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郵政民営化に関する有識者会議第12回会合 議事要旨

日時
平成16年9月 6日(水)
10:40~11:38
場所
中央合同庁舎第四号館(2階)
共用第三特別会議室

○中城審議官 それでは、皆様、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。これから、郵政民営化に関する有識者会議の第12回会合を開催いたします。
 先般の内閣改造に伴いまして、竹中郵政民営化担当大臣、西川郵政民営化担当副大臣、それから郵政民営化担当の木村大臣政務官が着任されました。この場をおかりいたしましてご紹介させていただくとともに、皆様にごあいさつをお願いいたします。
 それでは、竹中大臣お願いいたします。

○竹中大臣 改めまして、竹中平蔵でございます。
 郵政民営化実現内閣と銘打って総理は内閣改造を行われました。郵政民営化担当大臣を命ぜられまして、これは本当に大変な役回りだなというふうに思っております。ぜひとも先生方のご協力を得まして、この大事業をなし遂げなければいけないと思っています。ぜひこの有識者会議、私は大変重視しておりまして、これまでは郵政民営化準備室に対する助言機関であったものを担当大臣に対する直接の助言機関という形に少し形を変えさせていただいて、先生方と真剣な議論を通して、ぜひ本当に国民のためになる民営化を実現させていただきたいと思っております。
 今日は、今後の進め方も含めまして、ぜひ活発にご議論を賜りたいと思っておりますので、ひとつよろしくお願いいたします。

○中城審議官 それでは、西川副大臣お願いします。

○西川副大臣 副大臣を命ぜられました西川公也でございます。
 私、これまで政務官としても竹中大臣にお仕えをしてきましたが、これからこの郵政民営化の問題について、しっかり竹中大臣を補佐してまいりたいと思いますので、何事かありましたら私の方にもいろいろ命じていただければと思っております。しっかり頑張ってまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○中城審議官 それでは、木村大臣政務官お願いいたします。

