、そこのギャップは埋めなきゃいけないわけでございます。それからまた窓口端末まで変えていく。私どもの場合は、やはり2万以上の拠点がございますから、例えば仮に100万円のものを2万局でやると、それだけで200億円かかる。それを配置していくには、5年以上、多分、すごい時間がかかるんですね。それを待って最低限でといっても我々としては、やはり法制上のリクワイアメントと、それから経営者が最初から、今どういう経営の実態にあるのか、どこの郵便局がどういう状況にあるのかとかがわかる最低限の経営の管理のツールというのはやはり持たなきゃいけないはずだと考えております。それは先生のおっしゃる暫定かもしれませんが、最低限のところでやっても、私どもはやはりこれだけ大きい組織なわけですから、どうしてもプロジェクト自体が大きくなっちゃうということでございまして、決して我々は欲張って、最初からばりばりのものをつくろうなんて全然思っていません。そういうことではなくて、やはり今申し上げた法制上のリクワイアメントと、経営をやっていく最低限のツールを備えて、ともかく民営化の移行期間の10年の中でいい会社になれるように、やはり最初からスタートしたいというふうに思っているわけでございます。その中で、窓口会社のシステムをきちっと新しいビジネスモデルのもとでつくっていくという、そういうツーフェーズというかステップでやっていくということなんです。ただ、その2007年4月という、今から2年4カ月という期間しかないわけですから、この間から何度もご説明していますように、やはり余りにも時間が短くて、これだけの民営化へのギャップを埋めていくところは相当なリスクがあると考えます。
 ですから、これについてはトヨタさんとか、みずほ銀行、あそこだって経営者の判断で本当は合併を、あるいはシステムの稼働を延ばせたわけですけれども、それをしなかった。でも、それは経営者の判断だったわけですけれども、我々の場合は、これは法律で決まっているわけですから、経営者がこれは危ないと思っても、延ばすことはできないと思います。システムの稼働、あるいはその民営化自体を延ばすということができるのかどうかというところを含めて、やはり一定のそういうフレキシブルな条項を持っていかないと非常に難しい。だから、2007年4月で、先生方ができる、やれということであれば、それはもちろん私どもは一生懸命やりますけれども、ただ、それはこの間から何度も申しましたように、やはりこれだけのリスクがあるし、それからこれだけやるためには最低21カ月の開発期間をとりたいので、例えば来年6月末までには私どもの依頼するものは、別に法律が通っていなくても構いませんから、それはきちっとこういうふうにやる方向であるということをお答えいただいて、基本的にはそこを余り変えていただかないとか、要するに2007年4月に間に合わせて、しかも想定されるリスクをどう回避するかという、その最低限のセーフガードをお願いしているということでございまして、そういう意味でご理解いただければなという感じがするんですが。

○加藤座長 どうぞ。

○天野CIO 山下さんのご意見というか、心配というのはよくわかるので、ちょっと技術的なところで教えてほしいんですけれども、2ページ目の3の、4万2,000人月、平均2,000人のピーク時5,000人、この開発規模は、今、公社さんが年間おやりになっている規模からすると、どの程度の規模なんでしょうか。要するに、今でも例えばピーク・,000人ぐらいの開発をしてみるならば、どのぐらいのリスクかというのは考えられると思うんです。
 もう一つは、この4万2,000人月のシステム会社別の内訳というか、例えば大体NTTデータさんが半分ぐらいだよとか8割ぐらいだよというふうになれば、メジャーなところがわかれば、逆に言うとその会社さんが、どれだけ公社さんに対して―まじめにと言うとしかられますけれども、システムとしての構えをしてくれるかということも含めて、随分心配事は減るんじゃないかというふうに思います。 その2点、もしわかれば、大体でいいんですけれども、教えていただけませんでしょうか。

○間瀬執行役員 平常、落ちついている段階では、大体この4分の1ぐらいがピーク時になります。それから、やはり一番大きいのは貯金のシステムですから、前に来ておりましたけれども、NTTデータが作業量的には一番比重が大きくなるというふうには考えております。

○天野CIO だから、この4万2,000人月の大体6割から7割ぐらいがNTTデータさんだと思えばよろしいんでしょうか。

○間瀬執行役員 約半分ですね。

○天野CIO わかりました。

○山下CIO この間のNTTデータの重木取締役の説明でも、彼らとしては、これからこれだけのプロジェクトをやるのだと、2,000人とか、そういう人たちを集めなきゃいけないので、もし7月から実際にシステムを組むことになると、来年1月から、ビルを借りて2,000人ぐらい集めて、半年ぐらいその準備にかかるのでそれぐらいの期間があって、それで2,000人なり二千何百人を集めてやると言っていました。多分そういう形になるんじゃないかと思います。

