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郵政民営化に関する有識者会議第14回会合 議事要旨

日時
平成16年10月27日(水)
10:05~11:31
場所
中央合同庁舎第四号館(2階)
共用第三特別会議室

○中城審議官 それでは、お待たせいたしました。
 これより、郵政民営化に関する有識者会議第14回会合を開催いたします。
 本日はお忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございました。
 早速、議題に移らさせていただきます。前回もお断りいたしましたけれども、できるだけ議論の時間をとりたいということで、資料説明についてはポイントをかいつまんだ形とさせていただきます。
 それでは、事務局よりユニバーサルサービスの義務付けの範囲と必要な優遇措置及び提供義務を課す公共性の高いサービスの範囲と必要な制度面での措置の2点につきまして、お手元の資料に沿ってご説明させていただき、その後ご議論いただきたいと存じます。

○伊東審議官 それでは、郵便、物流を担当しております伊東でございますが、私の方からご説明をさせていただきます。今、中城審議官からお話がございましたように、事前にお読みいただいている部分が多いかと思いますので、ポイントを絞ってご説明をさせていただきます。
 資料をおめくりいただきまして1ページ、最初の論点でございますユニバーサルサービスをどのような範囲でどこまで義務付けるかということでございます。左側に基本方針が書いてございますが、郵便事業会社につきましては、サービスの提供範囲といたしまして、引き続き郵便のユニバーサルサービスの提供義務を課すということになってございます。考え方といたしまして、A案、B案2つつけてございまして、A案の方が基本的には現状と同様と、つまり通常郵便物、小包郵便物及び国際郵便というものを対象としてはどうか。B案につきましては、民間宅配便が全国でサービスを提供している現状にかんがみという前提のもとに、国内小包郵便物を外すこととしてはどうかと。その場合に、2つ目の丸で万国郵便条約との関係をどのように整理するかという問題が生じるのではないかと。
 おめくりいただきまして、2ページに参考といたしまして、万国郵便条約の抜粋をつけてございます。詳細につきましては、10ページにつけてございますので、既にお読みいただいているかと思います。これにつきましては、2つ目のポツで通常郵便物だけではなくて、小包郵便物の引き受け、取り扱いにつきましても、必要な確保をすると郵政庁について条約が触れているところでございます。
 それから、参考2は諸外国の状況で、小包につきましてもおおむね20キロというのが多いわけですが、そういったものを義務付けていると。
 それから、3ページでございますが、基本方針につきましては優遇措置といたしまして、信書便事業への参入規制については、当面現行水準ということになってございますので、そこに参考1としまして、現在の信書便の参入規制、それから諸外国におきます独占分野の例というのをつけてございます。これも詳細につきましては、11ページ、12ページにつけているところでございます。
 それから、4ページにつきまして、基本方針につきましては、料金決定について公的関与を続けると書いてございますので、料金につきましての公的関与の考え方につきまして2つの案をつけてございます。引き続き現行のユニバーサルサービス義務の範囲にした場合、そういう義務を課すということから、現在通常が認可、小包が事前届出でございますが、それを維持してはどうかということと、義務は課すにしても会社になるわけでございますので、経営の自由度を拡大するために緩和をしてはどうかと。緩和の例が通常と小包につきまして、そこにつけてございます。
 下のところに書いてございますのは、小包を提供義務から外す場合には、民間と同様の料金規制になると。この場合、ここに書いてございませんが、通常につきましては上と同じような現行どおりにするのか、あるいは緩和するのかという問題が生じるのは当然でございます。
 それから、5ページはさらなる優遇措置といたしまして、基本的には民間企業と同様の義務を負うわけでございますが、他の公益事業との比較で必要なものに限って検討してはどうかというのをつけてございます。
 6ページ、本来は事前にこれを説明した方がよろしいわけですが、事前にお読みいただいているということで省略をさせていただきますが、郵便物の種類とか最近の郵便物の動向、それから一般小包と民間宅配便の取扱いの推移、シェアの問題とか、それから8ページにつきましては郵便事業の損益、公社以前と公社になりまして15年度、それから今後の見込み、それから9ページですが、後ほどの三種、四種にもかかわってまいりますけれども、通常の中の一種、二種、三種、四種の収支、それから小包、国際の収支状況につきまして資料をつけてございます。
 以下、10ページは先ほど触れました詳細な資料でございますので、これは省略をさせていただきまして、17ページをお開きいただきたいと思います。
 17ページは2つ目の論点でございます。提供義務を課す公共性の高いサービスの範囲をどうするかと。これにつきましては、基本方針、左側でございますが、特別送達等の公共性の高いサービスについても提供義務を課すと、このために必要な制度面での措置は今後の詳細な制度設計の中で検討をするというふうに書かれているわけでございますが、特別送達等と書いてございますので、この17ページにつきましては、さっきちょっと全体像をご説明しましたが、三種、四種というものについてどうするかというのを2つの案をつけてございます。
 三種、四種につきましては、これも既にお読みいただいていると思いますが、18ページに簡単に三種、四種の概要をつけてございます。詳細につきましては、後の方の資料にございますけれども、三種というのは定期刊行物を中心とした、あるいは新聞のようなものでございますが、四種というのは幾つかジャンルがございますが、通信教育とか点字、あるいは学術刊行物などが四種になるわけでございますが、こういったものは文教政策とか社会政策の観点から、同様の手紙、はがきなどのものよりは安く、特に盲人につきましては無料でございますが、そういう種類のものでございますけれども、これにつきましてA案は引き続き提供義務を課したらどうかと。
 しかしながら、いろいろな政策目的に基づいてこういうものを設けてあるわけでございますので、時代が移るにつきまして必要性が薄れてくるものは検討した上、義務付けの対象から除外してはどうかと。しかしながら、相変わらず義務を課すということになりますと、2つ目の丸ですが、先ほど述べましたように、いろいろな社会政策の観点から低料金としているということですので、さっきの種別のところで見ていただきましたが、三種で216億、四種で30億円の赤字が発生している。そういうものに対して、必要な措置が要るのではないかという議論が出てくるのではないかと。これにつきましては、19ページに参考3でございますが、諸外国について予算措置が講じられている例、特に盲人でございますが、それを掲げてございます。
 それから、17ページにお戻りいただきまして、B案の方でございますが、三種、四種につきましては法律上の提供義務を課さないと、民間会社になるわけでございますから、経営の判断にまかせてはどうかという案でございます。当然のことながら、そうなりますとB案の丸の2つ目でございますが、低料金のサービスが提供されることをどういう形で担保するかということと、特に現在無料で提供しております盲人用郵便について、確実にそれが提供されるのかどうかというのをどのように担保するか。盲人用につきましては、19ページにちょっと先ほど参考3というのを見ていただきましたが、参考4というのがその下につけてございまして、条約の中でもちろん国際間のやりとりでございますけれども、点字郵便物については郵便料金を免除するという規定がございます。これに基づきまして、20ページですが、参考5になりますが、諸外国の例といたしまして、法律とか免許状とか、そういうものによりまして盲人用郵便を無料にするという例がございます。こういった点をどのように考えるかというのが17ページでB案をとった場合には出てくる。
 それから、ちょっとそういう観点とはまた違うわけですが、公職選挙法の中で三種というものが一定の要件として位置付けられてございます。そこにもちょっと触れておりますけれども、選挙期間中にいろいろな規制がかかるわけですけれども、それの例外的な形でここに書いてありますように、報道及び評論の自由ということから、新聞、雑誌につきましては、一定の資格のものについて、それを外すことになっているわけですが、その場合にどういうものかというので、この三種の承認というのを前提に要件がつけられている。そういう形での法的な位置づけとして三種がある以上、それを全く法律の中から外すことが妥当かどうかというようなことも検討しなきゃいけないのではないかということでつけてございます。
 以上が三種、四種でございますが、21ページに特別送達などの特殊取扱について、どのように考えたらどうかということでA案とB案をつけてございます。特別送達以外に特殊取扱は幾つかあるわけでございますが、そこに書いてございますのは内容証明とか引受時刻証明、配達証明、あと書留でございますが、こういうものは司法手続の中に組み込まれておりますので、これも参考資料についてございますが、そういったものを法律上実施を義務付けることをしてはどうかという形で全体を考えておりまして、その場合にどういう対応をすることによって、それが担保されるかということで、一つの案といたしましては、左側でございますが、信用性とか証明力を維持するため、刑罰法規の適用についてみなし公務員としたらどうかと。みなし公務員につきましては、いろいろ誤解もあるんですが、22ページ、次のページですが、簡単に概要をつけてございます。
 公務員ではないんですが、職務の内容にかんがみ、刑罰法規の適用について公務員としての扱いを受ける。さらに、もう一つのポツですが、職務の内容が公務に準ずる公益性・公共性を有しており、国家公務員法上の規律全部を包括的に課す必要はないがということで、公正妥当な執行を担保するため必要があるときに設けられているものと。
 29ページに、これも既にお読みいただいていると思いますが、もう少し詳しく具体的にそういったものの例、29ページの概要は今申し上げたとおりでございますが、2つ目の四角のところに例、例えば4つ目のポツですが、公共性を有する一定の検査・検定・試験に従事する民間機関の役職員などにみなし公務員の規定が設けられております。具体的に、どのような罰則が想定されるのかというのが29ページ、刑法上の規定といたしまして6つほど掲げているところでございます。
 こういう形で担保することによって、引き続き特別送達というものを郵便会社に任せるというか、そういうことが可能ではなかろうかということが、これは私どもの判断というよりは担当の法務省の方の判断になりますが、私どもも感触程度しかまだ議論はしていませんけれども、そういう感触を得ているところでございます。
 それ以外の案といたしましてはB案でございますが、21ページですけれども、公証人のような制度、公証人というのは、これもお読みいただいているかもしれませんが、一番最後30ページに公証人という制度につきまして簡単に書いてございますが、公証人というのは資格を有するというよりは資格を有する者から法務大臣が任命するというのがポツの2つ目のところに書いてございます。一定の試験に合格した人や裁判官等の資格を有する者から法務大臣が任命すると、こういうような制度を導入するか、あるいは何らかの資格制度というものを導入したらどうかと、そういう者に扱わせたらというのが21ページのB案でございます。
 いろいろな考え方があると思いますので、この2つをA案、B案という形でつけさせていただいております。
 資料の説明は以上ですが、事前にご説明をさせていただきました中で、本日ご欠席の奥山相談役より、最初の1ページでユニバーサルサービスの義務付けの範囲に関しましてご意見をいただいておりますので、ご紹介をさせていただきます。
 奥山相談役のご意見はユニバーサルサービスの義務につきましては、B案に賛成だと。ただ、国際条約との関係がありますので、利用者のことを考えたりする必要があるということがございますけれども、いずれにせよB案に賛成で、実態上利用者の便にかなっており、あえて提供義務を課す必要はないのではないかというご意見をいただいておりますので、ご紹介をさせていただきます。
 私の方からは以上でございます。

