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郵政民営化に関する有識者会議第1回会合 議事要旨

日時
平成16年5月13日(木)
18:00~19:00
場所
虎ノ門10森ビル(5階)
郵政民営化に関する有識者会議室

○中城審議官 それでは、本日は皆さんお忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございます。定刻になりましたので、これより「郵政民営化に関する有識者会議」の第1回会合を開催いたします。
 まず、本会議の発足に当たりまして、竹中経済財政金融担当大臣よりごあいさつ申し上げます。

○竹中大臣 改めましてでございますけれども、竹中平蔵でございます。今日は先生方、忙しいところ、このように時間を取ってお集まりをいただきまして、本当にありがとうございます。
 もう既に御案内のとおりだと思いますけれども、小泉内閣発足のちょうど3周年に当たります4月26日に、この郵政民営化に関しましては、経済財政諮問会議で中間の論点整理を行いました。その4月26日に総理自らが出席をされまして、この準備室が発足をしております。発足に当たって総理はこの準備室の職員全員と握手を交わして、その中のあいさつにおいても、とにかく郵政民営化というのはいかに重要な仕事なのか。これはもう外堀も内堀も埋まったんだと。強力に民営化を進めていくというお話がありまして、改めて総理の郵政民営化に対する非常に強い思いを私自身も感じた次第でございます。
 これから、この準備室においては、法案の作成作業、更には具体案の準備等々いろんな作業を進めていかなければいけないと思っておりますけれども、それに当たって、幅広く有識者の先生方からアドバイスをいただきたい。もうお願いはその一点でございます。
 これだけ大きな郵政の民営化という、言わば歴史的な仕事でありますので、これは先生方のさまざまな知見を御披露いただかなければ、とてもできる仕事ではないと思っています。
 これから、本当に大きな山に登らなければいけないという思いでおります。是非忌憚なく、さまざま御意見を賜りたいと思います。
 政策というのは、私、いつも申し上げるんですけれども、40点、50点をいかに60点、70点にするかの努力であるかと思います。
 そういう意味で先生方にさまざまな観点からの御協力を賜りたいと。そのことを改めてお願い申し上げまして、簡単でありますけれども、お願いとごあいさつとさせていただきます。
 ありがとうございます。

(報道関係者退室)

○中城審議官 それでは、この会議、言わば前身といたしまして、「郵政民営化連絡協議会」という場もございましたけれども、そのメンバーの方々は引き続き郵政民営化についての御議論をいただくということでございますけれども、当会議の発足を受けまして、メンバーの御紹介、「五十音順」でさせていただきたいと思います。
 まず、東京大学の伊藤教授でございます。

○伊藤教授 伊藤でございます。よろしく願いします。

○中城審議官 マッキンゼーアンドカンパニーの宇田プリンシバルでございます。

○宇田プリンシパル 宇田でございます。どうぞよろしく願いします。

○中城審議官 日本総合研究所の翁主席研究員でございます。

○翁主席研究員 翁でございます。よろしくお願いいたします。

○中城審議官 慶応大学の吉野教授でございます

○吉野教授 吉野でございます。よろしくお願いいたします。

○中城審議官 なお、本日は御多用ということで、あいにく御欠席でございますけれども、日本公認会計士協会の奥山会長、北海道大学の宮脇教授のお二方にも参加を御承諾いただいているところでございます。
 それから、郵政民営化の具体化作業を進める事務局といたしまして、内閣官房に先ほど御紹介ありましたように、郵政民営化準備室が設けられましたが、本会議の庶務を担当させていただくということでございます。いろいろお世話になると思いますが、簡単に自己紹介をさせていただきます。
 それでは、室長からお願いします。

○渡辺室長 渡辺でございます。このたび郵政民営化の準備室長を拝命いたしました。諸先生方には大変お忙しいところ日程をやりくりしていただきまして、大変ありがとうございます。私の方からも改めて御礼を申し上げます。
 竹中大臣からもお話し申し上げましたように、経済財政諮問会議、それからこの有識者会議に先立つ連絡協議会で13回議論が行われておりまして、それが論点整理という形で先ごろ発表されたところでございます。
 私どもはこの論点整理をベースにいたしまして、これから具体的には法律案の作成をするという作業に取りかかることにしておりますが、2007年の4月という郵政民営化の時期を踏まえますと、基本的な法律案につきましては、次の通常国会までにどうしても間に合わせなければならないと思っております。
 また、経済財政諮問会議の最終報告は秋ということになっておりますので、秋までの道行きを見ながら、その玉込めも同時にしていくということで、大変忙しい作業になると思っておりますけれども、この日本の構造改革にとって大変重要な郵政事業の民営化という問題につきましては、法律案の作成もさることながら、国民一般から見て、わかりやすい形でその利益なり、なぜ今これをしなければいけないか。もっと端的に言いますと、なぜ今民営化なのかということをしっかり外に打ち出して共通意識をつくるということが大事だろうと思っております。
 そういった点につきましても、先生方から十分なる御指導・助言を賜りまして、経済活動として円滑に運営がなされるという側面、それから日本の構造改革にしっかり寄与するという側面、その2つが実現できるように是非お願いしたいと思っております。
 私、室長を務めますが、副室長として、鍋倉、それから高木でございます。それから先ほどから司会をしております審議官の中城でございます。
 参事官が2人おりまして、1人は利根川でございます。それから小風でございます。
 まだ、総括ラインだけしかでき上がっておりませんが、いずれ実業の話に関わりますので、今後、夏に向けまして、3つもしくは4つのラインをつくって、かなり突っ込んだ組織体制にしていきたいと思っておりますので、是非その折にも御指導賜りたいと思います。
 御挨拶を兼ねまして、自己紹介をさせていただきました。