○加藤座長 よろしゅうございますか。
 1月からやる予定ですか。

○山下CIO ですから、7月から、さっき申しましたように6月までにある程度仕様が固まって、実際の設計に入るということになりますと、3,000人近くの人を集めるというのはやはり大変でありますし、働く場所の確保も要るので、その準備のために半年ぐらいはかかるので、1月ぐらいからその目鼻をつけて、そういう準備に入りたいということを、前回、重木さんが指摘したと思います。

○天野CIO これは多分、随意契約なので、こういう言い方をするとしかられますけれども、公社さんとNTTデータさんの間の信頼関係で、人を集めてスタートは切れるというふうに言っていいのかどうか知りませんが、そういうふうに考えても不自然ではないですね。

○間瀬執行役員 郵貯のシステムについていえば、現在、既存のシステムは毎年運用保守をやっていただいているわけですから、その関係では随意契約でやっていけると考えています。
 ただ、上流の設計工程のところは少しですが、だんだん徐々に大きくなるという形になりますので、どうしてもプログラムをいじるところ、それから試験をやるところにピークが来るということです。

○加藤座長 ほかにございませんか。今のようなご説明でよろしゅうございますか。

○天野CIO トヨタ自動車の場合ですと、システム開発の要員が大体300人ぐらいいまして、いい、悪いは別にして、ベンダーさんの力も非常に強いものですから、大体5,000人ぐらいの規模を抱えます。ちょっとやり過ぎだとは思いますけれども、我々は力がないものですから、ベンダーさんにかなりところをお願いすると。
 だから、今回のポイントは、多分貯金のところでございますので、NTTデータさんが今までの経験も含めてどれだけの体制を組まれるかというのが一つのポイントと、もう一つは、やはり先ほどから言っているリスクをどれだけヘッジできるかというのが、高橋さんの方でどれだけやれるかというのがポイントかなという感じがしますけれども。
 どうもすみません。

○加藤座長 ありがとうございます。
 今、1つ私が申し上げることは、まことに素人の言うことで、この先生方の中で、私は一番理解力が低い水準でお話をするんですけれども、最初、中山先生が出されたのは、会計面から見てできるところまでやって、そしてあと、多少のところは残ってもしようがないじゃないかというご意見でおられたんですけれども、会計だけではなくて、ほかの先生方も、全部一遍にできることはないのであって、順々にできるところまでやっていったっていいわけであってというようなお話がありましたが、そのときに山下さんが、すべてよく考えてみますとか、そこら辺は十分に検討しますとおっしゃったんですけれども―おっしゃいましたよね。そのおっしゃったということは、私なりに理解すると、2007年4月までと考えていたのが、時間がそれで少しずつ減らしても大丈夫でしょうという意味で同意しておられたんですか。

○山下CIO 先ほど、中山先生がおっしゃった点ですね。

○加藤座長 中山先生も、全部そうですね。皆さんが、期間が短縮できるんじゃないかというお話をしているわけですけれども、そのときに山下さんが、よくわかったとか、あるいは、十分に考えてみるとかというお話をなさったのですが、それは基本的には減らせるということですよね。

○山下CIO 私が、参考にさせていただく、あるいはそういう方向で努力したいと申し上げたのは、中山先生が業務フローの見直しのところを、一括でやるのではなくて段階的に、しかも、2万4,000局を一遍ではなくて、いわば部分的に、例えば東京とか、そういう大きいところを中心にやったらどうかということについては、非常に参考になりますのでぜひそういう方向で検討したいと。
 それは私どもの言う、業務フローを早くつくるというところについてです。ただ、それは段階的にということで、全体をまとめるところまでやっていかなきゃいけないので、中山先生のアドバイスで多少短期化されるかもしれませんけれども、それはシステムを組む前提の話でございます。業務フローの見直しについてはできるだけ早く、公社内でできることですから、なるべく早くやりたいということです。

