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郵政民営化情報システム検討会議第4回会合 議事要旨

日時
平成16年11月22日(月) 
10:30~12:08
場所
中央合同庁舎第四号館(4階)
共用第二特別会議室

○加藤座長 それでは、時間がまいりましたので、始めさせていただきます。
 大変今日はお忙しいところをありがとうございました。第4回の会合でございますが、その間にワーキングユニットが何回か行われまして、前回以降、また2回お集まりいただきましたので、それで1回は出ましたけれども、今までの概要につきまして、事務局から報告を受けておりましたけれども、実際の議論の場に立ち会っておりませんので、非常に高度なお話で検討をしなければならないなという気持ちでもおりまして、メンバーの皆様方、そしてまた山下CIOを初めとする公社の関係者のご尽力に心から感謝いたします。
 さて、本日の議題でございますが、ワーキングユニットにおける検討状況につきまして、事務局から報告を受けまして、続いてワーキングユニットでの発表の補足をしたいとのお申し出が公社からございましたので、その説明をお願いしたいと思います。さらにこれまでのワーキングユニットを含む本検討会議における議論につきましては、私の指示で事務局にてサマリーを作成させましたので、これを皆様にご紹介させていただきまして、自由にご議論をいただきたいというふうに思っております。
 それでは、ワーキングユニットにおける検討状況につきまして、事務局からお願いいたします。

○高橋参事官 座長のご指名でございますので、本日も私から概要をご報告申し上げます。
 先ほど、座長からご紹介いただきましたように、前回会合以降、2回、11月15日に第5回、それと11月18日に第6回のワーキングユニットが開催されました。
 第5回でございますが、座長にもお運びいただいた上、宮田先生、中山先生、満塩先生のご参加をいただきまして、中山先生から分社化を前提とした郵便局における収支管理手法についてのご提案をいただき、次いで公社から会計に関するシステムの対応のイメージや郵便局における現金管理の現状についてのご説明をいただいた上で、質疑応答、意見交換を行いました。
 その際の概要は、お手元の資料のうち、資料1にまとめてございます。
 この資料1でございますが、その回の議論といたしましては、大別すると2種類のご意見があったかと存じます。
 第1点でございますが、上から3つ目の丸、会議メンバーからの主な意見等の一番上から、3つ目までの各ポツのご指摘でいただきましたのは、システム対応が困難な事項であっても事務フローの改善、代替的な次善の策が考え得るのではないかということかと存じます。
 第2点は、これらの一番下のポツでございますが、対応内容・時期は、分社化・民営化といった大まかな切り口ではなくて、個別の項目毎に検討されるべきという点でございます。申し上げるまでもないことですが、分社化というシステム対応や民営化というシステム対応があるわけではなく、納税対応ですとか企業会計原則に基づく経理への対応ですとか、そういった諸々の対応が分社化や民営化という言葉でカテゴライズできるのでございまして、分社化対応にどのようなリスクがあるかということではなく、それぞれの対応につきまして検討を深めていく必要があるということでございます。
 続きまして、第6回でございますが、宮田先生、中山先生、満塩先生にご参加いただきまして、第5回のワーキングユニットの関連で、公社における会計処理について若干議論いたしまして、その後、2007年までに可能なシステム対応に関するさまざまなリスクについて公社から説明を受け、その後、質疑応答、意見交換を行いました。
 その際の概要は、お手元の資料のうち、資料2にまとめてございます。時間の関係等もございますので、本検討会議のミッションにとって、非常に重要な部分のみをご紹介させていただきます。
 資料2でございますけれども、2つ目の丸、会議メンバーからの主な意見等の最初のポツでございます。読み上げますと、民営化・分社化に必要なシステム対応のうち、分社化関連のマージナルなシステム対応が占める比率は限定的であり、全体としてのプロジェクト管理の中で相当程度吸収可能ではないかということでございます。
 公社からお伺いしたお話では、民営化・分社化に必要なシステム対応につきましては、企業会計原則に基づく決算関連事務に代表されるいわゆる民営化へのシステム対応がその大半を占めるということでございました。
 この点をどのように考えるべきかでございますが、公社のご主張では、民営化だけでも非常に大変なので、分社化に伴う作業の上積みはわずかであっても回避すべきということでございますけれども、リスク評価という観点からは、システム対応に伴う諸リスクの・ナ特段の対応を求められるというものというよりは、全体としてのリスクを総合的に管理していく中で対応可能な範囲にとどまるのではないかということでございます。
 事務局からは以上でございます。

○加藤座長 ありがとうございました。
 続きまして、ただいま報告のあった第6回のワーキングユニット説明資料につきまして、その際のご指摘を踏まえた補足的な説明を公社にお願いいたします。既にワーキングユニットでご説明いただいておりますので、その違った分だけを簡潔によろしくお願いいたします。

○山下CIO それでは、公社からは、第5回及び第6回のワーキングユニットで先生方からいただきましたご指摘を踏まえまして、若干の補足説明をさせていただきたいと思います。
 具体的には、先生方から検討のご指示を頂戴しております暫定対応が抱えておりますリスクについて2点申し上げたいと考えます。
 資料3の一番最初の2ページ目をご覧いただきたいと思います。資料3-1の2ページ目でございます。
 まずその第1点は、分社化の前提となります企業会計原則の完全実施と民営化対応だけでも、2007年4月に業務面、システム開発面での準備を間に合わせることは、それだけでも極めて困難かつチャレンジングなプロジェクトであるということでございます。
 私どもは、民営化に向けての準備をこのページに整理してございますように、4段階に分けて考えております。1段階目は、企業会計の定着化を図る、これは必須の課題です。2段階目は民営化対応、例えば納税対応や新旧分離対応等、そして第3段階は分社化、第4段階は新商品対応を含むIT本格対応でございます。
 この中で一番重い課題は、最初の企業会計対応で、この段階をクリアしませんと、第2、第3段階には進むことは難しいと思います。公社の経理事務は、公社への移行に伴う混乱を避けるため、郵便局を中心に事業庁時代の仕組み、計理日主義、単式簿記をほぼそのまま継承しております。この仕組みを変えるには、取引発生ごとに仕訳認識や会計記録に落とし込んでいく新たな仕組みをつくり込み、2万4,700の郵便局と11カ所の事務センターに教え込んだ上で、その後、適正に施行されているかをモニタリングすることが必要になります。この業務フローをデザインし、定着させていくことだけでも極めて重い作業でございます。
 3ページ目をご覧いただきたいと思います。
 ただいま申し上げました課題の重さをご理解いただくため、民間銀行と郵貯事業の経営システムの現状比較をしてみますと、例えば上から2つ目の会計システムとの連動をご覧いただきますと、民間は自動連動であるのに対しまして、郵貯の場合は、仕訳は日計表からすべてハンド入力する。いろんなシステムから還元帳票をつくってハンドで入力する、手作業依存の非連動型となっております。したがって時間がかかり、誤りも多いということになります。
 4ページ目をご覧いただきたいと思います。
 決算スケジュールを見ていただきますと、民間では、日次決算が基本で、翌日には前日のB/S、P/Lが出力される。これに対しまして、公社は日次でのバリューデートの扱いを持っておりませんため、未実施となっております。つまり、日々の残高が把握できていないということでございます。
 月次決算につきまして、民間は末残と平残を翌日20日に報告している。これに対しまして、郵貯の場合、末残の把握に40日、平残は日々の残高がないので、把握できない現状にございます。
 年次決算は、民間が当局報告まで45日であるのに対しまして、公社は90日かかっています。このように、民間とのギャップが余りにも大きいため、企業会計原則及び民営化対応だけでも業務フロー及びゆうちょ総合情報システムを含むシステムの抜本的な改変が必要となります。この第2段階への対応だけでも2007年4月の実施は相当に困難な大プロジェクトであると会計監査人からもアドバイスをいただいております。したがいまして、これに分社化という新たな業務フローの変更を伴う組織形態の改革が追加されますことは、業務対応、システム開発対応をより複雑化させますので、2007年4月までの実施を一段と困難化させると言わざるを得ません。
 資料の3-2の方をご覧いただきたいと思います。3-2の3ページをご覧いただきたいと思います。
 第2は、2007年4月に間に合わせるために開発対象を絞り込む暫定対応は、さまざまな観点から大きなリスクをはらんでいるということであります。まず何よりも開発リスクが極めて大きいということです。来年6月末で仕様が固まりましても、開発期間は21カ月間しかございません。暫定対応といいましても、工数はご覧のように、約4万2,000人月に上ります。2万4,000以上の拠点、システム利用担当約8万人に上る、国内最大規模のシステムの大幅改修となります。このような大プロジェクトを21カ月という短期間のうちに、しかも公社の200人のシステム企画要員、このうち約半数は3年以下のITセクション勤務経験しかございませんが、この200人で実行していかなければなりません。開発リスクは極めて大きいと言わざるを得ません。この点につきましては、極めて重要なポイントだと思われますので、後ほどベンダー代表としての立場から、NTTデータの重木取締役から追加的な説明をさせていだきます。
 資料3-3に移らせていただきます。
 補足説明資料の2ページをご覧いただきたいと思います。
 この2ページの表は前回会合で提出させていただきました民営化・分社化に必要と考えるシステム対応のうち、2007年4月に間に合わせることができる項目と、先送りないし代替措置が必要な項目を一覧にしたものでございます。
 このうち先送りないし代替措置を行う項目について、それによって生じ得る問題点を番号で表示し、その具体的内容は次ページに列記してございます。
 例えば、左から2つ目の欄、ゆうちょ総合情報システムの網掛け部分の一番下にございます、計理日等の計表反映、窓口会社用の暫定処理を含む、は②となっております。
 そして、3ページ目の方をご覧いただきますと、3ページ目の暫定対応の問題点の②をご覧いただきますと、お客様にご迷惑をおかけするリスクが大きいと書かれております。これは、ゆうちょ総合情報システムの基幹系を改修することになるため、暫定対応による大変タイトな日程のもとでは、みずほ銀行型のシステムトラブルの発生リスクが少なくないということでございます。
 そのほか、①のそもそも、株式会社成立の最も基本的な要件である決算を適正に実施できない。③の膨大な手作業が発生する。以下、各会社は、金融機関向け規制、一般会社規制を遵守できない可能性がある。システムによる経営サポート機能が乏しく、特に窓口会社は多様なサービスどころか、自立も困難である。情報管理面でも、システム的に対応できないものが存在する。コスト面では、負担増になるといったさまざまな問題点がございますが、詳細につきましては、資料3-2にまとめられておりますし、前回のワーキングユニットで概略のご説明はさせていただいておりますので、ここでの説明は省略させていただきます。
 私どもといたしましては、政府のご方針に沿って、実務面での対応に精一杯の努力を傾注していく所存ですが、そうした最大限の努力を前提としましても、2007年4月の民営化・分社化の実施のための暫定対応案はただいま駆け足でご説明いたしましたように、余りにも大きな、かつさまざまなリスクが存在しますため、このプロジェクトの遂行に責任を持たなければならない公社といたしましては、適当ではないと判断しております。
 私からの説明は以上ですが、次にベンダー代表の立場からNTTデータの重木取締役より、暫定対応の開発リスクについて補足的な説明をさせていただきます。

