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郵政民営化に関する有識者会議第13回会合 議事要旨

日時
平成16年10月18日(月)
16:02~17:32
場所
中央合同庁舎第四号館(11階)
共用第一特別会議室

○中城審議官 それでは、お待たせいたしました。
 本日は、皆様お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。これより郵政民営化に関する有識者会議の第13回の会合を開催いたします。本日は非常に多くの事項をご議論いただくことになりますので、早速議題に移らさせていただきます。
 なお、事前にお時間をちょうだいして資料をご説明させていただき、かつ、この場はできるだけ多くの時間を先生方のご議論に割かせていただきたいというふうに考えておりますので、資料説明につきましてはポイントをかいつまんだ形とさせていただくことをあらかじめお断りさせていただきます。
 それでは、事務局の方から資料をご説明いたしますが、お手元に主要検討項目について(その1)の資料がございますけれども、最初に分社化等に関連する論点といたしまして、人員、施設等の切り分けと各会社の法的位置付けの2点をご議論いただきたいと存じます。
 それでは、その資料、2枚めくって1ページ目をごらんいただきたいと思います。
 各会社の人員、施設等の切り分けをどうするかということでございますが、A案、B案の下に基本方針を抜粋してありますように、基本方針では「窓口事業の範囲は、原則として郵便局における郵便集配業務を除く郵便、郵便貯金、郵便保険に係る対顧客業務」、こういうものを窓口業務の範囲とするということでございます。
 A案は、対顧客業務を、分社化して窓口会社に担わせることとした基本方針を踏まえて、集配業務を除く対顧客業務に係る人員、資産は原則すべて窓口会社に帰属させるべきということで、基本方針どおりに帰属させるという案であります。
 B案は、それに対しまして、「原則として」とあるのでA案を基本とするものの、いわゆる郵便専門の郵便局、それから法人向けの営業のための機能とか、それから窓口職員や外務員の取り扱いを処理するような、いわゆるバックオフィス機能といったようなものに必要な人員や資産は、それぞれ郵便・貯金・保険各会社に帰属させるべきという考え方でございます。
 次に、人員の切り分けに関する基本的な考え方でございますけれども、そうした上記の方針を踏まえますと、分社化の時点では基本的に郵便の集配業務を除く対顧客業務に係る郵便局員は窓口会社に帰属するということでありますが、具体的には次のようなことが考えられるのではないかということで、まず1番目としまして、普通局につきましては原則として3事業の窓口業務の要員及び貯金・保険の外務員は窓口会社に、郵便の集配要員(郵便外務職員)は郵便会社に帰属する。それから、集配をやっている特定局というのは、基本的に普通局と同様でありますが、ただし郵便の集配要員(郵便外務職員)と貯金・保険の外務員の切り分けが困難な場所、それを交代でやっているようなところにつきましては、全要員を窓口会社に帰属させることも検討すべきではないか。それから、無集配特定局、これは全局員を窓口会社に帰属させるべきではないかということであります。
 論点といたしましては、郵便の内務職員の帰属、これを窓口会社にするか郵便会社にするか。それから貯金・保険内外職員の帰属、例外的に貯金・保険会社に一部帰属させるというようなもの、例えば個人向けの営業とかバックオフィス機能、それから総務課などの共通職員をどのように帰属させるかということが問題になろうかと思います。
 次に、資産・施設の切り分けに関する基本的な考え方でありますが、人員の切り分けをベースにバランスシートも考慮して、各会社に帰属させるということでありますが、論点としましては普通局の帰属ということで、区分所有とか、あるいは原則すべて窓口会社に帰属させるかというような議論があろうかと思います。それから、関連施設の帰属でありますが、本社、支社それから職員訓練施設、逓信病院、メルパルク、かんぽの宿といったようなものについて、持株会社にするか各事業会社にするかということでありますが、資料には一つの考え方といたしまして、共通施設の帰属に関する基本的考え方としまして、グループ全体で活用するというようなものについては持株会社に帰属すべきではないかということと、もう一つの考え方としましては、各事業会社の自主性を高めるために、できるだけ事業会社に分けて帰属させるべきではないかという考え方があるということであります。それから、メルパルクやかんぽの宿というようなものは、民営化時点までにできるだけ整理合理化する方向で検討するべきではないか。少なくとも不採算施設については整理合理化すべきではないかという考え方を示しております。
 それから、その次フページの留意事項でございますが、もし今まで述べたような基本的な分社化案というものがお認めいただければ、これを踏まえて経営を担っている郵政公社の方で具体的な検討をまず進めるべきではないかと。そして、経営的に十分成り立つ分社化案とするためには、幾つかのパターンについて将来シミュレーションを行うべきではないか。そして、そのシミュレーションを踏まえて、郵便事業の超過債務の解消とか自己資本の充実策について検討するというようなステップになろうかと思います。そして、分社化に伴うコストは最小化すべきではないかということでございます。
 資料でございますが、次のページに普通郵便局の規模別の組織構成が書いてあります。未分課の普通郵便局、50人未満の局の約280局については、こういうふうに分かれていないで仕事がされている。右側の郵集未分課の普通郵便局、70人程度のところにつきましては、郵便課と貯金保険課と、こういうふうに分かれている。それから左の下ですが、郵集分課の普通郵便局ということで、150人程度の局では郵便と集配営業と貯金保険と分かれている。150人を超えるぐらいの大きい局につきましては、郵便、集配、貯金、保険と、そういうふうに分かれているということでございます。
 次のページが、局種別の内務、外務の人数を書いたものでございます。
 その次の6ページに、職員の帰属パターンというふうに書いてございますが、これは郵便の窓口会社をどこまでとるかということで、考え方としてパターンとして4つぐらいあるのではないかということを書いております。郵便の外務だけを除いたものがパターン1、それから郵便の内務、外務を除いたものがパターン2、それから郵便内務、外務を郵便会社にしたほか、貯保の外務につきましては貯保会社にそれぞれ帰属させるというのがパターン3、それから貯保の内務、外務ともに貯保会社に帰属させるというのがパターン4でございます。
 もちろん具体的にはこの中で内務、外務をどういうふうに分けるかということについて、ご議論いただければと思います。
 その次のページは、主な関連施設でございまして、メルパルク、かんぽの宿それから病院、職員訓練所というものが、どのぐらいの職員数があり資産があるかということを示したものでございます。
 その次のページ、8ページでございますが、もう一つの論点であります各会社の法的位置付けをどうするかということでございますが、ここの論点は各会社について、いわゆる特殊会社、特別法に基づいて設置する会社として位置付けるべきか、通常の商法上の会社として位置付けるべきかという議論でございます。各会社の事業内容や監督すべき内容等、会社の性格が定まってから、こういう問題は具体的には決まるものでございますが、ここでは二者択一の選択というよりも、むしろこういった論点が存在するということでご議論いただくことかと思いますが、法案づくりの原則の一つとして、簡素で一貫性があることということになっておりますが、これに基づきますれば、なるべく法改正が必要ないような最終的な民営化の姿が見えるような法制度とすることが重要だということであります。また、基本的には一般的な制度を目指しつつ、それが適当でない場合には特殊なもの、すなわち特殊会社になるということであります。
 その紙を見ていただきますと、まず最初に持株会社、これにつきましては政府が株式を保有するものなので、特殊会社という方向ではないかということであります。それから、郵便事業会社は条約上の義務も負うこともあり、ユニバーサルサービス提供義務を負う会社となっております。窓口ネットワーク会社は、郵便の窓口業務の義務づけ、それから窓口配置についての努力義務、それから地方公共団体の事務を引き続き受託する会社という性格になっております。さらに、両会社は基本方針にあるように、政府が3分の1超の株式を保有する持株会社が全額出資する会社というふうに位置付けられております。
 このような性格を踏まえた上で、法的位置付けにつきましては法制的な検討が必要でありますが、ここではA案、B案としまして、A案では一般商法の会社として位置付けることが可能であるかということ。それからB案としましては、特殊会社とするかというふうなことでございますけれども、いずれにせよ各会社の業務内容等の検討も経て法制的に検討する必要があるということでございます。
 次のページでございますが、移行期・準備期のあり方につきまして、貯金会社と保険会社については、最終的な姿としては一般の商法上の会社となるということについては異論のないところでございますが、移行期間中については選択肢があり得るということでございます。移行期間中に株式を売却して、スムーズに最終的な民有民営を実現することを重視して、商法上の会社とするというのがA案でございます。B案につきましては、移行期間中には、郵便貯金会社、郵便保険会社の法的位置付けは特殊会社とするということでございまして、この期間は国が強制的に設立してさまざまな規制を課する面を重視して特殊会社とするという案でございます。もちろんB案でありましても、銀行法、保険業法の適用を受ける点は変わらないということであります。
 また、一番下の方に書いてございますけれども、特殊会社とした場合には、その移行期間を終了したところで、特殊会社法の廃止法を別途出す必要があるか否かという点が要検討であるということでございます。
 あと、資料でございますけれども、特殊会社とはどういうものであるかというのが11ページに書いてございます。それから、その下には、特殊法人の組織見直しの類型別ガイドラインというものがついております。
 それから、2枚めくっていただきまして、13ページに現存する特殊会社というのはどういうものがあるかということと、その下の方には事業範囲、それから国の株式保有規定がどういうふうになっているかというようなことが参考として書いてございます。
 以上が、分社化に関する共通事項でございますが、まずここまでの点でご意見ご質問等があれば、お願いしたいと思います。