○中城審議官 我々、今紹介ございましたように、まだ1つのラインだけでございますけれども、現在、総勢職員23名、非常勤4名の27名体制でございまして、この民営化の具体的な姿に向けて全力を尽くしていただきたいということですので、よろしく御指導、御鞭撻をお願いします。
 それでは、早速、お手元に配布の議事次第に沿って議事に入らせていただきたいと思いますが、まず、本会議の趣旨等につきまして、事務局から御説明申し上げます。どうぞ食事をとりながらお聞きください。利根川参事官お願いします。

○利根川参事官 参事官の利根川でございます。
 お手元にお配りしております郵政民営化に関する有識者会議 第1回会議議事次第、以下のペーパーに沿いまして、御説明を若干させていただきたいと思います。
 まず、頭紙と座席図の後に資料の目次がございますが、それの1ページ目をおめくりいただきたいと思います。
 「郵政民営化に関する有識者会議の開催について」と題しましたペーパーが1ページ目にございます。これは私どもの郵政民営化準備室が発足をいたしました当日にそさっそく決定をさせていただきました当会議の開催に関する規則でございます。
 「1 趣旨」でございます。「経済財政諮問会議の審議を踏まえ、郵政民営化の具体案及び必要な法案の作成業務等を行うに当たり、有識者の参集を求め、助言及び指導を受けるため、『郵政民営化に関する有識者会議』(以下「会議」という。)を開催する」というふうにございます。
 この冒頭の経済財政諮問会議の審議でございますけれども、これにつきましては、資料3、4ページにございますが、開催状況がございます。延べ10回にわたりまして、経済財政諮問会議で検討がこれまでなされてきたところでございます。
 まず3ページの冒頭にございますけれども、昨年9月26日に「小泉総理より、郵政民営化の議論を経済財政諮問会議で行うこと及びそのとりまとめを竹中経済財政政策担当大臣が担当することを指示」というのがございました。
 その後、第21回の10月3日の会議におきまして、「田中直毅氏から『郵政三事業の在り方について考える懇談会』報告書の趣旨等について説明」がありました。田中直毅さんは、この懇談会の座長を務められた方でございます。
 それから、竹中大臣から郵政民営化の検討に当たってのポイントについての説明があり、麻生総務大臣から郵政事業の現状等について説明がございました。
 以下、11月18日、12月19日を経まして、今年に入りまして、平成16年2月17日に生田日本郵政公社総裁及び田中直毅氏から郵政事業の実情等について説明を受け、4ページ、3月11日に「窓口ネットワークの機能」及び「郵便事業の機能」について議論を行い、更に3月23日に「郵便貯金事業の機能」及び「簡易保険事業の機能」について議論を経た後、4月7日に竹中大臣から「郵政民営化に関する論点整理(素案)」を提示いただき、議論をなされまして、4月21日に「郵政民営化に関する論点整理(案)」の提示、更に4月26日「郵政民営化に関する論点整理」の了承に至ったところでございます。
 この論点整理の資料につきましては、5ページから7ページに掲げられておりますけれども、これについては後ほど御説明をさせていただきたいと思います。
 今後は、この論点整理を受けまして、私ども郵政民営化準備室においてさらなる具体化の検討を進めまして、更には法案の作成作業を進めていくことになるわけでございますけれども、この有識者会議におきましては、その作業に対する助言及び指導をいただきたいという趣旨であるということでございます。
 続きまして、元に戻っていただいて恐縮なんですけれども、1ページの「郵政民営化に関する有識者会議の開催について」というペーパーの「2 構成及び運営」とございます。構成につきましては、先ほど中城審議官の方から御紹介をさせていただきましたとおりでございますが、(3)の関係でございますけれども、運営につきましては、定期的に開催と書いてございます。皆様におかれましては、それぞれの分野で御活躍のことと承知しておりますので、いろいろと御迷惑をおかけするかもしれませんが、私ども庶務を担当する方から、今後の日程について随時お伺いをした上で、日程の調整をさせていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 なお、今後の議事の模様でございますけれども、これにつきましては、会議終了後に議事の概要につきまして、事務局からブリーフィングをさせていただきたいと考えております。その後、議事要旨を作成いたしまして、これを皆様にチェックをしていただきまして、そして公開をするという取り扱いにしたいと考えております。
 なお、事務局からのその日、その日のブリーフィングにつきましては、発言者の名前というのは伏せさせていただいて、対応させていただく。議事要旨で発言者の名前を出させていただくと考えておりますので、皆様に取材等がございました場合には、議事要旨の公開までの間は、御自身の御発言以外の紹介はお控えいただきたく存じます。
 以上でございます。