○中城審議官 それでは、ただいまのご説明させていただきました論点に関しまして、ご意見、ご質問などあればいただきたいと思います。

○翁主席研究員 ちょっと進め方のことで2つ申し上げておきたいことがあるんですが、前回から始めておりますけれども、一つ一つの論点を部分的に議論を積み重ねているわけなんですけれども、初めて2日目、3日目の議論をして全体像がつかめてくるという部分がありますので、個別の論点を議論した後でまた全体像を議論した上でもう一度個別の論点に戻ってレビューする機会をぜひ与えていただきたいということが一つでございます。
 それから、もう一つはどの案もAかBかの選択ということで書かれているわけでございますけれども、例えば私どもの申し上げる意見を実現するためには、A案、B案をどういうふうに変えていけばそういうことが実現できるのかというような方向でいろいろお考えいただくことができればというように思っております。AかBかという二者択一で議論が必ずしもできないものも多いように感じておりますので、その点ちょっと前回の議論をしましたところの感想ということで、ちょっと最初に申し上げたいと思います。

○中城審議官 今日から3日間で大体第1ラウンドを終わるということでございまして、第2ラウンドは11月に入ってからでございますけれども、この議論というのは、確かにパーツ、パーツでやっていきますけれども、全体をもう一回ラップアップして、それで全体のレビューという形で第2ラウンドを進めたいと思います。
 それから、A、Bというのは、これは議論をしやすくするということでの工夫ということでご理解いただければということでございまして、もちろんA案、B案セけではなくてC案もあるでしょうし、D案もあるということですので、これはとりあえず事務局としての提案というふうにご理解いただいて、それでまた違う案が出てくれば第2ラウンドのときにはそういうまとめ方をしたいと思っております。

○宇田プリンシパル 中身の議論でよろしいですか。
 最初のユニバーサルサービスの範囲の件なんですけれども、これはちょっと一部確認したいことがあります。
 オランダとスウェーデンというのは、バルクについては郵便をUSOから外している。郵便の中のいわゆる今メール便で争っている分野のところかなと思いますが、要するに考え方としては、民間が既にあるところについては、USOはできるだけ外していこうという方向で今議論されているということではないかと思います。したがって、小包に加えて、通常郵便物の範囲の中でも、競合がしっかりあるところについては果たしてUSOを課すべきなのかという議論が一つ。
 2番目に日本ほど民間の小包が発達している国はないわけです。日本の特殊事情を考えてみると、小包というのはユニバーサルサービスの提供義務は万国郵便条約があったとしても、課さないで済むのではないかなというふうに思います。
 それから、もう一つ。小包は、国内は10キロ、クロスボーダーが20キロという制約だと思うんですけれども、日本の場合には国内が圧倒的に多いことを考えてみると、10キロということで考えてみる。もし10キロ迄がユニバーサルサービスになったときに、必ず出てくる問題が信書と一緒にユニバーサルサービスにしておくと、小包の側でイコールフッティング上の問題が出てくるということです。
 どういうことかというと、そこは守られているわけですから、一方では完全にUSOとして信書と一緒にして守っているものが例えば小包で、価格的にはあるいは参入障壁がない競合と戦っているわけで、ここのところで競合からのクレームというのは必ず出ます。これはヤマトだけの問題じゃなくて、昔からドイツポストもヨーロッパの中でこれが非常に大きな問題として議論されてきました。もしこういうことを議論するんだとしたらば、小包と信書の勘定をいかに分けるかとか、そういうイコールフッティング上の条件をあわせて議論をする方がいいのではないかと思いました。A案でもB案でもなくて申しわけないんですけれども。