○宇田プリンシパル それでは、この切り分けのところでまず幾つか確認をしたいと思います。
 書いていただいた中で、基本的な考え方というのはどういうものなのかということを確認をしたいんですが、一つは事業を遂行する上で、どういうふうに人を配分するのかという考え方。つまり、人が拠点で対応して販売するものは窓口ネットワーク。では、例えばATMとかコールセンターとか、こういう人を介さない―普通はチャネルというんですけれども、これは窓口会社で持つのか、郵貯、保険会社が持つのかということ。
 基本的な考え方として、人がいて、そこで販売をしますということが窓口ネットワークのそもそものビジネスであると、こういうふうに分けるとすっきりする。そうしてみると、例えばATMとかコールセンター、どっちが持つのかというと、多分金融会社の方が持つという議論になってくる。そうすると、例えば金融会社の方でチャネルを運営する能力というか、そういうものは一応持っておいた方がいいということがあるかもしれません。
 基本的な事業の考え方というのが先にあって、それによってどこにどういう人が配置されていくのかという議論があっていい。この人数割は機械的に、こう割り振るみたいなことが考えられているけれども、その前に事業の考え方があるでしょう。
 2番目は、どうも現状の課にこだわり過ぎているのではないかなという感じもあります。若干違和感があるのは、普通局の内務の中の20%ぐらいは窓口の仕事を普段やっています。それから集配特定局の内務の人たちのうちの20%ぐらいは、やはり窓口の仕事をやっている。ところが今ここでは、そういうような分け方はされていないわけですね。できれば、今の組織と人材配置というのは分けて考えてみた方がいい。実際に、今後行われるビジネスに必要な人たちをどこに分けるかという観点で議論をした方がいいのかなという感じがしました。これは2番目ですね。
 それから、3番目は、最終的には人材のバランスみたいなことになるんですけれども、経営のスパンというようなものを限りながら経営の能力を発揮させていくことも考えるべきではないか。何でもかんでも一つのところに入れてしまうという考え方は、少し整理をしておいた方がいいのではないかと。だから、窓口は最終的には14、5万程度。この数も、私は非常に多い数字だとは思いますけれども、20万ではなくて、もう少し全体に郵便との間も含めて、先ほどの20%をどうするかみたいな議論というのをしていただいた方がいいのではないかと思います。

○中城審議官 ありがとうございました。どうぞ。

○奥山相談役 今の宇田さんのことに、基本的には私は逆らうというか反対ではないんですけれども、若干意見を申し上げますと、このA案とB案という形で出されておりますけれども、やはりもうちょっと機能をきちっととらえて、実質仕事をしていく上で、どういうふうな人材、人数が必要かというふうなことをとらえていただきたいなと思います。例えば6ページで、職員の帰属パターンがパターン1からパターン4まで出されておりますけれども、郵便会社の郵便、この外務というのはよく理解できますけれども、郵便内務のうち、これは恐らく窓口が多いと思うんですけれども、ここをどの程度やはり窓口として抑えたらいいのかと。ですから、パターン2とかパターン3でいくと、全部郵便会社になっていますけれども、一部窓口があるのかなと。
 それから、パターン2とパターン3で、貯金保険の外務の問題ですね。本当に、いわゆる勧誘員、営業マンみたいな方がこの外務にいるとすると、それ自体が今後どういうふうに貯金を伸ばしていくとか、保険を伸ばしていくということで有用なのかということを考えると、ここも一部は、もしかしたらそれぞれの会社の人員ではないかと。ですから、パターン2とパターン3の間ぐらいな感じも、ちょっと私はしているんですけれども、それは申し上げておきたいと思います。
 それから、まだここには出ていないんですけれども、この郵便局の設置基準と関連して、基本的に全機能を郵便局に持たせるとしたとしても、例えば一部貯金についてはATMを置けばいいのではないかとか、あるいは保険について全部の郵便局に窓口必要なんだろうかとかいうことを考えた場合に、その辺はすべてのところに必ずしも置かない場合もあってもいいのではないかということも考慮に入れてみたらどうだろうかと、そんなことを思いますので、一言申し上げたいと思います。

○中城審議官 ありがとうございました。

○吉野教授 お二人の意見につけ加えますと、ある程度の人員の切り分けはいいと思うんですが、切り分けても、例えば窓口会社に所属した人が全部そこから給与をもらうというのはおかしいと思いまして、ある程度の切り分けはいいですけれども、実際の業務では、その方の一部の給与は郵便から来たり貯金から来たり、保険から来ることがあっていいと思います。それは、やはりどういう業務をその方がやっているかによると思いますので。金融に関しては、集めるところは恐らく窓口会社でしょうし―大きくいえば、それから運用しているところはそれぞれの会社に所属すると思います。
 それから、郵便に関しましても、そこの取り扱いのところと、それから集配のところで違うと思いますが、切り分けと同時に給与もそこで切り分けるというのではなくて、給与のところはフレキシビリティーをつけていただいた方がいいのではないかと思います。
 それからもう一つ、これでいきますと、多分ほとんどが窓口会社に所属することになると思うんですが、今後のビジネスモデルの中で、こういう2万4,700局という大きなネットワークをどうやってうまく活用していくか。それで、この人員をどういう形でうまくサポートしていくかという、それをすごく必至に考える必要があると思います。
 それからもう一つは、今の奥山委員のご意見に似ているんですけれども、この店舗の配置も、前よく申し上げたように、地元の酒屋さんに一部頼むとか、あるいは市役所の一角にそういう郵便局を置くとか、そういう形でなるべく低いコストでサービスを提供し続けるということも考えていただけますと、このビジネスモデルとしてうまく成り立つかもしれないと思います。
 それから、それぞれのところで、やはり後で申し上げますけれども、ビジネスモデルがこういう形で人員を切り分け、それからビジネスをした場合に、きちんとそこである程度採算がしばらくの間やっていけるのかと、一番心配なのは私やっぱり郵便だと思いますので、こういう形で切り分けた場合に、郵便のビジネスがうまくやっていけるのかどうかというのが一つ心配です。
 それから、ネットワークの方は、人員切り分けに関してはそれですが、後の方の株式会社とか、それはまた後にいたしましょうか―よろしいですね。ちょっとそれは待ってからにします。

○中城審議官 では、まずその切り分けの関係でお願いします。

○翁主席研究員 経営資源の切り分けの基本的なルールみたいなことを、やはりきちんと踏まえておく必要があるというふうに私も思います。今回の郵政改革の政策目的を考えると、金融の流れを官から民にという、現在政府全体として進めている目的、それから民間とのイコールフッティング、そして4事業の自立という、そういったことと整合的に考えていく必要があるというように思います。そう考えますと、やはり郵貯部門とか簡保部門について、特に郵貯などは政府債務調達機能というのがあったわけですけれども、これから離れて小さくしていくということを考えますと、むしろ大きな方向としては、この窓口ネットワークを活用して、いろいろな民間の金融商品を販売する金融コンビニとしての機能を高めていき、利便性を高めていく、そういう大きな方向で経営資源の配分を考えていくということではないかというふうに思っております。
 特に、論点として挙げられています郵便の内務職員の帰属につきましては、先ほど奥山委員や吉野委員からもございましたように、具体的にその窓口会社とか郵便会社としてのビジネスが成立し得るかどうかについての具体的なシミュレーションを、ぜひご検討いただいた上で、また再度、議論をする機会を与えていただきたいと思います。
 また、貯金保険外務員の位置付けなどにつきましては、やはりこれは今までご指摘何回かありましたけれども、単に課で機械的に切り分けるということではなくて、今後のビジネス展開を図る意味から、{当に人的資源を有効に活用するために、どういう配分が望ましいのかという観点からも帰属を検討してもいいのではないかというように思います。
 それから、総務課などにつきましては、早い段階で分社化を実現するためにも、早い段階で分社化の道筋をきちんとつけていくということを考えましても、初めから分けておくことが適切ではないかというように思います。
 私も先ほどの議論で、特に窓口ネットワーク、非常に人員が多くなりますけれども、ここについて、どの程度の人員でビジネスモデルが成り立つかということについての周到な検討が必要だと思いますので、ぜひ数値で幾つかのパターンで、具体的に検討をぜひしていただきたいなというふうに思います。