○中城審議官 それでは、続きまして、先ほどの事務局説明で御紹介させていただきました経済財政諮問会議でとりまとめていただきました郵政民営化に関する論点整理について、私から概要を御説明いたします。資料5ページでございます。
 「郵政民営化に関する論点整理」4月26日の経済財政諮問会議で決定されたものでございます。
 「はじめに」というところで、郵政民営化の考え方について書いてありますが、「明治以来の大改革であり、改革の本丸である。その効果は、財政、行政のみならず、金融、物流等の関連産業にまで及ぶような壮大・深遠な改革である」ということでありまして、「民間にできることは民間に」という方針の下で、「官から民への転換を図り、日本経済を活性化させるためには、郵政民営化は避けて通れない改革である」ということで、諸外国の経験等に学びつつ、改革を成し遂げなければいけないということでございます。
 昨年10月以来諮問会議で検討してきましたが、その結果の概要は以下のとおりということで、今後はこの論点整理を受けて、国民との対話等を通じて、幅広い意見を集約しつつ、五原則に沿って民営化後の具体的なビジネスモデルや組織の在り方について検討を加え、本年秋ごろを目途に最終報告をまとめるということになっております。
 まず「民営化の意義」でございますが、公社は窓口ネットワーク、郵便事業、郵便貯金、簡易保険という4つの重要な機能を担う存在だということで、それぞれが市場で自立できるようにすることを通じて、まず事業間の適切なリスク遮断を行いつつ、それぞれの機能が十分発揮されることによって、良質で多様なサービスが安い料金で提供できるように国民の利便性を最大に向上させる。
 2番目としましては、郵政公社に対する見えない国民負担を最小化する。
 3番目に、特殊法人等の公的部門に使っていた資金を縮小させ、国民の貯蓄を経済活性化につなげるとともに、財政の健全化を促す。こういったメリットを実現すべきではないかということであります。
 次に民営化によって、民間企業とのイコールフッティングを確保するともに、並行して経営の自由度を高めて、既存の事業や組織の効率化と成長事業への進出の双方を積極的に進めることによって、収益力を高めていくべきではないかということが書いてあります。 次に、4つの機能につきまして、それぞれ目指すべき方向を書いてございます。
 「窓口ネットワーク」につきましては、幅広いサービスの拠点ということで、すべての国民が利用可能な状態を維持しつつ、窓口ネットワークの効率化を進めるべきではないか。 2番目に、民営化後も引き続き郵便・郵貯・簡保のそれぞれのサービス提供の窓口としての機能を果たすべきではないか。
 3番目に、国民の利便性のためにも、事業展開の自由度を最大限に高めて、多様な事業形態の導入や窓口で提供するサービスの多様化を進めるべきではないか。
 それから、多様なサービスを扱えるようにするためには、窓口ネットワークのガバナンスの強化、情報やリスクの管理を強化すべきではないかということでございます。
 次に「郵便事業」でございますが、郵便事業については、既存の郵便事業の効率化の余地が存在するということから、最大限の効率化というのは当然でありますが、次に郵便のみならず、物流にも進出して、郵便・物流事業を総合的に手がけるようになるべきではないか。
 特に世界に通用するような総合的な郵便・物流事業の成長を目指して、アジアの物流市場等の成長市場に戦略的に進出すべきではないかということでございます。
 次に「郵便貯金・簡易保険」、ここは2つの機能を1つにまとめてございますけれども、民営化を通じて郵政公社の金融分野における経験・能力を踏まえつつ、利用者のニーズに十分応えることのできるビジネスモデルの確立を目指すべきではないか。
 ビジネスモデルの検討に際しましては、事業展開の自由度とイコールフッティングの度合というのは表裏一体であるということを踏まえつつ、以下の点に十分配慮して郵政公社の有する膨大な資金が民間金融システムに円滑に統合されるようにすべきではないかということで、まず規制改革等の金融改革の進展との整合性の確保。
 次には、地域・社会への貢献と金融機関との競争・共存のバランス。
 次の点としましては、郵貯・簡保の民営化が財政構造改革を妨げることのないように、以下の点に十分に配慮すべきではないかということで、財投改革、政府系金融機関や特殊法人等の改革との整合性。国債の安定消化への貢献といったようなことが書いてあります。 次に、民営化前の預金・保険におついては、民営化前と同等の水準の保証を継続するとともに、適切に運営すべきではないか。一方、民営化後の新規の預金・保険に対する保証については、民間と同等の扱いとし、適切に運営すべきではないかということでございます。 最後「民営化のあり方」ですが、2007年に民営化を実現する。今後10年間で相当数の職員が定年退職することが見込まれること等からしまして、最終的な民営化の姿を実現するまでには、移行期間、大体5年から10年程度というものを設けるべきではないか。移行期間においては、最終的な民営化の姿の実現に向けてできることは一挙に実施するとともに、定期的に民営化の進捗状況をレビューすべきではないか。
 今から2007年の民営化までの期間を準備期間と位置づけて、この期間の重要性に鑑みて、公社と政府の双方がこの期間から民営化を視野に入れた戦略的な取り組みを始めるべきではないか。
 準備期間、移行期間、それから最終的な民営化の姿を実現するといった段階に応じて経営の自由度、イコールフッティングの度合い、国の関与のあり方等を考えていくべきではないか。
 また、そうした段階を通じて、民営化の進捗や関連する制度の改正等を全体的として適切に管理することにより、現在郵政公社が抱える困難な問題に適切に対処するとともに、金融市場等の関連する民間市場や財政制度等に混乱を生じさせないようにすべきではないか。
 それから、提携、買収等も含めて民間企業の経営資源やノウハウを積極的に取り込むこと等を通じて、収益力のあるビジネスモデルを構築すべきではないか。
 それから、郵政公社の職員の雇用に支障を来たすことのないように、安定した経営を可能とすることが必要ではないか。また、民営化に際して、職員のモラールと労使関係の安定に配慮すべきではなか。
 それから、ユニバーサルサービスについては、定義やイコールフッティングとの関係を含め引き続き検討し、必要とされるサービスについては、その提供が可能となる枠組みを確立すべきではないかということでございます。
 それから、当面いかなる御議論をいただくかということでございますけれども、最後に参考に9ページのところに竹中大臣の記者会見の模様をちょっと書いてありますが、これからの論点整理で詰めていかなければけれならない問題点というのがかなり明確になっているので、こうした点を関係の皆さんからヒアリングを行うということが重要なプロセスになるのではないかということでございまして、具体的にどういうヒアリングをやるかということについては、今日の場も含めて議論させていただきたいと考えております。
 事務局からは以上でございますけれども、本会議の趣旨及び当面の方向性、今まで御説明したことなどにつきまして、本日は自由に御意見をいただきたいと考えております。