○翁主席研究員 私も宇田さんの意見と似ているんですけれども、やはり国内の現在の事情を見ますと、本当に民間の宅配便が普及しておりまして、この7ページの図表を見ましても、一般小包のシェアは本当に6%とか、その程度の非常に低いシェアでありまして、その意味で国内の事情を勘案すれば、小包にユニバーサルサービスオブリゲーションを課すということは必ずしも適切ではないのではないかというように思います。
 これはどう解釈するのかわからないんですけれども、10ページの万国郵便条約を見ますと、第1条の2のところで、郵便業務のことについて国内事情を考慮してというような書きぶりもございますし、そういう意味で今の我が国の宅配便、小包の現状を判断いたしますと、必ずしもUSOを小包にまで課すという必然性は乏しいのではないかというように思います。
 ユニバーサルサービスオブリゲーションを広くとればとるほど、その見返りとしての規制という形で超過利潤を取るというような形での優遇措置が必要になるという考え方が支配的でございますので、そういう意味ではそういったことになりますと、やはりイコールフッティングの点からは先ほど宇田さんがおっしゃったように問題があると思いますし、またそういった独占的な分野がそれによって確保されるということになりますと、消費者余剰は小さくなるといった観点から見ましても問題であるし、それよりもむしろそういったユニバーサルサービスオブリゲーションは小さくして、できるだけ競争に任せていくという方向を志向するという方が望ましいのではないかというように思います。

○伊藤教授 私は今お二人がおっしゃった意見に基本的に賛成ですが、余り同じ論点は繰り返さないとして、もう一つ非常に大事なのは、第一種郵便、第二種郵便のユニバーサルサービスをきちっと守るということです。今のクロスサービライゼーションの議論じゃありませんけれども、小包まで含めて全体にユニバーサルサービスをかけるということは、逆に言うとこの上の2つのユニバーサルサービスに悪い影響が出ることにもなりかねません。。
 2つのクロスサービスの方向があり得ますから、1つ例を上げますと、例えば第一種、第二種で仮に利益が上がってきたときに、小包までユニバーサルサービスをかけると、例えばそっちからこっちへ利益を持っていくことによって全体をカバーしようとするということにもしなれば、その場合には本来のもう少し低コストでできたかもしれない第一種、第二種のユニバーサルサービスにいわば棄損が生じるわけですし、あるいは逆に小包で非常に利益が上がって、それを第一種、第二種に回すというようなことがあった場合には、これをどう解釈するかというのはいろいろな見方があると思いますけれども、そういう意味でユニバーサルサービスが広ければ広いほどいいというんじゃなくて、本当に大事なところのユニバーサルサービスをきちっと守るという意味で見ると、この中で特に何が大事かといったら、小包よりは信書とか郵便が大事だろうと。
 小包については、先ほども議論がありましたように、より強力なネットワークが日本にあるという事情を考えますと、そこのところはむしろ自由に競争させてあげた方が民営化した後の郵便会社にとっても、いろいろな部分の余地はあるだろうというように思います。

○吉野教授 先ほど宇田委員がおっしゃいましたように、日本とドイツの違いはドイツの場合には余り宅配業者みたいなのがなくて、割合ドイツポストが独占をしていて、そこの独占利益を使って、外の海外でM&Aなどをやっているような感じがするわけです。全体的には、皆様のご意見に賛成なんですが、あとこれで新しい郵便事業がどこまでプロフィットをこういう状況で追求できるのかどうか、ですから最初から赤字になる、そういう主体になってしまうのか、私は小包はもちろん外した方がいいと思うんですけれども、そのシミュレーションをきちんとやっていただきたいというふうに思います。
 それから、信書に関しては各国とも割合参入規制がありまして、そこのところでユニバーサルサービスを担保するというようなところがあると思います。ですから、これもシミュレーションによりますけれども、ユニバーサルサービスを課すわけですから、ある程度のプロフィットを得られるような状況もつくっておいてあげたいということが必要だと思います。

○翁主席研究員 3ページの優遇措置のところについて申し上げたいんですけれども、今申し上げたことと非常に密接に関連するところですが、やはりこの優遇措置について当面は現行水準を維持するということでございますけれども、欧州では参考の2のところに現状での独占分野というのが書いてございますけれども、これは98年に350グラム、5倍ということになっていて、2006年からはこれはさらに50グラム未満になって、2.5倍未満になるという形で段階的にこの独占分野をEU指令で引き下げるという方向が展望されています。ドイツに関しましても、こういった独占分野の撤廃が予定されていまして、出張でもうかがってまいりましたけれども、独占を規制によって確保するのではなくて、むしろ独占分野の廃止をにらんだ競争力をどんどんつけていくことによって、実態として勝っていきたいというようなことを述べておられました。
 そういう意味で、将来当面現行水準を維持すると書いてございますけれども、やはり段階的に優遇措置も下げていくという方向というのが展望できるということが私は必要なのではないかというように思っております。特にこういった郵便小包など物流の部分というのは、国際競争もどんどん激しくなっていく中で、独占分野を広げ過ぎているということに伴う競争力の問題も念頭に置いておく必要があるのではないかというように感じております。

○吉野教授 今、ここで信書便とか、いろいろ議論しているわけですけれども、2017年にはひょっとしたらこういう信書便のようなものはなくなっているかもしれないわけですね。携帯電話とかインターネットでほとんどやってしまうと。それから、いろいろな公共的な必要性のある郵便に関しても、ある程度インターネットできちんとそういうところが担保されるような技術が出てくるかもしれないと思いますので、ですから当面は信書便のところはこういうなるべくヨーロッパに近い形ですけれども、独占権みたいなのを少し与えておいてあげることは必要だと思いますけれども、もう少し先のことを考えると、信書便自身がなくなってしまうような世界があるかもしれないということは考えておくことが必要じゃないかと思います。

○宇田プリンシパル 基本的なスタンスとして今の規制を緩和をして、競争を促して体力をつけていってもらおうと思うのか、それとも今当面厳しそうだから、とにかくできるだけ援助が入る仕組みをつくっておこうと思うのかという、こういう2つの議論になってしまうと、問題の解決になかなかなりにくいなと思います。
 基本的な考え方としては、どうやって激変緩和をしていくのかは、一つ重要で考えなくちゃいけないんだけれども、機軸をどこに置くのかということをよく考えておく必要があると思います。4つの事業は自立させていかなくちゃいけないし、経営にそういう規律を促す側に今仕組みをつくっていくことが大事ではないか。そこは分けて議論する必要があります。片方は今維持しなくちゃいけないから、とにかくこれはできるだけ守っておこうということ、対今の規律みたいな議論にしてしまうと、問題の解決になかなかならないなと思います。
 もう一回繰り返しますと、機軸は民間としての規律をできるだけ導入し、そこから自立を育てる、経営力に期待をしていく。しかしながら不安もあるとしたら、それは別途議論して、規制緩和のスピードであるとか、それから範囲であるとか、こういうようなものは最小限のところを激変緩和措置的に決めていくという考え方が私はいいのではないかと思います。

○中城審議官 最初のテーマはよろしいでしょうか。

○翁主席研究員 4ページの料金規制の点でございますけれども、これは今の考え方に立ちますと、できるだけ経営の自由度を拡大する方向で規制緩和を行っていくということが大きな方向ではないかというように思います。

○宇田プリンシパル 料金の件ですけれども、価格競合のときに、一方で規制を課しておいて、料金体系をテーブルとして明らかにしておくと、かえって必ずクリームスキミングがおこります。競合するプライシングをされるために、公社としては非常に苦労する。新会社にとって、むしろ健全な競争環境を早くつくってあげた方がいいという面もあるのではないか。料金規制の緩和は、新しい郵便会社自身の収益のためにも極めて重要じゃないかなと思います。

○中城審議官 よろしいですか。
 それでは、第2の論点、17ページからになりますが、提供義務を課す公共性の高いサービス範囲ということで、第三種、第四種、特殊取扱、このところについてのご意見があればお願いいたします。

