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郵政民営化情報システム検討会議第7回会合 議事要旨

日時
平成16年12月27日(月) 
13:01~13:54
場所
中央合同庁舎第四号館(4階)
共用第二特別会議室

○加藤座長 それでは、郵政民営化情報システム検討会議第7回会合を開催いたします。本日は皆様お忙しいところご参集いただきまして、ありがとうございました。定刻になりましたので始めいただきます。
 前回、本検討会議の運営についてはご一任いただきまして、それを受けて、これまでの議論を踏まえつつ、報告書案を作成いたしました。先週金曜日には、第8回ワーキングユニットとして先生方にお集まりいただきまして、その原案をごらんいただきましたが、その際にいただいたご意見も盛り込んでおります。
 それでは、事務局から報告書案を読み上げさせていただきます。よろしく。

【報告案の読み上げ】

○加藤座長 ありがとうございました。
 では、ご意見などございましたらば、よろしくお願いしたいと思います。なお先ほどご紹介いたしましたワーキングユニットの模様につきましては、お手元に資料2として配布してあります。資料の説明は割愛いたします。ご参考にしていただければと思います。
 それでは、どうぞ、ご自由にご意見をおっしゃっていただきたいと思います。いかがでございましょうか。何かつけ加えるべきところがございましたら、どうぞ。
 なお、報告書の案でございますので、ご意見がまたあればと思いますけれども、今日は異例なことですけれども、案の作成者以外の方もいらっしゃいます。したがって、この報告書案をごらんになりまして、山下CIOさん、いかがでございますか。これならできそうだとお思いになりますか。

○山下CIO 大変格調の高い報告書で、しかも私どもの主張もいろいろと書き込んでいただきまして、ありがとうございました。今ご説明いただいた報告書は、私ども公社に対しましては、この場で初めてお示しいただきましたものでございます。いうまでもないことですが、本件は、公社経営の屋台骨にもかかわる極めて重大なマターでございますので、私の立場としましては、生田総裁にこの内容を報告して了解を得た上で、本来はご意見を申し述べる性格のものだと考えています。しかし、その時間はないということでございましょうから、別途正式なコメントが必要と判断される場合には、今後別な形で意見を申し上げさせていただくこともあり得るという前提のもとで、とりあえず今お読みいただいた報告書について、私の感想を申し述べさせていただきます。
 私の印象としましては、11月8日の第3回会合以降、私どもがご説明させていただきました、いわゆる暫定対応に関するリスク認識につきましては、基本的にご理解をいただけたものというふうに思います。しかしながら、そのリスクマネジメントの仕組みにつきましては、私どものお願いを必ずしも聞き入れていただけなかったという結果となっているように考えます。その意味では、私どもとしましては、いささか残念な形でのご判断となったというふうに思わざるを得ません。
 しかしながら、今回の情報システム検討会議の検討作業は、ご承知のとおり、9月7日に開催されました小泉首相と生田総裁との会談において決定されたものでございまして、その際、今日の報告書にもございますように、2007年4月からの民営化・分社化が情報システムの観点から可能かどうかについては、中立的な専門家の検討にゆだね、その結論を尊重するということで合意されております。その後、加藤座長を初め、6名の専門家の先生方によりまして、2か月半にわたる精力的なご審議が行われ、その検討結果として、本日このような形で報告書がとりまとめられたわけでございます。
 したがいまして、政府の執行機関でございます公社といたしましては、ここで示されたご判断に基づき、2007年4月の民営化・分社化に向けて、情報システム面でのいわゆる暫定対応が可能となりますよう、全力を挙げて取り組んでいかなければならないというふうに、私は考えているところでございます。
 これまでの会合で繰り返しご説明させていただき、また今回の報告書でもご指摘をいただいておりますように、2007年4月までの2年3か月余という短期間のうちに、暫定対応という形で大規模なシステムの改修を行うことには、さまざまなリスクが伴うことが予想されます。そのリスク回避のための手立てにつきましては、報告書でお書きいただきましたアドバイスに沿って、郵政民営化準備室と、私どもの間で具体的なご相談を早速開始させていただくことにしたいというふうに存じております。郵政公社の2007年4月民営化・分社化が、今後政治的にも最終決定されることになると思いますが、国民の皆様に安心して、民営化をしてよかったと喜んでいただくようにするためにも、2007年4月のスタート時点でお客様にご迷惑をおかけするようなシステムトラブルや業務の混乱が起こらぬよう、私どもとしましては全力を尽くしていく所存であります。
 そうは申しましても、これまで繰り返しご説明してまいりましたように、今回のプロジェクトは極めて巨大であり、それだけに、公社だけでは背負いきれない可能性もあるリスクを伴うものでございます。政府並びに今回の重要な判断を示されました先生方におかれましても、このプロジェクトの成功に向け、今後とも力強い援護射撃をしていただきますよう、改めて心からお願いする次第でございます。
 以上です。