○木村政務官 このたび、政務官を仰せつかりました木村勉でございます。
 竹中大臣を補佐して、国民のためになる郵政民営化実現のために頑張っていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○中城審議官 それでは、先般の内閣改造で竹中大臣が郵政民営化担当大臣に就任されましたので、先ほど大臣からお話がありましたように、この有識者会議につきましても、従来は郵政民営化準備室長の助言機関ということでございましたけれども、改めて郵政民営化担当大臣の助言機関に位置付けるという改組をいたしました。これは後で資料でご説明します。
 また、これとあわせまして、会議の透明性を一層向上させることということで、会議後の記者ブリーフも節目、節目では竹中大臣から行っていただくこと。また、議論のポイントというものは速報性のある形で公表するということ。それから議事要旨の公表についてもこれまでより早めることなど、改善を図ることとしておりますので、初めにお断りさせていただきます。
 それでは、本日の議題に移らせていただきます。本日、そこの第12回会合議事次第とありますが、最初の3つの点につきまして、まずご説明いたします。
 まず第1は、郵政民営化に関する有識者会議の改組についてということで、資料1というのをごらんいただきたいと思います。
 これまでは、この郵政民営化に関する有識者会議の開催につきましては、郵政民営化準備室に対する、室長に対する助言、指導ということでございましたが、2の(1)のところが大きく変わっているところでございますが、会議は、別紙の学識経験者等有識者により構成し、郵政民営化担当大臣の下に開催するということでございまして、趣旨の上の方に書いてありますように、有識者の参集を求め、意見を聴取し助言を受けるために、郵政民営化に関する有識者会議を開催するというふうになっております。
 また、2の(2)のところでございますが、会議は、法務、財務、税務等に見識を有する者を臨時に構成員とすることができるということなどが変わっているところでございます。
 次に、資料2でございますが、これはもう前回ご説明いたしましたように、郵政民営化の基本方針でございます。
 そして、資料3でございますが、これが郵政民営化推進本部でございますが、これは9月10日に閣議決定しておりますが、昨日、閣議後にこの第1回目の会合が開かれたわけでございます。
 そして、資料4でございますけれども、推進本部におきまして、竹中大臣の方から制度設計、法案作成に当たっての三つの指針というものが示されまして、そこにありますように、郵政民営化の制度設計、法案作成に当たっては、関係省庁・公社等との協力体制の下、次の指針に則って行うものとするということで、1番目に郵政民営化の法案は、「基本方針」に忠実に策定すること(忠実性)、それから2番目に、最終的な民営化の姿に向けて、簡素かつ一貫性のある制度・法律構成、組織であること(簡素・一貫性)、3つ目に、制度設計の策定プロセス、手続きが透明であること(透明性)と、この三つの指針に則ってやっていきたいということで、この三つの指針につきましては、総理からもこの三つの指針に則ってやるようにというようなご指示があったところでございます。
 それから、資料5でございますけれども、郵政民営化情報システム検討会議の設置について。これは基本方針の中で、情報システムの観点から、4事業会社と持株会社の設置時期を2007年4月とすることが可能かどうかについて、専門家による検討の場を郵政民営化準備室に設置し、年内に結論を得るということが書かれておりまして、それに対応いたしまして、こうした情報システム検討会議を設置するということが決められまして、きのうの推進本部でも報告されたところでございます。
 次のページにメンバーが出ております。座長は千葉商科大学の加藤寛先生、それから天野吉和さん、この方はトヨタ自動車のCIOの方、それから宮田秀明東大教授、満塩尚史さん、この方は環境省のCIOの補佐官で、KPMGのビジネスアシュアランスでシニアマネージャを務められている方、それから中山清美という公認会計士協会のIT委員会の委員長の方、それから國領二郎慶応大学教授、それからオブザーバーとしまして、郵政公社のCIOである山下泉氏、でございます。こういうことで、情報システム検討会議の設置が決まりまして、第1回会議は速やかに開催するということ、それから庶務は準備室が行いますが、日本郵政公社との密接な協力の下に運営するということが決められたところでございます。
 ここまでが事務的な手続き、これまでの取り組みについてのご説明でございますけれども、何かここまでのところでご質問、ご意見ございましたらどうぞ。よろしいですか。
 それでは、次の議題でございますが、主要検討項目についてご説明させていただきます。
 これから有識者会議で、制度設計、それから法案準備に関しましていろいろご審議いただくわけですけれども、その場合にどういう項目がこの基本方針の中で残っているかということをご説明したいと思います。
 資料の6として主要検討項目(未定稿)という紙を配付させていただいております。
 共通事項としまして、 (1)、(2)、(3)と各組織へのヒト・モノ・カネの切り分け方、将来シミュレーション、雇用、待遇のあり方。それから窓口ネットワーク会社では、窓口ネットワーク会社の事業展開のあり方、それから2番目に、窓口の具体的な設置基準のあり方。3番目に、郵便事業会社のユニバーサル義務付けの範囲と必要な優遇措置、それから2番目としまして、提供義務を課す公共性の高いサービスの範囲と必要な制度面での措置。それから貯金会社、郵便保険会社に関しましては、移行期における郵便貯金会社・郵便保険会社の業務範囲、それから郵貯、簡保の既契約を新契約と一括して運用するための具体的な仕組み、それから移行期の終了時期。それから経営委員会、監視組織と、こういうふうになっております。
 まず、共通事項として大きいのは、各組織へのヒト・モノ・カネの切り分け方、4事業にどういうふうに分けていくかという、人員、それからモノ・カネの分け方ですね。その中には郵便事業の超過債務をどういうふうに解消していくか、それから要するに民営化までに自己資本をどういうふうに充実させていくか、それから関連施設のあり方といったようなものも含まれているということであります。
 問題点といたしましては、各会社の法的な位置付け、特殊会社でいくのか、それとも商法上の一般的な会社でいくのか、最初のところからですね。それから目的、業務をどうするか。それから各会社の人員、施設等の切り分け方をどういうふうにしていくのか。それから4機能別の勘定区分、郵便事業の超過債務の解消をどのようにしていくのか。それから自己資本の充実策というものはどういうふうにやっていくのか。それから関連施設、これは基本方針には分社化後のあり方を検討するとしか書いてありませんが、施設、特に不採算施設の帰属とか法律上の取扱いをどうするかといった問題。