○重木副本部長 それでは、NTTデータの重木から、資料3-4に基づきまして、開発ベンダから見たシステム対応リスクとその回避策ということで説明させていただきたいと思います。
 今回、郵政公社の方から示された計画というのは、当初の3年計画から1年9カ月ということで、かなり短縮された計画になっております。その関係で、色々なリスクというのが増えておりますけれども、6つのリスクに絞りまして、ここではご説明したいと思います。
 資料3-4の3ページをご覧ください。
 仕様決定リスクということで、これは従前から指摘されておりますとおりでございますけれども、17年6月までに開発仕様が決まらないと、開発期間が確保できなくなるということで、これらの明示的な保証が必要なのではないかというふうに思っております。
 次に、4ページでございますけれども、途中で仕様が変わってしまうリスクがあるということで、現在、我々はこのくらいの仕様なのではないかということで考えておりますけれども、詳細に検討していきますと、どうしてもいろいろ仕様が膨らんでくるということがございます。こういったことをどうやって余裕度として織り込むかと。
 それから、新経営陣の方がこれから決まったときに、いろいろ新しい経営のスタイルに合わないのではないかというご指摘をいただいて変えなければいけないというリスクが出てくるかどうかとかいうここら辺が気になっております。
 それから、5ページでございますけれども、大規模開発のリスク、これは非常に大きな開発ということが先ほど山下さんからご説明がありましたけれども、これぐらいの大きな開発ですと、我々も準備期間、人を集めたり場所の確保のため、半年ぐらい準備期間をいただきたいということで、来年の7月ぐらいから本格的に開発を始めるということであれば、今年の1月にヘぜひご判断のご指示をいただきたいという趣旨でございます。
 それから、6ページが短期開発のリスクということで、今回開発期間が短くなっておりますけれども、試験の期間が従前の3年計画の場合には6カ月取れておりましたけれども、暫定対処案では3カ月ということで、半分に縮まっております。通常3カ月サイクルで2回の試験をできるところが、1回でやらなければいけないということで、1回やって失敗しても、2回あればもう一度繰り返して確認できるということがございますけれども、2回目のチャンスがないということは、もし一回目がうまくいかないと、2回目のぶっつけ本番で臨まなければいけないということで、ミッション・クリティカルなシステムの場合には、非常に心配な点でございます。
 それから7ページ、完成システムの品質リスク、ここが一番、私が気になっているところでございますけれども、非常に不透明な部分の残されたプロジェクトでございますので、十分な管理を行っても不測の事態により、必要な時期までに品質の確認が得られないという事態が想定されるかもしれません。そうした場合に、銀行等のシステムで、ミッション・クリティカルなシステムでは、品質に基づくシステムの切り替えを本当にやっていいかどうか。エンドユーザーにご迷惑をかけないかどうかというのは、経営者の方が判断されて切り替えるかどうかというのをお決めになるということでございます。今回のシステムが、そういった場合に、最終的な判断、どなたがなさるのかということなんですけれども、法律等で切り替え時期等決まりますと、経営者のフリーハンドでそこは判断できないということになりますと、そこのところのリスクをどういうふうにヘッジしていくのかというのが具体的には、私どもイメージがまだわいておりません。これは私ども契約を受けたので、お前ら頑張れということ、勇気づけをいただいても、万一ということを考えましたときに、私ども責任の取りようがない場合も考えられますので、どういうふうに考えるかというのはご議論いただきたいと思います。
 最後の8ページが、人手運用のリスクでございまして、これはシステム開発とはちょっとずれるのでございますけれども、銀行さんの支店は、非常に数は少なくて、一つの規模が大きいということに対して、郵便局さんの場合には、郵便局の数が多くて、一つの郵便局当たりの規模が小さいという特徴がございます。そのために、郵便局内部での内部牽制だとか、そういった内部監査とか、そういった体制はなかなかとりにくいというのがございまして、そこら辺を私どもシステムでカバーという思想で今まで設計してまいっております。それを現場の郵便局の手作業部門の仕事が増えますと、そこら辺の管理がどうなっていくのかなという点の議論もぜひお願いしたいというふうに思っております。
 以上でございます。

○加藤座長 ありがとうございました。
 続きまして、これまでワーキングユニットを含めますと、9回もの会合を開催いたしまして、延べ時間で申し上げますと、17時間ほどの議論をいただいております。相当程度蓄積ができましたので、その議論を事務局に整理させましたので、皆様方にご紹介させていただきます。
 それでは、事務局からお願いします。

○高橋参事官 お手元の資料4をご覧になっていただけますか。郵政民営化情報システム検討会議における主な意見等という、この資料でございます。座長のご指示をいただきましたので、この各ページの冒頭に項目を抜き出しまして、項目ごとに各先生のご意見とそれに対する公社の説明をまとめて表という形で用意させていただきました。それでは読み上げます。
 まず1ページ目。これは検討の対象ですけれども、郵政公社の説明としましては、新業務に係るシステム対応が検討対象外であることはそのとおり。ただし、システム開発の中で考えていかなければならないものであることに留意が必要ということでございますが、先生方のご意見としましては、予測困難なことを織り込むといった対応は民間でもなされておらず、現状を基本に可能な範囲で議論すべき。次は、民営化後の新業務に係るシステム対応は、本検討会議の守備範囲外。3番目としまして、対応内容・時期は、分社化・民営化といった大きな切り口ではなく、個別の項目毎に検討されるべきということでございます。
 続きまして、2ページ目をおめくりいただけますか。
 2番目の前提条件という項目でございますけれども、郵政公社さんの説明では、2007年4月までに暫定的な対応を行うことについては、法律、政省令、ガイドライン等、システム設計に必要な前提条件のうち、公社外部で決定される事項は、2005年6月末までに、全ての内容が固まることが前提。それまでに内容が固まらない場合、または7月以降に変更になった場合には、対応ができない可能性ということでござ「ましたけれども、先生方のご意見としましては、公社の試算では最低3年かかるとのことだが、この試算は最大限のリスクを見積もった前提に基づいたものであり、前提条件によっては構築に要する期間は当然変わり得る。公社の想定するシステム対応は、各持株会社・事業会社が独立した上場企業であることを前提としているようなもの。同じグループに各社が属する2007年4月の段階では、公社の想定よりも相当程度少なくてもよいのではないか。3番目は、民営化後の事業展開に即したシステムに何が必要なのかは現時点では判断できないので、最小限のコスト・労力で分社化を可能とするシステム対応を行うことこそが合理的な判断ではないかです。
 次に3ページ目です。
 リスク評価の総論でございますけれども、郵政公社さんの説明では、2007年4月にシステムを暫定的に稼働、その後本格対応するとした場合、当該暫定的な対応に関しては以下のような、多角的な検討の視点が必要。法令・制度等の遵守性、経営支援の十分性、本格対応の機能実現の時期、暫定対応によるIT投資の有効性です。
 先生方のご意見としましては、一つは、対応できなかった場合のリスクといっても、影響が顧客に及ぶものと社内にとどまるものとがあり、その際に必要となるコストも異なるので、リスク評価はそれらを考慮して行わなければならない。2番目ですけれども、民営化・分社化に必要なシステム対応のうち、分社化関連のマージナルなシステム対応が占める比率は限定的であり、全体としてのプロジェクト管理の中で相当程度吸収可能ではないか。3番目、システム対応が困難な事項であっても、事務フローの改善等、代替的な次善の策が考え得るのではないか。
 次に、4ページ目でございます。4ページ目の項目としましては、リスク評価で、各論の①で顧客対応、法令遵守でございます。
 郵政公社さんの説明では、最初は決算でございますけれども、株式会社成立の最も基本的な要件である決算を適正に実施できない。現在の計理日主義・単式簿記を発生日計理・複式簿記に全て変えることは依然としてハードルが高い。膨大な手作業が必要であり、精度・信頼性が低いです。
 先生方のご意見としましては、公社、とりわけ窓口(郵便局)の事務・システムは遅れているという認識があるのであれば、郵便局で用いている日計表の項目改善や企業会計原則の適用に向け職員の研修等に努めること等、迅速な対応が可能なものから早急に対処すべきではないか。全てを一括して3年かけて行うことにはデメリットもある。
 2番目は、システムトラブル回避・品質確保でございますけれども、公社さんの説明では、運用試験・職員訓練等に確保できる時間が限られる。先生方のご意見としましては、試験・訓練への負荷軽減のためにも、できるだけ限定的なシステム対応とすることが考えられるのではないか。
 また同じくシステムトラブル回避・品質確保ですが、公社さんのご意見は、システム開発体制のリソースに限界があるため、システム稼働の遅延、システム品質の低下があり得る。先生方のご意見としましては、外部のリソースの活用等、様々な代替手段が考えられる。
 法令遵守という項目ですけれども、公社さんの説明は、預金保険法に基づくデータベースの整備や銀行法・保険業法に基づく期限までの決算公告等、銀行法・保険業法等に基づく規制を遵守できないものが存在。先生方のご意見では、システムの現状を踏まえた制度設計となるよう、関係当局間で十分な連携をとる必要がある。
 最後に5ページ目でございます。このリスクの評価。これは各論②の経営支援、リスク遮断、コストという形で一応まとめましたが、最初、経営支援機能でございますが、郵政公社の説明は、窓口ネットワーク会社のマネジメント支援機能が不足。経営に必要なデータの入手は各事業会社に依存。手数料の設定等にあたり各事業会社との関係に制約ということでございますが、先生方のご意見としましては、同一企業グループ内の100%子会社同士としての発足直後における当面の対応としては、マネジメント支援機能は不可欠であるとは言えないのではないか。  2番目は、リスク遮断でございますけれども、郵政公社の説明では、システムの共有により、リスク遮断が徹底されない。先生方のご意見としましては、マネジメントシステムを遮断することがリスク遮断の第一義であり、情報システムの非共有化は手段に過ぎない。
 最後に、コストですけれども、郵政公社の説明では、二重投資等によりコスト増が発生する。
 先生方のご意見としましては、とりあえず限定的なシステム対応を行うことについては、新経営陣の経営判断による仕様変更リスクがヘッジできるという側面がある。
 以上でございます。