○加藤座長 ですから、短縮することが、ある意味では可能な面が出ているわけですよね。今までお聞きした中でいくと、どんどんやっていって、とにかくそれが1つ終わったら、次のまた完璧な状態をまた予定して、そしてやっていこうという考え方になっていますでしょう。私も、こんな言葉をここで使っていいのかどうかわかりませんけれども、ウォーターフォールという言葉で普通は言われるわけですけれども、そんなやり方をしていくのは重々時間がかかるわけですから、それは今、やはりスパイラル方式でやるのが普通ですよね。そういうことをやらないで、あえてウォーターフォールの道をとるということが、これはおかしいじゃないかというので、暫定的にという議論をお出しになる先生方に共通しているのは、やはり少しは期間を短縮して、できるところからやっていけばいいじゃないかというご意見を持っておられるわけですよ。ということは、少なくとも例えば8割できたとすれば、2割は時間が短縮できるはずだという前提が出てきますよね。だから、その方向を検討されるのであれば、もっと時間は短縮できるはずだと、こういうふうに考えてよろしいんですか。

○間瀬執行役員 先ほどから出ていますけれども、特に郵貯ですとか保険ですとか、そういう大きな事業の持っていますシステムにつきましては、開発標準、それから開発の方式等、すべてウォーターフォール型になってやっています。そこのところにスパイラルを入れるということは、逆に言うと、ベンダーそのものがそれに対応できませんし、我々の方もできません。スパイラルというやり方は、作っては壊し、作っては壊しながらやっていくやり方ですよね。ですから、そこら辺については、現在新しい、例えば今やっています財務会計システムあたりはそれにトライしておりますけれども、今までの既存のシステムについては、やはり開発方式そのものがスパイラル方式じゃないので、そこにまた標準から変えてやっていくということは、混乱のもとになると思いますし、それはもっとリスクが上がることだと思います。
 それからもう1点、先生方からいろいろな、なるべく早く公社でできるものはやって、少しでも早く取り組んだ方がいいんじゃないかといわれておりますが、先ほどからもご説明しておりますが、実際、我々としても取り組んでいるわけです。取り組んでおりますけれども、最終的に、例えば今回の場合は民営化と分社化が同時にシステムを開発するわけで、特に民営化に関する要件についても制度設計の中で決まっていくわけで、そこの部分がいつになったら決まってくるのかというのが非常に大きいものもございます。公社の内部でやるものは一生懸命、いろいろご意見をいただきましたし、それから手作業でスタートしてシステム化したときに混乱しないように、そういうことも参考にしてこれから進めていきますけれども、やはり一番大きな話は制度設計で、民営化も分社化も一緒になって制度設計されているわけで、民営化の部分はもう既に決まっているわけじゃないわけです。ですから、そこのところを早目に決めていただきたいというのが我々のお願いしていることでございます。

○加藤座長 その点については、新しい経営のやり方をどうするかということでもって、もう遠からずそういう経営のグループができるわけですよね。それができて、その方向がかなり明確になってくると思うんですけれども、それはちょっと後回しにいたしまして、天野先生は先ほどおっしゃったんですけれども、ウォーターフォール的なやり方をスパイラルに変えるということは大変なことなんですか。

○天野CIO 私どもでも、新規のプロジェクトからはします。だけれども、既存のものを変えるということは、業務標準というか、一部だけならできると思うんですけれども、多分この改編のところは、随分いっぱいなぶらなきゃいけない。どうもちょっとつらいのかなという感じは、正直言いまして、私が担当者だとします。ちょっと時間がなさそうかなと。ただ、一部だけでテストすることはできるけれども、どちらかというと、マルをつけるかペケをつけるかといったら、間瀬さんの意見に今回は同意します。すみません。

○加藤座長 宮田さんはいかがですか。

○宮田教授 その具体的な作業の内容、4万2,000人月、これをどこまでリスクを落とせるかですね。結局、私はリスクヘッジの問題だと思うんですよね。ですから、そこのところだけでもう少し詰めていけばいいんだろうと思いますし、具体的な量については、天野さんの方が感覚的に正しいんだろうと思います。ただ、その量がもっと減らせるのか、もう少しカットすることはできるのか、この辺はもう少し詰めていくべきじゃないかと思いますね。やはり、4万2,000人月というのは、具体的なところは何かわかりませんから、それをもう少しブレークダウンして、工夫ができないのかということだと思いますね。