○伊藤教授 個人的な意見ではありますが、四種というものを見たときに、恐らくこの制度ができた時代の状況と現在の状況との違いみたいなものの上で考えなきゃいけないんだと思うんですね。たまたま私は大学で研究者をずっとやっていましたからよくわかりますけれども、私が学生のころ、30年以上前ですけれども、例えばコピー代が非常に高いわけですね。ですから、図書館で研究論文を見つけても、コピーするのが大変だと。したがって、本当に大事なものというのはこういう雑誌だとか学術的なものを購入したり取り寄せたりして研究していると。当時においては、多分非常に重要だったろうと思うんですね。
 ところが現在どうかというと、いろいろな大きな変化があって、1つはそもそもコピー代が安くなったということもあって、多くの人にとってはコピーの方が早いですし、あるいはコピーを前提とした料金体系で雑誌は図書館に入っていますし、それからもっと大事なことは、そんな雑誌を取り寄せて読んで勉強するような状況というのは学術の世界では完全に時代おくれで、インターネット等々でやらなきゃいけないし、仮にできてないからそういう地域については雑誌を取り寄せたいというような人があったら、むしろそれはどんどんネットに変わらないと学術研究の先端にはついていけないだろう。だから、恐らく学術刊行物、恐らく通信教育もそうだと思うんですけれども、こういうところは外していいだろうと思います。
 ただ、盲人をどうなるかと、これまたいろいろな意見があると思うんですけれども、私の本当に個人的な印象ですけれども、かつては日本ではこういう方々にとって非常に冷たかったということは否定はできなかったと思いますね。これは別に日本だけに限らず、世界的にハンディキャップを負った方に対して十分社会として、システムとしてサポートすべきだということは考えなきゃいけないし、この分野については、したがってほかの国でもそういうふうになっているようですけれども、点字、あるいは盲人用についてはきちっと守ってあげるというのがいいのかなと個人的な意見です。
 種子についてなぜこういうものがあるかというのは、これもよくわからないんですけれども、ちょっと私は個人的にはこれがなぜ残っているのか、これもまた多分当時の何か事情があったのかなというふうに思いますけれども、余り専門ではありませんから、責任を持ったことは言えませんけれども、要らないのかなというような印象を持っておりますけれども、もし何か私が見落としているような点がありましたら教えていただきたいと思います。

○吉野教授 私も三種、四種に関しては、今インターネットのPDFファイルがあればこういう定期刊行物は見ることができますし、もしこういうことが本当に通信教育の方に必要であれば、例えば国立国会図書館を通じて、そういう通信教育の方に非常に安い料金、あるいはほぼただに近い料金でインターネットでそういう学術の専門の図書が落とせると、こういう形にすれば、ほかの政策でできると思います。これはやはり相当昔の郵便がないと、あるいは本がないと教育ができなかった時代の相当古いものだと思います。ですから、こういうことを考える場合には、全然若い人たちの世界が違うんだということを考えながら、この案も考えていただけませんといけないと思います。ですから、私は三種、四種は別のやり方でももっといいサービスができる手段ができていると思います。ですから、むしろそっちを考えていただいた方がいいというふうに思います。

○宇田プリンシパル これも基本的な考え方としては、どこに軸を置いて、例外をどこにするのかということを考えた方がいいのではないかというふうに思いました。
 機軸はこれらは経営の判断にゆだねるべきだというのがまず基本。二百数十億ものコストをかけて今やられているわけで、しかもそこの中のちょうど今幾つも議論がありましたけれども、種子とか学術刊行物とか、ほとんど今となっては化石のような文字が並んでいるわけでありまして、これは民営化を機にこの辺のところは経営判断にゆだねるというふうに考えたらどうかということです。
 そうすると、幾つかの点で、例えば先ほどからありましたように、盲人用録音物とか、こういうものはどうするのかということは、これはちょっと別途議論したらいいかなというふうに思います。ミニマムのところを限定していくというような形で対応したらどうかというふうに思います。これは大学なども、いろいろ変わっている最中でありまして、多分あえてこういうことをやる必要は今どこを探してもないのではないかと思います。

○翁主席研究員 私もほとんど同じでございます。やはり政策目的の妥当性、それから代替的なサービスの利用可能性、この2つを勘案しますと、三種、四種というのはこういった対象にするということではなくなってきているというように思います。
 盲人用につきましては、考え方としては二通りあって、経営者であり、企業が社会的な責任を果たしていく上で、どういったサービスを障害者の方に提供するかを考えていくかということで、経営に任せるという考え方も私は十分あり得るというように思います。ただ、必要最低限ということで、ある種の特例という形で認めるという考え方もあり得るかと思いますが、そこはもう少し議論してもいいのかなというように感じております。
 以上でございます。

○中城審議官 この点でほかにご意見ありますか。

○吉野教授 ちょっと私は11時ぐらいに失礼を先にさせていただかなくちゃいけませんので、先にひとつ申し上げたいと思うんですが、どういう公務員か、あるいは公証人とか、こういう形態ですけれども、これも当面の間は何らかの公的な、例えばみなし公務員とか、そういう形でいろいろな公的な文書を扱うということは必要だと思いますけれども、最初に申し上げましたけれども、これもインターネットの発達の中で、こういうものをしっかり守秘義務を持ちながら送るという制度は必ずできると思います。
 それから、盲人の方の録音物ですけれども、これもインターネットで今録音したものをすぐ送れるわけですし、恐らくこれが携帯にもすぐ送れるようになると思いますから、そういう意味ではほかの手段でこういうことがしっかりできるということを三種、四種をこれから余り優遇しない場合にはきちんと言っていただいて、むしろその方がみんなにとって利便性も高いんだということをしっかり示していただくことが必要だと思います。
 それから、特別送達に対しても、しばらくの間は何らかの司法手続のときには必要かもしれませんけれども、これも技術の発達によって、必ずこういう守秘義務を伴ったインターネットの送信というのはできると思いますので、そちらの方向で対処できると思います。

○中城審議官 吉野先生、その次の特別送達、特殊取扱の方にも議論が移りましたけれども、その辺に関連しても何かご意見あればお願いいたします。

○吉野教授 今の特別送達、後ろの方でしょうか。

○中城審議官 はい。

○吉野教授 今申し上げたように、例えばここですとしばらくの間、これは期限をある程度決めた方がいいと思うんですけれども、例えばみなし公務員という形でそういうものを扱う、あるいは何らかの資格制度をきちんとしておくということは、私は当面は必要だと思いますけれども、ただ先ほど申し上げましたように、これが10年必要とか、そういうことは絶対ないと思います。必ずこれは技術進歩の中でこういうしっかりした司法的な書類も送れるようになると思います。守秘義務を守りながら送れるような制度ができると思いますから、そんなに長い間こういうことを考えておくことは必要ないというふうに思います。
 それから、こういう議論のときにそれぞれの案があったときに、大体今後郵便事業に関してどういうような収益状況、需要状況が予想され、2007年、それから2017年までですけれども、どういうような需要が信書便も含めてあり、それからコストがこれくらいで、そうするとこういう案のときにどの程度の収益性になるのかという、それはやはりぜひいつかの段階で示していただきませんと、ここでいろいろ個別に議論しておりますけれども、これが本当に経営に対してどういう影響をしてくるんだろうかという議論がなかなか見えてこないと思います。ですから、ぜひたたき台で結構ですから、一度示していただければと思います。

○宇田プリンシパル 24ページですけれども、今のに関連して、平成15年度で第三種と第四種では、本当にデリバリーのコストをどう分けたのかよくわからないので、これが正しいのかどうかというのはよくわからないところがありますが、250億の赤字が出ています。
 一方で全郵便物計で620億の利益というレベルの話ですから、250億というのは決して小さい値ではないわけです。この議論というのは基本は収益事業というふうにして考えて、どうしてもやむを得ないところだけをミニマム、赤字でも行うことにする。経営者にはその赤字の部分をつまり新しい補助金で補てんしないで済むぐらいのレベルにしてもらう。民間で経営するときにこういうものがもし残っていると、この部分を何とかしてくれというのは必ず出てくるわけで、そうすると必ずそこから新しい補助とか、そういうようなものが生じてくる。私は今の段階でこういうところはできるだけクリーンにしておきたいと思います。