○加藤座長 ありがとうございました。
 それでは、皆様方からご意見、あるいはご質問をいただきたいと思っておりますが、全体が大変長いわけでございますから、資料のまず3-1から3-2、3-3というところで、何か漏れていることがあったら、あるいは議論すべきことがありましたら仰っていただきたいと思いますが、いかがでございますか。どうぞ。

○満塩シニアマネージャ 前回、ワーキングの方でご説明いただいたので、1点だけ確認したいと思います。
 やはりちょっと見ていて違和感があるのが、今日のご説明も全体そうなんですが、分社化という言葉が一回も出てこなかったんですが、分社化によるリスクというところがやはり見えないと。
 いろいろ今までお話聞いていますと、民営化自身のシステム対応ということで、大きなリスクがあるというような方が、どちらかというには、それ自体は理解できますので、ですからそういう意味では分社化のところのもし特有のリスクというのがあれば、それはお話しいただきたいということと、私の方からは逆に全体的に意見として申し上げたいのは、やっぱり民営化自身のシステム対応というのはかなり巨大なシステムになるなということで、そちらの方の対応というのはご苦労されることになってしまうなというのがあります。
 あと一点、ちょっと郵政公社さんに、ちょっとご意見というかあるのは、暫定対応の中で、今回つくられて、私も見ていて特に、例えば資料3-3の3ページ、お客様にご迷惑をおかけするリスクは大きいというところで、その中黒が3つございますが、やっぱりシステム的に考えますと、2番目のテストのお話というのはやはり問題かなというふうに思っております。
 ただ1番目とか3番目は、先ほど申し上げましたように分社化ということを包括すると、いずれにしても民営化のシステム対応の段階でも生じるリスクだと思いますので、そちらも対応自身はもちろん必要なんですが、ちょっと別議論した方がいいのかなというふうに思います。
 あとは、ちょっと残念なのは、暫定対応で、本当ですと2番目の6カ月かかるところのところは暫定対応の中のプランニングの中で入れておいていただきたかったなというのがちょっとございますが、それ自身はあれですが、ちょっとそこのところは私としては気になるところですという意見です。

○加藤座長 何か。どうぞ。

○山下CIO まず、分社化については、何度も申し上げたつもりだったんですが、今日ご説明し、前回もご説明いたしましたように、企業会計原則対応、民営化というのは非常に重い作業でございます。それに今、我々必死で取り組み始めているところでございますけれども、それ自体でも相当なワークロードがある。分社化がそれに加わりますと、スキーム自体、業務フロー全体を見直さなければいけないことになりますので、非常に作業が複雑になります。
 それから、分社化自体のスキームもいつ確定するか分からない。NTTデータの重木さんからお話がありましたけれども、企業会計原則対応、民営化対応であれば大体見えるということで、今からでも作業はある程度始められるわけですけれども、分社化の場合には一体どういうふうになるかというところがはっきりしない。今から仮に2007年4月に民営化・分社化ということであるとすれば、そこに向けて時間が非常に限られているので、これだけの膨大なプロジェクトをやるのは相当大変です。業務フローから全部変えていかなければいけないところにさらに追加的に分社化という業務フローの変更が加わって対応しなければならないところが、我々にとっては大きなリスクであるということでございます。確かにシステム的には、分社化によって加わるところは、仰るとおりそれほど大きくないかもしれませんけれども、問題はその前のシステム開発に入る前のどうやって業務をデザインしていくというところが大変でございます。先ほど来何度も強調しておりますように、郵便局の現場、それから事務センターの事務フローを企業会計原則対応に変えていくのにどうしたらいいかというところでさえまだ時間がかかるという現状でございますので、そういった意味で非常にリスクが大きいということを申し上げました。
 それから、テストのところでございますけれども、やはり2007年4月ということを前提において、仮に仕様決定が来年の6月末に間に合うとしましても、そこから積み上げていきますと、これだけのプロジェクトをやるためには、時間がかかって、どうしてもテスト期間は3カ月しか取れないということでございまして、そういうことも踏まえますと、我々としては、生田総裁が何度も申し上げていますように、無理して2007年4月ではなくて、例えば2009年4月に向けて、民営化・分社化をまとめてやる方がリスクも少ないし、全体としての投資の効率もよくなるので、なぜ無理をして2007年4月にやらなければいけないかというのが、我々の率直な気持ちでございます。

○加藤座長 ほかにいかがでございますか。満塩先生、それでよろしゅうございますか。

○満塩シニアマネージャ はい。

○加藤座長 どうぞ。

○間瀬執行役員 ちょっと追加的に、もうちょっと具体的といいますか、分社化によるリスクということで、一番やっぱり心配していますところは、まずは決算が4つの会社別にしっかりできるだろうかというところでございます。
 現在の暫定案では、現状のシステムを使って、今は3つの事業で分けて出せるような仕組みをつくっておりますけれども、これにもう一つつけ加えてやるんですけれども、やはり完全に計数を4つの会社ごとに分けることが非常に難しい局面のところがかなり残っておりますので、そこら辺のところが、適正に実施できないということを言っているところでございます。
 それからもう一点、これは窓口に関することですけれども、現在のシステムの仕組み、業務フローの考え方は、概要のところでもご説明しましたが、結局、郵便、貯金、保険、それぞれ3事業がすべて、センターから窓口まですべて縦割りで作られています。ここを今回は、窓口の部分だけ横に切るわけなんですけれども、そうなった場合、現在窓口で作業をしている業務フローが、今回暫定で使うときには貯金を使ったり郵便を使ったり保険を使ったりするわけですけれども、本来、窓口会社としての郵便局の業務は、業務手続とシステムとを、本来的にはそれぞれので作るのが一番いいんですけれども、時間もありませんので、縦割りではなくてシステムだけは現存のものを使って、実際の業務手続は窓口会社の業務手続を作らざるを得ない、こういうふうなところをどこまで郵便局が理解して、業務運行をしていただけるか、ここら辺についても非常に大きなリスクがあるのではないかと。ここがお客様に、直接といいますか、サービス上は変わらないんですけれども、間接的にご迷惑をかけるリスクが大きいというふうに公社としては判断しているところでございます。

○加藤座長 よろしゅうございましょうか。ほかにございませんか。どうぞ。

○宮田教授 先週のいろいろな議論で、大分明確になったと思うんでずが、定量的に見えなくなってきて、資料でいいますと、3-2の一番最後なんですけれども、私は理系なもので、数字を見た方がわかりやすいんですが、今、ご説明いただきましたので、暫定対応いたしますと、9万人月だったのが4万2,000人月に変わると。そういう2段階の、暫定対応と本格対応の2段階にいたしましてかかる費用は、2段階にしたにもかかわらず5%しか増えないというわけで、つまり暫定対応プラス本格対応をすることのロスはかなり小さいと。それから今の4万2,000人月の中身のうち、1万7,000は2007年4月対応可能という部分なんですね。ですから、暫定対応部分というのは、上の窓口と財務会計、郵貯の暫定対応のところの部分ですから、合わせて2,500人月、ここのところが暫定対応、新しい部分なんですね。この暫定対応がない場合、左側の方は7万2,000ですから、7万2,000が2万5,000になったわけですね。窓口と財務会計の方はごく小規模の改造しかしないというわけですね。ですからほとんど郵貯のところだけで2万1,000あるわけですね。つまり3分の1近くになって、なおかつ一つのシステムだけ一生懸命やればいいというわけですから、プロセスとしては非常に楽になっているはずだと思いますし、むだな投資もたった5%ですから、将来の経営の自由度を考えれば、こういう暫定的なものを使った2段階の方がすぐれていると判断できると思います。
 問題は、ゆうちょ総合情報システムの数字としては、2万1,000人月のここの部分ですね。それに関連した窓口、財務会計を含めたここのところが本当に少ないリスクでできるかどうかということが問題に今なってきたと思うんですね。そこのところは今、ベンダーさんからもご説明がありましたが、この内容のかなりは分社化でなくて民営化対応だということが先週よくわかりまして、今の現状のシステムが非常に遅れてしまっている。それはシステムではなくて、やり方自身も遅れてしまっている。そしてシステムも遅れている。この2段階がありましたので、その部分が非常に大きい。分社化の部分が2万5,000人月のうちにどのぐらいかというと、先週お聞きした範囲ではそれほど大きくないように見える、それ以外の民営化の方が大きいというように印象を受けました。
 そういうことで、私は先週、いろいろなことが明確になって、暫定対応プラス本格対応でやる方が、新たに取り組むシステムが4分の1ですから、はるかリスクが小さくなってくるだろうと思います。ただ、3年というのが1年9カ月になっていますから、時間的に非常に短いですね。来年の6月からということですので、そうなるんですけれども、ここのところはもう少し具体的に詰めて、何らかのいい方法がないのか、例えば、民営化対応の部分も非常に大きいフであれば、もう早目にスタートするとか、2年以上かけるとか、何らかの工夫を凝らして、暫定対応プラス本格対応のスケジューリングした方がいいのではないかと思います。