○加藤座長 そうすれば、並列でもって上げることもできるわけですよね。

○天野CIO そうですね、理想的にはそうです。

○加藤座長 そうですよね。それに転換することは無理なんですか。

○山下CIO おっしゃっている意味が必ずしも明確ではないのですけれども、4万2,000人月というのも、もちろん絶対的な数字ではなくて、私どもが民営化、それから分社化も今想定しているところを試算しているわけでございます。これから具体的な制度設計、あるいは例えば新旧勘定分離だって、特別預金制度でやるのか信託でやるのかとか、いろいろそういった枠組み自体が決まってきてシステムの開発負担がはっきりとしてきます。ただ、大きな枠組みでいうと、特に郵貯が一番大きいわけで、その開発規模は、基本的にはそう大きくは変わらないんだろうと思うんです。それは、今、間瀬が申しましたように、従来の仕組みの中で膨大な人力を投入してやっていかなきゃいけないということになってきます。ですからもちろん私どもとしても、なるべく落とせるものは落として、なるべくその規模を小さくするという努力はしていくわけですが、ただ、何度も申し上げますけれども、これは私どもの経営判断でというよりは、法律とかで民営化、分社化しなさい、こういう形でやりなさいということが決まって、それに対応するためにやるわけですから、そこがはっきりしないと、これは私どもの判断でどんどん減らせますという話ではありません。私どもがお願いしているのは、そういう枠組みでつくるわけですから、それに対していろいろなセーフガードをきちっと作っていただかないと、なかなか我々の経営だけではリスクがとり切れませんということを申し上げています。ですから4万2,000人月というのは、もう絶対この数字ということではなくて、我々としてはできるだけ小さくしていきたい、これからの具体化の中でやっていきたいと思っていますが、ただ、今この段階でどのぐらいになるかと聞かれれば、我々としてはこのぐらいになるので、これだけのリスクを見ていますので、先生方にはぜひ私ども経営としてとれるリスクかどうかを判断いただきたいと、こう申し上げている次第です。

○加藤座長 はい。

○國領教授 ある意味で、つまり21カ月だったらできるとおっしゃっていただいているわけでありまして、その前提条件が、制度がある程度見えていれば、要するに45カ月かかると冒頭で言っているものが21カ月でできるという、そこのご努力というのは、ちょっと前向きに評価していいんじゃないかと思います。
 かつ、今までのお話をお伺いしていると、それでやれば法令遵守までできるということを想定して21カ月と言っていて、かつ、じゃ、そこを超えるとややリスクがふえてきますということをおっしゃっていただいているというふうに理解すればいいし、そこについて、さらに踏み込んで何かいろいろアレンジメントができれば、さらに短くできるということだと。
 それで、やはりこの2005年6月末というのが余りに微妙な数字で、そこで綱引きをやるのはとてもよくないので、とにかく頑張って不確実性を減らしましょうねというところはもうみんな一致していて、国民の財産に毀損を与えるようなトラブルは発生させちゃいけないというところもみんな一致していて、法令遵守は、遵守しないでいいなどということを初めから言えるわけもないのは、おそらく山下さんもご理解いただいている中で、ただ、余りに急ぎ過ぎると、そこの部分においてリスクを抱えながら走ることになるよということなわけですよね。なので、そこを上手にくむような―ちょっとここまでくると、やはりどういう文章に落とすかというのが非常に大きなポイントになってくると思うんですけれども、やはりリーズナブルなことがどれぐらいちゃんと言えるかということだろうと思います。そこから先、ウォーターフォールにするのかスパイラルにするのかというのは、私的に言うと、現場にお任せして、どっちか早くできる方でやってくださいという感じがします。

○山下CIO 今、21カ月でできるというふうにおっしゃいましたけれども、私どもは、21カ月ではリスクがあるというふうに思っていますが、それはこういう担保をしていただければ、そういうご判断、そういうリスクを政府の方でおとりになるということであれば、我々は、それは一生懸命やりますと。ただ、これだけのリスクがあるので、それについてはきちっとセーフガードを設けていただかないと、今、先生おっしゃったように、我々はベストを尽くすつもりですけれども、万が一そういうことがあったときには、やはり何のための民営化かわからなくなるような大きな問題になりかねないので、それについてはやはり一定のセーフガードを設けていただきたいということを申し上げているわけです。
 それから、2005年6月は、たまたま微妙な時期に当たったのでそういうふうに言われるんですけれども、私どもは決して、これまでに法律が通らなきゃだめだとかと言っているんじゃなくて、私どもが提示した要件について回答をいただきたいと言っているわけであります。なぜ6月末かというと、やはり法律がある程度見えないと、最終的には要件は固まらないわけですから、ですから我々としては、我々がシステムを組むに当たって必要な条件について、これとこれを決めていただきたいと。それは多分、法律それから政省令と詰めていかれるわけですが、それを優先的に決めていただいて、それはもうびた一文変えられないと言うつもりはありません。けれども、基本的には手戻りになるわけですから、そこは固めていただくということで、決して法律とか政省令がここまでにできなきゃだめだとかと言っているんじゃなくて、私どもが出したリストについてお答えをいただきたいと言っているわけでありまして、それによって21カ月という開発期間がとれる。それでやっと3カ月のテスト期間がとれるというのが今の想定です。まさに我々として、そのプロジェクトのリスクをある程度ミニマイズしながらコントロールできるようにするためには、こういうやり方しかないんじゃないかということを申し上げているのであって、決して政治的なつもりで言っているわけではありません。