○竹中大臣 今日は7時までと時間が限られておりますけれども、これはどういう意味かとか、今後どうやっていくんだとか、こうやってくれとか、要望、進め方も自由に先生方の御意見をいただければと思います。

○宇田プリンシパル 普段コンサルタントをやっておりまして、自分たちが言っていることが一体だれがクライアントなのかというか、だれに向かって議論をするかというのは常に気にする立場にあります。質問としては、今、ここで今後議論をするときに、受け手はだれなのか。何かコメント、あるいは何かを言ったときに、これは室長に対してのお話なのか、それとも大臣に対してのお話なのか、この辺りのところはどういう位置づけなのかというのは今の御説明の中で十分でなかったので教えていただけるとありがたいなと思います。

○渡辺室長 この要領というか、設置の趣旨のところを見ていただけたらと思うんですが、まずこの設置の趣旨は、私の決裁でできているわけです。ですから、準備室長が皆さん方にお願いをして会議を開催いたしました。
 何回か申し上げましたけれども、我々がこれから法案を作っていく。それから最終報告に煮詰めていく。特に組織論などは大分残っておりますので、そういうプロセスの中で私に対して、私をトップとするこの準備室に対して助言と御指導をいただきたいということでございます。勿論、我々に対して指示をするのは担当の大臣である竹中大臣でありますけれども、皆さん方にお願いしたいのは、私と私のスタッフに助言をいただきたいということでございます。

○吉野教授 4つの機能の中で国際的にアジアでやっていこうというのが物流しか入っていないんですけれども、私はネットワークもこれに使えるんではないかと思います。是非そこをもう一つ考えていただきたいと思いますが、今、アジアの債券市場ができようとしているんですが、あそこのプレーヤーとして入って来ようとしているのは全部欧米系なんです。せっかく日本を中心にして一生懸命債券市場をつくろうと思っているんですけれども、大体国際会議に行きますと、彼らがアジアで宣伝しております。
 ですから、ああいうネットワークと日本の郵貯のネットワークをうまく結び付けなきゃいけないということ。
 もう一つは、アジアの国々は少額貯蓄でありまして、日本の終戦直後、あるいは戦争の最中くらいの金を預けているわけですけれども、そこをどうやってうまく使っていくかということができていないところがあります。ですから、そこをうまく結び付ける形で、日本の郵貯のネットワークもああいうところに、ODAのお金も含めて国家戦略としてやっていただけないかと思うんです。そうすることが日本の金融業がアジアでもっと活躍できる下地にもなるんではないかと思うんです。ネットワークが日本と結ばれ、そうすれば資金の流れもよくなるような気がいたします。それが1つです。
 2番目は、先ほどのだれに向かっての民営化というときに、よく私などは近くの方とお話しすると、本当によくなるんですか。これまでうまくやっている郵政事業というのを何で民営化するんでしょうかという素朴な質問を受けるわけです。それが前回の見えざる国民負担、これをまず推計していただいた方がいいんじゃないかと思うんです。
 そうすることによって、今まで見えていませんけれども、これくらいの本当は負担があるんです。これを改革しませんと、将来的に大変であるということが、是非見えざるものが見える国民負担として推計していただけないかと思います。
 最後は、今後の郵政事業の中で手数料収入というのが私たちは今後必要だと思うんですが、現在の日本の手数料体系自身がものすごく歪んでいると思います。それは民間の金融業の手数料が歪んでいると思うんです。これが貯蓄から投資へということをなかなかうまくできない理由だと思います。
 それはいろいろな例を申し上げますと、ある特殊な年金の手数料が高いんです。それが銀行にとって収入が高いんです。ある特殊な投信の手数料収入が多いんです。そうすると、窓口ではそれを売ろうとするわけです。しかし、それは本来その投信がいいか、悪いかではないんです。これも含めて、今後郵貯でいろいろなものを売っていく場合に、手数料体系というのはどうあるべきか。それが本当に国民の将来の収益になるような手数料であるかということも含めて是非前向きに考えていただきたいと思います。
 最後は、この改革が新郵政と民間金融機関が両方強くなる、民間の金融業がこの民営化を通じて強くなりますし、新郵政ではそれを利用していい形でアジアにも展開でき、また日本の金融業がアジアに展開できて儲けられるという改革であってほしいと思うんです。 以上です。