○山下理事 よろしいでしょうか。

○中城審議官 はい。

○山下理事 私どもといたしましても、社内でいろいろ議論をしているところでございますが、現在3つのビジネス業務を行っているものを、新たに4つの異なる会社に分けるわけでございますので、複雑な多元連立方程式を解くような難しさがございます。
 そうした困難を克服していきますためには、やはり明確な物差しを決めて、今、翁さんがおっしゃったようにシミュレーションの結果を踏まえたフィージビリティーチェックを重ねつつ、現実的に対応していくほかないと考えています。そうした意味での物差しとしましては、私どもは次の4点が重要なのではないかと考えています。
 第1に、4事業会社が市場で自立でき、中・長期的に発展できるビジネスモデルとなっていくこと。この点は、先ほど宇田さんからご指摘ありましたけれども、どういうビジネスモデルなのか、それが成り立つのかということが大事だと思います。
 第2は、2017年までに郵便貯金・郵便保険会社が民有・民営のソフトランディングができる形態とするということであります。
 第3には、顧客サービスの維持等の観点から、実務的な対応が可能かどうかということだと思います。例えば、巨大な窓口会社ができても、一体本当にそれで実務的に回るのかということがあります。
 4点目は、やはり分割ロスを最小限にすることです。
 この4点を踏まえつつ、いろいろフィージビリティーチェックのシミュレーションを踏まえながらやっていくということではないかと思います。
 また、前例のない分社化を行うわけでございますので、制度的には実施後、その結果を見てから相当の手直しができる余地を残しておくことが必要だと考えます。そのような観点から、各会社の人員等の具体的な切り分け等につきましては、できる限り新会社の経営判断にゆだねていただけるとありがたいと考えております。
 それから、留意点として、切り分け方に関して、実務的な観点から2点だけ申し述べさせていただきたいと思います。
 一つは、先ほどからご議論が出ておりますけれども、郵便につきましては、内務というのは窓口以外の業務も結構多くて、外務職員が配達する郵便物の区分、それから外務の取り集めた郵便物の消印とか区分等がございまして、また外務職員との間で書留などの記録扱いの郵便物の授受が頻繁に発生するなど、オペレーション上、内務と外務とは密接不可分なものでありますので、なかなかその分離は難しいという点があります。
 それから第2に、貯金・保険につきましては、窓口会社が既存商品サービスを提供する窓口業務及び集金業務を一元的に担当するわけでございますが、先ほどもご議論ございましたけれども、保険の外務セールス職員につきましては、保険会社の保険料収入の約8割が外務職員のセールスによって成り立っていますので、経営の自立という観点から言うと外務職員をどうするか、保険会社に帰属させることも考えることが必要なのではないかと思っております。また、店舗は窓口ネットワーク会社に委託するにしましても、少数のフラッグショップ的な直轄店を持つことについては、経営の判断により可能としていただきたいというふうに考えます。
 以上が、私どもが今考えている点でございます。

○中城審議官 ありがとうございました。
 今のご発言に関連して何かございますでしょうか。

○宇田プリンシパル 今の件に関して少し確認なんですが、今の山下理事への確認なんですけれども、郵便の内務と外務が分けにくいというふうにおっしゃったわけですね。

○山下理事 はい。

○宇田プリンシパル ただ、私の理解では、例えばそのうちの20%ぐらいが窓口の仕事を主にやっている人たちが窓口の仕事をやり、あとは郵便に分けるという、こういう切り分けというのは実質上は可能なんではないかなと思っておりますが、これはいかがでしょうか。
 それから、もう一点は数字で見ていくというのはもちろん非常に重要なことでありますので、これはぜひ、もし公社の方でこういうような数字をどんどん出していただけるんだったら、それをもとに早いうちに議論をさせていただきたい。

○山下理事 前者につきましては、内務という切り分けにすると、窓口業務を行っている職員と郵便物の区分やオペレーションを行っている職員が内務として一緒になっていますので、おっしゃるように機能によって分けないといけないということです。
 それから、後者につきましては、当然、シミュレーション、準備室の方でチームをつくられましたので、そこで一緒にいろんな前提条件を置いてやっていくということでございます。

○中城審議官 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
 それでは、この問題につきましてはここまでにしまして、次の後半の、各会社の法的位置付けをどうするかという8ページ目のところに関しまして、何かご意見があればお願いいたします。
 どうぞ、奥山さん。

○奥山相談役 この点につきましては、持株会社は当然のことながら、やはり特殊会社ということは言えようかと思います。
 それから、それ以外の会社について、特に郵便事業、窓口ネットワーク、商法上の位置付けにするか特殊会社にするかというところですけれども、私の意見としては、三原則のうちで一貫性の原則ということを考えた場合に、やはり早くから商法上の株式会社として、そこにもし特殊法的なことがあれば、それは事業法的な位置付けを加えていけばいいのではないかということで、特殊会社にしますと、また再度株式会社にするときに法律が必要かというふうなことになりますと、やはり一貫性としていかがなものかというふうに思います。まずこの点だけ一言申し上げておきます。

○中城審議官 どうぞ。

○吉野教授 私も今の奥山委員の意見に近いんですけれども、特殊会社にした場合に、郵便とか貯金保険ですけれども、いろいろ足かせがまた出てくると経営の自由度が少なくなってしまうんではないかと思います。そういう意味では本当にイコールフッティングで、早いところから民間と同じように競争していくためには、早い段階から株式会社の方が経営の自由度が出てくると思います。その方が、やはり株式会社になられた方々もやる気が出ると思いますし、心配していますのは、特殊会社にすることによって、あれもやってはいけない、これもやってはいけないとか、いろんな制約を課すことによって、本来であればもっとできるビジネスに拡大できないと困るんではないかと思います。ですから、そういう意味では、それぞれ下にぶら下がる4つの会社は、私も株式会社で始まった方がいいと思います。
 それから、持株会社に関しては、特殊会社という形態もあり得るのではないかと思います。

○中城審議官 どうぞ。

○宇田プリンシパル 私は、ここの最初の2行に、政府保有義務がある会社であるので特殊会社とすることとしてはどうかということを書かれていますが、本当にこの理由で特殊会社なのかというのは、ちょっとよくわかりません。説明をしていただいた方がいいのではないかなと思っております。
 目的が何か制約をされるということ、あるいは業務上の制約を受ける、あるいは組織、人事上の何かしらの制約を受けるというような、事業に対して網のかけ方としては、多分いろんなかけ方があるんだろうと思うんですね。それを何も言わずに、特殊会社とすることとしてはどうかと言われると、どうして商法上の株式会社でこれはだめなんでしょうかと、だめなことを証明してくださいと申し上げたい。
 私は株式会社でできないのかと。ただそのときに、例えばユニバーサルサービス・オブリゲーションを持っている会社の中にある場合にはどうするのかとか、業務上何かしらの制約を課すような―私は法律の専門家ではありませんからわかりませんけれども、そういうようなもので対応できるのかできないのかということで、まずは株式会社として、すべてを組み立てるというところからスタートをして、どうしてもこういうところはだめなんだというところがもしあれば、それはむしろ提案をして、ここで議論をするということがいいのかなと、これがまず1つです。
 それから2つ目、それ以下のところなんですけれども、気になる文言が幾つかこの中にあるんですね。どういうことかというと、8ページのところの真ん中、窓口ネットワーク会社に公的位置付けが与えられる必要があると。これは非常に疑問です。地方公共団体の特定事務を引き受け、受託できるようにするために公的位置付けが与えられるとありますが、窓口会社の目的は、その地方公共団体の特定事務を引き受けるためにつくっているわけではないわけですね。窓口会社というのは稼働率を上げるという意味で、人が来てくれるというのは非常に大事なんだけれども、実際にはそこで来てくれた人に対して新しいビジネスを行う必要がある。こういうものがもしもうからないものであるとすると、その部分というフは、むしろ例えば地方公共団体がそのコストは負担するとか、こういうような話にもなってくるんだろうと思います。
 民間だとしたら、官からもうからないものをやれと言われたら、それに対して幾らコストがかかるかということで交渉して、じゃあ民間として考えたら来店数がふえるからひとまずやりましょうと。だけれども、その部分というのは結構大変なんですよと、こういう議論がなってくるはずです。最初から公的位置付けが与えられる必要があるというのはおかしいのではないでしょうか。
 しかも、13ページには、特殊会社の一覧しか書いていなくて、商法上の民間会社でやっている例というのが出ていないんですね。ここで特殊会社が多くやってありますから特殊会社でいいですねみたいな言い方をするというのは、理屈が通らない議論だなという感じがする。
 さらに言うと、12ページの方ですね。12ページの運営というところなんですけれども、「国は政策的意義などを考慮して、必要に応じて貸付金または補助金などによる財政的な支援を行うことができる」と書かれている。そうすると、先ほどの公的位置付けがあるということと、ここで補助金は出しますよというふうに言っていることを合わせると、これは簡単に補助金が出てしまうのではないかなという心配があります。むしろ、民の規律とか民の知恵に任せて、交渉しながらしようがないところのコスト負担を最小限にするにはどうしたらいいかという議論をすべきでしょう。最初からこの特殊会社とするというところからスタートして、後のところはどうしますか的な議論をしていること自体は、やや違和感があります。むしろ、商法上の株式会社ということを前提に組み立てたときに、何が問題なのかという議論をしていただいたらいいのではないかと思います。