○中山委員長 公認会計士である私が言っていいのかどうかちょっとあれなんですけれども、基本的には国民生活のインフラとなるシステムについては一切何かあってはいけない、これは皆さん共通認識でありますので、そして貯金、保険、郵便というものについて、特に貯金については、もう動かないとかお金を出せない、振り込みできないということは、何が何でも起きちゃいけない事故だと思うんですね。それに対してと言ってはなんなのですが、いわゆる財務会計システムについて、今の予定では2007年4月1日に同時に稼働させようということで動かしているわけですが、最悪の事態というんですか、もし人繰りの都合とか、あるいはテストの期間の問題とかでこれをずらすとして、郵便、貯金、保険、これは何としても3月までに終わらせて、4月1日から正常稼働させると。しかしながら、財務会計のシステムについては、例えば半年遅れで動かすとか、最悪9カ月遅らせて動かすと。つまり、月次決算、例えば4月から9月まではやらない、10、11、12月もやらないということで、まとめて3月にバッチ処理して一気に1年分の決算書をつくるということも、決して不可能ではないですよね。いいか悪いか、できるにこしたことはないんですけれども、監査する立場としても、そんなやられ方をされると非常に監査しづらいので、私がこう言っていいのかなというと、ちょっと監査人の方に怒られそうな気がするんですが、要は半年間監査できないという状況になっちゃうので。

○山下CIO そういう言質が欲しいんです。

○中山委員長 仮に、本当に商法監査だけしかないという存在であって、株主総会にかけるための決算書を監査するという位置付けだけであれば、例えば1年間4月からずっと監査しなくて、あるいはシステムの方の、例えば上流である郵便、貯金、保険というシステムの信頼性の方を見ることを主体として、財務会計についてはその後から見ていくと。その総合的な判断のもとに、3月以降の監査手続によって、この6月の総会にかける決算書の監査を行うということは、不可能ではないんですね。そういう意味だと、リソースの配分の問題もあるかと思いますし、制度的につくりづらい部分もあるかと思うので、その部分を、例えば半年期日を遅らすということもできないわけではないのかなと。確かに、経営情報として必要なものが集まりづらいという面があって、単独で郵便、貯金、保険の情報が集まりますけれども、総括的に総売上がどうだったとか、あるいは全体の利益がどうだったというかのが、直ちには集まらない。ただ、管理ベースでは、何とか指数として集めることは可能ですので、それで何とか当面対処していって、最終的には2008年3月期の決算については、正しい財務会計システムで決算させるというような手法もないわけではないのかなと思うんですね。そうすれば、少なくとも財務会計部分だけについては、もう少し開発期間の幅を持たせられて、リリースのタイミングもずらすこともできる。
 ただ、基礎的な情報を持つ上流システムに関しては、先ほども言いましたように、2007年4月1日には当然、通常どおり稼働していると。ただ、それから財務会計へ持っていく部分については、一旦保留しておいてまとめて処理するということも、本当は難しくないんですけれども、最悪というか、ある種の選択肢としては可能じゃないのかなという気がいたします。

○山下CIO これは記録に残ると思いますから、我々としては心強いお言葉ではあるんですが、例えば先ほども連結決算しなくてもいいんじゃないかという話がありましたけれども、それは法律で主務大臣が、毎年連結決算を出せというふうに書かれると、それはまた別になるわけです。ですからどういうふうな制度設計になるかによって、全然変わってくるわけです。その辺のところを私どもは申し上げているので、先生方は間に合わせるために、いや、ともかく何でもコミットしてやればいいんじゃないかとおっしゃるんですけれども、それでは法律のリクワイアメントを全然達成できないということだと、我々は新しい経営者に引き継ぐわけですから、法律には違反するわ、全然経営上のツールはないわで、ともかくシステムだけできたということでは、やはりそれは、私どもとしては新しい経営陣に顔向けができないという感じがします。やはり民営化してきちっと最低限会社として回るような仕組みをつくって渡さないといけないわけです。しかし、2007年4月までにどうしても間に合わせる必要があるということであれば、さっきから申し上げているように、私どもとしてはこういう最低限のところで、いろいろ問題はあるけれども、それを担保するためのセーフガードさえやっていただければ、我々は問題だと思いますけれども、そういう政府のご判断であればやらざるを得ないと、そういうふうに思っておりますので、そのセーフガードのところをぜひご検討いただきたいということです。