○伊藤教授 21ページの特殊取扱のところ、先ほど話題になりましたけれども、ちょっと意見というよりは議論の整理のために三、四点要素を申し上げさせていただきたいと思います。
 特殊取扱、こういう制度があるわけですが、これはもちろん残すということで、みなし公務員という仕組みがいいのか、あるいは資格制度を導入したらいいのかということについて、少なくとも考える論点が3つか4つあると思うんですね。
 1つは、郵便事業というのは1人で受け取りから配達まで全部やるわけじゃありませんから、チームでやっていくわけで、そうすると個人の資格のところで縛りをかけたとして、本当にそれでいけるのかどうかと。やはりむしろきちっとした仕組みとして、全体としてやれるということであるとすると、みなし公務員でやった方が、要するに個人に課す課さないというよりはやりやすいかもしれないし、仮に個人に課してもしやるとすると、そのためだけに何か特殊な中に仕組みをつくらなきゃいけないとすると、これはこれでまた非常にコストが大変だろうなというふうに想像されます。
 2つ目は、今の現状の仕組みから、これから議論する案も含めた全体の新しい仕組みの中で、どっちの方がいわばトランジションというか、移行で容易かというところも私の個人的な意見ですが、間違っていたらまた教えていただきたいんですけれども、新しい資格制度をつくってそこでやるというのは、これはまたなかなか大変だろうと。むしろ職員の方にとってみると、公務員の資格が外れてみなし公務員になったら、確かに負担だけ残るというような思いはあるかもしれませんけれども、しかしそれだけの社会的責任は持ってもらうということは大事だと思いますから、トランジションという意味でもみなし公務員の方がいいのかなと。
 それから、3つ目は、要するにガバナンスというのは制度だけでできるわけじゃないわけで、ですからある意味で見ると、資格制度よりは一般的な罰則原則、つまり社会の求めているあるべきことに対して、おかしなことが起こったときに罰則を受けるという形の方がこの場合に合うのかなという個人的な印象を持っていまして、そういう意味でもみなし公務員の方がいいのかなと。
 それから、大事なことは結局こういう仕組みがもし今の制度の中で大事であると、これを残すということであるとすると、結局そういうことをきちっと守るかどうかというのは会社としての責任で、これは別に公的企業、民間企業かかわらず、いわゆる社会的なレスポンシビリティーというのはいろいろなところで問われているわけで、特に郵便会社の場合にはユニバーサルサービスを含めて郵便事業に対してかなり公共性を維持するという前提でこの部分についてやるわけですから、そういう意味ではそこのところにもう少しきちっと期待するという形で、今申し上げたような意味で4つぐらいの論点を考えると、実際に資格制度とみなし公務員の違いがどこまでどういうふうに違うかということを正確に理解しているかどうか、自信がないんですけれども、みなし公務員の方がいいのかなというふうに個人的には思いますけれども、もし間違っていれば指摘していただきたいと思います。

○翁主席研究員 私もみなし公務員という規定で対応するということでよいのではないかというふうに思います。
 今、いわば出口の方の特殊法人や独立行政法人の方でも改革を同時に行っていて、こちらの独立行政法人のいわば公務員型の独立行政法人も同様にみなし公務員で対応するという方向で考えているわけでございまして、大きな行政改革の流れで考えれば、こういったみなし公務員という方向で考えていくというのは、正しい方向なのではないかなというふうに思っています。
 伊藤先生がおっしゃった非常に重要な点で、民間の企業であってもコンプライアンスというのは非常に重視されていて、それが担保されなければその企業は最悪の場合破綻するわけでございますから、民間企業であれば信用力というのはいま一層に重要になっていくということで、そういった観点も考えあわせて、より強いディシプリンが求められるということになるということだと思っています。

○宇田プリンシパル 別な観点ということの方がいいと思いますので、こういう議論の中には出てこない点を1つ。郵便の場合の利点というのは住所が変われば住所変更を出すので、あて先に出すと届く確率がはるかに高くなっているということ。引っ越した際にヤマトには住所変更届は出さないけれども、郵便局には出すものでありまして、それは国民の常識になっているわけですね。これは物すごいアドバンテージなわけです。こういう特殊取扱等々については、まさにそれを強めていく意味を持つ。こういうものがあるからこそ、皆さんそういうことがまたまた自然になってくる。民間企業としてみればこの部分、例えばコストがかかるという部分はそういうベネフィットで当然相殺されるというふうに思うはずです。こういう取り扱いについては義務を課したところで、むしろ経営にとってプラスになるものであるという感じがします。つまりこういうものがあるから、補助金が要るみたいな議論にはなりにくいと思います。
 それから、守秘義務のところは議論されているので、あえて私の方から追加は申し上げませんけれども、見方としてはそういう見方もあります。
 ただ、先ほどの種子とかであるとすると、何でこれを安く送るのかということに対しては文句が出ると思いますので、そういうことも考えた上で制度を見ていっていただいたらありがたい。

○吉野教授 もう一つ最後に言わせていただきたいんですけれども、海外への進出というのを今後郵便事業がやっていく場合に、ドイツの場合には国内での収益をうまく使って、それを海外のM&Aに回していたと思うんですけれども、日本の場合にはそういうのがないわけですから、どういうところの資金を使って海外進出をするのか、恐らくセットアップコストが必要になるんじゃないかと思いまして、そこは郵便の国際的な業務への進出に関してもどこかで議論できればというふうに思います。一番重要なことは、どこの資本、どこの資金がそこであるのかどうか。例えば、ドイツの場合には国内の収益を回したというふうに思います。

○中城審議官 ほかにご意見はよろしいですか。

○翁主席研究員 5ページについて、さらなる優遇措置について検討してはどうかということが書いてございますけれども、これはさっき宇田さんがおっしゃったような考え方が基本になるんじゃないかと思います。すなわち自立をしていくということを展望し、民間企業として自立をし、競争をしていくと。基本的には、現在の参入規制というのが当面残るわけですから、そこでの優遇措置に基本的に限っていくということが重要で、あと激変緩和の措置とか、そういうことでどう考えるかということに限るべきだと思っています。
 公益企業の事例なんかを見ましても、事業に対して丸抱えで支援している例というのは16ページなんかを見てもございませんで、何か特別な用途の目的のものに限って何らかの特例措置みたいなものが設けられているようにうかがわれます。その意味でも、基本的には優遇措置というのを新たに設けるということについては、考えない方向で検討すべきではないかと思っております。

○伊藤教授 4ページのところなんですが、先ほど私は小包についてはいわば外していいだろうというふうにご意見を申し上げさせていただいたので、結果的には4ページの下のB案でやる場合には、要するに料金規制はかからないというか、こういう形になるというふうに暗黙に申し上げたんですけれども、仮に小包が残るという場合について申し上げさせていただいて、その場合でも恐らく料金規制の今の認可を少なくとも上限認可ぐらいにしておいた方がいいだろうというふうに、つまり今これからいわゆる郵便事業も含めた郵政事業の改革を行うわけですから、いろいろな意味でコスト構造とか、いろいろなものが変わってくるわけで、本当は上限認可も議論は当然あり得ると思うんですけれども、少なくとも料金を下げる方のところについては認可を外してあげた方がいいのかなと。もちろん先ほど申しましたように、コストについてはB案の方が私はいいと思っていますから、B案になって自動的に4ページの下の方にいくのであれば今の議論は必要ないですけれども、念のために仮にA案を採択されたとしても、料金についてはより緩和の方にいくべきだろうというふうに思いますB