○中城審議官 どうぞ。

○翁主席研究員 私も、ほかの委員の意見と同じでございまして、まず郵便貯金と郵便保険会社は一貫性の観点から商法上の株式会社とする方向だと思いますし、それから郵便会社や窓口ネットワーク会社に関しましても、やはりほかの企業とのイコールフッティングの確保の観点や、それからこの2つの会社の将来的な経営の自由度の確保の観点からも、商法上の会社とする方向で検討していただきたいというように思います。
 持株会社については、今、宇田さんが質問された点と私も同じように疑問を持ちますので、ぜひ、そこについてもご説明をいただきたいというふうに思います。

○中城審議官 持株会社につきましては、持株会社は政府に株式保有義務がある会社であるので特殊会社とすることとしてはどうかということでありますけれども、12ページのところにも書いてありますけれども、12ページの3行目、特殊会社―法人格は商法上の株式会社であります。それで、必要に応じて国等の株式保有義務について法定するということでありまして、特殊会社であるから株式保有義務があるわけではないんですが、保有義務をかけることはできるというのが特殊会社の性格であります。
 それで、次のページを見ていただきますと、現存する特殊会社でも、一番下の欄に株式の保有規定がないものもあります。これはもう完全な、いわゆる民営化の会社になる途中の段階というふうにも考えられるわけですけれども、逆に、政府が保有義務を持っているもので、特殊会社でないものというのは、現状ではそういうものはないということでありまして、政府が出すか出さないかは特殊会社が決めるものではないですが、特殊会社に政府が出している、政府が株式保有義務を持っているものは特殊会社になっているというのが現状であるということでございます。これは、いわゆる政策目的を達成するために、政府がそれだけの出資をしているというようなことでございます。
 その下に置かれるものにつきましては、今、先生方のご議論では、基本的に商法上の会社でやってはどうかという、どちらかというとA案のご意見ばかりだったというふうに考えておりますけれども、そこにつきましては、そこにありますようにユニバーサル義務あるいは窓口の配置の努力義務といったようなもの、それから設置基準がどうなるかというようなこと、それから株式を100%保有する会社であるというような性格づけ、こういうものの性格づけに関しまして、法制的な検討もさせていただくということであろうかと思います。これは先生方のご意見も踏まえつつ、そういう検討を進めていきたいというふうに考えております。
 この点に関して、またさらに何かご意見ありますか。
 それでは、分社化に関しましては、最初の方につきましては切り分けの考え方につきまして、基本的な考え方を明らかにすること。いわゆる内務、外務のところにつきましても機能に分けて、いわゆる組織ではなく機能で見たらどうかというようなご意見もありました。いずれにせよ、そのシミュレーションをやってみト、どういうふうに自立するかというようなご意見もありましたので、公社の方の知恵もいただきながらシミュレーションの作業にも入っていきたいというふうに考えております。
 それから、先ほどの会社の分け方につきましては、先生方のご意見はこの分け方については、A、B案につきましてはA案の意見が多かったというふうに取りまとめさせていただきたいと思います。
 それでは次に、窓口ネットワークに関連しました論点につきまして、取り扱う民間金融商品等の段階的拡大と、それから各事業会社との受委託関係、それから具体的な設置基準の3点について、ご議論いただきたいと思います。
 事務方からご説明します。