○加藤座長 よろしゅうございましょうか。
 はい、どうぞ。

○宮田教授 このセーフガードのところは、大きな仕様変更をしない、最悪の場合は延期も可能、最悪の場合は経過措置がある、ここまでは、それは一般的にそうなってしまえばしようがないことですから、顧客サービスがとまってしまってはいけませんから、それはあり得ることですよね。それを、民間会社でしたら経営者が責任を持ってこういうことをやるというわけで、だれがやるかだけの問題だろうと思うんですよね。ですから、4番目についてはちょっと疑問が残りますけれども、その3つとか、僕は、ある意味ではセーフガードというのは当たり前のことなので、それをだれが責任持ってやるかという体制をしっかりすればいいですし、その体制が非常にすぐれていれば、こういう3つの問題が発生しないようにマネージできると、そういうことだと思うんですね。だから、非常に大変なことはよくわかりましたけれども、非常に大変なことをやろうとしているわけですから、セーフガードというよりも、むしろしっかり経営的にこれを、担保するというよりは、解決する方向にやっていくべきなんだと思いますけれども。

○加藤座長 ほかにございますでしょうか。
 はい、どうぞ。

○満塩シニアマネージャ 余り長くならないように手短に。
 今日も、そういう意味では金融庁のお話があったように、適切な決算ができるかというところで、やはり先ほどの中山先生のお話もそうだと思うんですが、私もいろいろ政府系の仕事をしていると、気にしているのは、システム的にきれいになるかというよりも、やはり説明できるかというところが重要だと思います。そういう意味では、中山先生のお話を私なりに理解すると、多分2007年4月に、国民に対して説明できるかという話がまずはクリアするポイントであって、内部的に、それこそ監査人の方であるとか監督官庁等に説明ができるかというのはまた別ですよねと。そのタイミングは、別に2007年4月じゃないかもしれませんねと。ちょっと、そこを明確に言い切るのはいろいろ問題があるかもしれませんが、そういったところなので、逆に―もちろんそのことは重々ご存じの話だと思いますので、ただ、逆に私なども正直言って、中山先生もかなり思い切って発言されていますのであれなんですが、今回いろいろ書かれているのは、すごくきれいなシステム図、計画図なんですよ。もちろんそれを竄閧スいのは、皆さんそう思っていると思うんですが、その中でいろいろな制限がかかってきて、その中でもまた説明できるかというところを、やはり考えていただいた方がいいのかなと。ちょっと感想としては、やはり計画がすごくきれいだなというのがもともとの方からもありましたので、ちょっとそこだけ申し上げたいと思います。