○加藤座長 ありがとうございました。どうぞ。

○天野CIO 先のワーキングユニットを2回欠席しております。少し確認を含めて教えていただきたいんですけれども、今日のご議論を聞いていますと、ざっくりと業務対応でのシステム変更はそんなに多くないと。それよりも、民営化対応というか、要するに税金をどう払うのか、決算をどうするかという、その2点が非常に問題だなというふうな認識をして聞きますと、例えば、税金とか決算とかそういう話でいうと、通常の今ある銀行とか保険屋さんでも、民間では既にやっているわけですね。そうすると、仕様が決まらないから、リスクが大きいからという議論の中の大半は、民間の今やって見えるところがどの部分で、それと今公社さんがやって見える部分の差分を事前にチェックされれば、法律上の話はわかりませんけれども、かなりの部分、前倒しをして仕様ができるのではないかという感じが一つします。当たっているかどうかは知りませんけれども。
 もう一つは、お聞きしたいのは、もし切り替えに失敗した場合、言い方が悪いと思うんですけれども、もとに戻した場合に何が問題になるのか。ちょっときつい言い方をすると、今でも決算対応しましたと、その納期と品質について、いいかどうかわかりませんけれども、もし今それで対応が何となく認められる、日々、年々改善してもらえばいいという、そういうフェーズならば、もし切り替えを失敗したとしても、今の方向に戻して、半年込むとか1年込むとかいうことは可能かどうか。そうすると、そんなに難しくなくやれるのではないかという気もします。  ただ、郵便局等を含めて、現場のオペレーションが多少混乱するところをどうフォローするかというのは非常に問題なので、そこのところはチェックする必要があると思うんですけれども、全体的としては、仕様が大変だとか切り替えが大変だと仰るんですが、民間からすると、それ、バックアップも含めていうとやれるのではないかなという気がしますので、その辺、ちょっと少しご意見が、多分公社さんあると思うので、お伺いしたいなというふうに思いますが。

○加藤座長 山下さん、いかがですか。

○山下CIO まず最初の点でございますけれども、仰るとおり、先ほども申し上げましたように、企業会計原則、それから民営化対応につきましては、おおむね民間の事例を見ればかなりわかるところが多いので、それはこの間から申し上げていますようにできるところからどんどんやっていくという前提で、それでもスケジュール的には大変だと申し上げました。
 今仰った、今回のプロジェクトの大宗はそういう予想可能な部分が多いのではないかというふうに仰いました点ですけれども、今日ご説明したかったのは、先ほど、民間金融機関との比較で申しましたが、やはり日々の残高もまだ把握できていないというような、そういう官の計理システムそのものが残ったままで上ぶただけ複式簿記を入れるというやり方でなんとかしのいでいるということです。これについては、15年度の会計監査につきましても、これは公社法を前提とすれば、これは適正と認められるけれども、民間の株式会社の場合には認められる水準からはかなりの距離があるというふうに言われておりますので、これは絶対に直さなければいけないということでございます。
 それから2番目の点につきましては、仮に2007年4月にシステムの稼働について適正でないというふうに判断された場合に、では延ばせるかということでございますが、これは2007年4月から民営化、分社化ということで、法律で決まっているわけでございます。つまり法律で株式会社にならなければいけないということが決まってまいりますので、これは先ほどもNTTデータの重木さんからご説明ありましたように、経営者の判断として延ばすということはできない。従いまして、何かセーフガードを別途設けていただかないと、例えばシステムが間に合わないときにはその施行を延ばすとか、別のセーフガードを設けていただかないと大きな混乱が起こるということだと思います。

○加藤座長 國領さん、どうぞ。

○國領教授 話をとがらせる気は全然なくて、ちょっと明確にしたいんですけれども、先ほどちょっと2009年と仰ったんですけれども、つまり今どういう選択肢があるのかということをちょっと考えたいんですけれども、仰っているのは、やっぱり暫定をやるのは余り生産的ではないと、よくないのではないかというご判断があって、そうなってしまうと、民営化も分社化も2009年だというふうにさっき仰った選択肢というのをお考えになっているというのが一つあるわけですよね。
 それからもう一つあるのが、暫定と本格の組み合わせで、民営化と分社化を2007年にやってしまうということで、これがその検討をお願いして、今日お返事いただいた話だと。
 3つ目というのが、あるのかないのかをちょっと、お考えになっているのか、なっていないのかだけを聞きたいんですけれども、2007年民営化で分社化は2009年というのも、考えてはいらっしゃるんですか。

○山下CIO 私どもとしましては、当初は、2007年4月民営化で、ただそこは業法適用があるというふうに考えておりませんでした。従いまして先ほど申し上げましたような民間金融機関との非常に大きい格差というのをどこまで埋めるかということについては、ある程度はアロワンスがあるというふうに考えてやってきましたので、2007年4月ということで、民営化でその何年後かに分社化ということで一応いろんなことを検討してまいりました。それが最終段階で民営化・分社化ということになって、そうであるとすれば我々としては先ほど来申していましたように元々非常に大きなプロジェクトでございますから、要するに時間が、期間が短すぎるということが一番のリスクでございます。できれば2009年4月にまとめて一斉にやった方が全体としてのシステム、仮に来年の6月に法律が決まり、来年中ぐらいに仕様が最終的に固まってくるとすれば、そうすれば3年以上の期間が取れますので、そこでシステムの開発のリスクを回避しつつ、ある程度きちっとしたシステムがつくれるという意味で、我々としては、生田総裁が述べておりますように、民営化・分社化をまとめて、例えば2009年4月に延ばした方が、プロジェクトとしてはずっとリスクも少ないし、中身としても有効だというふうに考えているところでございます。

○國領教授 私前回欠席してしまったので、まことに恐縮なんですけれども、何か若干、やや不幸な、お互いに安全、のり代を見合うことで、逆に遠心力が働いているような感じがするんですけれども。先ほどやっぱり山下さんが仰った、延ばすことのデメリットという話に対して、これもあくまでもどちらかというと情報システムの方を経営環境からある程度やっぱり守るという観点に限定して申し上げるとすると、やっぱりその意味で経営環境を語りますと、やっぱりなるべく早く民間との公平な競争の場というのが生まれるのを早くしておかないと、片側でやっぱり郵政会社が、公社が新しく取り組んでいただけるサービスなんかに対してブレーキをかけつづけないといけないという話に、公平性の問題でいつまでもいつまでも議論を続けて、すごく不健全な介入したりしなければいけない状態が続くことで、逆にやっぱりその間で政治的な要因で情報システムがあっちへ飛ばされることになったり、こっちに転がされたりする期間がすごく長くなってしまって、やっぱり仕様も決まるのがすごく長くなってしまうんだと思うですね。
 それだとすると、やっぱり暫定システムでも、正直、素朴に拝見していて、できる範囲ではないかと見えるんですね。その見える範囲内で暫定システムにして、これでちゃんと民間会社なんだと。あとは経営の自由度でやっていただくんだというふうにした方が健全なように私には思えて、その上でやっぱりここの項目については、ちゃんと配慮しておいていただかないと、とても対応ができないということについて、きちんと洗い出して、ちゃんと後から混乱しないような対応をあらかじめしておくという方がいいのではないかという気がします。ちょっと後半の部分については単なる素朴な感想ですので、お返事、特に要らないんですけれども。

○加藤座長 今しかし、國領先生が仰った後半の方というのは、むしろさっき宮田先生か天野先生が仰っていたみたいに、かえって暫定を先にやって2段階にした方がいいのではないかという説ですから、そこでちょっと公社の方と違うんですね、意見が。