○中城審議官 伊東審議官、小包の料金の現状をちょっと確認してください。

○伊東審議官 4ページのところを見ていただきますと、小包は現在事前届出となっておりますので、認可は通常に限っております。ですから、さらにそれを事後報告にするかどうかというのをちょっとご提案させていただいておりますが、既に現在認可からは外れております。

○伊藤教授 ということであれば、私の申し上げたのは通常料金の話にしてください。

○中城審議官 よろしいでしょうか、特にご意見、何か言い足りないところがございましたら。
 あとほかの事務方含めて何か特にご発言あれば。

○竹中大臣 ちょっと先生方に議論、今の中で大分出てきているんですけれども、ユニバーサルサービスのオブリゲーションを課すということと、それと料金をどうするかということの基本的な考え方についてちょっと聞かせていただきたいんですけれども、オブリゲーションを今課している。それに見合ったオブリゲーションを課すということとの関係で、政府は義務を負っているから、料金についても何らかの規制があると。その料金の規制をオブリゲーションは続くんだけれども、規制を緩めるというのはどういう考え方に基づくのかと、そこはちょっと考え方の整理があると思うんですけれども、ちょっとご意見をお伺いしたい。
 それから、もう一つこれも改めて私も不思議だなと思うのは、同じようにオブリゲーションを課していながら、今でも信書と小包とでは料金に対する考え方が違うわけですね。これはなぜなのかというのは、これはちょっと知っている人にお伺いするのがいいのかもしれないけれども、そこは繰り返しますけれども、国がオブリゲーションを課しているから、それの見返りがあるから、だから料金もというその考え方の整理がもう一つはっきりしないのかなと思うんですね。
 それと、頭の第3のようなご質問ですが、もう一つは政策については、第三種、四種については、政策の必要性を判断してと、例えば福祉上、教育政策上判断してということになるんですけれども、この判断というのは、これは政府全体で行わざるを得ないのかなというふうに思うんですが、ちょっとそういう判断を今後どのように行っていくかについて、これは非常に大きな問題ではあるんですけれども、もし何かお考えがあればちょっと聞かせていただきたいなと思います。

○宇田プリンシパル 最初の部分について、これは私が理解する限りの範囲でお話をします。主にヨーロッパの例ということになりますけれども、原則的な考え方はユニバーサルサービスオブリゲーションがあるじゃないか、だから一定量のリザーブドエリアというか、参入障壁を設けて、そこで独占超過利潤を与えましょうということだったと思います。ただ、ここの関係は非常にあいまいで、それぞれの義務のコストと利益が完全に一致しているかどうかというのをなかなか証明するのが難しいということが、常に問題として出てきていました。  料金の方は先ほどから話があるように、規制の方はどんどん、どんどん小さくなってきます。伝統的な郵便事業者からしてみるとたまらないんですけれども、効率化をしろとか、新しい事業の方で頑張れというメッセージが送られてきているというのが基本的な理解です。
 それで、これを一つの規律みたいな形にして、リザーブドエリアの方をどんどん、どんどん狭めていっている。ヨーロッパのポストの経営者はみんなここを悩んでいて、どうやって効率化しようか、あるいはM&Aをやろうか、海外に出ていこうかという議論に結びついてきています。
 お金がかかっているんだから、これだけのところは必要だよというような議論というのはやろうとしているけれども、なかなかそれが正当化できなくて、結果的に料金の規制の方は次第に下げられてきている。しかしこれは激変緩和的にかなり先が見えて、いつまでに幾らまで下がるぞというのはみんな見えています。いきなり下がっていくわけじゃない。今回フランスなどへ行きましたけれども、みんな将来の50グラム以上の撤廃を目指して経営改革に取り組んでいる。だから、私の理解するところはそこはむしろ経営を効率化させたり、あるいは新しい収益をとらせるというような意味で、一種そういうドライバーに使っているというのが私の理解です。
 こういうときに必ず問題になってくるのは小包の領域です。小包の領域というのはかなりの国で先ほどのようにユニバーサルサービスオブリゲーションがある一方で、価格規制というのはありませんということになると、ここのところをどうやって戦っていくのかというのは、工夫が要るところになってきます。小包とエクスプレスメールというところは外との提携、それからあるいは民間を統合していくというような形で競争力をつけようとしています。
 ただ、ユニバーサルサービスオブリゲーションのコストに見合う補助金を使っているんじゃないかという批判は必ず出てきます。ドイツポストはUPSから訴訟を受けて2002年には問題になりました。ユニバーサルサービスオブリゲーションと小包についてはイコールフッティングの問題というのが出る。ヨーロッパで起こったようなことというのは、当然日本でも起こってくるかなと思います。だから勘定を分離していくとか、説明がつくようにしていくというのはすごく大事なことではないかと思っています。
 同じオブリゲーションでも、料金に対する考え方が違うというのは、これは歴史の多分的な考え方もあると思います。ユニバーサルサービスオブリゲーションを課しているというのは、クリームスキミングをさせないぞということでもある。ところが小包にはいろいろなプレイヤーがいて、例えば「よーい、ドン」で始まっていくようなビジネスは、そこにチェリーピッキングというか、クリームスキミングの機会というのが非常に少ない。ここの部分に関してはむしろ自由度を割と持たせておいてもいい。ただ、伝統的にずっと守ってきたところに対して自由度を持たせてしまうと、チェリーピッキングをされてしまうというところがあるので、かなりストリクトな制限を課しているというのが裏にあるロジックじゃないかと思います。