○細見審議官 窓口ネットワークを担当しております細見でございます。私の方から紙について簡単に、今ご紹介ありました3点につきまして、既に資料をお渡ししているところでございますので、簡単にご説明いたします。
 まず14ページでございます。
 民間金融商品等の段階的な拡大をどうするかという問題でございます。これは、一番左に書いてございますように、基本方針の中に試行期間を設けつつ、民間金融商品等の取り扱いを段階的に拡大し云々と、こうなっていると。この点を制度設計の中でどう取り扱うかと、こういう問題でございます。一応A案、B案という2つの考え方を用意をさせていただいているということでございます。
 左側のA案のポイントは、基本的には経営判断にゆだねるべきということなので、丸の3つ目にございますように、新規業務開始に際しては、行政の過大な関与を防止するため、他の業務に支障のないものについては自由とすべき、例えば原則届出制だということでございます。ただし、経営判断に任せる場合でも、金融関係これに限りませんけれども、一般法の規制というものはもちろん服することになるということは当然でございます。
 ただ、この考え方に対しては、下に書いてございますように、移行期間中の試行期間や新規サービスの拡大について、完全に任せていいかと、何かモニターする必要があるのではないかと。要するに、民営化された郵政事業が肥大化するのではないかといったようなご批判を受ける可能性はあるということでございます。
 そういう点からB案の方は、基本的には機動的に進出できるようにするべきではあるけれども、丸の3つ目にございますように、郵貯・郵便保険のサービスの段階的拡大に合わせて、主務大臣の認可等により民間金融商品の取り扱いを段階的に拡大することとすべきと、例えばということで書いてございますのは、新規業務の拡大については認可事項とし、認可に際しては監視機関の意見を聞くこととするといったような案も考えられないわけではないということでございます。この場合に、この意見に対しては一番下に書いてございますように、収益力の確保その他の観点から、基本的に経営判断にゆだねるべきではないかという批判がもちろんあることはそのとおりでございます。A案、B案という格好で、原則自由届出制みたいなものと、認可みたいなものを少なくとも移行期間にはかけると、こういう2つの案があり得るのではないかというのが最初のポイントでございます。
 なお、下に書いてございますのは、これは実際の業務運営に当たって、金融機関からの受託業務を窓口ネットワーク会社が行う場合にどういう経由をするのか、貯金会社、保険会社を経由するのか、あるいは直接受託という方法があるとかいうことがあり得るので、こういう論点も当初についてはあり得るかもしれないということであります。
 それで、資料はいろいろつけてございますが、一つは17ページに一つの例がついてございますが、17ページの例は、先ほどご議論いただいた特殊会社か一般会社かということによって変わってくるわけでございますが、ここで17ページの例に出しているのは、これはいずれも特殊会社になっているJRと高速道路株式会社法について書いてございまして、JRにつきましては、ここに書いてございますように、国土交通大臣の認可を受けて自動車運送事業、その他の事業を営むことができるとした上で、事業の適切かつ健全な上に支障を及ぼすおそれがないときは認可をしなければならないということで、認可はかかっているけれども、支障がないものは自動認可をするべきであると書いてあると。下に、一方高速道路株式会社法になると、ここは支障のない範囲内で同項の事業以外の事業を営むことはできると書いてあって、届け出なければならない、こういうことになっております。ただし、これは先ほどの議論との関係でいえば、あくまでも特殊会社という法制になった上での規制のあり方ということになっております。
 それからあと資料、それぞれついておりますが、その辺はもういろいろ見ていただいたと思いますので、一応23ページについて、これはちょっと今回の議論と直接関係があるわけではございませんが、23ページについてだけ一言お話をしておきます。
 23ページに主な金融仲介業というのが書いてございます。窓口ネットワーク会社というのは、言ってみれば金融商品を販売する際には銀行代理店あるいは生命保険募集人あるいは損害保険代理店、証券仲介業、こういった格好でそれぞれの業務の仲介を行うと、こういう格好になるということでございます。
 なお、その銀行代理店の下に、ちょっと注で書いてございますように、現行の銀行代理制度については資本規制とか兼業規制等がかかっておりますので、窓口ネットワーク会社が銀行代理店業務を受託するには、さまざまな銀行法の改正が必要で、これについては現在金融庁との間でいろいろ協議をして改正をお願いしていると、こういうご紹介でございます。
 それから次の論点でございますが、これは25ページでございます。
 25ページの論点は、各事業会社と窓口ネットワーク会社との受委託関係をどうするかという問題でございます。これにつきましては、ご存じのとおり基本方針では窓口ネットワーク会社については郵便、郵便貯金、郵便保険の各事業会社から窓口業務を受託する、最終形というところに出てくるものでございますが、それから郵便事業会社、郵便貯金会社、郵便保険会社がそれぞれ委託するということになっております。受託する、委託すると書いてあるのを、制度的にどう考えるべきか、こういう問題でございます。
 A案というのは、郵便に加えて、郵便は多分ユニバーサルサービスの義務化のもとで、郵便のサービスを提供するというのは、多分窓口としてやらなければならない業務だというふうに思いますが、それに加えて貯金・保険の窓口業務についても、窓口会社に委託され、郵便局における郵便・貯金・保険のサービスが継続されるよう、少なくとも移行期においては法律上制度的な担保措置を講ずると、例えば会社間の受委託規定とか、あるいは契約締結規定を置くということでございます。ただし、ユニバーサルサービスということではもちろんございませんので、どの郵便局で取り扱うかは基本的には契約の世界で決めてもらえばいいということでございます。すべての郵便局で、必ずすべてのサービスが提供されるということを担保するものではもちろんないという考え方でございます。
 B案は、郵便はともかく、郵便については提供するべき業務、提供されるということになるわけでございますが、貯金、保険の窓口の受委託につきましては、民営化の趣旨にかんがみまして、法律上は当事者間の契約に自由にゆだねるということでいいではないかということでございます。移行期につきましては、基本的に持ち株会社があるとすれば、その経営判断によるものであると。ただし、貯金・保険の窓口の業務の窓口ネットワーク会社の委託の実効性を担保するために、少なくとも移行期においては国が株主として関与するほか、監視組織のモニタリングや定款変更に係る行政の関与が必要かと。激変を緩和するために何らかの行政その他あるいは持ち株会社、監視組織、その他を通じた行政の関与はどこかで残そうではないかということでございます。
 A案はどちらかというと、それを公的に担保するようなメカニズムをどこかに入れておくと。B案はむしろ、実行上何かいろいろな措置を講じてはどうか、そういう感じでございます。
 A案につきましては、丸の2番目以下はメリデメ―メリット、デメリットみたいなことを書いてございます。A案のメリット的なことで書いてございますのは、郵便局における貯金・保険サービスの利便性の確保が制度上明らかになり、利用者に対する説明は容易。ただし、先ほども申しましたように、すべての郵便局で、すべての3サービスがすべて提供されるということを担保しているものではありません。
 B案は、貯金、保険の窓口業務がどこまで委託されるか、法文上は明らかでなく、場合によってはサービスの継続性は確保されないというふうに批判を受ける可能性があるということでございます。
 次の丸が、また次のメリデメでございますが、A案で言うと、移行期に限定した措置としても、法律に受委託契約締結を担保する措置を規定することは、貯金・保険の各会社に法律によって経営権の制限を課すことになると。また、移行期と最終形で扱いを異にする場合、例えば移行期においては何らかの制度的な担保を設けるけれども、最終形においては完全な民有民営になるわけですから、そこに制度的担保は無理だろうという前提で、何もないというふうになるとすると、この2つの間を取り持つこと、両方が必要になるということであります。
 他方、B案について同じ点を論じると、最終形と一貫性のある制度となり、民営化当初から郵便貯金会社、郵便保険会社の自由な経営に資すると、こういう議論を立てることができるであろうということでございます。
 その次の丸は、後でまた設置基準のところでちょっと触れますが、一応貯金・保険サービスに対する需要も、これは代替的なサービスの需要可能性ももちろん考慮した窓口の設置基準という感じになると。
 他方、B案でいうと、どちらかというと郵便中心の設置基準ということになって、窓口ネットワーク会社として必ず行う業務の範囲が狭くなる―これは郵便ということになるんだろうと思いますが、窓口の設置基準に影響が出るかもしれないということでございます。
 このA案、B案書きましたが、いずれにせよ、その次の丸で書いてございますのは、3事業会社が直営の窓口を開設することや、窓口ネットワーク会社以外の第三者に対顧客業務を委託するということは、基本方針上何も触れられていないわけでございますが、それは法制上は自由に認めてもよいのではないかということでございます。その際、急激な変化を避けるために、何らかの監視組織の関与みたいなものを考えるかどうかということでございます。
 それから27ページでございますが、これは受委託関係の条件につきましてどうするかということでございまして、これはA案の方で左に書いてございますのは、受託料の条件については、当事者間の利害対立する可能性があるため、少なくとも移行期においては主務大臣の認可なり、あるいは監視組織の付議等の措置を講じてみてはどうかと。特に郵便貯金会社・郵便保険会社については、株式が売却されてある程度、例えば50%以上売却された状況になると、持ち株会社に要する調整がきくのかきかないのかと、こういう議論があり得るということでございます。
 他方、B案では民営化の趣旨にかんがみて、法律上は当事者間の自由な契約にゆだねると、こういう考え方もあろうかと思います。ここは、A案、B案というのは、やや対極で書いておりますけれども、いろんな組み合わせもあるかもしれないということであろうかと思います。
 それで、次に3番目の論点といたしまして、30ページでございますが、設置基準をどうするかということでございます。
 この点につきましては、基本方針におきましては、窓口の配置についての法律上の取り扱い、つまり法律に何かを規定するということを前提にしているのでございますが、法律上の取り扱いは、住民のアクセスが確保されるように配置するとの趣旨の努力義務規定を置くと。その上で、具体的な設置基準のあり方は、制度設計の中で明確化すると。その際、代替的なサービスの利用可能性を考慮し、過疎地の拠点維持に配慮する一方、人口稠密地域における配置を見直すと、こういうふうになっております。
 ここで書いておりますA案、B案というのは、やや手続上の話で書いてございますが、A案は、法律上、住民アクセス確保の努力義務を定めた上で、過疎地の拠点維持に配慮しつつ、具体的な設置基準―ここでの設置基準の考え方は、郵便局を全国にどう配置するべきかというよりは、最低限担保すべき基準という考え方をとっておりますが、最低限担保すべき基準を窓口ネットワーク会社が定め、この認可を受けると、例えば定款などによる認可というようなことにしてはどうかというのがA案でございます。
 B案は、このA案の法律上のものに加えて、現在がそうなっているわけですが、省令みたいなものを間に入れて、もうちょっと高い段階での何かを書くという案はあり得るということでございます。
 ここで定款記載事項の例として、A案について書いてございますが、ここは一つの例ということでございますが、実際には現行の基準、これは36ページに現行の基準、考え方を書いてございます。ここをベースにとったものでございます。
 36ページを見ていただきますとわかりますように、郵便局ということで、日本郵政公社法の第20条に規定があると。郵便局をあまねく全国に設置しなければならないと書いてあります。2番目は、地域住民の利便の確保ということが書いてある。その上で、施行規則において設置基準を現在設けていると。施行規則の第2条の冒頭に、現に存する郵便局ネットワークの水準を維持することを旨としてと、こう書いてあると。ここもどうするかという問題がありますが、その後に実際3つの基準が書いてあるということであります。
 事実上、先ほど申しました、ここの定款記載事項の例として書いてありますのは、現在ある設置基準とそれほど大きく変わらないものを書いてはどうかというふうに書いてあるということでございます。その趣旨としましては、基本的に民営化されるということであるとすれば、現行の設置基準よりもさらにそれを厳しくするということが果たしてなじむのかどうかと、こういう議論があり得るかいということで、こういうふうにしてあるわけでございます。
 その下の丸でございますが、A案、B案、それぞれ書いてございますが、定款ということにすれば会社の経営の自由度がより確保されるということでありましょうし、B案ということであれば、行政がさらに省令というレベルで関与すると、こういう考え方になるということでございます。
 31ページに移らせていただきますと、基本方針に書いております―どちらかというと、先ほど申しました中で言えば過疎地における云々というのは、過疎地域を含め、いずれの市町村においても1以上の郵便局を設置するということで書いてあると、こういう考え方でございます。現在、実際にこの規定が、要するに市町村に1個しかないという地域は300強あるそうでございます。
 それから、他方、人口稠密地域における配置の見直しをどうするのかということでございますが、これにつきましては経営判断事項にゆだねることとしてはどうかと、設置基準で書くというよりは経営判断で決めてもらったらいかがかと、こういう考え方をとっております。
 こういった論点ともう一つ、次の論点でございますが、設置基準についての考え方については、上記の論点以外に設置基準の前提となるサービスの範囲によって以下の論点があると。郵便局をどう定義するか。設置基準を設ける以上、何が郵便局でどういうサービスを提供しているかということを、ある程度想定する必要があると思うんですが、その際郵便局を郵便貯金―郵便貯金というよりは他のサービスを行うかどうかの郵便貯金、代替的なサービスの利用可能性も考慮した上での郵便貯金ということでございますが、保険のサービス提供拠点として位置付けまして、そうすると、言ってみれば、これを含んだ設置基準を制度的に担保することがしやすくなると。
 他方、郵便局を郵便のサービス拠点と位置付けますと、他のサービスを行うかどうかは、全体として任意という感じにいたしますと、郵便サービスに対する需要に応じた郵便局の設置を制度的に担保と、こういう格好になります。それ以上どこまで設置するかは、貯金・保険会社からの委託状況等を踏まえた窓口ネットワーク会社の経営判断ということでございます。ただ、これにつきましても、いろいろ設置に当たって配慮すべき事項というようなことを検討することは不可能ではないかもしれません。
 また、全体の郵便局の数がどう推移しているかとか、どのぐらいの受委託状況でサービスが提供されているかというようなことにつきましては、例えば移行期間においては監視組織で見ていくというようなやり方もあり得るかもしれません。いずれにせよ、設置基準について、こういった論点があるということでございます。
 以上、私の方から簡単ではございますが、説明させていただきました。