○山下CIO 暫定の意味なんですけれども、やはり民営化・分社化ということについては、一定のハードルがあるわけですよね。企業会計原則の遵守とか納税の実施とか、あるいは業法対応とか。そういうものをすべてはやらなくていい、できるところだけやればいいということであれば、そうなりますと民営化・分社化というのは一体何かということになると思います。
 やはり私どもとして、民営化・分社化としてやるべき最低限のものを想定して、今日もお見せした網掛けの部分だけにすると、これだけいろいろ問題がございますよと。これだけの問題を踏まえた上で無理をしてやるのかということだと思います。確かに國領先生が仰るように、それはこういう環境変化の大きい時期だから、早く民営化して自由にやるようになったらいいではないかというのは、それは確かに一つの最もなご意見だと思うんですが、他方、我々は実務を担う立場からいうと、これはなかなか先ほど来ご説明していますように、まだ日々の残高もつかめないような事務をやっているところを、一から業務をたたき直してやっていくというのは、これは大変な作業でして、そういうところもなしに、上だけ民営化、上部構造だけ民営化でちゃらちゃらやるというようなことはリスクがあると思います。それはやはりシステムも含めていわば下部構造をきっちり鍛え直した上で出ていかないと、うまくいかないのではないでしょうか。ですから、そういった意味での全体の設計というのをきちっとやった上で一気に出ていくという、それがないと、非常に大きな混乱が起こり得ると思うんですね。
 今日も何度もご説明していますけれども、別にやれるところまでやって、あとそれを民営化・分社化と呼べばいいということだったら話は簡単です。そうだとすれば、一種のバーチャルなカンパニー制みたいな形で、実質的には決算も、企業会計原則に基づいてやらなくてもいいということであれば、それは何らかの形でできるのかもしれません。しかし、それは民営化・分社化と法律で決められる以上、一定のリクワイアメントがあって、それを達成しなければいけないわけです。それをこの暫定対応では、なかなかこの短期間のうちにきちっとシステムリスクを回避しながらやっていくことが難しいわけですし、あるいはその結果としてのできたものが本当に基本方針で定められた民営化・分社化なのかということからいうと、非常に問題が大きいということだと思います。
 多分、私ども、この17時間、先生方といろいろ議論をさせていただいてつくづく感じましたのは、やはり、先生方、普通の会社が分かれて民営化・分社化されるというふうに感じておられるようですけれども、実態は普通の会社ではなく、本当に官なんですよ、まだ。そういう官の仕組みを大きく変えていくということは大変なことでございまして、しかもそれを業務とシステムを抜本的に変えて、それから2万5,000の拠点、20数万の従業員を訓練しながらやっていくという、そういう大プロジェクトです。それを来年の6月末から、その前にもちろん準備はいたしますけれども、21カ月でやっていくというのは、本当に大きなリスクだと思いますので、我々としてはもうちょっときちっとやった上で飛び出していった方が、全体としてのプロジェクトの有効性高く、民営化の最終形態への移行期間を短縮する近道なのではないかというふうに考えています。

○加藤座長 どうぞ。

○宮田教授 17時間、リスクを何遍も聞かされまして、耳にタコができるぐらいリスクのお話をお聞きしたんですが、リスクの中には、情報システムに関係ないリスクがたくさん入っているんですね。民営化に伴うリスクの方がむしろ大きいかもしれません。今の山下さんのお話も情報システムに関係ないリスクがたくさんあると。局員の教育とか、そういうものがたくさんありますけれども、それは一応、すぐやらなくてはいけないことですから、ここの会議とは別のところでそれをやっていただくと。
 今、テーマはだんだん絞られてきて、情報システムとリスクの話になってきていますね。暫定対応プラス本格対応の場合と、原案でありました約3年かけて、本格対応といいながら実は暫定対応なんですけれども、どちらの方がリスクが低いかという議論をするべきだろうと思うんですね。ところが、よく見てみますと、窓口ネットワークは現状使ったような暫定システムで8,000人月、財務会計で1万3,000、ゆうちょで5万ですね。これを3つとも3年がかりでやって同時に動かすことのリスクと、今、暫定対応を検討いただきましたら、1,000と3,000と2万と。ほとんど貯金だけやればいいんですね。この方がどう見てもリスクは、システム的なリスクは低いだろうと思われるんですけれども。そこに、両方にかかっているリスク、どっちの場合もかかってくるリスクなどは議論から外して、ここの2つを比較するべきだろうと思うんですね。期間が3年と、今来年の6月からでしたら1年9カ月と、その期間の差がありますから、それと絡めてリスクを議論するべき、もうその辺の段階に来ているんだろうと思います。余りそれ以外のリスクとか、遅れているとか、そういうことはもう遅れないように早くしてほしいということでございますので、情報システムとしてはどちらにするべきか、収めていくべきかです。

○加藤座長 どうぞ。

○中山委員長 民間になってしかも分社化ということで、一番問題なのはシステム財務会計ということを言われていますけれども、今までも山下さんと間瀬さんからいろいろお聞きして、財務会計のシステムという面でいうリスクというのはやはり余りないのかなと。当然まだつくられておりませんので、未完成の状態ですけれども、何をしなければいけないのかというのは比較的見えているシステムですから、今から、要は来年の5月、6月、全部仕様が確定するまでサインをしないわけではなくて、今からつくり上げていって2007年4月に動き出すということで、システムという意味では対応可能なのゥなと。
 やはり問題なのは、山下さんからいろいろ説明いただいてわかったんですけれども、要は2万4,000という局を含めた膨大な人員の方々に対する教育研修等々ですね。それは果たして民間会社としての部分が、果たしてそれまでに可能なのかどうかという、システム以前のいわゆる業務プロセスとか、業務フローの問題だと思うんですね。ですからそこの解消がどういう形でできるのかという次第で、システムができてしまったけれども、局の方々はよくわからないまま処理をしているということであると、結局はまた決算ができないということになりますので、果たしてそこの業務のやり方、あるいはその教育研修等ができるのかどうかという部分が財務会計については一番大きなリスクなのかなと思います。
 それと、2009年4月に一斉につくり上げたいというお話だったんですけれども、一つ窓口会社さんについて考えると、窓口会社さんがどういった会社としてこれから生きていくのかということを考えていくと、今から2009年4月に向けてこういう本格対応の8,500人月のシステムを、今から2009年4月に向けてつくったとしても、その間に多分窓口会社さんとして何をやりたいかというのは、多分変わっていってしまうと思うんですね。そういう意味だと、窓口会社さんについては、まさにまだ当面の間は何をやるかというところを考えない、この暫定対応のところで対応させてしまって、それを受けて窓口会社さんとして独自に考えたものを、そのあと本格対応としてつくり上げた方が、窓口会社さんとして望ましいシステムができるのかなと。今から本格対応の8,500というのは、現時点で考えられる窓口会社さんのやることということを前提とされていると思いますが、そこ以上のものを多分、会社として独立すれば考え出しますので、そこまでやろうとすると、2009年まで一斉に立ち上げて、それから再度、もう一回窓口会社のシステムを再度つくるということよりは、暫定型にしておいて、それからあと、また再度窓口会社のシステムを更新するという方が、窓口の会社にとってはよろしいのではないかなという気がいたします。

○加藤座長 ありがとうございました。何かありますか。

○山下CIO まず、宮田先生のご指摘ですが、システムと業務を切り離せというお話ですけれども、やはり業務を回すためにシステム開発をやるわけですから、例えばシステム開発についても、どういう業務の形をつくるかというところの詰めがないと始まらないわけです。あるいはまた暫定対応で手作業が残った場合に、業務が混乱して、例えば郵便局の窓口は4時ではなくて3時に閉めなればいけないとか、そういうことになる可能性もあるわけです。ですからその両者は切り離せないんだと思います。私どもとしてはやはり業務フローがきちっとできて、それが回るかどうか、そのためのシステム開発として暫定対応が可能かどうかという観点で申し上げておりますので、やはりそこは切り離せないのではないかと私どもは思います。
 それから、窓口会社のシステムは、ゆっくり後から考えればいいという、中山先生のご指摘でございますが、やはりそれは、窓口会社システムが自立した会社として設立され、社長が任命されるわけです。この暫定対応ですと、自分の会社の売り上げデータもほかの会社から、あんたのところは幾ら売り上げましたよと教えてもらうような仕組みが、本当にそれが独立した会社と言えるのかどうかという問題だと思うんですね。そういう意味で、私どもがいっている本格対応の場合には、来年、法律6月に通って、社長が多分その秋ぐらいには決まるんでしょうから、それを受けて、そこまでいろいろ検討して、年末までにいろいろなことを詰めて、基本的な窓口ネットワーク会社のシステムを、会社として自立できる最低限の部分について2009年4月までの3年余でつくっていくということを考えているわけでございます。やはり暫定対応というのは、窓口ネットワーク会社システムはつくらないということですので、会社をつくっても事実上、自分のシステムをもたない会社をつくるということと同じでございまして、そこはやはりちょっと違うのではないかなというのが私の印象でございます。

○間瀬執行役員 いずれにしても、最初の「3年」と違うところは、窓口ネットワーク会社システムは、WTOにかかってしまう関係で、どう考えても今の時期では作れないということで、暫定のところを対応で変えてありますけれども、実際は全くなしというのが基本的な考え方です。要は、先ほども言いましたように、現存のシステムを基本的に使って何とか逃げていこうということで考えておりますので、結局やっぱりそうすると、今、山下が言いましたように、自立した会社のシステムというのは全くないということで、本当にこれでいいのかということを懸念しているということでございます。

○加藤座長 ほかにございませんか。どうシ。

○満塩シニアマネージャ 今、山下さんの方からお話があった業務、システムの切り分けはできないということで、もちろんそうだと思います。業務だけ、ただ逆にお願いしたいところとしては、業務を完全に決まってからシステムというお話、やはり違って、要はシステムを今のこのご時世ではいろんな制限であるとか、かなりの影響力を与えますので、ですからやはりその業務、システムとして、両方を検討していただきたいなと。私もCIO補佐官というのをやっておりますが、その中でも業務、システムというのは、もうこれ一緒にもって検討するというようなフェーズでおりますので、そういった形からもやはり、逆にシステムとしてはこうした方がいいとか、そういったお話が出てくるべきだろうなというふうに思っております。そういう意味では、業務が完全にデザインされてからというのはちょっといかがなものかというふうに思っております。
 あと、仰るとおり、ちょっと話が少し戻りますが、山下さんからお話あったように、官と民との意識の違いというようなお話があったかと思うんですが、私自身もかなり感じております。やはり今、郵政公社さんのお話を聞いていると、表現はどうかわかりませんが、公務員としてのやはり成り立ちからの習慣というか、そういったものがあるのだろうなというふうにつくづく感じております。
 ただその中でちょっと考えていただきたいのが、リスクのところで、若干話になるんですが、やはりリスクをどこまで受け入れるかということを逆に考えていただきたい。リスクを小さくしても最後まで絶対残りますし、多分、2009年4月時点でも何らかの問題であるとか、そういったものは常に発生すると思います。そうすると、どこまで受け入れるかという話だと思っております。その中で結局、宮田先生とか仰っているように、私もやはり暫定的に細かい、小さめのところでシステム対応されて、本格的なところというのは新しい経営陣とかビジネスモデルとか見えてきた中で、新たにシステム構築される方が我々としては受け入れやすい、アクセプトしやすいリスクなんだろうなというふうに思っております。
 逆に、2009年までにずっと1つの仕様で固めた場合、民間会社で考えた場合、やはりビジネスモデルの変更というのに耐えられないというようなことになってくるのかなというふうにちょっと思っております。