○加藤座長 ほかにございませんか。―よろしゅうございますか。
 今まで、我々は議論してまいりまして、別にまとめるわけでもございませんけれども、ある一つの私なりに理解している方向があるんですけれども、それはこれ以上議論しておりましても、おそらく同じことを繰り返すことになって、なかなか前へ進めないと思うんですけれども、少なくとも公社の方も、やろうという気持ちはあると。そのやろうという気持ちをやっていくときに、我々の方から見ると、いや、ここは落としたっていいんじゃないか、ここは少し完璧でなくてもいいじゃないかというようなことが残っているわけですよね。そういうところを我慢して結論に達するのか、それとも、それでもって努力していって、なおそれでも結論に達しないかもしれない。そのときに、ミスが起きるとか、あるいはリスクが起きるから、そこでセーフガードや何かが必要になると、こういうお話があるんですけれども、そのセーフガードのところに行きますと、何か私たちから見ると、もうどうせ幾ら勉強したって落第するのはわかっているんだから、落第したら救ってくださいと約束して試験するようなものなんですよね。だから、もうちょっとこれは勝手じゃないかというふうに思いたくなるんですよね。そこを―いや、悪いと言っているんじゃないですよ。そういう気持ちはわかると私は思っていますけれども。
 ただ、やはりそういうことを言うよりは、何とかここを削って努力して、あるいはここを例えば暫定的にやってみて、こういうふうになるからということになって、そして結論からいってちょっと危ないなというところがあっても、それを乗り越えるかどうかは政治的に判断して、民営化をするんだという方が先にあるのなら、それはもうしようがないからやるしかないでしょうね。リスクが起こったって、いろいろな混乱が起こったって、それは政治的判断ですから、そこでもう政治は国民の意見を聞きながら、そこで変えるかどうかを考えるだろうし。ですから、我々の方の会議はそこまで言わないわけですよ。そこは、起こるかもしれない、リスクが起こって何か変なことになるかもしらぬと、それは思うけれども、論理的に考えたら、少なくともこれを削ればいい、これをやらなくてもいいだろうというふうに考えてやればできるはずだという一つの見通しができればいいわけですよ。その見通しに立って、それを実行するということが起こって、それがうまくいかなくなったときは、それは政治的判断がそこで入るでしょうから、どういうふうに判断するかは、これはもう我々は任すしかありませんね。今、我々の会議が論ずることはではないと私は思っています。
 山下CIOさんが、大変この会議のことを高く評価してくれるのはありがたいんですけれども、ずっと第三者中立機関として見守ってくださいよとおっしゃるけれども、これは我々の見るところじゃないんですよね。どっちかというと、それが破産するか失敗するか、そこのところは一応考えても、しかしなお、これだけの条件を押さえておいてやればできるだろうという見通しを持っているわけですけれども、それがうまくいかなかったときには、おそらく政治的にどういうふうに決着するかを考えるんでしょうから、それをじっと見守るのは我々の会議ではなくて、やはり別なそういう監視機関みたいものができて、見ていくことになるんだろうと私は思っているんです。
 だから、この会議で、少なくとも論理的にはこういうふうにすれば可能でありますよということは言えると思うんですね。そこから先、どういうふうに混乱が起きるかどうかは、これはもうあとは政治的に、それでもやろうと思うのか、それともそこはあきらめるかということだけだと思いますよ。だから、時間的には、例えばあるいは間に合わない分野が出るかもしれない。またあるときには、間に合う分野もあるかもしれないということを考えて、この程度の民営化でもいい、あるいは分社化でもいいというふうに考えてやるのかどうかの判断は、それは私はもう政治的な判断に任せるしかないだろうというふうに思っているんですよ。
 そんなふうに考えますと、大体我々が議論してきていることは、いろいろな方法が今ここでも先生方から提案されているわけですから、その提案されている方法の1つ1つについて、本当にできないかできるかを考えていただいて、そして答えを出していただいて、これならば会議として納得できる。公社としても、不満はあるけれども、まあ、しようがないかというような気持ちになっていただけると、大変我々としてはうれしんですけれども、どうですか。

○山下CIO 我々は、別に不満ではなくて、不安なんですよ。やはり、なかなかご理解いただけないんですが、我々は本当に、どうせ民営化するんですから、いい会社、立派な発展できる会社をつくりたいと思っていますし、そのキー、コアになるのがシステムですから、いいシステムをつくりたいと思っています。そういう意味で、我々としては政府の基本方針に沿って、一生懸命やる、そういうつもりでやってきています。ただ、これだけ大きな変革でございますから、しかも官から民へ変わるという、そういう大きな改革をやらなきゃいけないので、これは非常に大きなプロジェクトなんですよ。
 ですから、それをどうやって、例えば2007年4月というなら2007年4月に、その制度設計で決められた法律的なリクワイアメントと、会社として成り立つという、そういう最低限のものをしていくためにはどこまでかということで、先生方からのご指示で2007年4月の暫定対応というのを提出したわけです。けれども、それは何度もご説明したようにいろいろな問題点があって、先生方がこれでもやるべきだとおっしゃるのなら、それは経営としては、リスクが余りにも大き過ぎるので、我々としてはとれないと言っているわけです。それをやはり全体の観点から見ると、やればできるし、やれるというご判断であるとすれば、しかし、いろいろなリスクがあるので、そこについてはさっきからお願いしている3点か4点について、一定の条件をつけていただく。また、先生方ができるとおっしゃったわけですから、例えば条件をつけていただくなら、それがきちっと遵守されているかというのを、例えば毎月―3カ月に一遍なのかもしれませんけれども、来て見ていただいて、それについて、公社は非常に遅れているじゃないかとか、あるいは準備室の方の作業が遅れているじゃないかとかというのを見ながら、最後のところで、これでいけるかどうかという判断をしていただく。もちろん我々が判定会議をやって、システム稼動の適否は判断するわけですけれども、それを先生方に報告して、「適」であれば問題ないわけですし、「否」であれば、やはりこれはいろいろな、だれの責任になるかというのを含めて先生方からきちっと評価をいただくというのが、本当はいい筋書きじゃないかなと私は思うんですが。