○伊藤教授 今、大臣からいただいた2つの質問、最初の価格規制の背後にある考え方というのは難しいと思うんですけれども、経済学者として今までいろいろなところでいろいろな分野で議論をされてきたときに、今のクリームスキミング以外に少なくとも4つあり得る議論だと思いますね。
 1つは、例えば鉄道事業なんかでよく出てくることで、要するにもともと非常に独占的な部分でかなり大きなコストを抱えてやっていると、結果的にほっとけばある種の独占的な価格につけかねないと。だから、コストベースで価格設定しましょうという、いわゆるこれは上限価格規制でできた話なんですけれども、無用な価格引き上げを避けるためにやると。これは電力料金でも、あらゆる料金設定はそういう歴史を持っていると思いますね。
 2つ目は、これが正当化できるかどうかわかりませんけれども、昔の例えば金融機関の金利規制なんかでよく出る議論で、ほっとくと余り合理的に動かないから、みんなどんどん価格を下げちゃって、結果的に経営が非常に脆弱性になるとか、あるいはマーケットに非常におかしな影響があるという議論が多分2つ目のタイプとしてあると思いますし、それから3つ目はクリームスキミングと多少関係あるんだと思いますが、クロスサブシダイゼーションの議論、いろいろなものを扱っているときに、かなり企業の非常に利己的な結果として、ある種のものを極端に安くして、別のものも非常に極端に高くするということがあったりすると、これはマーケットにとって非常にいけないと。
 これは規制だけじゃなくて、競争政策の話ですが、有名な話ですけれども、あるところで線路を挟んで2つスーパーマーケットがあって、スーパーマーケットというのは牛乳、卵というのは安くするとお客さんが来るものですからどんどん下げていく、こういうのをロスリーダーというんですけれども、そうすると何が起こったかというと、牛乳が1パック例えば非常に安い50円とか、あるいは80円になって、それはそれで競争でいいんですけれども、隣にもう1軒牛乳専門店があって、ここはやっていけなくなっちゃったと、こういうのはどう考えたらいいかというのは、これは競争政策で非常に重要な議論ですけれども、これは公共的な部門でもそういう議論はあり得る話だろうと思います。これが3つ目の議論。
 それから、4つ目の議論はタクシーの料金規制でよく言われる話なんですけれども、実は料金というのは結果的にサービスの質に反映される。例えばタクシーの価格が高いと何かよくないように見えるんですが、高いともうかりそうだからたくさんタクシーが入ってきて、結局空車が多いものですから手を挙げればすぐタクシーが寄ってくる。つまりサービスレベルが高いのです、料金が下がってくると、利益性が非常に低いものですから、参入が総体的にタイトになって、10分、20分待たないと空車が来ないような状況になる。価格が結果的にサービスに反映されてしまうと。そのときに、マーケットメカニズムの中で本当に自由な価格設定の中で望ましいクオリティーが得られるかどうかというと、これも論争があって、恐らく今のこの今日議論になっている郵便事業の場合については、上限価格規制については多分まだ残しておくという余地は十分あると思うんですけれども、それ以外の点で下限の方について残していくという意味が本当にあるかどうかということについては、私は先ほど申し上げましたように、かなり疑問であって、そういう意味では先ほどの4ページの話で言うと、上限価格規制ぐらいでいいのかなというふうな印象を持っております。
 それから、2つ目の教育とか政策、例えば障害者に対する支援だとか、いろいろな政策目的があったときに、それをここで議論していいかどうかというのは確かに非常に難しい問題だと思いますけれども、ただ恐らく先ほど申しましたように、こういう制度が維持された、例えば生まれて30年か50年かわかりませんけれども、時点と現在の間にかなり差があるときに、ここでそれを残しておくと。教育というのは非常に大事だと思いますけれども、ここでそれを残していくことのメリット、デメリットというのをかなり勘案して、多少ともメリットがあっている場合に、むやみに外していくということはなかなか社会的に認めにくいと思いますから、私は個人的には多分吉野さんとは違うんですけれども、点字やテープは残しておいた方がいいのかなというふうに思いますけれども、ただいかんせん学術のところについて見ると、むしろそういうことが残っていることがこれはちょっと問題発言なんだけれども、問題の部分があって、余りコストが安くなるものですから、出さなくてもいいような学術雑誌が出てしまうと、むしろ学術を支援するためにはこういうのがない方がいいというような見方もありますので、ですから多分ケース・バイ・ケースでやって、もちろんその上でもっと大きなところで、ほかのところで教育とか政策というところでまた議論をぜひしていただきたいと思いますけれども、ここでやれるところは少しスラッシュしておかないと、もう一回繰り返しになりますけれども、この郵便事業の大事な部分の一つは、本当の郵便事業のところでユニバーサルサービスを守らなきゃいけないし、これはきちっと守っていけるんだと、しかもその上で経営も健全化した上でやれるんだということを国民に見せなきゃいけないとすると、そういう意味では先ほどの話じゃないですけれども、250億赤字が出ているという現状は軽視できないのかなと思います。

○竹中大臣 ありがとうございました。
 今の最後の方で、上限規制の話が出ましたけれども、むしろ今これはちょっと具体的ですけれども、ヤマトとの間で問題になっているのは下限規制の話なのかなとも思うんですが、現実の問題としては、個別の問題に答えていただく必要はないんですけれども、考え方としてはどうですか。

○伊藤教授 要するに、競争するとすれば、僕は下限規制はすべきじゃないと思うんですね。ヤマトが問題にしているのは、それが正しいかどうか、これからいろいろなところで議論されるんでしょうけれども、下限規制がないからどんどん価格を下げるということを問題にしているわけじゃなくて、ほかで保護されているにもかかわらず、ここだけで競争するというところを問題にしているんだろうと思いますが。

○竹中大臣 それは郵便の場合はどうなりますか。ユニバーサルサービスオブリゲーションを重ねている郵便の場合はどうなりますか。

○伊藤教授 郵便の間での下限規制ということですか、必要ないんじゃないですかね。もちろんそれはほかと競争しているからつけるべきだというふうにしているんです。

○竹中大臣 勘定区分がちゃんとできているかという問題があるわけですけれども、多分ちょっとオーバーに、シンプライズするために言いますと、別のところで非常にリザーブドエリアがあって、それで一方で価格競争をしていると、そういう問題というのは出てき得るわけですよね。今回の場合がそうか、ちょっと私はわかりません。今回の場合がそうかと言うつもりはないんですけれども、そうするとむしろ規制というのはおっしゃったように上限規制のみならず、下限規制も非常に重要な場合というのは、こういうユニバーサルサービスオブリゲーションでの関係ではあり得ないんですかね。
 つまりほかのところでもうけられるから、ここのところはどんどん、どんどん価格競争できるわけですね、ある部分は。だから、先ほどおっしゃったように、区分、そういう経理がちゃんとできているかどうかなんですけれども。

○伊藤教授 ユニバーサルサービスとの関係では余りないんじゃないですか。むしろ例えば参入規制になるというところではあり得ますよね。つまり例えば年賀状にほかの業者が入れないと。
 事実かどうかは別として、仮にそこが非常に大きなプロフィットオポチュニティーが提供されるということになってくると、その利益をベースにいろいろなところで価格競争が起こり得るということは、多分競争政策上は議論になり得ると思いますけれども、ユニバーサルサービスというのはむしろ義務規定ですから、それが理由になって価格を下げていく、いわば原資というようなこと、あるいはいわゆる無益な関係ない引き下げということがあるとすると、それに結びつくようなところがちょっと私には考えにくいんですけれども、もしあれば教えていただきたいんですけれども。

○竹中大臣 ちゃんと続いてないかもしれませんッれども、ユニバーサルサービスオブリゲーションがあるからこそ、リザーブドエリアがあると、どこかであるわけですよね。それは表裏一体にリザーブドエリアが多分あるわけで、そのリザーブドエリアがあることを活用して、別の面で価格引き下げが進んでいく、そういうような場合はあり得ないということですか。

○宇田プリンシパル それは大いにあり得る話でありまして、ヨーロッパでも過去三、四年ぐらい一番問題になったのは、信書の部分でリザーブドエリアをとっていますと、それがどこにどう使われたかというのはなかなかわからないままに小包のところで競合との間で、競争をしていく。その際プライスをカットしてシェアを伸ばしていくと、あるいは統合していく、合併していくということのイニシアチブをとることに関して、猛烈な反発が出る。それは例えばUPSとドイツポストとの間の議論です。
 このリザーブドエリアというのは、今一方でどんどん、どんどん減ってきている。これがもしかなりの部分が減っていくと、今言ったような議論というのはすごく起こりにくくなってくる。ユニバーサルサービスオブリゲーションだけが残って、それでリザーブドエリアの割合がどんどん、どんどん減っていく、これが今の流れでしょう。そうすると、経営としては結構厳しい。今まではそっちで何とかやっていたのにそれができなくなり、それでそれぞれ頑張っていますということじゃないかと思います。
 最後にちょっと吉野先生がおっしゃったことで、国内でもうけたお金で海外でやるという投資もかなり問題になる可能性がある。これも相当分けていかないといけない。ドイツポストは海外EMSビジネスと信書ビジネスと小包ビジネスで完全にディビジョンを分けています。どこのネットワークを使って、チャネルを使って、どこでデリバリーするのかということまで分けて分離勘定をやっている。この3つのビジネスはインディペンデントなビジネスとされています。
 だから、海外で戦っていくときにも、一応そういう説明がつくような形にしているわけで、何かそこのところの記述がないままに、信書でもうけたお金をまた海外に持っていくみたいなことが起こると、今度は海外のプレイヤーからいろいろな問題が出てくる。WTOの問題も出てきます。ここはぜひ気をつけていってもらいたいなと思います。