○加藤座長 大変心強いお答えをいただきました。ありがとうございました。我々も、これですべてリスクが回避されるという確実な証拠があるわけではございませんので、その点はいろいろと工夫しながらやっていく余地があるということをここでご説明させていただいたわけでございますが、これをとにかくやってみようということで決意していただければ大変ありがたいと思っております。
 先生方、いかがでございましょうか。今の山下CIOのご意見をお聞きになりまして。何かどうぞ、ご意見があればおっしゃってください。
 間瀬さんはいかがでございますか。これから最高指揮をおとりにならなければならないと思いますが。

○間瀬執行役員 今山下のほうから発言があったとおりでございまして、実際具体的には取り組みを開始しなければいけないわけですけれども、いずれにしても、本来42.195キロを走る案をお出ししまして、それだと長すぎるということで、約20キロぐらいにしろということでのご指摘がございました。そのとおりやります。
 いずれにしても、私どもとしては、お客様に迷惑をかけない形で、リスクを回避しながら、これは先生方からいろいろサジェスチョンをいただきましたので、それを使いながら全力疾走させていただこうと思っております。今後いろいろとご支援をお願いしたいと思います。
 以上でございます。

○加藤座長 ありがとうございました。
 いろいろまだまだ問題があるという感じもないわけではございませんけれども、我々も微力ながら、これからも何か味方になったような気もしますので、むしろバックアップしていきたいというような気持ちが強くございますので、よろしくご努力をお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
 どうぞ。

○國領教授 基本的にとにかく暫定対応でがんばられるという公社からのご発言で、敬意を表するとともに、やっぱり関係各方面がリスク管理に向けてがんばっていくという、それは我々も含めてがんばっていくということだと思います。

○加藤座長 他にいかがでございますか。何かご忠告か、あるいはバックアップしていただいても結構ですが、いかがですか。これだけ山下さんとも、会議を重ねてきますと、何となく心情的に応援団になってしまいまして。何か。
 どうぞ。

○満塩シニアマネージャ もうご決意が出ているようなので、特段申し上げることもないと思いますが、やはり情報システムのほうをやっていますと、局所的というよりか、全体が見えなくなることがあるかと思いますので、できるだけ全体を見てくださいと、私が言うあれもない

ですが、そういった観点と、あとはやっぱり、それと時間ターム的にも長期というか、先々を見たリスク管理をされることが重要なのかなというふうに、私としてはちょっと個人的にも思っていますので、そういったところだけちょっとつけ加えさせていただきます。

○加藤座長 ありがとうございました。
 他にいかがですか。
 今、竹中大臣を呼びにいってまいりましたので、しばらくお待ちいただきたいと思いますが、何かございましたらどうぞ。
 天野先生、宮田先生など、ごらんになって、これは大変だなとお感じになりましたか。それとも、何とかなるのではないかというお感じなんですか。

○天野CIO 私たち民間から言いますと、何度も言いますように、システムの話って道具だというふうに考えております。ですから、この会で公社さんが非常に大変だと思われるのは、将来のスコープ、いわゆる経営をどうするかという議論のところとシステムの間のところに、少し溝というのかすきま風というのか、表現はわかりませんが、ちょっとギャップがある。だから、そういう意味で言うと、システムだけを検討するのは、この報告書に書いてあるように、非常に大変だなというのが1つの印象です。
 そういう意味で、今後たぶん準備委員会等で議論されると思いますけれども、お互いに腹を割って、どこのところがやりにくいんだという話を、しっかりというか、明確に公社さんのほうからご提示されて、それに準備室がこたえられるというスキームをつくらないと、最終的にはお客様に迷惑をかけるということが発生するのではないかと「うのが1つ。
 もう1つは、当初の話で、やっぱり公社さんというか、民営化した後のシステムというか経営をどうするんだという、暫定とは別に本格的なところに対するプロジェクトも同時に早く立ち上げて、本来あるべき姿の民営化をされるのがいいのではないかというふうに思います。今回はいろいろな意味で勉強させていただいて、ありがとうございました。

