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郵政民営化に関する有識者会議第16回会合 議事要旨

日時
平成16年10月29日(金)
10:06~11:31
場所
中央合同庁舎第四号館(11階)
共用第一特別会議室

○中城審議官 大変お待たせいたしました。ちょっと竹中大臣、急遽予定が入りまして、少し遅れるということでございますので、先に始めさせていただきます。なお、副大臣、政務官も少し遅れて入るということでございますので、これから郵政民営化に関する有識者会議の第16回会合を開催させていただきます。
 本日は、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。
 早速議題に移らさせていただきますが、これまでと同様、資料説明はポイントだけかいつまんだ形でさせていただきたいと思います。
 本日は事務局よりお手元にありますように、主要検討項目その4ということで、雇用、待遇のあり方、経営委員会、仮称でございますが、それと監視組織の3点について御説明させていただき、その後、御議論いただきたいというふうに考えます。
 それでは、お手元の資料、まず1ページ目を見ていただきたいと思います。
 雇用、待遇のあり方ということでございます。
 雇用のあり方については基本方針で、民営化の時点で現に郵政公社の職員である者は、新会社の設立とともに国家公務員の身分を離れ、新会社の職員となると。人材の確保や勤労意欲・経営努力を促進する措置の導入等、待遇のあり方について制度設計の中で工夫する。それから職員のモラールと労使関係の安定に配慮するということでございます。
 考え方といたしまして、今回は特にA案、B案という対立というよりも、こういう考え方ではないかということで書かせていただいていますが、まず職員の引継ぎにつきましては、職員の新会社等への雇用関係の引継ぎについては、法律に規定し、確実に雇用を確保するということ。
 それから、労働条件等につきましては、給与制度等の労働条件に関する事項については、基本的に労使自治に委ねることとしてはどうかということでありますが、ただし退職手当とか共済年金といった待遇に関する事項については、退職手当の期間通算を行うなど職員に特段の不利益が生じないよう適切な対応が必要ではないかということであります。
 それから、郵政監察官制度、ちょっと後で御説明しますが、職員が民間人となることから廃止することとしてよいか。この場合、郵政犯罪については、一般的な内部監査による規律や警察等に委ねることとしてはどうかということであります。
 それから、争議権でございますが、争議行為については、郵政事業については、公益事業として労働関係調整法上の措置により対応することでよいか。なお、窓口会社が委託を受けて郵便事業を行う場合には、上記と同様な規制が適用されることとなるということでございまして、労働関係調整法による公益事業の規制というのは、争議行為を行う場合には10日前までの予告が必要だということ。それから緊急調整による50日間の争議行為の禁止というようなことが決められております。
 資料でございますけれども、ちょっとめくっていただきまして、6ページ目でございますけれども、郵政監察官についてそこに書いてありますけれども、郵政監察官というのは監査部門の職員約1,000名のうち約660名が郵政監察官ということになっております。これは、特別司法警察職員としての職務ということでございますけれども、ここについては犯罪の捜査ということでございまして、逮捕権などはございません。そして、監査部門の職員として監査とか調査とか、そういった仕事もやっているということでございます。
 それから、その次のページに鉄道公安職員と郵政監察官制度の違いというのがございますが、今申し上げましたように、鉄道公安職員というのは、これは廃止になってしまったわけですけれども、これは捜査、警備というようなものがございましたけれども、この郵政監察官というのは、そういった捜査のみでございまして、逮捕権限はないということでございます。
 それから、次のページに争議行為の制限ということでございますけれども、公益事業における争議行為というものについては、争議行為を行う場合の10日前までの通知、それから緊急調整公表後は50日間の争議行為の禁止というのがございまして、労働関係調整法、枠囲みの中でございますけれども、8条のところで、公益事業として運輸事業、郵便、信書便又は電気通信の事業、水道、電気、ガスの供給の事業、医療又は公衆衛生の事業、こういったものがこの法律の対象となっているということでございます。
 次の議題、9ページでございますけれども、経営委員会。
 経営委員会につきましては、準備期のところで、2007年4月の民営化までの時期は、準備期と位置付け、民営化に向けた準備を迅速に進めるということでA経営委員会(仮称)を設置し、民営化後の経営や財務のあり方について検討するということになっております。
 ここにつきましては、経営委員会を、どういう目的で位置付け、メンバー設置時期、権能というものをどういうふうに考えたらいいかということを議論していただければと思います。
 その次のページで、なぜこういうものとなったかということでございますけれども、8月2日の経済財政諮問会議の議事で、生田総裁の発言で下線部でございますけれども、07年の組織をどうするかについては、前回と同じような設立委員会も必要だと思うが、同時に準備経営委員会を始動させる必要がある。特殊法人とはいえ、民間会社的に健全な経営をしようと思えば、相当前広に経営委員会的なものを始動していく必要がある。この機能は、公社経営とは分けて考えていくべきである、こういう議論がございました。
 次のページでございますけれども、ほかの例としましてNTTの場合、再編制移行準備ということで、会社別の移行本部というものをつくったと、こういうような例がございます。