 将来シミュレーションにつきましては、基本方針には事業毎の損益の明確化といったようなことが出ております。それから、移行期・準備期のあり方では、移行期のあり方としまして、移行期間中に株式を売却するということとか、民有民営を実現するというふうに書いてありますが、その際に新会社全体の経営状況といったもののレビューを行うというようなことが書かれております。持株会社の設立についてもそういうようなことが書かれているということで、将来シミュレーションをどういうふうにやっていくか。
 それから次に、雇用、待遇のあり方でございますけれども、この雇用、待遇のあり方につきましては、特に基本的には公社の方でいろいろ検討されるわけですが、そうした検討結果をどういうふうに反映していくかということでございます。
 それから、窓口ネットワーク会社に関しましては、窓口ネットワーク事業においては試行期間を設けつつ、民間金融商品等の取り扱いを段階的に拡大するということが基本方針に書かれておりますが、そうした試行期間をどういうふうにしていくのか。それから民間金融商品等の取り扱いの段階的な拡大をどういうふうにしていくのかという問題があるということでございます。
 最終的な民営化時点における各事業会社のあり方としまして、窓口ネットワーク会社は各事業会社と受委託関係をもって適切な受託料の設定というようなことによって、収益力の確保を図ることになっておりますけれども、その受委託関係をどういうふうにするか、または受託料をどういうふうに決定していくのかといったような問題がございます。
 窓口の具体的な設置基準につきましては、具体的な設置基準については、基本方針において住民のアクセスが確保されるように配置するとの趣旨の努力義務規定とし、具体的な設置基準のあり方等は制度設計の中で明確化するというふうに書かれておりますので、具体的な設置基準のあり方をどうするのか、配置基準、それから過疎地の拠点維持の配慮というふうなこと、それから人口稠密地域に対する配置の見直しといったようなことについて具体的にどうするかというのが1つの論点であります。
 それから、郵便事業会社でございますけれども、ユニバーサルサービスを義務付けるということでございますけれども、そのユニバーサルサービスの範囲をどういうふうにするのか、どこまでを義務付けるかと。具体的には信書のようなところを小包、どの辺までを範囲とするかといったようなことになったと思います。
 それから、提供義務を課す公共性の高いサービスの範囲と必要な制度面での措置ということでございますが、提供義務を課す公共性の高いサービスの範囲を具体的にどうするかということでございます。例えば、第3種、第4種、それから特殊取扱といったようなもの、これについては基本方針において、今後の詳細な制度設計の中で検討するとされておりますので、ここら辺をどうするかということでございます。
 それから、次の郵便貯金会社、郵便保険会社につきましては移行期における郵便貯金会社・郵便保険会社の業務範囲、移行期当初の業務範囲及びその段階的な拡大の仕組みというものをどうするかということであります。特に基本方針にありますように、移行期のあり方の中で郵便貯金、郵便保険事業については、当面、限度額を現行水準1千万円に維持すると書かれてありますが、当面の期間の設定等をどういうふうにしていくのかということ。それから、厳密なALMの下で貸付等も段階的に拡大できるようにするとありますので、貸付等の段階的な拡大を具体的にどういうふうにしていくのかということ。それから (オ)のところで、移行期の終了ということでございますけれども、移行期は遅くとも2017年3月末までに終了するということでありますけれども、この時限をどのように設定するかということでございまして、これはいわゆる民有民営の判断基準というものが必要になってくるということでございます。
 それから、次の(2)のところでございますけれども、郵貯、簡保の既契約を新契約と一括して運用するための具体的な仕組みづくりということが1つ論点でございます。
 それから公社の承継法人というのがありますが、この承継法人の法的位置付けをどうするのかということであります。例えば独法にするとか特殊法人にするとかいろんな考え方がございますけれども、法的位置付け等をどういうふうにするか。
 それから、一括して運用する具体的なスキームをどうするかということであります。基本方針にありますように、公社勘定の運用につきましては、公社勘定に関する実際の業務は貯金会社と保険会社に委託して、それぞれ新契約分と一括して運用するということ。それから運用に関しては安全性を重視する。それから公社勘定については、政府保証、その他の特典を維持する。それから公社勘定から生じた損益は、新会社に帰属させるというふうになっておりますので、これを具体的なスキームとしてどういうふうにするかということであります。
 その次、移行期の終了時期。それはこの間、先ほどの繰り返しになりますけれども、最終的な組織形態というのは、移行期間中に郵貯会社、郵便保険会社について、株式を売却して民有民営を実現するというふうに書いてありますが、その判断をどうするかというようなことが問題になってくるということです。
 次に5の経営委員会。準備期のあり方といたしまして、経営委員会(仮称)を設置して民営化後の経営や財務のあり方について検討するということでございますけれども、この経営委員会の設置をどうするか、いつの時点でどういう形で設置するかということが1つ議論になります。
 それから、6番目の監視組織であります。監視組織の役割は非常に大きいものでありまして、基本方針にありますように、推進対策の整備の中で民営化後、郵政民営化推進本部の下に有識者からなる監視組織を設置する。監視組織は民営化後、3年ごとに国際的な金融市場の動向等を見極めながら民営化の進捗状況や経営形態のあり方をレビューする。また許認可を含む経営上の重要事項について意見を述べる。監視組織の意見に基づき本部長は所要の措置をとるものとするという非常に重い役割を持っておりますが、この監視組織の権限等をどういうふうにするかというようなことが1つ議論になると。
 こういうようなことが主要検討課題でございまして、こういったものをこれからこの有識者会議でご議論いただきたいと思うわけでございます。
 今後のスケジュールでございますけれども、具体的なところまで決まっておりませんけれども、来年3月には法案を出さなければいけない。そうすると、来年に入るともう法案の条文の審査作業に入るということでございますので、主に10月、11月といったところでこういった論点を整理していただくということになるかと思います。大体この有識者会議は月に2回ぐらいは開けるような形で進めていきたいというふうに考えております。
 事務方からの説明は以上でございますが、こうした点についてご意見、ご質問等をいただきたいと思います。
 どうぞ。