○中城審議官 それでは、ただいままでの説明させていただきました論点に関しまして、ご意見ご質問があれば、お願いいたします。

○翁主席研究員 まず民間金融商品の段階的な拡大の14ページの点から申し上げます。
 私は、もちろん民営化するのでありますから、多様な新規サービスに経営判断で機動的に進出できるということは一つの重要なポイントだと思うんですが、同時にやはり、この移行期間のイコールフッティングというのは非常に重要な目的でもありますので、より中立的で強力な監視機関の役割を重視するような形で検討するということがあり得るかと思います。
 と申しますのも、やはり移行期間は、郵政の新会社というのは政府保証が残りますし、また現在銀行に認められていない兄弟会社での事業会社の保有というのが可能になるという点などで、やはりまず金融面からでは、イコールフッティングは確保がもともとされていないという面がございますし、その意味では銀行法の手当をするだけでは完全なイコールフッティングは確保されるとは言えず、不十分ではないかというふうに思います。
 それから、窓口ネットワーク会社という新しい業態が今度できるわけですけれども、ここにつきましても、例えば宅配業者とか、例えばコンビニエンスストアとか、こういったさまざまなところで新規業務に係るいろいろな問題が出てくるということも想定されると思います。そういう意味で細心の注意がここの期間というのは必要だと考えますので、その意味でも、やはりこの監視機関というのが相当強力に、中立的な立場でさまざまな経営判断を機動的にできるような体制を整えるということが必要なのではないかというように思います。

○中城審議官 ありがとうございました。

○宇田プリンシパル 私も同じようなポイントでありますけれども、この主務大臣の許認可といったときに、今の言ったイコールフッティングの観点からしっかり見ていくということがどこまでやれるのか、できるのかということが、よくわかりません。したがって、もともとの目的である、やはり移行期間中のイコールフッティングをどうやって担保しながら、しかもその経営の自由度に知恵を、経営の知恵を発揮させていくのかと「うことが実は大事であって、そういう意味では経営の、この前もお話があった監視委員会というんでしょうか、監視をしていくところが、実質上さまざまな判断をしていくことが、必要になってくるんだろうなと思います。
 それは、今ちょうど翁委員がおっしゃったように、例えば窓口事業が金融との間でフィーが恣意的な設定の仕方をされている間に、窓口事業が新しい事業を拡大していくということは、イコールフッティング上の問題にもなる。それからまた金融の側も、旧勘定からというようなものがいろいろ入って、それが透明にならない間に新しいことをやっていくというのは、イコールフッティング上問題になる。やはりその事業の中身、収益性とか、こういうところまでも見ながらこれを判断していくということが大事であって、商品そのものの是々非というよりかは、事業そのものがちゃんと透明に行われているのかどうかを監視し判断していくことが、求められていると思います。そういう意味では、基軸はAなんですけれども、そういうところが付加されていく必要はあると。軸がBだと申し上げているわけではありません、軸はAである。だけれども、今言ったようなことが担保されることが大事じゃないか、こんなふうに思います。

○中城審議官 どうぞ。

○奥山相談役 また似たような意見で恐縮なんですけれども、大変このA案とB案、選択に迷うというか、どうしたらいいのかなという難しいところですけれども、A案は自由度が、このままでいくとちょっと多過ぎるのではないかと。まさしくそれはイコールフッティングの問題として出てくると思いますし、B案はちょっと法的規制がかたいかなと。そういう意味では、やはり株式会社について、ある程度自由度はあるという意味ではA案がいいんですけれども、しかしこれだと余りにもいろんなことができるという懸念がなくはないと。すると、この一番最後に書いてある、監視機関によるモニタリングや是正措置等が必要ではないかというところをもうちょっと明確に、単なるモニタリングということではなくて、ある程度必要、勧告、是正あるいは強制的な措置、そういうことまで含んでも、この監視機関の強化を図るということで、このA案がいいのではないかと、そのように思います。

○中城審議官 どうぞ。

○吉野教授 私もほぼ同じ意見なんですけれども、一つの言葉としては、監視機関がトランスペアレンシー―透明性のもとで国民の前に明らかにするということが、やっぱり重要じゃないかと思います。B案ですと、やはり主務大臣の許認可制ですから、これまでの例では余り、そこがなぜここを認めないかというのがはっきりしなかったわけで、ですから監視機関であれば、トランスペアレンシーが保てると思います。そういう意味では、イコールフッティングがどうかという議論も国民の前に明らかになるんではないかと思います。
 それから、あとこの中で、ここは新しい郵政のネットワーク会社ですけれども、民間金融機関も前回申し上げましたけれども、簡保とか郵貯の商品を販売したければ販売していい、そういう意味でのイコールフッティングがあった方がいいんではないかと思います。ですから、両方がやれることをやっていくということです。
 それから、フィーの設定の仕方も、あるところでは多分最初は割合独占的で高いのが出てくるかもしれませんが、もしそこが本当に民間との競争であれば、必ずそこに民間のビジネスが入ってくるわけですから、その独占的な利益を享受しようとすれば、そこでまた競争が出るわけで、それこそがまた両方のいい面でサービスがよくなるというふうに思います。
 ですから、やはりポイントのところは透明制のある議論で、監視委員会がきちんと見ていく、そこの議論がわかるようにしていただくといいのではないかと思います。

○山下理事 よろしいでしょうか。

○中城審議官 どうぞ。

○山下理事 今の点でございますが、私どもとしては窓口ネットワーク会社というのは、基本的に、先ほどの宇田さんのご意見にもありましたけれども、郵便局ブランドと低コストオペレーションを武器にした、郵便局ネットワークをフルに活用する代理店業ということで、郵便、貯金、保険の受託業務を核にして民間企業との連携により幅広い受託業務を展開する企業という、そういうビジネスモデルと考えております。したがいまして、受託業務の範囲については、基本的には経営判断によって自由にやらせていただくというのが筋なのではないかなと。
 フィーにつきましては、勝手にフィーがつけられるわけでは決してないと思います。フェアプライスでなければ、やはり税務当局等から指摘されるでしょうし、基本的には窓口ネットワーク会社のフィーについても自由にさせていただくのがいいのではないかなと思います。
 今ご議論伺っていまして、基本的にはよくわかりますが、ただ私の方としては、コインの両面ということを経済財政諮問会議でも生田総裁が何度も申し上げましたけれども、税金とか預金保険料を払って多額のコストを負担しながら、新しい収益源は厳しい審査なしにはなかなか認められないということでは、新会社の経営は成り立たないというふうに思います。ですから、新商品につきましては、基本的には監視機関とかチェックは必要としても、あまり厳しい、なかなか認められないということではなくて、やはり新会社の経営に基本的にゆだねるという方向性がないと、一方では負担だけ増えて、他方では全然新しいレベニューはないということであると、この会社は成り立たないことになると考えます。

○中城審議官 どうぞ。

○宇田プリンシパル 1点だけ。
 ぜひ、そういう事情はよくわかるんですが、クロスサブと言うんでしようか、お金がどういうふうに使われているか、管理会計上の問題を明らかにしていただいて、それで新規事業がどんどん取り込める状況をつくるということが大事かなと。だから先に、まずその辺の公社の説明責任というのが果たされて、そこの監視機関は、そこでオーケーということがどんどん言えるような状況を、むしろ新会社がつくっていっていただくということが大事だと思います。