 それから、その次のページでございますけれども、国鉄の場合には、政府側の関係閣僚会議とか対策本部とは別に、国鉄側で余剰人員対策推進本部とか国鉄再建実施推進本部と、こういったものをつくったという例がございます。これは本部長等には、上にありますように、総裁、副総裁といったような方々がやられているということであります。
 その次のページに生田総裁が言われた設立委員会、この設立委員会というのは、法律の規定に書かれているものでございまして、主務大臣によって任命されて、定款作成とか創立総会の準備と、こういったような新会社の設立に関する事務の処理のためにつくられるものでございますけれども、生田総裁が言われているのはそれとは別ということで下に書いてありますように、基本方針において準備期に設置するということで、民営化後の経営や財務のあり方について検討すると、こういうものであるということでございます。
 それから、きょうの第3点めでございますが、監視組織をどうするかということであります。基本方針では、監視組織というのは、民営化後3年ごとに、国際的な金融市場の動向等を見極めながら、民営化の進捗状況や経営形態のあり方をレビューする。また、許認可を含む経営上の重要事項について意見を述べる。監視組織の意見に基づき本部長は所要の措置をとるものとするというふうに書かれているわけであります。
 監視組織に関する考え方でありますが、まずどういう権能を与えるかということでございますけれども、A案としましては、行政官庁又は推進本部に対して意見を述べる組織とするということで、いわゆる8条機関的なもの、これでございますけれども、A案の中でも監視組織の判断が尊重されるように、許認可等の要件にかからしめて、主務大臣は監視組織の意見を尊重して、許認可等を行うというものと、経営判断を尊重して許認可等の、特に対象とはしないで、モニタリング等に基づき意見を述べるというようなもの。
 それから、B案は、監視組織自らが許認可等の権限を行使する、これちょっと後で御説明しますけれども、いわゆる行政官庁となるという、いわゆる3条機関的なものと、こういった考え方があろうかということでございます。
 それから、監視組織をどこに置くかということでございますけれども、推進本部に直結させるというのがA案でございまして、推進本部に対して意見を述べたり報告するというようなことも可能であると。それから一方、個別の許認可について、本部員である主務大臣に対して直接意見を述べるということになりますけれども、推進本部の権限との関係を法律的にはちょっと調整するという、整理するという必要があるということであります。
 それからB案としましては、既存の府省、例えば内閣府に置くというような形で推進本部及び主務大臣に対して、意見を述べたり報告したりするというような形、こういう形もあり得るということでございます。
 その次のページ、監視組織が次のような事項に関与するとしてはどうかということでございます。これまでの議論の中で、こういうのが監視組織というものを列挙しておりますが、窓口関係では、窓口ネットワーク会社と3事業会社の間の円滑な受委託関係の確保といったこと。それから3事業会社による直営の窓口の開設とか、窓口ネットワーク会社以外の第三者への対顧客業務の委託の進め方。それから民間金融商品等の取扱いの進め方。それから郵便局の設置状況。
 それから、郵便関係では、物流事業への参入の進め方。
 貯金・保険関係では、預入限度額・加入限度額の引上げ・撤廃の進め方。貸付等の業務範囲の段階的拡大の進め方。民有民営実現の判断と。こういったようなものがあると思います。
 それから、監視組織フ判断の透明性をどのように確保するかということで、A案としましては、あらかじめガイドラインを設けておくなど、事前の透明性を確保するというもの。それからB案としましては、諸情勢の変化に対応できるよう、ガイドラインを予め設けることはせず、議論の内容や判断の理由を明らかにするなど、事後的に透明性を確保する、こういうものでございます。
 次に、先ほど申し上げましたような合議制の委員会の2つの形ということでございまして、左側がいわゆる3条委員会ということでございまして、行政機関で行政委員会になるもの、これは内閣の統括の下に、任務及び所掌事務を有し、その権限に基づいて行政権を行使するという機関でございまして、3条というのは、省庁、各種関係省庁というものを設置するのと同じ条文で規定するものでございまして、行政処分ができるということで、規制や命令、告示、指定、認定、承認、許可、認可といったようなこと、それから、仲裁、調停、裁定というようなものがございますけれども、機関の例としましては、公正取引委員会とか国家公安委員会、中央労働委員会と、こういったようなものがございます。
 それから、審議会等、いわゆる8条委員会というのは、行政機関の所掌事務の範囲内で有識者の合意により、調査審議等を行う合議制の機関で、行政機関の行政権の行使を補助し、補充するものというものでございます。これでは、行政処分はできませんけれども、行政機関の長に対する意見、報告、勧告をやると。それから資料要求、報告聴取、調査、不服審査と、こういったようなものをやるということでございます。この中には、税制調査会とか証券取引等監視委員会、食品安全委員会と、こういったような審議会が並んでいるということでございます。
 あと次には簡単な図が出ておりますけれども、どこに設置するかという、これは技術的な話ではございますけれども、例えば現在、本部というのは内閣に置かれていますが、内閣の推進本部のもとに監視組織を置くという考え方。
 それから、その次のページは内閣府に審議会を置くという形で、それが推進本部、あるいは関係の主務大臣に対して勧告等をやるという形。
 それから最後の形、図は似ておりますけれども、これはむしろ公正取引委員会と並びの独立の行政庁をつくるという形のものと、こういったものがあるということでございます。
 以上、今日は3点につきまして御議論いただきたいと思いますので、この点に関しまして、御意見、御質問ありましたらよろしくお願いします。