○奥山相談役 内容もさることながら、この有識者会議の位置付けが大変以前より重くなったという責任を感じるわけですけれども、月2回、1回1時間半という形で内容的にはかなりのボリュームがあると思うんですが、それは総花的にやるということなのか、あるいは特定の項目を決めて、事前にある程度資料をいただいて検討した自分の意見を持ってこいということになるのか、ちょっとその辺を伺いたいんですけれども。

○中城審議官 まだ具体的なところまで決まっておりませんけれども、そこに挙げましたような主要検討項目、ここでは10数個だと思いますけれども、このぐらいのところの大きい問題については、できるだけ私どもとしましてはわかりやすくした形でご議論いただいて、こういった大きい問題については重点的にしていただきたいと思います。事前にできるだけご説明できるように最大限努力はしたいと思います。

○竹中大臣 今の奥山会長の件で申し上げると、有識者会議というのはこの1つの大きな政府としての判断の中心にもう位置付けられているんですね。だからその意味では本当に私たち、先生方に期待するところは非常に大きいものがあります。基本方針を決めた後も制度設計する法律を書くに当たってはたくさんの判断をしていかなければいけない。その判断に関して直接、担当大臣に物申す立場にいらっしゃると。そうすると、例えばここでリストアップされているだけでも、いや、恐らくこれでは不十分だという意見が多分出るんだと思うんですけれども、法律をとにかく書くに当たっては最低限このことは急いで考えなければいけないというものが今ここで20項目ぐらい挙がっている。それでも今後5、6回で議論するということになると、1回当たり4つの項目をやると。それで、1時間半から2時間やったとしても20~30分で1つの大きな項目、一丁上がりというわけにはこれは絶対いかないですね。
 しかもその1つがもうかなり大きな問題ですね。組織をどう切り分けるのかなんていうのは20分、30分でそんな簡単に結論が出るわけはない。そうすると、作業量等との関係から、やっぱり先生方には申しわけありませんが、24時間問題意識をずっと持ち続けていただいて、例えば、一体どのぐらいのコスト負担になっているのだというような計数的な裏付けがなければ、判断しかねるという面もあると思う。
 そういう意味では先生方をサポートする体制も大変重要だとは思っていまして、当面は、今ちょっと考えていますのは、お1人に1人の秘書官というわけにもいかないと思うんですけれども、先生方お2人に対して1人ぐらいの秘書官的なつなぎの役の方を準備室の方で指名して、あれちょっと数字、こうこう知りたい、この制度はどうなっているんだと、どんどん発注していただいて、先生方に24時間考える体制をつくっていっていただくと。そこでいろいろまとめて、極めてインテンシブにこの場でいろいろ議論いただく。そういうふうにする必要があるのかなと思っています。

○宇田プリンシパル 項目は1つこれで理解できるんですけれども、例えば設置基準であるとか、USOの範囲、ユニバーサルサービスの範囲とか、こういうことを議論するときには、単に30分で確かにここでいい悪いを議論するわけにはいかなくて、相当するコストはどのぐらいかかっているのか、今度はイコールフッティングの問題がどう出てくるんだろうかというようなことは当然あわせて議論しなければいけないわけですね。
 そうすると、この基本方針の一番最初の3つの項目というのは、ばらばらに議論されるべきものではなくて、透明性であり、自由度であり、それから収益の明確性、これは3者一体で議論していかなくてはいけない。それに合っているかどうかということで判断がされていくと。そうすると、これ数字なくして議論できない部分がほとんどではないかと思うんです。
 準備室の方は、まず1つはそういう数字を適宜必要なだけ出していただけるという理解でよろしいですね。それがなくては多分深まった議論にはならないのではないのかと思っていまして、ぜひ、タイムリーに数字を出していっていただきたい。それに基づいて議論するというふうにぜひしていきたい。

○中城審議官 できるだけそのようにしていきたいと思います。これは特に公社の方の協力もいただかないといけないだろうと。山下理事にも出ていただいて、公社のご協力をいただきながらできるだけお答えするということにしたいと思いますし、今大臣が言われたように、サポート体制の中でできるだけ事前にそういうものをお伺いしてやるということでいきたい思います。