○竹中大臣 何か決定するような話ではないと思うんですけれども、どういう議論が今まで諮問会議、その周りでなされてきたかということを踏まえて、専門家として先生方にお願いしているわけですから、この中では専門家として忌憚なく、思い切っていろんなことを言っていただきたい。
 政策でありますから、ここで議論していただいて、私たち自身も納得して、なるほどそれが一番いい理想だと思っても、私自身はよく例示で申し上げてきたんですけれども、ああするんですか、こうしないんですかと意思決定を10個やると、実は算数では2の10乗通りの改革案ができる。1,024 通りの改革案ができるということになる。
 20の意思決定をすると、100 万通りの改革案ができるようになる。その1,024 通りのうちのベスト、一番いいものに多分できるということはこれは不可能だと思う。我々としては、やはり1,024 通りあるとすれば、できればトップ10か20に入るものにしたい。1,024 通りの800 番や900 番では困る。
 我々としては、1,024 通りのベストに近づけるように努力をする責務を負っていると。そのように思っております。
 それから、よくなるかどうか。見えざる国民負担がどうかということに関しては、議論をどこかでしっかりやっていかなきゃいけないと思います。
 あと、債券市場のネットワークということを言われましたけれども、ここで言うネットワークというのは、窓口ネットワークのことを言っております。そういう経験、能力やニーズを踏まえて考えていきましょうということが、この論点整理の中に書かれています。
 手数料体系の話は、これだけ大きなものを民営化していくのと、今の民間市場に対して大きなインパクトを与えるだろうということを感じます。
  最後に言われた民間と郵政を両方強くするというのは、まさにそのとおりだと思います。

○伊藤教授 意見というか、これから皆さんと議論するんで、少し個人的な感想とか、あるいはこういうことを是非皆さんと議論して教えていただきたいということも含めてお話しさせていただきたいと思います。
 一番申し上げたいことは、竹中大臣がおっしゃったことと多少関係があるかもしれませんけれども、1,024 なら1,024 の可能性のある中の上から20~30くらいのものをどうやって取っていくかということはかなり大事なことで、これは是非皆さんと議論したいと思うのは、恐らく細かいところをいろいろ詰めていくと。それなりに1つの方向というのは出てくると思うんですけれども、多分、一番我々が気を付けなきゃいけないのは、議論の結果と現実のいろんな対応の結果、でき上がったものが非常にグロテクスなものができるということを一番避けなければいけないんだろうと思うんです。
 これは私の個人的な印象なんですけれども、この諮問会議の論点整理を見て、最後の方にイコールフッティングとユニバーサルサービスのことが書いてあって、非常にあいまいな書き方がしてあって、これは恐らく難しい問題だろうと思うんです。
 恐らくユニバーサルサービスということの裏の意味には、公的な機能というか、本来全くの民間企業であればひょっとすると実現できないかもしれない、例えばその地域のサービスとかいう部分が一方に込められていて、しかし、民営化ということ、それからイコールフッティングだとか経営の自由度ということで言いますと、そうは言ってもすべて公的なものにしていってしまったのでは、本来の郵政の民営化の意味がないわけですから、そういう意味で民営化の本来の目的にかなうような民営化をしていかなければいけない。
 ここから先は本当に私見ですから、議論してもし間違いがあれば教えていただきたいんですけれども、恐らく方向というのは、どちらか2つだろうかなと、大きな方向ですね。 1つは、ユニバーサルサービスというのは本当に必要であると。これはやはり我々が普通に議論するような民営化というところではできないものであるとすると、そこを残したために非常にグロテスクな巨大な郵政公社というか、郵政会社というものが残った結果として、本来郵政民営化をやらなければいけないときの一番問題点が残ってはいけないわけですし、ユニバーサルサービスを維持するためにできるだけ、言わばほかに影響がないような小さな郵政会社みたいなものをつくるのか。
 さもなければ、ユニバーサルサービスというものを民間の中でやらせるのであれば、そこはできるだけそういう形にして、民間とイコールフッティング、本当の意味での民間に移行するのか。2つ可能性としてあって、一番あるべきじゃないのは、一方でユニバーサルサービスを余りにも議論するために、他方でイコールフッティングとか、経営の自由度を認めるために非常に巨大なグロテスクなものができ上がって、本来の趣旨に合わないものがある。意外とこういうものというのは一つひとつ議論して、最後でき上がるのを見たら、結果的に非常におかしなものができても困るわけですから、そういう意味で是非皆さんと議論していきたいのは、最後の姿みたいなものを常に頭に描きながら、それができるだけ本来あるべき、どちらの方向に行くかというのは、かなりいろんな要素があると思うんですけれども、是非いろいろなことを教えていただければと思います。
 あと2点、今まで議論になったことについて、個人的な感想とか教えていただきたいことで、見えない国民負担についてどう考えるかということは、確かになかなか難しい問題があると思うんですけれども、なぜ郵政民営化をやるかというために、我々は常に考えなければいけないし、外から説明を求められればそれについて答えられなければいけないと思うんです。今出ましたようなことを具体的にそれがどこからできるかどうかわかりませんけれども、少なくとも2つのものを常に違うものを意識しなければいけないと思うんです。それは何かというと、ある程度具体的に、見えるか見えないかは別として、先ほどの見えない補助金だとか、税金を払わなくて済んでいるとか、あるいはそういうものが存在することによって非常に大きな社会的なリスクが発生するとかいう部分の国民負担、これはある意味で言うと非常にわかりやすい国民負担ですけれども、もう一つ重要なのは、それが存在するために失われていたもの、いわゆるオポチュニティーコストというものも同時に我々は議論しなきゃいけないと思うんです。
 つまり、官がやるのか、民がやるのかという議論は、今あるものが目に見える形でコストがあるかということだけではなく、仮にこれがなかりせば本来、日本が持っている金融資源とかがほかにどういうふうに流れていったかという、議論も常にやっていかなければいけないと思うんです。
 つまり、郵政の民営化というのは、今のもののコスト・ベネフィットを考えるということだけではなくて、やはりその仕組みが違った仕組みになったときにどうなるかということを考えたら、是非また教えていただきたいと思います。
 もう一つ、是非議論していただきたいし、教えていただきたいし、私も考えてみたいと思うのは、この郵政の民営化を考えたときに、今の郵政公社の持っているネットワークというのは、それなりに重要な我々の社会的なアセットであって、そのネットワークをどう使うかということだと思うんですけれども、ここで非常に微妙になるのは民との関係だろうと思うんです。
 例えば郵便貯金を考えてみると一番わかりやすいと思うんですけれども、郵便貯金というのは、金融システムの一部であるわけで、それは例えば国民が郵便貯金を預ければ、その資金を具体的にどういう形で運用するのか。貸し出しをするのか、あるいは国債を持つのか、その他の方法があるのかいう形で非常につながっていく可能性があるわけです。
 非常に重要な問題というのは、どこまでを我々が考えている郵便貯金の仕組みが持つのか、どこまでを民間につなげていくのかというのが非常に大事になってきて、そうすると、例えばここに窓口ネットワーク、郵便事業、郵便貯金、簡易保険という4つの機能の事業間の適切なリスク遮断を行うことが大事だと書いてあるんですけれども、それ意以外に、郵便貯金なら郵便貯金の仕組みが民間につながっているわけですから、そことの間のリスク遮断ということは議論しなきゃいけない。
 一番具体的なわかりやすい話をすると、集まったお金が仮にあるとしたときに、それを貸出しのビシネスをどこに入れるのか入れないということを1つ考えるだけで大変大きな問題になると思うんですけれども、大きな民間の経済活動の中の1つの組織としてこれがあるわけですから、そこの民間と、どういう形になるかわかりませんけれども、いわゆる郵便貯金とか簡易保険の仕組みの中のリスク遮断、ここにそういう意味も込められているのかもしれませんけれども、そこの部分も非常に大きな議論になるのかなと。
 うまく言えませんけれども、以上3点だけ。