○中城審議官 よろしいですか。
 それでは、次の受委託関係について、何かご議論があればお願いしたいと思います。25ページ。
 どうぞ。

○奥山相談役 先ほどの細見審議官のご説明の中で、確認だけ一つさせていただきたいんですけれども、すべての業務を担保するものではない、それから郵便局すべてにおいて適用されるものではない、そういうふうにこのA案のところはご説明なさったんですけれども、私の理解では移行期においては郵便、貯金、保険が一応原則的にはやらなくてはいけないのではないかというふうに読めたんですけれども、そこはそうじゃないということでよろしいですね。

○細見審議官 一応ここで書いている案では、会社間の委託契約ということにしております。具体的にどの郵便局でやるということは一応契約自由と、こういう構成にはしてあるということであります。

○奥山相談役 ということは、その郵便局において、例えば保険をやらない郵便局があっても、それは問題でないと、そういう理解ですね。

○細見審議官 そうです。

○奥山相談役 わかりました。

○中城審議官 どうぞ。

○宇田プリンシパル 25ページから31ページというのは、割と一貫した話ではないかなと思うので、ちょっとまとめて一、二点。
 これはやはり基軸がどこにあるのかということと、それから枝葉はどっちなのかということをはっきりさせておいた方がいいのかなと思います。基軸はやはり31ページですと、ここからスタートするとすると、郵便はユニバーサルサービス・オブリゲーションであると。郵便窓口については設置基準というのはかかってはくるけれども、金融の窓口に関してみれば、設置基準というものが設定されるということはまずありません。こういうのがまず基軸であるというのがまず一つです。
 それからもう一つの基軸は、もともと例えば郵便なら郵便で設定される要件というのは、一種のサービスレベルを明確に規定するようなものであって、例えば数とか、いろいろな形態とかというようなものに対して、制約を与えるものではないということ、これはやはりもう一つのポイントであるのかなと思います。ただ、先ほどのように過疎地に必ず一つというような最低基準というのは、何かしら必要になるのではないかなと思います。しかしながら後はサービスレベルではないか。ただ、そうしたときに、最後のポイントですけれども、あいまいにしておくと、一方ではいろんな関与がかかってくるということもありますので、より具体的なものを経営側として考えていくということではないかと思います。

○中城審議官 どうぞ。

○翁主席研究員 まず受委託関係、窓口設置基準、続けて申し上げますが、受委託関係につきましては、原則当事者の自由ということで、移行期間は持株会社の経営判断にゆだねるというBの考え方でやっていくのかなと思います。先ほどのところにもありましたけれども、窓口ネットワーク会社が、例えばほかの銀行の代理店になるという可能性もあるわけでございますので、必ずしも郵貯と保険が、必ず窓口ネットワーク会社と受委託関係を結ぶという必要性は乏しいのではないかと思います。特に都市部なんかでは金融窓口がないといった局もふえるのではないかと思います。
 ただ、これは次のところと関連しますけれども、過疎地については、例えば金融アクセス、いわばキャッシュポイントを確保するという意味から、例えばほかの代替サービスの利用可能性を勘案しながら、最低市町村に1つとか、そういったことの議論はあり得るかもしれませんけれども、少なくとも原則として自由にしていくということではないかというように思います。
 それから、受託料等も当然その当事者からの契約の自由にゆだねるということではないかというふうに思います。
 それから、窓口の設置基準、今のことと関連いたしますけれども、都市部については原則経営判断事項ということでございますし、過疎地についてもA案ということではないかというふうに思います。金融窓口としての議論というのは、先ほどご説明ありましたけれども、これから銀行の代理店の規制緩和が行われていくということでございますので、例えば農協や銀行、信用組合、信用金庫といった業態の銀行代理店がどう配置されていくか、また先ほど申し上げたように、いろいろな銀行がこの窓口ネットワーク会社の代理になる、代理店のとして契約を結ぶということも考えられるということで、相当環境も変わってくるのではないかというふうに思います。また、そういう意味で、過疎地につきましては、金融窓口についてはほかの代替サービスの利用可能性を勘案して、過疎地全体として金融窓口が最低限確保されているということでいいのではないかというふうに思います。
 郵便についても、恐らくコンビニにポストが置かれるようになっていくとか、いろいろ環境は変わると思いますので、その意味で柔軟性のある対応をしておくということが必要であるかと思いますが、最低限市町村に一つといった、そういった義務づけというのはあり得るのではないかなというふうに思います。

○中城審議官 どうぞ。

○奥山相談役 時間の関係で、私も3つまとめて申し上げたいと思います。
 先ほど、実は確認させていただきましたのはA案とB案、なかなかこれも選択が難しいと思いますし、また恐らく当初は法律でしっかり規定がないと、なかなか不安があるということではないかと思いますけれども、ただここで少なくとも移行期においてはと書いてあるところを見ますと、これは右のB案でも移行期においては100%持株会社、ホールディングカンパニーがあるわけですから、しかもそれを国が100%持っているということですと、経営上の実態としてはこういうふうに、それぞれの業務をしろということは経営上十分可能だと思いますので、あえて移行期においては、むしろ要らないんではないかというふうに思います。むしろ今後のサービスのいろいろな拡大の上において、むしろ余り決めがない方がやりやすいのではないかなと、そういうふうに思います。
 それから、設置基準の問題ですけれども、私は過疎地域においては、これは数においても、今、3,000市町村というふうに聞いていますので、これはむしろ1以上の郵便局を設置するということは安心のために決めたとしても、経営上そう問題はないのではないかというふうに思います。ただ、そこにおける郵便局というものが、すべからく100%の業務がなければだめだということを意味するのではないということを、先ほど確認させていただきましたので、そういう前提をもってよろしいのではないかというふうに思います。
 その2つだけ申し上げておきます。

○吉野教授 私もほぼ同じ意見ですが、一つ皆さんと同じなのは、各市町村に少なくとも一つは郵便局を設置するということを、政治的にも言っておいていただいた方がいいような気がいたしまして、ですから3,000ちょっとある市町村には必ず一つは郵便局を置くと。ただ、その郵便局も、今ほかの先生のご意見のように全部そこに建物があるわけではなくて、例えば酒屋さんの一角に郵便局がある、あるいは市役所の一角に郵便局があると、そういういろいろな多様な形態で、なるべくコストが低くできるような形で郵便局を設置するということは必要だと思います。

(竹中大臣入室)

 それから郵便に関してのみ、私もユニバーサルサービスが必要だと思いますので、例えば貯金と保険に関しては、ある特定のスタンダードされた商品に関しては、いろんなところで売れるかもしれませんし、複雑な保険とか貯金に関しては販売できないかもしれませんけれども、そういう意味ではユニバーサルサービスは、私は郵便だけに課す方がいいと思います。
 それから、受託手数料とか委託手数料は、私は前に申し上げました。これはやっぱりマーケットで決まることですから、やっぱり当事者間が決めていくと、自由ルールに従い、そこで利潤が得られれば必ずほかのビジネスがそこに入ってくるわけですから、そういう形でマーケットに任せるという方がいいように思います。
 以上です。

○中城審議官 では、山下理事。

○山下理事 まず、窓口会社と各事業社の受委託関係でございますが、私の理解では経済財政諮問会議の議論では、金融分野のユニバーサルサービスの実質的確保を担保するために、郵便貯金・郵便保険会社の委託は何らかの形で法的に義務づけ、それが困難な場合にはそれに準ず髑[置を講ずるというふうにされていたように思います。
 したがいまして、郵便局窓口の設置に関する努力義務と合わせて、郵便貯金・郵便保険に対して、窓口会社への窓口業務の委託を法的に義務づけることが必要だと思います。そういう意味では、A案の方がよいのではないかと思います。
 それから、窓口設置基準のあり方につきましては、民営化されると郵便局を大幅に減らされるのではないかという国民の不安を和らげる、そういう観点からも、窓口の配置については、政府として一定の関与を行うことが適当だと思います。その意味からは、具体的な設置基準の方向性を主務省令に定めるB案の方が望ましいと考えております。
 私どもの生田総裁がいつも申し上げておりますが、民間の経営者というのは、自分の会社の責任を持つと採算に大変厳しくなるということでございまして、ドイツポストの経営陣などと話しておりますと、郵便局の設置についてはコスト削減の観点から、義務づけられている水準までは何とか維持するけれでも、もし義務づけられなればどのぐらいにするのかと聞くと、信じられないような数字を言いますので、そういう意味でいうと、やはりこういう形である程度、政府の方で一定の義務づけを行うことがないと、民営化された場合に、一定の郵便局ネットワークを維持するというのはなかなか難しいのではないかなという印象を持っております。