○宇田プリンシパル よろしくお願いします。

○竹中大臣 今、大変重要なポイントで、これから国民的議論するに当たってもまた国会でいろいろご審議をいただくに当たっても、計数的な裏付けというものがないと議論は空回りするだろうと。経済財政諮問会議でも奥田経団連会長はかねてからそのことを言っているんだと。議論というのは数字の議論なんですよと。経営者としてそのような発言をしておられる。
 ちょっと今日の時点で、準備室としてどのような形でその計数的な積み上げをしていくのがよいのかということを今まだ検討しているところなんです。ただ問題意識は共有しているつもりです。数字なくして議論なしということだと思います。その数字は、これはやはり公社と我々が一体になって協力関係をつくって計数のご提出等々もぜひお願いしなければいけないし、その上でどういう体制で、いわゆるシミュレーションやるのがよいのかとか、それはかなり本質的な問題になると思っています。場合によっては先生方にコミットしていただく必要も生じるかもしれません。いろんなやり方を、今事務的には検討をさせておりまして、これはもう早く結論を出して早く動き出さないといけない。先生方の中でもこういうやり方がよいのではないかというアイデアがありましたらぜひお示しいただきたい。

○山下理事 もちろん公社としても、生田総裁からも発言しているとおり、今回の作業に全面的に協力していきたいと考えていますし、新会社の経営が成り立たないような制度設計になっては大変なことになりますので、その意味でも手持ちの全てのデータを提出していきたいと思います。ただ、私も公社へ入って1年半ですが、公社では、いろいろ数字はとっていますが、使えるデータが少ないというのが実感です。例えば個別局の損益などについては、そのまま使えるデータがないため、提出までに多少時間がかかることがあるかもしれません。すでにあるデータはもちろん提出しますが、これからつくる必要があるデータについては多少時間がかかることもあり得ます。トヨタさんからの指導を受けてJPSという生産性向上運動を行っていますが、トヨタの方から、「数字はいろいろとっているけれども役に立つものは少ない」と驚かれています。現在は、実際に経営を判断するために必要な色々な経営管理指標をこの1年半で一生懸命作成しているプロセスですので、その点もご理解いただきたいと思います。私どもは決してサボタージュをするつもりは全くありません。ベストを尽くしていくつもりですが、ないものをすぐ出せといわれてもなかなかいきません。その点だけはご理解をいただきたいと思います。

○吉野教授 全体の流れの中で、やはり新しい郵政と民間のビジネスがある程度の期間両立するという、そういうことだと思うんですが、ただそれが2017年からもう少し長くなったときにはまさに競争になりますから、淘汰が始まる可能性があるわけで、そういう全体の最初のときのマーケットをどういう形でやっていくかというのが重要だと思います。ですから新郵政だけが勝ってはいけないですし、民間だけがまた勝ってもいけないですし、ただある程度したところではもう本当の競争に入っていくような姿勢というのが私は必要ではないかと思います。
 それから、2番目は我々有識者もいろんな地方も、勝手にでもよろしければ見させていただきたいとvいます。やっぱり現場を知らないここの議論は、架空の議論になってしまうと思いますので、準備室の方にお願いしたいと思いますけれども、そういう機会を与えていただければと思います。
 それから、3番目はやはりデータの問題で、ユニバーサルサービスをするときも地方でどれくらいコストがかかっているのか。例えば2万4,700を維持するとすれば、どれくらい補助金が本当は必要なのか。そういう難しいとおっしゃいましたけれども、クルーシャルなところの数字の試算みたいなものは正直に出していただければというふうに思います。それが恐らくシミュレーションするときのことにもなると思いますし、それから受託手数料の問題でも同じようになると思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

○山下理事 今ないデータについては、我々が今持っている数字でつくらなければいけないところがあります。今までできていなかったのには、それなりの理由があった面もありますので、先生方からこういう考え方でこういう形でつくればこういうふうに試算できるなどとご指示をいただければ、我々としても精いっぱいやるつもりです。
 ただ郵便局の個別損益についてですが、民間とは違うところがあります。郵便局は貯金を集めるだけで運用は全部本社で行っているなどの違いがありますので、どのように個局の損益を計算するかについては、いろいろな点を考慮する必要があります。先生方から、計算の前提などいろいろご指導いただきながらやっていきたいと思います。