○竹中大臣 今、伊藤先生がおっしゃったことで、今までの議論の紹介ですと、ユニバーサルサービスとは何かについて議論する人のイメージが実は全然違っているんですね。郵便事業については、これは国際的な条約で義務づけられているわけです。
 そうすると、ユニバーサルだから、山間僻地なんだから、当然マーケット・メカニズムには乗らない問題が出てくるだろう。それは1つの考え方なんですけれども、でも郵便事業は黒字なんですね。

○鍋倉副室長 今回100 億くらいの黒字になるだろうと言われています。

○竹中大臣 ユニバーサルサービスについて、ドイツもイタリアも話を伺いましたけれども、仕組みづくりには苦労しているんです。そこはいろんな定義とかを議論をしなきゃいけないのかなと思います。

○翁主席研究員 私から幾つか申し上げたい点は、まず1つは、見えないコストの話が出ましたけれども、やはりこれからの作業、データの裏付けのある議論を是非やっていく必要があるんじゃないかということを感じています。
 例えばまだ明らかになっていないデータとして過疎地域の局舎の維持費用というのはどんな感じになっているのか。
 それぞれの局種別に採算はどんな感じなのか。そういったことについてもデータの裏付けのある議論を是非やっていく必要があるんじゃないかと思っていますので、その辺のデータを出していただいて、分析し活用していければと思っています。
 それから、今後いろいろなビジネスモデルを考えていただく必要があると思うんですけれども、それもやはり数字の裏付けのある議論が必要だと思っています。収益のシミュレーションとかをいろいろやっていく必要があるかと思うんですけれども、その際幾つかのリスクシナリオをきちんと描いて、例えば金利の動きとか、リスクシナリオはいろいろあり得ると思うんですけれども、そのリスクシナリオをきちんと描いた上でビジネスモデルを十分吟味していくということがこれから必要になっていくんではないかと思います。まず重要だと考えているのは、データに基づいてこれから作業を是非、今まで出てないデータも出して分析してやっていくということが必要なんじゃないかということが1つです。
 2つ目は、私もユニバーサルサービスのところ、この間の論点整理のところでもまだ未消化になっていて、郵便については、大体イメージというのはわかるんですけれども、金融のユニバーサルサービスというのは、一体どういうことまで考えていく必要があるのか、ということに議論が尽くされていないと感じています。
 私も個人的な意見はいろいろあるんですけれども、どの程度までそういうことを考えていくべきなのか、しっかり議論する必要がある。
 もう一つ重要な論点は、ユニバーサルサービスの維持と、ユニバーサルサービスの提供者の関係です。必ずしもこれからの新しいポストバンクが、ユニバーサルサービスの担い手になる必要はないかもしれない。ユニバーサルサービスの提供者、イコール郵政公社と、今まで頭で考えていた理念を少し取り去って、仮に何か必要なものが残るとすれば、その提供者というのは誰であるべきなのかということについても議論をしていく必要があるんじゃないかなと考えております。
 少なくともここについては、経済財政諮問会議でも議論が未消化になっていると思いますので、そこはきちんとやっていく必要があるんじゃないかと思っています。
 三番目は、こういう縦割ではなく、いろいろな省庁の方や民間の方が入られた組織ができ上がったわけですから、横の連関をうまく取った形で議論を進めていっていただきたいと思うんですが、その中で政府全体としての公的債務管理体制の在り方についても、今までは郵政が政府保証を受けて資金を集めるという形で補っていたわけなんですけれども、郵政民営化をしていく段階で公的債務管理体制の在り方はどういうものが望ましいのかということについて広く考えていく機会にしていただきたいと思っております。
 いずれにせよ、ここでの会議というのは実質的な議論をさせていただきたいなと思っていますので、是非よろしくお願いいたします。