○加藤座長 ありがとうございました。

○宮田教授 私も非常に似た感想なんですけれども、本来こういう審議は、意思決定ですから、意思決定していますね、これやりましょうと。普通ですと、経営者、最高責任者がいて、そのもとで決めていくというのが普通だろうと思うんですが、まだいないままにやっていますが、やはり情報システムは経営の一部ですから、しっかりした経営者がこれも含まれて全部しっかりリスクと責任をとる。そういういい民間的な経営が今後なされますことを期待したいなと思っています。
 例えば、みずほ銀行の例にしても、あれはシステムの問題なのか経営の問題なのか、どちらなのかというと、どちらかというとそれはたぶん経営の問題ですね。経営者が情報システムをしっかり管理できなかったという間違いであった可能性が高いと思うんですね。ですから、今後現場の方々は非常にご苦労だと思いますけれども、それ以上に経営者の方はもっとしっかり経営していただくことを期待したいと思っています。

○加藤座長 ありがとうございました。
 満塩先生、いかがですか。

○満塩シニアマネージャ 既に申し上げたところでもありますので、特段ありませんが、私もワーキングとかいろいろ聞いていても、ちょっと思ったところとしては、やはり業務設計のところが今まであまりなかったんだろうなと。そこは、逆に言えば、なかったというよりも法律に直結していたということだと思いますので、たぶん民間の企業という形になると、そこが逆に今肝になってくる、重要になってくるというところだと思いますので、それをもって、では情報システムをどうするかという議論になるかと思いますので、そういった、今までなかったところが重要視されるということを逆にご認識いただいたほうがいいのかなというふうに思っております。

○加藤座長 ありがとうございました。
 中山先生、どうぞ。

○中山委員長 たぶん、今までいろいろ議論されている中で、システムがこれだけ注目されている会議ってあまりないのかなと思うんですが、そういう意味だと、山下さんが非常に表に出て、いろいろお話しなければならない、非常につらい立場にお立ちになったのかなというふうにお察しいたします。
 そのせいなのかどうか、これだけ突き詰めて議論していろいろな資料をつくっていただきましたので、かえってこういうのをたたき台にして、今後システムというのが、それだけではなくて、その上流になるいろんな業務とか、そういった経営に直結していますよということがこれだけ明らかになっていますので、そちらも含めて、全体システムをどうやってつくっていったらいいのか、どういうシステムをつくり上げていいのかと、いろいろもっとフリーにディスカッションできるような環境ができてきたのかなと思います。
 そういう意味では、これから連絡検討会ですか、準備室の連絡検討会の中で、システムの面はあまり今まで議論になかったと聞いているんですが、これからはシステムにかかわる部分も含めて、全体像をどうしたらいいのかという議論がもっと深くできるようになるのかなと思いますので、そういう意味ですと、まだまだ山下さん、間瀬さん、出番が多いかと思いますが、上流を含めたところで、システムだけではなくて、それ以前の部分も含めたところで、精力的なディスカッションを進めていただいて、どうしたらいいのかを皆さんで議論していただければなというふうに感じています。

○加藤座長 ありがとうございました。
 今もお話ありましたが、みずほ銀行の場合も、私なんか見ておりますと、あまりにもそれぞれのシステムが違うのをそのままでいくんだということを前提にして出発したために、情報交換が全然行われていなかったというのが、何か中の人からよく聞く話なのでありますね。私は真偽のほどはわかりませんけれども、おそらく先生方がおっしゃった意味も、いろんな郵便局や何かたくさんありますけれども、そういうシステムをどうやってお互いに情報を渡しながらやっていくかということが非常にポイントになるんだということをお話しになっていたのではないかと、私は理解しておりました。
 最後に山下さん、いかがですか。何か。

○山下CIO 先ほど申し上げましから。また余計なことを言うといけないので。

○加藤座長 そうですか。
 それでは、今大臣が来られましたので、この我々のまとめました案を最終の報告書としてよろしゅうございましょうか。
 それでは、そういうことにさせていただきまして、これを大臣にご提出させていただきます。
 それでは、大臣、我々も現在までどういうふうにこのシステムの問題を考えたらいいかということで、専門家の先生方にお集まりいただいて、そしていろいろなご意見をいただき、またその中には厳しいものもございましたし、また公社側のご意見もいろいろ参考にしながら、我々の足りないところも補いながら検討を進めてまいりました。その結果、ここに1つの報告書をまとめたわけでございますが、この報告書は、いずれまたご報告はさせていただきますけれども、一通り私どもとしましてはいろんな角度から検討を加えまして、そしてその結果、全体として可能であるという、私どもとしてはそういう考え方を持ちました。
 私はこれで大丈夫かなと思い、今日山下CIOさんにもおいでいただいて、この報告書をお聞きいただいたのでありますが、山下CIOさんはこれをお聞きになりまして、いろいろと自分たちの問題点はあるけれども、しかし自分たちの考えていたことはよく組み入れてくれたし、またそのことを通じてこれからもいろんな問題が出てくると思うけれども、しかし大いに力を合わせてやればできそうだというようなお気持ちになられたようでございます。先ほどそのお話がございました。その点につきまして、私も大変うれしく思いまして、ぜひこの方向を強く進めていただいて、郵政の民営化に資していただければ大変ありがたいと思いまして、報告書を提出させていただきます。