○竹中大臣 今、吉野先生3点おっしゃいましたけれども、3番目のデータは、今山下理事おっしゃったように、私も生田総裁と話して、生田総裁もとにかくデータ面では万全の協力をすると。そのことは公社の中にも伝えてあると。本当に一生懸命やってくださっていると私も信頼申し上げています。だからその中でお互いがいろんな制約を克服して、やはりやっていく重要な局面なんだと思っています。
 最初のマーケットの中での特に移行期間の非常に微妙なバランスが難しいという指摘も全くそのとおりだと思うんですね。要はそのためにどういう制度をつくったらよいかということの知恵をやっぱり出していただきたい。ここはモニタリングのための監視委員会をつくる、監視組織をつくるということを基本方針で決めていますけれども、その仕組み、その中でどのようにやっていくかということの枠組みを制度設計の中でやっぱりここで議論していただいて、アイデアを出していただきたいと思うんですね。その意味ではやっぱり非常に大きなものがここで問われていることになるんだと思います。
 2番目の地方を見るというのは、これはぜひそのような機会を私もつくりたいと思いますし、もう1つ、これにあわせて先生方にもお願いしたいのは、国民的な議論に、やはり先生自身、自ら自身に参加をしていただきたいというか、リードをしていただきたい。必ず説明不足だというふうに言われるわけですけれども、これは説明責任というのは確かに果たさなければいけないんですけれども、かなりいろんなことはやっているわけです。しかし、問題が基本的にかなり難しい問題だというのが1つ根底にあるのと、それと非常に直感的には、国鉄は赤字だったけれども郵政は黒字だと。そういうところでなかなかいくら説明してもわかってもらえないというようなところもある。しかしそれを乗り越えていろんな国民的な広報キャラバンのようなものもいろいろ考えているので、それにはこれまでも例のタウンミーティングにはご参加をいただいていますけれども、これは先生方にも地方を見ていただくと同時に、地方の方々と議論をしていただくということも、お忙しいとは思いますけれども、ぜひお願いをしたいと思います。

○翁主席研究員 まず進め方につきましては、今日お伺いしまして、大変な分量の非常に重要なことを考えていかなければならないんだということで、非常に身の引き締まる思いなんですが、できるだけ前広にこの基本方針と考え方についても資料をお渡しいただいて、考える時間をいただいて、かつ有識者会議の日程もできるだけ早く決めていただいて、きちんとしたスケジュールの中で、できるだけ早い情報をいただいて、全体を整合的に考えていけるように努めたいと思いますので、ぜひそこをご配慮いただきたいということがまず1点目です。
 それから2点目は、今日お話を伺っていた検討項目、ざっと拝見したんですけれども、感想ということなんですけれども、やはり移行期の問題と最終形の問題というのがいろいろな形で入っていて、やはりもう少し切り分けて考えた方がよりいいのではないのかなというような感じを持ちました。というのは、移行期というのはやはりまず制度設計というのが非常に重要なところだと思うんですが、一方で最終形というのは相当経営に任せて自由度を確保すべきところというのが多いように思いワして、その辺のところをきちんと制度設計のところで峻別しながら議論していくことが必要なのではないかなというような感じを持っています。特に、移行期のところにつきましては、最後のところで郵貯や保険のところにもございましたけれども、やはりこの準備期間、移行期を通じた、全体を通じた公正競争の観点から、また一方で経営の自立ということもあるんですけれども、この期間全体を通じたプリンシプルみたいなものが、つまりどういうことが達成できれば自由度が拡大するのかというふうなことがあらかじめ見えている必要があるのではないか。今例えばローソンの話にしても、いろんなことが起こっていますけれども、我々としてやはりこういった移行期の期間の考え方、プリンシプルというようなことがもう少し前広に示されるということが必要なのではないのかなというようなちょっと問題意識を持っております。
 それから、あと、この制度設計に当たっては、詳細な制度設計、非常に重要なんですけれども、非常に考えなければいけないのは、公社内部のインセンティブというのですかね。まずここのやろうとしていることは郵政事業の事業再生というか、事業改革であるわけですから、そこのインセンティブをうまく引き出せるような、先の移行期間の設計の仕方もまさにそうだと思うんですけれども、こういうことが達成できれば自由度が広がっていくというような形の、いわゆるインセンティブを引き出せるような、またもしそうであれば、10年でなくもっと短期で移行期というのを完結することもできると思いますし、そういうことを配慮した制度設計というのを考えていければというような感じを持っております。

○竹中大臣 今、最初の日程のことは前広にというのはおっしゃるとおりだと思います。もうこれは年内の予定を全部押さえさせていただくようにということで、今お願いをしております。実は国会が始まるということもあって、場合によっては夜の時間とか、そういうことをお願いするかもしれないんですが、できるだけこちらもご迷惑をかけないようにしたいと思います。確かに考える時間を持っていただかなくてはいけないわけで、できるだけその辺はしっかりと対応させます。
 2つ目の移行期と最終形の問題で、特に移行期については全体のプリンシプルが必要という点は、私も同じようなことを考えていまして、しかしなかなか難しいなと同時に思うのは、恐らく今、翁先生が言われたことはモニタリングのための監視委員会をどのようにつくるかと。監視委員会がどのような基準で行動するかと。どう判断をしていくかという、その監視委員会の行動指針みたいな部分がかなり入ってくるのかなと思うんですね。そうすると、それは枠組みをつくる段階では法案で議論するんですけれども、そのさらにもう1つ後の段階で議論しなければいけない問題なのかなとも思います。ただ同時に、今のローソンの話にあるように、国民はもう少しそこを明確にしてくれよというようなことを求めているんだと思うんですね。ちょっとどういう形で議論していったらいいのか、引き続き考えたいと思いますが、いろんなご意見があったらぜひお願いをします。インセンティブの話はご指摘のとおりだと思います。