○竹中大臣 公的債務の管理体制の話、ビジネスモデルの話も翁先生言われるとおりで、議論をするために必要なデータの整備とかはやっていくことだと思います。

○宇田プリンシパル 2点だけ確認ですけれども、まず1つは、4機能という話で、海外の改革で我々窓口のところをカウンタービジネスとよく言うんですけれども、こちらではネットワークと言われていると思うんですけれども、カウンターを分離して議論していくというのは物事の根本だと私は思っています。今回も財政諮問会議で4機能ということで議論されてきたというのは、1つの進展なのか、それとも何かしら別の思惑でいろんな理由があってこういうような議論になったのか。この4機能議論というのが、見る人によってはいろんな見方をしていてる可能性はないのか。
 そこのところの背景をお聞かせ願えると大変ありがたい。
 もう一点は、ちょうど翁さんがおっしゃったところと近いんだけれども、ビジネスモデルというか、自立をするようなモデルということを考えた場合に、自立をするというのは経済的に自立ができるということ。そうなってくると、収入とコストを両方合わせて考えるということですね。コストの割り振りというのはどうなるんだろうか。よく地方は儲からないと言うけれども、それは今のマネージェリアルアカウンティングの手法によるためで、それであると例えば中央から地方への手紙の方が多いと、ディストリビューションのところにお金がかかるのは当然ということになる。それをもってして、地方は儲からないという言い方をするんであると、これは変な話になるわけで、この辺の実態コストとレベニューはどうなっているのかということです。これは皆さん既におわかりなのか、それともここに書かれているような郵政公社との間の共同作業の中で明らかになってくることなのか。あるいは郵政公社自身がよくまだ理解していないという部分もあるのか。
 それに対して、例えば我々のような立場で言うと、私は常に数字とかがないと気持悪くて議論できないタイプなんで、この辺のところはデータで議論すべきだということを私たちが言うべきなのか、そのデータを出してくださいよと言うべきなのか、この辺のところも少しニュアンスを教えていただけるとありがたいなと思います。

○竹中大臣 これは公社と実際に議論しないといけない問題だと思いますけれども、会計の問題というのは、我々が制度設計を考えていく上で不可欠な問題だと思います。
 御承知のように、ドイツの場合は、公社のままで機能を分けて、そこでしっかりとした独立した会計がなされるような形をつくった上で、5年後にそれを民営化した。日本の部門別の会計は、どの程度の精度になっているものなのか、そうした点についても、何の情報が必要なのかということも公社の御協力も得ながら議論を進めていくということなんだと思います。
 順序が逆になりますけれども、ネットワークの価値、カウンタービジネスの価値というのをどのように評価するか、そこはまさに機能論と組織論の議論の中で問題になろうかと思います。
 一番最初の4機能を議論した背景はということでありますけれども、何か政治的な思惑があって、4機能を議論したということはないと私は承知をしています。諮問会議でどのように議論していこうかなということを考えていましたときに、ドイツ、イタリアの例を勉強させていただいて、どこも4つの機能で考えている。だから、窓口についても、これは重要な国民の資産であって、全国民がこれにアクセスできるようしようという趣旨。それでも合理化しなければいけないところはちゃんと合理化しましょうと。この論点整理の中にはその点を書いています。

○鍋倉副室長 先生方の議論に耐えられるかどうかわかりませんけれども、郵便・貯金・保険、それぞれいわゆる区分経理する数式がありまして、収入はあれなんですけれども、支出の方で例えば特定局みたいなものは1人とか2人でやっているところがありますから、どういう区分経理をするのかというのが常に問題になるわけです。
 それは全部を調査するわけにはいきませんので、たしか私の記憶ではサンプル調査をしまして、どのくらいの業務量があるかで人件費を出すかとか、例えば郵便局全体を3つの事業で使っていますから、その建物のコストはどうするかというのは、それぞれ人数割りをするのか、あるいは研修所をどうするのか。研修する訓練・日数で分割するとか、そういうコストの出し方は一応して、それぞれ独立に営業しているという感じになっています。

○渡辺室長 それから、データを仕上げていくには、相当な時間的な制約がありますので、こういうものが是非必要だということについては、今日のこの場だけでなくてもよろしいんですが、是非お出しいただいて、それをまた私たちが公社なり郵政行政局なり、財務省、金融庁になるんですか、要求していくということにさせていただきたいと思うんですが、前広に出していただけたらと思います。