○加藤座長 いかがでございますか。よろしいですか。
 今、重要な方向が一つ提示されましたけれども、ちょっと私もわからないんですが、資料3-4の3ページのところに、17年6月までと書いてありますね。これは2017年の6月までということですか。

○重木副本部長 すみません。これ、平成17年6月、来年の6月という意味で書いております。

○加藤座長 平成17年、ああそうですか。
 何か、さっきも中山先生のお話にありましたけれども、たくさんの教育をしなければならないのですけれども、2万4,000人というのは考えてもいいんですけれども、その教育というのを我々が考えると、一番公社が、何しろ民間に比べると全然遅れてしまっているところが、複式簿記ができていないんですよね。でもその程度の教育ですと、我々私学ですから、2万人ぐらい幾つも扱っているわけですよ。そうすると、複式簿記なんて一月で全部できてしまいますよ。教えられますよ。なんでそれで6カ月もかかってしまうかがよくわからないんですけれどもね。そういう何かやり方が違うんですかね。どういうふうに考えていらっしゃるのかよくわかりませんね。

○山下CIO 別に私ども、簡単なものを無理して難しいと言っているということではありません。今ご指摘の、2万数千というのは、郵便局の数でございまして、窓口で従事しているのは8万人以上でございます。しかし、その8万人というのは、日々郵便局で働いているわけでございます。また、私どもの場合には職員が5人以下の局が多いわけでございますから、その人たちを外して研修を平日にやるということは非常に困難です。また、この間もご説明いたしましたけれども、私どもはやはり年末年始というのは大変お忙しいわけで、そこは研修の時間をとることが難しいというようなことがございます。そういったこと状況ですので、例えば各職員に2日間、新しい端末のやり方の訓練をするためには、相当な時間とコストがかかるということでございます。
 みずほ銀行のシステムがこの年末、12月にいよいよ旧第一勧銀のシステムに統合されるということですが、今例えば北海道の職員が飛行機で東京に来て訓練を受けておられるようです。そういう訓練を全国で8万人に対してやらなければいけないということでございまして、これにはやはり相当な時間と労力がいるということでございます。

○加藤座長 それは工夫で考えられますよね。そんなに私は重大なことのようには思えないんですけれどもね。例えば、こういうときは結局リスクが起こったときに迷惑をかけるのはお客か、あるいは内部の人が受け持つかどっちかですよね。だから内部の人がやっぱりこういうときは受けとめなければいけないでしょう。内部の人が受けとめるんだったら、それは今、民間銀行なんかを見ていると、みんなシステムの改変があるときには、もう徹夜でやっていますよね。それが働きながらやろうという考え方が、ちょっと甘いような気がしますけれどもね。

○山下CIO いやいや、今申し上げているのは、郵便局のフロントは、日々お客様のサービスをやっているわけですから、その人たちを休ませて研修所に集めて研修をするというのには一定の制約があるということでございます。本部のシステム関係の人は、もちろんほぼ土日もなく徹夜のような形で働くことになるのだと思います。それは民間と変わらないと思います。

○加藤座長 外すというのは、夜やらないんですか。

○山下CIO それ、残業でということですか。

○加藤座長 はい、もちろんですよ。そんな状態にはないですか。

○間瀬執行役員 今までの訓練のお話ですけれども、郵便局の職員につきましては、新しいシステムを使って、新しい業務フローの説明ということで、業務フローの説明とシステムを使って訓練をやるわけです。これについては郵便局の職員を順番で集めて、研修所でやっています。その研修所で、今回の場合ですと、大体、1人について2日から3日のスケジュールでやっていくと。新しいシステムはまだ郵便局に展開できていませんので、やはり新しいシステムでやる場合には研修所しか方法がございません。

○加藤座長 そこら辺がちょっと私わからないんですけれども、今、いろんなところ、各地でもってどんどんみんな勉強しようというので、コンピューターの勉強なんかやっていますよね。そういうのはみんな大学が引き受けてやっているんですよね。だから、別に東京に来なくたっていいし、その場でもってどんどんやればいいわけで、簿記の勉強なんて大学ですぐできますからね。何かどうも順番を待って順々にやっていくなんていうような悠長なことを言っているような時期ではないのではないかという気がするんですけれどもね。

○間瀬執行役員 簿記の方にお話がいっているんですけれども、要は、郵便局の職員に、複式簿記の考え方が浸透していないのが事実でございますけれども、ただ実際は、郵便局の職員はお客様との取引の間で、今度何が変わるかといいますと、結局、例えば今国庫金というのがございますけれども、国庫金の取り扱いにはいろんな国税とか消費税とか、いろんな、それから保険料とか、そういうものを、種類がございますけれども、今までそこのところの区別は、郵便局そのものは自分のところで取り扱えるかどうかの区別はあっても、実際はそれを仕訳するという考え方がないと思うんです。要は、そういう仕訳という考え方を浸透させる、それは業務手続としてこういうふうなマニュアルとして作り上げて、それを教えることとなります。ですから、実際、複式簿記がどういうものであるということの教育とはちょっと違って、マニュアルを体に覚えこませるというのが訓練ということでございます。

○加藤座長 もちろんそうですよ。簿記をね、ただ原理だけを覚えたってしようがないんでね、実際にやらなければいけないんだから。それはもう当たり前の話なんですけれども、なんでそこがそんなにかかっちゃうのかな、よくわからないですね。今までの教育の方法を全く変えないでやろうったってそれは無理だと私は思いますよ。

○山下CIO いや、そうではなくて、要するにシステムが変わるわけですから、手順が変わるわけですね。ですから、そういう新しいソフトを入れたシステムを使ってやらないと訓練にならないわけです。それは、日々使っているところはまだできていませんので、そういうテスト環境を研修所につくって、そこに集めて研修をするわけです。
 ですから、さっきも申しましたように、例えばみずほ銀行さんの場合も、第一勧銀ではない富士銀行だった店舗のところから近くに第一勧銀の店舗がない場合は、東京まで北海道から来て、訓練をしなければいけないということでございます。私どもの場合には、研修所に集めて、そこでテスト環境をつくって新しい手順で、どういうふうに端末を打つかとか、この間日計表を見ていただきましたけれども、どんぶりになっている勘定がたくさんあるわけですから、それをどういうふうに分けるかという手順を徹底的に教え込むことをやるわけです。事務手順自体を現場の職員に教えこむということは、これは相当な作業でございまして、それは今先生が仰ったように早目からやっておけばいいとか、どこか夏休みでまとめてやっておけばいいということにはならないわけでございます。

○加藤座長 どうぞ。

○宮田教授 暫定対応をすれば、窓口ネット潤[ク会社も財務会計も窓口のシステムもほとんど変わりませんから、そういうリスクも原案よりもずっと少ないはずなんですね。ですからそれは、数字だけでもそのはずなんですよ。システムに手をつけない、1,000人月ぐらいしかやらないわけですよね。ほんのちょっとした修正ですから、そういうためにもこの方が、暫定の方がリスクが低いということですね。
 それから、ベンダーさんからリスクがたくさん書いた資料3-4をいただきましたけれども、情報システムとリスクというのは、経営と非常に密接に関係しているんですね。多分、この3-4の資料は古い郵政公社さんだったらこういうリスクがあるんだろうというふうに書いたような気がするんです。例えば、新経営陣の変更指示リスクというのが4ページにありますけれども、これも公社さんもしくは郵政省さんだったらこういうこともあり得るんだろうなと、そういうリスクだと思うんですね。つまり、情報システムを変えるためには、必ずリスクはあるんですけれども、しっかりした経営があればそれを乗り越えられると。
 例えば2年前でしたら、みずほがうまくいかなかった、トラブルがあったのは、経営者の認識が甘かったと。CIOと経営者の間に非常に溝があったとか、そういう経営的な問題があると思うんですね。ですからその部分も含めてやはりやらなくてはいけなくて、情報システムも業務フローも密接ですけれども、経営とも非常に密接でありますから、変革するときには、そこのところを、例えばトップにだれが立つのか、CIO、だれがなるか自身でも非常に大きく違ってくるだろうと思うんですね。その辺は天野さん日々にやっておられるだろうと思うんですけれども、そうすることによってリスクは大幅に減ることはできるし、リスクは満塩さんが仰ったとおり、絶対だれかとらなくてはいけないんですね。リスクなしで何かをできるということはあり得ませんから、その決断をしなければいけないだろうと思います。

○加藤座長 天野先生、トヨタ方式でやっていく、スパイラル、ここ入れましてね、そして後ろの方にだんだん積み重なって大きくなっていきますね。それを前の方に前倒しするということをやることは可能でございますか。