○宇田プリンシパル どう規律を設定していくのかという話は、おっしゃるようにモニタリングのときもそうなんだけれども、例えば各事業がどれだけ新しい事業を展開させるのか、許すのかという議論というのは多分この中で議論されるのではないかなと思うんですね。そのときに、先ほど山下様からもおっしゃったように、いや、データはないんだと、わからないんだと。だけれども新しい事業はやりたいんだという議論に対して、これはいいんじゃないのとは言いにくい。なぜならば、そのお金がどこから来てどう使われているのかわからない中で、イコールフッティング上の問題が出るかもしれない。新規の事業についての経営の自由度というような議論をするときには、必ずこの問題は出てくるのではないかなと思います。私は基本的な方針とか基本的な軸は、やっぱりどこかで議論をしておいた方がいいのではないかなと思います。

○奥山相談役 法案が出て、その施行ということが2007年4月ということですけれども、2007年3月までが、郵政公社が活動をどういうふうにやるのかということについて、新規のいろいろな商売、ビジネスがどんどんどんどんやろうよということになったときに、それは政府としては、それはそれとして認めていくというのが、どんどんそれはそれでいいのではないかということになるんでしょうか。それともやはりこのイコールフッティングの問題がある程度見える中で、やはり歯どめをかけていくということになるのか、そこら辺だけは伺っておきたいと思います。

○中城審議官 これは基本方針にも準備期のことについて書かれていまして、この基本方針、お配りしていると思いますけれどもA6ページ目にありますが、準備期のあり方ということでございます。
 ここにつきましては、準備期というふうに位置付けて、民営化に向けた準備を迅速に進めるということでありますけれども、その中で書かれているのは、やはり民営化後の経営の財務のあり方について検討すること、それから勘定区分の見直しを進めていくこと、それから特に超過債務をどういうふうに解消していくか、それから自己資本の充実策というものは、先ほど申し上げましたように、詳細な制度設計の中でここでも議論していただくと。それから新旧契約の分離の準備を行う。具体的にやれることとして明らかにしているのは、国際物流事業への進出を可能とする。投信窓販の提供を可能とするということ。それからその他の新規事業分野への進出については準備するということ。それからその次のページにありますが、関連施設でございますが、郵貯の関連施設、それから簡保の加入者福祉施設といったものについての分社化後のあり方というものを検討する。これも先ほどの主要項目の中に入っているわけでございます。こういうふうに書かれておりまして、いずれにしましてもこういったものにつきまして、準備期のあり方につきましては、郵政民営化推進本部ができておりますので、こういったものについての具体的なことについての取り決めというのは、やはり本部でも議論されるという形でございます。

○吉野教授 全体の流れの中で、やはり2007年までと、あと2017年までで、それぞれのビジネスの需要みたいなものがどう変化していくかということがある程度、幾つかのシナリオはあると思うんですけれども、信書便なり小包なり、それから貯金事業、それから保険事業、こういうものの大きな流れというのも1つありませんと、先ほどの全体の新郵政と民間のバランスといっても考えられないのではないかと思いますから、難しいと思いますけれども、幾つかのシナリオみたいなものもどこかでやっていただければと思います。
 それから、国際ビジネスへの展開というのが、ここでは物流のところだけですけれども、そのほか郵便のもうちょっと信書便というのは難しいかもしれませんけれども、ほかの事業に関しても国際的にやっていくような方向も本当はあっていいのではないかと。やるやらないは別としてですけれども、そういうことも考えていただく必要があるのではないかと思います。2点です。

○宇田プリンシパル さっきの進め方で1点追加なんですけれども、数字についてはぜひお願いしたいんですけれども、シミュレーションを私もやった経緯もありますので、例えば私の方で議論を加速するためにお役に立つようなことがあれば、言っていただければと思います。基本方針に沿った形で前向きな議論を進めていく上で協力できることがあったら協力をいたしますので、そうおっしゃっていただければと思います。