○中城審議官 どうぞ。

○宇田プリンシパル すみません、いつもその後で一言つけ加えて申しわけないです。
 ちなみに、ドイツはご案内だとは思いますけれども、ミニマムというのは計算すると1万ぐらいなんですね。今1万2,000幾つかでずっとやってきていますので、今おっしゃったところは当てはまらないところがあります。経営判断というのは、単に減らせばいいということではなくて、このネットワークをどうやって維持をして稼働率を上げていくのかというところが一つの鍵になります。民間になるとやたら減らすだけ減らすということになると、これは縮小均衡になって経営としても成り立たないところが出てくるんだろうと思います。ぜひシミュレーションで見ていただくといいなと思いますけれども。
 だから、今のは公社が今後数字でごらんになって、そういう議論を踏まえた上で議論をしていただいた方がいいのではないかと思います。

○中城審議官 どうぞ。

○奥山相談役 今の表現で、あえて質問するんですけれども、法律的な制約を加えないと、民間の自由度の経営によってどんどんどんどん思わぬ方向に行ってしまうと、そういう意味ですか。

○山下理事 はい。

○奥山相談役 過渡期においては―つまり移行期においては、政府の100%の持株会社というのがあるわけですよね。ですから、それは不可能じゃないですか。

○山下理事 持株会社の下に、それぞれ確かに子会社でありますけれども、それぞれの社長がその業務に対して責任を持つ株式会社を設立されるわけですから、分社化していった場合には、例えば自社の採算を上げるために、もうからない、採算のとれない郵便局は使いたくないという発想が非常に強くなる可能性は十分あるわけでございまして、その意味では、そのコントロール自体も結構難しいというふうに私どもは考えています。

○中城審議官 どうぞ。

○宇田プリンシパル これは今後議論すればいいところなんですけれども、それぞれの事業会社の間で交渉したときに決着がつかないときに、持株会社の判断になるということはよくあると思います。今おっしゃったことはガバナンスというものの設計の仕方ということによってくるのではないかなというのが一つ。
 それから、移行期間中は今奥山相談役がおっしゃったようなところでいいんですけれども、こういう状態のままに貯金、保険の民営、民有化ができるのかという問題が当然のことながら出てきます。規制がかなりかかっている状況の中で、金融側を民間側にできるだけ早く移そうというと、非常に難しい話になってくると思います。そうすると、リスクの遮断であるとか、こういったようなものにもかかわってきますので、ぜひここのところは、できるだけお互い同士の経営の判断の中で議論がされていくようにという方向で設計していただいた方がいいのではないかなと思います。

○中城審議官 どうぞ。

○吉野教授 ネットワーク会社を通じて、いろんな民間の金融商品を販売する場合に、恐らくコンピューターなどのある程度のフィックスドコストというのをかけないと、そういうサービスができないと思うんですけれども、シミュレーションのときには、それも含めてどういう形でのネットワーク会社がやっていけるかというのも計算の中に入れていただきたいと思います。

○中城審議官 ほかにご意見は。

○宇田プリンシパル すみません、あと2点だけ。
 26ページの下に書いてあるポイント。イコールフッティングということがかなり議論として出てくると思いますのでぜひ、イコールフッティングのことについては十分監視しながら進んでいくというふうにした方がいいと思います。
 それからもう一点、15ページの下のところに、意外に大事なことでさらっと書いてあるところがあります。もともと今郵貯、簡保が持っている商品以外のものを売るときに、金融の側で調達をするのか、それとも窓口の側で調達をするのかというのは、これは両方の問題が多分出てくるというふうに思います。考え方としては具体的な議論をすれば、ある程度商品ごとに、どっちがいいのかということは見えてくると思います。ただ、基本的には両者で競争し合うというのが最終的な姿ではないかと、こんなふうに思います。このあたりも、もう少し具体的な案を、シミュレーションも含めながら議論できるといいなと思います。

○中城審議官 どうぞ。

○吉野教授 もし、今の宇田委員の一番最後の15ページのところで、販売代理店であるとすれば、私は窓口ネットワーク会社が直接受託すべきものじゃないかと思いまして、ですからある程度運用とか何かを民間と合同でやるとか、そういうことがない限りは、ただ代理店としてやるような気がいたしました。そうすると、窓口ネットワーク会社じゃないかと思うんですけれども。そういう意味では、どういう商品性かによっても分け方が違うと思いますが、ほとんどが窓口ネットワーク会社に受託されることになるのではないでしょうか。

○宇田プリンシパル いいですか、1点。
 これは、私はどっちでもあり得るかなと思っています。貯金保険の会社が何かを少し業務上広げたものに対して、窓口に委託をしていく形というのは当然出てくるので、それも理屈上は、私はどっちもあり得る話じゃないかなという感じがします。これは今日は余り深く議論することではないと思いますが、今後どこかで議論しておいた方がいいことではないかと思います。

○山下理事 その点については先ほども申し上げましたが、いずれも郵便貯金・郵便保険会社は、基本的に窓口を持たない、販売力を持たない金融機関になりますので、仮にその窓口会社でほかの金融機関が何でも売るということになった場合に、郵便貯金・郵便保険会社が成り立つかという問題があると思います。一番最初に申し上げましたように、物差しとして、4事業会社が市場で自立できて、中・長期的に発展できるビジネスモデルになるか、2017年までに郵便貯金・郵便保険会社が民有・民営のソフトランディングができるかという観点からのチェックは必要だと思います。そういう視点からチェックしたときに、仮に窓口会社が手数料のよい外資系保険会社の商品ばかり売って、郵便保険会社の商品は売らなくなるといった場合には、郵便保険会社は成り立たなくなってくるわけでございますから、そういった意味でのチェック機能も必要ではないかと思います。

○翁主席研究員 やはり窓口ネットワーク会社において、さまざまな金融商品が売られるようになった場合の公正性の確保というのは、非常にこれから重要になっていくのではないかというように思います。今おっしゃったことは、また逆のサイドから民間金融機関などから見れば、本当に窓口ネットワーク会社はうちの商品を売ってくれるのかと、そういうことにもつながっていくかと思います。
 それで、その公正性の担保というのは非常に重要だと思いますし、恐らく利用者のニーズとしては窓口ネットワーク会社でさまざまなものが売られて、きちんとした説明を受けて、そしていろいろなものがきちんと説明を受けた上で選択できるというような拠点を望むと思いますので、これは銀行代理店とか、そういった規制緩和をどういうふうに―例えば人材の配置とか、どういう説明義務をするか、そういうこととも絡んできますので、ぜひその辺、全体の改革と整合的に議論を進めていただきたいと思います。

○中城審議官 ほかにいかがでしょうか。
 それでは時間の関係もございますが、本日の議事はここまでにさせていただきたいと思います。
 なお、本日の議論はここで区切りとさせていただきますけれども、既にご案内のように、当室の担当等が随時ご意見を承りまして、本日いただいた意見と同様、お手元の論点表、右側空欄になっておりますが、そこに盛り込みたいと思いますので、もし本日言い足りなかったご意見、さらに考えを深めていただいたご意見があれば、遠慮なくお申しつけいただければと思います。
 それでは、竹中大臣から一言お願いいたします。

○竹中大臣 お忙しいところ、今日は本当にありがとうございます。私たちの方は、今日1日予算委員会でずっと拘束されていまして、ほとんどの議論をお聞きすることができなかったのは個人的には大変残念でありますけれども、とにかく非常に集中的に、まず1ラウンド、重要な問題についてのごR議をぜひお願いしたいと思います。
 それで、これは今日、この会議で何かを決める、何かが決まったということでは言うまでもなく、全くありません。いろんな意見を出していただいて、その中で方向としての意見を収斂させていくということだと思っておりますので、その点は外の方々にもいろいろ取材等々受けるかもしれませんが、そこはこちら側、準備室の方も注意をいたしますけれども、皆さんの側でもぜひ、すべては議論の途上であるということで、ご理解をいただきたいと思います。
 いずれにしましても、今日の議論の中身も大変濃かったというふうに思います。引き続き1ラウンドやっていきますので、先生方の積極的なご関与とご後見をお願いいたします。
 ありがとうございます。

○中城審議官 ありがとうございました。
 なお、本日の会議後の記者ブリーフィングは、竹中大臣に同席をいただき事務局より行います。
 最後に、次回の会合の日程につきまして事務局からご連絡があります。

○利根川参事官 既に事務的にはご連絡させていただいておりますけれども、次回の会合は今月の27日の10時から12時ということで開催をさせていただきまして、その後28日、29日も同じ時間に連続して開催をさせていただきたいというふうに思っております。
 議題につきましては、今回同様、事前にご説明させていただきまして、できるだけ会議自体は質疑とか議論の、要するにディスカッションの時間に割きたいというふうに考えております。
 なお、開催場所につきましては決まり次第事務的に、またご連絡させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 以上です。

○中城審議官 よろしいでしょうか。
 それでは、本日の会合は以上でございます。本当に長時間ありがとうございました。