○天野CIO 多分、私が2カ月ぐらい前にお願いしました工数の分布表だと思うんですけれども、今日お聞きしました感じでいうと、税務対応等の民間が既にやっているところは仕様も大体決まりますので、かなりのところの手順も、私は決まるのではないかと思います。
 先ほどからの意見でいうと、私の感覚でいうと、ぎりぎりというかNTTデータさんだけがおやりになるかどうかはわかりませんけれども、開発も多少余裕があるのではないかというのと、導入教育について先ほどからご議論がありますけれども、もう一つは、業務フローというか、窓口ネットワーク会社用の、教育システムというと、入力データ画面表みたいなものをつくれば、かなりのところ教育も楽になるような気がします。私どもでいうと、窓口でいいますと、業務はもう既に大体は決まっています。そうすると、こういうフローでやります、そこは今現在ないので、窓口ネットワーク会社に所属するオペレーターの方に、こういう手順でやるという問答形式みたいな、この費目についてはこのボタンを押して、その次には1、2、3の選択肢があって、3を押してという、そういう業務構成というか、システム構成にされれば、かなりのところいけるのではないかと。
 もう一つは、教育訓練が、8万人に対しておやりになるときに、多分キャパシティーが問題になると。物理的な場所とか時間が問題になると思うんですけれども、それは多分今までの公社さんとは別に事務所を借りるなり何かして、そういうスケジュールをかなりきっちりやられればいけるのではないかという感じは僕はいたしますけれども。
 ただ、最後はやっぱり窓口でおやりになるオペレーターの方の、多分僕は、教育訓練というよりも、意識改革の方が非常に大変ではないかなという感じはします。システムから見ると、トヨタ自動車でいうと、ごめんなさい、開発会社は24時間、多分、我々でいうと、中国、あるいはインド使ったり、そこで24時間の対応をしていただきたい、開発自体はですね。オペレーション教育については、やり方の手順書を計算機の中に覚え込ませて、タッチ方式でやれるようにしたらというふうに思います。
 もう一つは、先々週、私、特定郵便局さんを見せていただいて、非常に大変だなと思ったのは、多分ネットワークも非常にプアでして、教育をすぐやれというには、あの現場では非常に大変なので、そこも別に教育環境はどこかにおつくりにならないと大変かなということ、一点だけつけ加えさせていただきます。

○加藤座長 それでそれをやる場合に、時期的に計画を立てますときに、それを全体を把握している、やっぱり中心になるマネージ竄髏lがいないとだめでしょうね。

○天野CIO はい。それは、私どもでいうと、個人の名前まで。例えば、私が加藤先生が何月何日にどれだけの訓練をして、それを復習して、点数が何点で、何点以下の人は再教育をするという、そういうことは必ずいたします。だからそういうところまで徹底されないと、間瀬さんが心配されてみえるようなところは当然困られるのではないかというふうに思います。

○加藤座長 どうぞ。

○國領教授 やっぱりこの検討会の時間の使い方というのを考えたいところがあるんですけれども、片側でちょっとやっぱり非常に大きなシステムで国民生活にすぐに密着しているので、混乱させられないという気持ちはすごく、多分させてはいけないんですよね、いけないものだし、それから相当大変な作業をされているということも、それはここにいる人間みんなわかっているというのを前提とした上で、やっぱりちょっとこの綱引きをいつまでやっていてもやっぱり余り意味がないような気がしまして、やっぱり対応の仕方によって、やっぱり暫定でとにかく動かそうとすると相当いろんな条件をつけないとだめで、条件をつけ過ぎると、そもそも意味がなくなるのではないかという、それもよくわかるんですが、意味がなくなるか、なくならないかというところについては、多分この検討会の意思決定事項ではなくて、恐らくこういう選択肢があって、今度、そのつけられた条件というのが現実的な条件か、条件ではないかというあたりを我々が判断するというのは多少可能なんだろうと思うんですね。
 という意味で、やっぱりちょっと落とし込んだレベルでやろうとすると、2007年でやろうとすると、こういうような話になるよねと。それ意味あるんですか、ないんですかと。そんなことぐらいだったら延ばした方がいいという意思決定というのは残念ながらここの意思決定ではなくて、我々は可能か可能ではないかというのを判断する検討会なので、2007年でやろうとすると可能なものはこんなもので、それについて意味があるかないかということについてはちょっとまたしかるべきところで意思決定してくださいということで、その条件の方をやっぱり明確にしておかないと、最後とばっちり食うのは現場だと思うんですよ。なのでこの、ですよね。

○山下CIO 仰るとおりだと思います。
 私どもとしましては、先生方から2007年4月の暫定としてどこまでできるか検討せよというご指示をいただいて暫定対応案を作りまして、それについてはこれだけ多くの問題があるということをご説明しました。時間の制約もあり、また業務の方の詰めは、システムサイド先行の形でまだ十分ではありませんので、必ずしも完全には解明できていないところもあります。その意味で、一般論ではないか等、満塩先生におしかりをいただきましたけれども、かなりいろいろな問題があり得るということはご理解いただけたのではないかと思います。
 しかし、この検討会議が、こうした私どもの目から見ますと、不完全な民営化・分社化でも構わないので、どうしても暫定対応でいくべきだという、そういうご結論を出されるなら、今まさに國領先生が仰ったように、国民生活のインフラである郵便局業務の基盤を支える情報システムについて、多大なリスクをとってシステム開発を行うことになりますので、そのリスクをできる限り小さくするためにセーフガードが必要だと考えます。
 そうした条件、システム開発の質を確保するために必要な条件としましては、第一に、政府は暫定対応に必要な業務要件に関連する法律、政省令は、この間から申し上げていますように、2005年6月末までに固め、公社に提示し、またその後の仕様変更は行わないこと。これは2005年6月末でも21カ月間しか残されていませんので、そこは必ずお願いしたい。
 第二は、暫定対応に制約される新会社の業務運営が法令や当局の規制、検査方針、企業会計原則の遵守等の各面で、違反等の問題が生じる可能性があると思いますので、政府の方でそうした問題が生じないように、必要な経過措置等の手当を責任持って講じていただきたいこと。
 それから3番目は、情報システム検討会議のメンバー等によるプロジェクト監視委員会を政府の組織として設立していただきたいということです。本委員会は、ただいま申し上げた2つの条件の実行状況及びプロジェクトの進行状況を監視するとともに、2007年4月におけるシステム稼働の適宜に関する判定を行う。プロジェクト監視委員会が、上記条件が満たされないと判断した場合、及び稼働判定に当たって不適当と判断した場合には、稼働等が適当と認められるまで法律の施行を延期するということ。
 公社としましては、情報システム検討会議として暫定対応が可能と判断される場合には、ただいま申し上げた3点をリスク回避のためのセーフガードとして必要であることを、ぜひ報告書に盛り込んでいたセきたいと強く要望を申し上げる次第です。

○加藤座長 今仰ったことの中で、監視委員会と仰ったけれども、国有の持株会社になるから、どうしてもそういう監視委員会みたいなものがありますよね。それはあれですか、別にそういうのをつくった方がいいということですか。

○山下CIO いや、今、有識者会議、あるいは基本方針に出ている監視委員会は、新会社ができてからのいろいろなビヘイビアを監視、あるいは3年ごとに民営化の進捗状況を見るものだと思います。今、私が申し上げましたのは、民営化までの、このシステム開発のプロジェクトについて、これまでいろいろご議論いただいたわけで、先生方も大変なプロジェクトであるということはご認識いただいたわけです。ですから、そうした認識を政府のご方針に沿って2007年4月までに、いわば無理をしてやるということであれば、無理をする結果として国民生活のインフラであるシステムに大きな混乱を与えてはいけないので、一種のセーフガードとして、第1、第2の2つの条件を申し上げました。この2つの条件がきちっと遵守されて、我々としてはベンダーさんと一緒に一生懸命やるわけですが、最後になってやっぱりこれはこの段階では本当はリリースできないという判断がくだされる可能性があります。しかし、法律でやることになっていますので、そのリスクを回避する必要がありますので、そういった意味でプロジェクト監視委員会の先生方にきちっと見ていただいて、これはゴーだとか、あるいはこれはやっぱり無理だからもう少し延ばした方がいいというようなご判断をいただくという、そういうフレクシビリティーを持たないと危ないということを申し上げております。

○加藤座長 余りしかし保証されてしまうと、やらなくてもいいことになってしまいますね。

○山下CIO ですからそれが監視委員会で、公社がたるんでいるとかですね、そういうことを言っていただくんだと思いますけれども。

○加藤座長 我々が考えたような予定どおりの方向に行っていないときに、ここはちょっと危ないよとかいうことを言ってほしいということですか。

○山下CIO ですから、私どもは、先ほど申しました2つの条件を満たされれば、私どもとしては、その中で精一杯やりますということでございます。その条件が満たされなくても、やれるはずだということは、それは無理なわけでございまして、そこはきちっと担保していただきたいということ。それからシステム開発でありますから、そのプロセスではどういうことが起こるかわかりませんので、そのときのフレクシビリティーを持っていないと、國領先生も仰っていたように、やはり国民生活のインフラにかかわるものですから、危ない。1、2カ月我慢すれば、郵政公社の職員が残業して我慢すれば済むという話であれば、それはそれで済むのかもしれませんが、そうではない。今度は、郵貯のシステムを短期間のうちにかなりいじりますので、そこのリスクをきちっと担保する必要があるのではないかということを申し上げています。

○加藤座長 なるべくそういう、とにかく何もない、後ろが何もないというつもりでやっていただかないと、こういうのはできませんよね。

○山下CIO ですからもちろんプロジェクト自体は、この間も天野先生からもありましたように、システム開発方針が決まれば直ちに総裁をトップとしたプロジェクトチームを作って、業務とIT部隊が一体となって、ベンダーさんと全力を挙げて一生懸命やっていく。ベンダーさんもNTTデータさんであればどこかビルを借りて3,000人ぐらい投入してということになると思います。それだけの大プロジェクトでございますから。ただ、それを全体として、公社の体制が不十分であるとか、取り組み方が不十分、それは毎月、多分そのプロジェクト推進会議にその監視委員会の先生に出ていただいてご覧いただく。あるいは政府の方でお願いした要件が満たされているかどうかについてもきちっと見ていただいて、それが例えば法律が2005年6月までに通らずに、必要な具体的な要件が決まらないということであれば、これはやっぱり延ばさざるを得ないというようなご判断をいただくということがないと、非常に開発期間が短いものですから、リスクが大きいということです。ぜひそういうセーフガードを設けていただきたいということでございます。