○竹中大臣 基本方針の議論の段階でも宇田先生にはいろいろ貢献をいただいて、先ほど言いましたように、シミュレーションが重要なんだけれども、一体どういう体制でだれが責任を持ってやるのかと。シミュレーションとして数字を外に出す以上、やはり非常にしっかりとしたソリッドなものでなければいけませんから、それをどのような形でやるのかということを今検討させていますので、これは早急に結論を出さなければいけませんので、その過程でいろいろ宇田先生初め先生方にかなりコミットしていただく必要も出てくるかもしれないと思っております。その節はよろしくお願いします。
 それと、もう1つちょっとむしろ先生方にお願いしたいのは、特に経営コンサルティングにご経験のある方々にお伺いしたいのは、今検討項目ここで我々挙げていますけれども、実はこれ法律を書くために何が必要かという観点から当面必要なものを挙げているんですね。ただ一方で、これで本当に公社がこの項をやればうまくいくかということになると、多分そうではないのかなと。それは経営をしっかりと、民間企業として経営を立ち上げるという観点からのチェック項目とか、チェックしなければいけない点というのは恐らく抜けていることがある可能性があるんだと思うんですね。その意味では法律をつくる観点から、そしてさらには経営としてしっかりやっていくためにはという複眼的なチェックというものが私はやはりどこかで必要なのかなと思っておりまして、そういう意味ではそれぞれご経験を踏まえて、いろいろな手法があるのだと思うんですね。そういう点で複眼的なチェックという点をぜひしていただければなと思うんですが、これはいかがでしょうか。

○ 宇田プリンシパル どの部分が制度で法律、それからどこが経営の部分かというのはなかなか間が難しい。ただし、この制度でつくられていく事業のイメージをできるだけはっきりしていくことは、制度をつくる上でも非常に大事ではないかなと思います。山下さんがさっきおっしゃったみたいに、変なものを今つくられたらたまらないよというようなお話もありましたけれども、事業のイメージをできるだけ持ちながら議論していった方がいいかなと思います。事業の面を含めて少し今のうちに考えておかなくてはいけないものがかなりあるのではないかなと思っていました。この辺は一度どこかで議論の機会をつくっていただいて、一緒に議論をできる機会があったら大変ありがたい。
 それから、分析の仕方も、事業の観点からいうと、課題に関して、仮説を立てた上でその是々非々を検証するためにどういう数字がわからないといけないのかという思考が必要と思います。数字に基づいていいのか悪いのかという議論をして、その結果としてコメントが出てくるという流れだと思います。そのあたりでもご協力できることがあったらもちろんご協力をいたします。

○奥山相談役 今のことで関連して申し上げますと、このペーパーの中で、最終的な民営化時点における各事業会社等のあり方ということでの項目が幾つか出ているわけですけれども、ここのところで、やはり具体的に例えば窓口ネットワーク会社は人数が何人いて、こういう収入構造になって、実際にこれだけの収入があると、経費がこうかかると、郵便事業会社も同様なことで、要するにそのときの姿というものがある程度計数的にも示せるというものがあると、非常に理解ができるのではないかと。国民的にもそういうふうな会社でそういうふうに動くんだったら安心だねというふうに見えて、それに対して今からどういうことを経過的にやっていくんだろうかということで、かなりわかりやすいなと思うんですね。ですから、最終的な民営化のときの具体的な会社の姿というものをぜひ計数的にも出せるような、こういう準備をお願いしたいなというのが私の気持ちでございます。

○中城審議官 できるだけそうしたシミュレーションと、まさに前進していると思いますので、そういうものを公社と協力してやっていきたいというふうに思っております。
 ほかに何かございますでしょうか。

○竹中大臣 準備室側でも何か言っておきたいことがあったら、いい機会ですから何かないですか。

○吉野教授 細かい点ですけれども、新郵政の側に立ってどういうことができるか、逆にできないかといった話は多いのですが、例えば民間の方も、例えばですけれども、郵便局の商品を売りたい、あるいは簡易保険でもしいい商品があればそれを売りたいと。民間の側でも同じようなことが出てくると思うんですが、ですからそういう意味でもイコールフッティングといいますか、そちらの側もやれることをやっていくということは同時に進めていただきたいと思います。

○中城審議官 それでは、ご意見もないようでございますので、本日の議事はここまでにさせていただきたいと思います。
 本日は改組後第1回目の会合ということもありますので、会議後、記者ブリーフィングは竹中大臣に行っていただくといことになっております。
 最後に、次回の会合等について事務局からご連絡があります。

○利根川参事官 1点、事務局としてはご希望を伺いさせていただいているところでございますけれども、次回の会合につきましては、今月の18日の16時から17時半、次々回につきましては、同じく今月の28日の10時から11時30分までということで開催をさせていただきまして、順次具体的な論点について議論をいただければというふうに考えております。
 当面のスケジュールのご説明は以上です。

○竹中大臣 あと、だから先生方のご担当の秘書官的なことをやる人がだれかとか、そういうのをすぐやらなければいけないですね。その方を通して日程についてもいろいろ注文を出してください。

○中城審議官 早急に担当者を決めてご連絡させますので、その後はスケジュールなどについてはその者から連絡をさせます。
 それでは、本日の会合は以上でございます。本日はお忙しいところどうもありがとうございました。