○竹中大臣 ありがとうございます。

○加藤座長 それでは、今本検討会議の報告書を大臣にお手渡しさせていただきました。大臣からごあいさつがございますので、一言お願いいたします。

○竹中大臣 加藤座長を初めとします、本当にこの検討会議のメンバーの皆様方のご尽力、そして山下CIOを初めとします公社の方々のご協力をいただきまして、このようなしっかりとした報告書をおまとめいただきまして、担当大臣として心から改めて感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございます。
 これは振り返ってみると、システム検討会議の第1回目が開催されたのが10月12日だそうでございます。数えますと、本日が77日目ということになるんですけれども、その間、この会合を、今日を含めて7回、そしてワーキングユニット8回、計15回開催されたと伺っております。これ単純計算しますと、5日に1回会議を開いていたと。ワーキングデイだけだと、休日を除くと3.5日に1回ということで、これは本当にこれだけお忙しい方にこんなにインテンシブにご議論いただけたんだなと、本当に感謝しているところでございます。
 このシステム検討会議、もう本当にいろんなところで注目されて話題になっておりますけれども、私自身はいつも、この会議というのは、中立的で独立的なメンバーによって、プロジェクトマネジメントの考え方にのっとって、まさに専門的な立場からご議論いただく場であるということをいつも説明してきたつもりでございます。まさに皆様、各界の第一人者のプロフェッショナルとして、これはもう非常に貴重なご提言をいただいたものと考えております。この報告書では、システム開発に係るリスク評価のみならず、今後の法案の作成とか準備期におけます政府の対応についてもご提言をいただきました。これは政府としてもしっかりと受け止めて、まさに国民のための郵政民営化の実現に全力を挙げて努めてまいりたいと思っております。
 今後、この対応を可能にするために、公社にしっかりとご対応いただくと同時に、いろいろご心配の点もあると思いますので、その点に関しては、これは政府も本当に責任を持ってしっかりと対応したいと思いますし、そのようにさせますので、引き続き皆様方のご協力をよろしくお願い申し上げたいと思います。ありがとうございました。

○加藤座長 ありがとうございました。
 今、竹中大臣が計算していただいて、ああそうなのかと思ったんですが、3.5日に1度とはすごいことをやったものだなということをいまさらながら感じておりますけれども、ただ、大臣がご存じでない点がございました。それは、実は我々、いわゆるコンピュータの時代に生き残るための最先端の方々はもちろん、私のように後ろにくっついている者からいたしましても、Eメールの時代でございまして、そういう意味では、まさに会議を本当に開いている、8回、7回というワーキングユニットとかあるいは本会議以外にも、実は毎日のようにEメールの会議をやっておりまして、そういう意味では、回数は大変多かったのではないかという気がしております。ただ、私自身、大変勉強させていただきまして、この報告書でもって、なるほど、システムとはこういうふうに考えるべきものということを十分にわかってまいりましたし、また、公社のほうも、それに対して意欲的に挑戦してみようというお気持ちになっていただいたということは、大変ありがたいことだと思っております。
 この報告書につきましては、これから竹中大臣と私で総理にお伺いいたしまして、ご説明をさせていただきまして、その後記者会見を開きましてオープンにしたいと、こういうふうに考えております。
 10月の会議発足以来、約3か月にわたりまして、先生方にはご熱心にご議論をいただきまして、またご検討いただきまして、本当にありがとうございました。また、山下理事や間瀬執行役員を初めとする日本郵政公社のシステム担当の方々にも、いろんな作業や、あるいは資料のお願いをいたしまして、迅速かつ確実に、そして誠実にその質問に対しましてご対応いただきまして、ありがとうございました。この検討会議の議論・検討が充実したのも、そうしたご協力のおかげであると考えております。今後、民営化に向けてさまざまなプロジェクトを達成していく必要があることは、この検討会議での議論を通じて明らかになってまいりましたが、よりよい民営化となるように、システム対応も、それ以外の作業も、国民のためにがんばっていただきたいと思っております。
 検討会議は以上で終了させていただきますが、繰り返しになりますが、皆様、本当に長い間ありがとうございました。心からお礼を申し上げて終わらせていただきます。どうもありがとうございました。