○加藤座長 どうぞ。

○國領教授 今のお話に賛成できるか、できないかについても、やっぱりなるべく早いうちに、6月までに決めてほしい必要条件というのが一体何なのかというのが具体的に見えてこないと、すぐ賛成とか反対とかと言うのはなかなか言いにくいような気がします。

○山下CIO 今の点につきましては、資料の3-2の13ページ以降に、まだこれから精査する必要があるわけですが、とりあえず必要な項目を、窓口ネットワーク関係を含めまして、列挙しています。私どもニしましてもなるべく早く、もし暫定対応の方向で決まるということであれば、業務と一体になって、あるいは監査法人の先生にも見ていただいたりしながら、なるべく早く、遅くとも法律の固まる来年3月頃までには必ず出すようにしたいと思います。

○加藤座長 國領先生、そういう方向でよろしゅうございますか。

○國領教授 ちょっとこの辺のスケジュール感覚というのは、わからないところがあるんですけれども。

○加藤座長 いつごろまでにそれ、ここに出ているのでいいわけですか。例えば資料3-2に出ていますね。ここで出ているリスクが11ページあたりから出ていますが、これでよろしいわけですか。

○山下CIO いや、ですから、今申し上げましたように、とりあえず私ども、この短期間のうちに業務サイドとこういう要件を早く決めなければいけない項目についてシステムサイドと一緒にとりあえず検討したものがこれでございます。これから更に作業をしまして、できるだけ早く、多分法律自体が出るのが3月だと思いますので、それまでにはこういうことを決めていただかなければいけないということを、要件をこれだけきちっと6月末に決めていただければ、今度は我々の責任になるという観点で詰めの作業をやっていきたいと考えております。

○國領教授 では、このリストも確定的にある程度固まるということですね。

○山下CIO はい。

○加藤座長 宮田先生。

○宮田教授 監視委員会とかですね、民間会社に余りあり得なさそうな発想ですよね。民営化しようとしているのに、何か官の組織のような監視委員会というのがあるの、そぐわないと私は思います。
 アドバイザー程度でしたらいいのかもしれませんが、むしろやはり、このプロジェクト、情報システムを変更するプロジェクト、もしくは経営を変えるプロジェクトにしっかりリスクをとって、リスクと責任をとる経営者の方、もしくは情報システムに関しては、情報システムプロジェクトマネジャーですね、この方は非常にすぐれた方で、ちゃんとリスクと責任をとられる方、こういう方をちゃんとお選びになって、内部の組織を実際のプロジェクトに取り込む組織をモラルが高いしっかりとしたものにすることが最大の課題だと思うんですね。それさえあれば多分できるだろうと思いますし、監視委員会よりもむしろそちらの方が先でありまして、アドバイザーは多少いてもいいのかもしれませんが、いろいろな経験のある方いらっしゃいますし、情報システムの変更というのは、ごく日常的にあちこちで行われていますね。統合したり分割したり、ずっと継続改良してきたりいろんなシステムをやっている方たくさんいらっしゃいますので、アドバイザーを置く必要はあると思いますけれども、監視ではなくて、プロモートしたり、アドバイスするのが多分いいんだろうという気がします。

○加藤座長 どうぞ。

○山下CIO 要するに経営者の判断で、稼働の時期を延ばせるというシステムであれば、それは仰るとおり、経営者の判断で、もちろん新しい優秀な経営者が決まり、新しい優秀なCIOが決まってやっていくんだと思います。しかし私どもはそういう方に引き継ぐにあたって、私どもが見て、非常にリスクがあるというシステムですので、それは、あなたたちならできるでしょうといった無責任な引き継ぎは簡単にはできません。しかも、さっきからも何度も申し上げていますように、2007年3月にシステム稼働の適否の判定をしたときに無理だという判定がされた場合でも法律で決まっていますと、それは経営者の判断にかかわりなくもうゴーになるわけです。例えば普通の統合とか、民間会社のシステムであれば、社長の判断で、ではシステムの稼働は何カ月か延ばそうということができるわけですけれども、この場合はできないわけです。しかも私どもは基本的にさっきから申し上げていますように、こういう暫定対応のやり方はリスクが大きく不適当だというふうに思っているわけですけれども、先生方はこれはぜひやるべきだと仰っているわけです。したがってこれはそういう形で、政府がリスクをとってお決めになるということでございますので、それについては前提条件となるものについて、きちっと公的な枠組みの中で見ていただいて、しかも問題が起こったときに、法律が守れなくなるわけですから、そこの担保はやはり十分講じていただきたい。名前が悪ければ、プロジェクトアドバイザー委員会でも構いませんが、中身はそういった意味でのある程度公的な枠組みがないと、極めてリスクが高いというふうに私どもとしては考えております。

○加藤座長 どうぞ。

○満塩シニアマネージャ 私自身も最初の方にも言ったかと思いますけれども、この会以降、多分何らかの経過を理解していくという組織なり何かが必要かなというふうに思っていますが、ただ私は、宮田先生の仰るところは、どちらかというと、内部的にちゃんニプロジェクトマネジメントしてくださいよというお話だと理解しています。先ほど経営者という話がありましたけれども、意思決定者というのが誰かと考えると、今回、経営者の方もそうでしょうし、国の方も関連してくるだろうなと。その程度がどれぐらいかというのを私自身もまだ理解していませんが、両方かかわってくるだろうなと。そうするとその中で、単に外の機関を置くという話ではなくて、まずは内部に日常的にプロジェクトマネジメントとしてちゃんとオーガナイズ、組織を運営していく方が必要でしょうねと。それに対するまたカウンターという形であればそれはあるんでしょうねというようなお話だと思いますので、ですからそういう意味では、言葉だけの問題かも、もちろん山下さんも仰ったように、言葉だけの問題かもしれませんけれども、そういったところを逆にプロジェクトマネジメント機能はちゃんと入れてくださいねというのが、多分私からもお願いかなというふうに思っております。それは公社の内部としてやっぱり置いてくださいということです。

○加藤座長 公社内部に間瀬さんみたいな有能な方いらっしゃいますか。どうぞ。

○重木副本部長 資料3-4の7ページで、完成システムの品質リスクということでご説明申し上げたんですけれども、もちろん公社内部でプロジェクトマネジャーをきちんと置かれて、十分管理を行うということが前提にあると思います。
 今回論じられているのは、そういうような完全な善管注意義務をきちっと守って、きちんと管理した上でも最終的にリスクが生じた場合にどうするのかということで、民間銀行であれば経営者の判断によってそのリスクの回避、これは2つしかないと思います。古いシステムのまま継続するか、突入するかということなんですけれども、今回の場合、古いシステムのまま運用するということが難しいとしたら、突入しなければいけない。切り替えを完遂した場合に、不幸な事態が起きるということが予見された場合に、経営者の予見、判断で、それを先延ばしする権限が与えられているかどうかということが問題だと思うんですね。与えられないとしたら、これは誰が代わってその判断をできるのかということは、ちょっとここははっきりしておかないと、後でもめると大変なものですから、そこだけははっきりお願いしたいと思います。

○加藤座長 どうぞ。

○満塩シニアマネージャ 今のお話で、システム構築の方とお話、私も何回かするので、少し話を整理したいところとしては、システム開発自身のプロジェクトマネジメントという意味で私は申し上げたつもりはございません。全くそこはもちろんいらっしゃると思っていますし、それ自身はいらっしゃると思います。ただ逆に言えば、今の山下CIOの立場として、国との調整であるとか、経営陣との調整ということをされている方がいますよねと。そこのチームをちゃんとつくってくださいというところです。その下に逆に言えば情報システムマネジメントのところの、情報システムのプロジェクトマネジメントというのは位置づけられるというふうに思っていますので、ですからそこはもう一階層上のプロジェクトマネジメントのチームというか、そういったところにちゃんと機能を設けた方がいいというお話です。

○加藤座長 大分議論をしてまいりまして、もう12時を過ぎてしまいましたので、そろそろ今日はこれで終わりにしたいと思っていますが、今、ずっと伺ってまいりまして、政府に対する要望も幾つも既に公社から出ましたけれども、安易にそれに乗るわけにはいかないので、ちょっとそれがね、かえって民間企業がやっているのにそんなことを考える必要があるのかという疑問がございますので、そこまでははっきり申し上げられませんが、しかし、今、竹中大臣もお聞きになっていらっしゃいますから、そういったことの話も、もう恐らく心の中でとめておられると思いますので、どういうふうにするか、これはむしろ政府にお任せしまして、我々としては、この会議では、理屈からいってできるだろうかということについての答えを出すという、そういう方向でいけばいいのではないかと思っていますが、その方向へ向かってこれからも時間がもう余りない、遅くなればなるほど公社が新しい教育や何かを始めるのに遅れるわけですからね。したがってなるべく早い方がいいと思っていますが、そういうことを考えて、なるべくこれ進めていきたいというふうに思っていますが、今日はこれで終わらせていただきますが、この議論を整理いたしまして、それについてのご議論をいただきまして、これを踏まえまして、取りまとめの作業を少しずつやっていきたいと、こんなふうに思っております。
 基本的には、ご一任いただくことが幾つか出てまいりますけれども、しかし何かご意見ございましたらば、事務局経由でご連絡をいただきまして、そしてさらに煮詰めていきたいと、こんなふうに思っておりますBそういうことでよろしいんですね。
 次回のことで何かありましたら。

○高橋参事官 それでは、次回の会合の日程ですけれども、11月30日、火曜日、時間が16時から17時30分でございます。場所につきましては追って連絡させていただきたいと思います。今後の会合での議題やワーキングユニットの検討事項につきましては、座長の指示を仰ぎつつ、事務的にご連絡させていただきたいと考えておりますが、もし何かございましたら、事務局にご連絡いただければと先生方にお願いしたいと思います。随時ワーキングユニットを開催する形で対応させていただきますので、遠慮なくお申しつけくださいませ。
 以上でございます。

○加藤座長 ありがとうございました。
 今日はこれで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。