○翁主席研究員 ユニバーサルサービスオブリゲーションと参入規制というのは、必ずしも一対一の関係では、そういう考え方が支配的ではありますけれども、本来は必ずしもそういうことではないのではないかと思っています。それは、ドイツの例が典型的で、まさに参入規制を撤廃していく、ユニバーサルサービスオブリゲーションを課しながらどんどん独占分野を廃止して、結果的にそれでやろうとしていることが競争によってユニバーサルサービスを確保し、その点、より市場をゆがめない形でユニバーサルサービスファンドという形でユニバーサルサービスを確保するということをその後の世界で考えているわけでございますから、概念的にはUSOを課せば何らかの参入規制というのは必要だろうという考え方はありますけれども、実はそうではなくて、そういう競争を促進することによって、より効率的な形でユニバーサルサービスを確保する手段はあり得るということだと思います。
 それと、あと独占性との関連で言えば、確かに郵便はすごく個別集配業務は割高で、その意味でクリームスキミングが出やすいという特色はまだ持っていますけれども、それでもかつての郵便事業から比べれば、物流インフラもすごく拡充しているし、バーコードみたいな形で技術革新も進んでいると、そういう意味でいわば自然独占性というのは、かつての郵便の世界よりも大分薄れてきているということは言えるんじゃないかなというように思います。

○伊藤教授 先ほどちょっと申し上げなかったので、もう1点非常に重要なのは、郵便事情を考えるのか、小包事情を考えるのかで随分違うと思うんですけれども、例えば小包のところで仮に下限規制が残ったとしたときに、もう一つの懸念材料というのは、競争条件というのは要するに2社とか3社が競争するときに、1社が縛られたところで競争をしているのか、それとももう片方の人が自由にやることで競争しているかによって、結果的に随分違うと思うんですよ。つまり日本のライバルが下限規制で縛られていれば、こちらも別に下げる必要はないわけで、結果的にそれがある種のカルテル的な状況を起こしてしまうと。逆に、向こうもいつ下げてくるかわからないということであるとすると、結果的にそれが競争の状況を起こしているわけで、だから非常に難しいのは、この規制が残ることによって、そこも含め、外との競争条件で非常に大きな影響が出てくると。
 適当な例かちょっとわからないんですけれども、学問の世界で非常に議論されているので、ちょっと例を使わせていただきますけれども、80年の前半に日本からアメリカに自動車の輸出規制が行われまして、一時的に台数が減ったんですけれども、数年して自主規制する前のところまで台数は戻ったんですけれども、率的には円ベースで見ると約6割ぐらい日本車の価格とアメリカ車の価格が上がっているんですね。
 それはなぜかというと、もともとは自由に競争しているから、相手が自分が価格を上げれば相手は価格を上げないだろうから、要するにマーケットで競争が起こるだろうというので、ある種の適正が競争が起こっていたわけですけれども、自主規制が行われた結果、アメリカのメーカーが価格を上げても日本のメーカーは上げることができないわけですから、上げても要するに輸出に出せませんから。だから、日本のメーカーは上げてこないだろうということはわかっていますから、アメリカのメーカーは価格を上げてきて、日本のメーカーは数量を抑えられていますから、結果的に価格も上がるという形になって、ですから規制ってなかなかコストを非常に見分けるのは難しいんですけれども、一旦片方がある形で縛られると、結果的にその結果、マーケットそのものが随分変わってくる可能性があって、ですからもちろん両面ありますから、一概に議論することはなかなか難しいんですけれども、そういう価格の下限をつけてしまうということに伴うデメリットみたいなことも考えなきゃいけないし、もう一回繰り返させていただきますけれども、この世界はまだ相当大きく技術革新しなきゃいけないし、それから郵政事業そのものはかなりコスト構造が大きく変わってくるという中で、ある程度価格の柔軟性の可能性を残しておかないと、いろいろな意味で弊害が出てくるかなというのが感想でございます。

○宇田プリンシパル 先ほどの下限規制の点だけ最後ちょっと話ししますけれども、これはイコールフッティングが一番の問題になるという議論だと思っていまして、リザーブドエリアというか、それが残っている間に理不尽に下げるということは問題を起こすと。だから、それは監視機関で今度議論するときに、こういうことについてはちゃんとそういうことが起きているか、起きていないかというのは中で見ていくべき項目の一つではないかなと思います。

○中城審議官 それでは、本日の議事はここまでとさせていただきます。本日の議論はここでピリオドとさせていただきますけれども、また前と同じように随時ご意見を承りまして、本日の意見と同様、お手元の論点表の右側のところに盛り込みたいと思いますので、言い足りなかった点がございましたら、さらにお申しつけいただきたいと思います。
 それでは、竹中大臣。

○竹中大臣 ありがとうございます。
 大変インテンシブに議論していただきまして、我々もだんだん、だんだん頭の整理がおかげさまで少しできつつあると思います。
 冒頭に翁委員がおっしゃった議論の進め方に関しては、我々も全く同じように考えていますので、とにかく議論しなきゃいけない項目は結構あるものですから、さきにわっと議論させていただいて、それでもう一回振り返って前回のコンシステンシーとか、ある種の思想的統一性みたいなものは必要だと思いますし、そこはぜひそのようにさせてもらうつもりです。議論すればするほど、またさらに考えなきゃいけない問題も出てきていますので、そういうつもりでやらせてもらいます。
 それとの関連で、当然シミュレーションの話はやるわけで、そのシミュレーションをただやるに当たっては、ある程度制度を決めないとシミュレーションができないという問題もありますので、そこはフィードバックをしながら議論をしていきます。
 もう一つの点もAorBではもちろんありません。これは議論の整理として、割とシンプリファイして一つの極端な考え方を並べているだけでありますので、今日のような議論をぜひ続けていただきたいと思います。
 ちょっと明日、あさってまたインテンシブにお願いしますけれども、前半でぜひしっかりと稼いでおきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○中城審議官 ありがとうございました。

○翁主席研究員 先ほど竹中大臣から3点目のご質問がございまして、福祉政策としてだれが判断するかという、ここについてまだちょっと明確な考えはないんですけれども、要は民営化した企業に何らかの政策目的を遂行させるというのは、契約論の世界でございますよね。ですから、例えば主務大臣と民営化企業との間でそういった政策目的のために契約を結ぶことを考えるということがあり得るとは思います。ただ、民営化するわけですから、いわば経営者の方にそういった社会的責任というか、そういったことを促すような方向で本来は考える話ではないかなというふうに思います。

○竹中大臣 先般、生田総裁ともちょっと話したんですけれども、公社としてのお考えというのは当然また別にあるわけで、今日は有識者の皆さんからのご意見をやっていますけれども、公社としてのご意見はご意見としてぜひお出しをいただきたいということで申し上げてありますから、ぜひまた建設的にいろいろご議論いただきたいと思います。

○中城審議官 それでは、最後に次回の会合の日程等につきまして、事務局から連絡があります。

○利根川参事官 それでは、次回会合でございますが、明日28日、今日と同じく10時から12時の予定で開催をさせていただきます。場所は本日と同じこの部屋でございます。
 それから、また次々回につきましては29日でございまして、時間は全く同じ10時から12時でございまして、ただし場所はこの建物の11階の共用第1特別会議室になりますので、明日は一緒ですけれども、明後日は変わりますので、ご留意願いたいと思います。
 なお、次回のテーマは郵便貯金、郵便保険会社に関する主要検討項目ということで予定してございますので、またよろしくお願いいたします。
 以上でございます。

○中城審議官 それでは、本日の会合は以上でございます。
 どうもありがとうございました。