○加藤座長 だから、その論理の方は、こういうものを削ったり、あるいはこういうものは80%ぐらいで我慢してやるとかということを考えれば、ここまではできるはずですよという私たちの予想があるわけですよ。それは、船をつくったときに、船のエンジンや舵がなかったら、これは困っちゃうけれども、しかし旗を立てるかどうかなどということは、これはどうでもいいことなんですよね。
 そういうことを考えると、我々のやろうとする中では、その旗を立てるかどうかなどということはどうでもいいことであって、むしろエンジンと舵だけがきちんとできていれば大丈夫だと、こういうポイントがあるわけですよ。そのポイントだけでも達成できるんだったら、これはできますよ、やってみた方がいいですよと。それでうまくいかなかったら、それは我々の問題としてじゃなくて、政治的に、これをこういうことがあってもやらなきゃいかぬと考えるかどうか。つまり、民営化の意味がそこまで重いんだということを感ずるかどうか、考えるかどうかということで決まるんだと思うんです。
 だから、そういう意味で私どもとしては、一応、方向が出ているわけではありませんけれども、考え方として今まで議論した中からいくと、セーフガードということはここでは言わないで、とにかくこういう方向でいけばここまではできるはずですということを我々が主張することはおかしくないんじゃないか、こういうふうに思っているんですけれども。 大変すっきりしたような気がするんですけれども。

○山下CIO 先生方のお立場ではそうかもしれませんが、私どもはやはり、我々が経営としての責任をとるわけです。ですから我々は、一生懸命やるつもりだけれども、非常にリスクがあるので、そこは公社としてはリスクがあるということを申し上げて、できればこういうセーフガードを設けていただきたいというふうに申したということについては記録にとどめていただいて、それは先生方が、いや、そんなものは要らない、どこか削ればやれるということであれば……。

○加藤座長 いや、要らないんじゃなくて、我々の議論しているところの外の問題ですということを申し上げているんです。

○山下CIO なるほど。では、それは政府にご判断いただくということだとは思いますけれども、もちろん。

○加藤座長 大変問題が難しくて、どこを落としていいのか何かというのはいろいろあるんですけれども、今まで出ました議論を1つ1つご覧になると、先生方がおっしゃっている、ここはなくても大丈夫、ここはあった方がいいとかということをいろいろ考えてつくっていただけると、私は3つぐらい段階ができるような気がするんですね。今までの形式、やり方を、ある程度は、郵便とかそれから郵便局の段階ではそれを守っておいて、その上に今度、窓口ができちゃったから、窓口の新しい一つのシステムをつくることに全力を挙げて、そこへみんなつなげていくというような形でもってやれば、これは可能性としてはあり得るんだけれども、これも時間的に間に合うかどうかというのはまた別な問題ですから、やるだけやってみるというのも一つの方法だと思うんですが、そういうことも提案の中にあったわけですから、ご覧いただきながら、提案としてどういうやり方をしたら一番目的に近づくだろうかということを考えていただければ大変ありがたい、こういうふうに思っているんですよ。
 そんなわけでございますから、今日の議題はここまでにさせていただきまして、積み残しについてご検討をいただきましたので、それを踏まえまして、引き続き取りまとめに向けた作業をしていきたいと、こういうふうに思っているわけです。
 基本的にご一任いただきたいと存じますけれども、何かご意見などございましたらば、事務局経由で、こういうところはもっと工夫した方がいいとか、ここのところは書き込みをもっとやらなきゃだめだとかというようなことでいろいろご意見があると思いますので、そういうことをご連絡いただきたいと思います。
 それでは、次回のことにつきましてお願いいたします。

○高橋参事官 それでは、次回の日程ですけれども、一応、12月13日の月曜日、これは15時から16時30分でございます。場所につきましては、また追って連絡させていただきたいと考えております。
 先ほど、座長のご発言がございましたが、委員の方々、取りまとめに向けた作業に関しましてご意見等がございましたら、事務局にご連絡いただければと思います。
 以上でございます。

○加藤座長 それでは、どうも今日は大変時間を超えまして、ありがとうございました。