○吉野教授 コンチネンタル・ヨーロッパとイギリスとアメリカというのは、それぞれみんな郵便に関して違うと思いますので、イギリスも大分違うようですので、是非諸外国の例を勉強させていただければと思います。

○竹中大臣 諸外国の例をファクトとしてきっちりと調べて整理をしてほしいということは、私の方から室長の方にもお願いをしていまして、そのプロセスで、これをどう解釈するかとかいろんな問題もあろうかと思いますので、御意見を賜ることになるんだと思います。

○吉野教授 スウェーデンとかニュージーランドは余りうまく行っていないという話も聞きましたので、そこら辺も含めて。

○竹中大臣 成功例、失敗例、そこをきちっと議論する必要があるでしょうね。

○翁主席研究員 秋に一定の1つの区切りがありますけれども、そこまでに我々としてというか、準備室が求められているものは何で、我々はそれについてどこまでを求められているのかということについて何かあるんでしょうか。その後はほとんど法案を準備するということになっていくわけですか。具体的にイメージを聞かせていただきたいんですが。

○竹中大臣 基本的な今の政府の中の仕組みは、総理からは、経済財政諮問会議でこのことの基本方針を秋までにとりまとめる、そういうふうに仰せつかっております。しかし、経済財政諮問会議は、私が司会進行役を務めますけれども、制度設計を十分に議論するキャパシティーはないわけです。そういうこともありますので、法案準備と制度のさまざまな議論をするために、この準備室を総理はつくれというふうにおっしゃった。
 したがって、決める場所は経済財政諮問会議でありますけれども、そこに対する知的なインプットとして、この準備室が担っている役割は大きい。それに当たって、この会議で何かを決めるというスタイルではなく、その知的なインプットに必要なことについてのアドバイスをいただきたい。ただ、仕上がりの時期は、秋にかけてそういうことを諮問会議で議論し、政府として決めなければいけない。政府として決めるに当たって直接意見を言ってくださる有力な知的リソースが皆さんであると、そのように御理解いただきたいと思います。

○翁主席研究員 経済財政諮問会議で基本方針が決まるけれども、そこに対するまずいろいろな、そこに制度設計をしていく上でそれをここで議論して、それを財政会議に乗せていくという理解でよろしいんですか。

○竹中大臣 ここでいろんな準備をさまざまにしていただいて、その上で諮問会議で最終的に決めると。そのように御理解いただければと思います。

○宇田プリンシパル その場合に、先ほど言った分析とか、そういうようなキャパシティーはお持ちになるという今後、この準備室の中にそのスタッフを27人の中で、今言った、例えば定量的な分析等々、調査等々についてキャパシティーを持っていくと、こういうふうに理解してよろしいんですか。

○渡辺室長 もうちょっと厳密に言いますと、私たちが各府省のいろいろなもの、公社も含めてそういうものを使うことができるということです。つまり、27人が例えば50人になっても、森羅万象全部はできませんので、研究所に発注をするとか、公社に作業をさせるとか、そういう権限は持っております。したがって、御注文を早めにいただきたいという話を先ほど申し上げたのは、それを命じて作業をさせて、それを点検して皆さん方にお見せすることにしませんと、作業の進展に寄与できませんので、そういうことでやりたいと思っております。

○竹中大臣 我々としては、例えばですけれども、マッキンゼーが持っている世界のネットワークで、いろんな郵政の民営化の事例の蓄積もおありだと思います。差し支えない範囲で皆さんからもインプットがもし可能であればお願いしたいと思います。

○渡辺室長 重ねて恐縮なんですけれども、先ほど一般わかりがするという議論、民営化するとこれだけ無駄が省けてサービスが向上して、世の中よくなるという議論と、もう一つは、これはビジネスですから、それがきちっと動いていかなければ話になりませんので、有効、かつ円滑にビジネスが動くような助言というのをいただきませんと、しょせん役所は役所で頭の中で物を考えがちですから、そういうことは避けたいと思っております。是非よろしくお願いしたいと思います。

○鍋倉副室長 数値的な話、もし仮に今、ないものをということになりますと、2万4,700 の郵便局がありますから、もし仮に積み上げないようなことになりますと非常に膨大な作業が要ることになりますので、できるだけ早目に御注文いただければと思います。

○中城審議官 それでは、時間の都合もありますので、本日はここまでにさせていただきたいと思いますが、この後、簡単に私の方から記者ブリーフをいたします。
 最後に次回の会合の日程等につきまして、事務局から御連絡をいたします。

○利根川参事官 次回の会合でございますけれども、まず、海外出張中の先生もいらっしゃいますので、改めて御照会をさせていただきたいと思いますけれども、今月中にもう1回はできましたらばお願いしたいと思っています。来月にも2、3回くらいは開催をさせていただきたいと思っておりますので、改めて前広に何回か分まとめて御照会をさせていただきたいと思いますので、その節はよろしくお願いいたします。
 当面はヒアリングを中心にして、どちらかというと、文章での議論に加えて、肉付けをしていただくという意味で考えておりますが、具体的にどこの方にお願いするかについては、私どもの方でも検討していきたいですし、また、皆様方の御意見も伺いながらと考えております。

○中城審議官 よろしいでしょうか。それでは、本日の議事は以上でございます。本日はどうもお忙しいところありがとうございました。