○奥山相談役 まず、雇用、待遇のあり方について意見を申し上げます。
 一つは、この郵政監察官制度ですけれども、これはもとより民間になりましたら、不要となるのではないかというふうに思います。ただ内部監査という、そういうポイントは大変重要ですので、郵政監察官という立場ではなくて、内部監査を充実するという点においては、改めて民間の会社として強化する必要があるというふうには思います。したがって、郵政監察官制度というものは廃止して、内部監査制度というものを充実するという意見でございます。
 それから、公社から新会社への円滑な移行のための必要な措置で、この②の労働条件等ですけれども、今、国家公務員共済組合にお入りになっていると思いますけれども、この28万人というメンバーが移行した場合に、そこの年金制度はどうするのかということはあらかじめ検討しておいた方がいいのではないかと。たしか100万人でできているというふうに聞いておりますけれども、その中でかなり大きな勢力になっていると思いますので、そこを円滑に分割するというんでしょうか、抜けるためにはどうしたらいいかというポイントがあるかと思います。
 それから、今までの民営化の中でどうだったか私、よくわからないんですけれども、決して引継ぎをやめるという意味ではないんですけれども、こういう際に希望退職したいという人がいた場合の優遇制度というんでしょうか、いわゆる希望退職者制度、この辺はあったのかなかったのか、もしほかでもあったとすれば、この際、自分なりの生活をしたいという人がいれば優遇するということも考えられるのではないかというふうに思います。

○吉野教授 私も監察官の制度は要らないと思いますが、中でのやはり内部規律をしっかりさせるということはぜひ重要だと思いまして、民間になろうが、それまでの間であろうがやっぱりそこはしっかり組織の中に入れていただきたいと思います。
 それから、新組織への移行のところで、退職とか共済年金のことですが、既に日本たばことかNTTでこれまで民営化の事例があると思いますので、多分それが使えるのではないかと思いますが、だからそうしますと例えば一定期間は国家公務員共済組合に所属して、それから厚生年金に入るとか、日本たばことかNTTの例を参考にして、それと同様にやっていただければいいのではないかと思います。

○宇田プリンシパル 同じことは繰り返しませんが、私も監察官制度は同じような意見でございます。
 それからもう一つ、ここでは今回議論するべきポイントではないのかもしれませんけれども、例えば経営陣の役員待遇とか、こういったようなものについて、いつだれがどういうふうに議論するのでしょうか。基本的に今後この会社をだれが担っていくのかということは、5年から10年のことを考えると極めて重要でありまして、そこにがんじがらめなことをやっておくと、だれも民間から来ないというようなことも考えられます。それは今日の議題ではないんだろうと思いますけれども、これはどこかで議論してもいいかなと。あるいはどこかで議論していただいたらいいかなと、このように思います。

○伊藤教授 基本的には皆さんと同じで、ちょっと1点だけ関連して、一つは労働条件のところの年金の話なんですけれども、民間会社になるという意味で見れば厚生年金にいくのがいいんだろうと思うんですけれども、先ほど奥山委員もおっしゃったように、何しろ規模が大きいので、ここのところは一回ちょっと、ここでやるのかどうかわかりませんけれども、どういうような影響があるのかということは一応お話伺えればというふうに思っております。
 それから、監察官制度についても私は廃止という方向でいいんだろうと思います。なぜ監察官制度があるかということは、詳しいことはわかりませんけれども、恐らくこういう郵便事業の中なんかでいろんな事故ないしいろんなことが起こるということであるとすると、これは例えばほかの民間の物流会社でも起こり得ることですし、そういう意味ではここだけに残している社会全体で、それをどうやるかということも、それから先ほどおっしゃった内部監査ということをしっかりやるという方向でよろしいのではないかと思います。
 それから、これも今、宇田さんおっしゃった点、私も気になっているんですけれども、もちろん旧職員の引継ぎについてはこれでいいと思うんですけれども、やっぱり新しく民間会社に入るときに、当然新しく、特に経営陣なんか外から入ってくるし、あるいは場合によっては人の新規の流入があるときに、そこのところについてはできるだけ柔軟性を持てるような配慮みたいなものがあるといいのかなというふうに思います。

○翁主席研究員 ほかの委員とほとんど同じことでございますが、私も郵政監察官制度は廃止するということでよろしいのではないかと思います。それにかわって民間企業としてのコンプライアンスとか内部監査制度ということをルールの面や制度の面で充実させていくということで、企業としてそういった規律づけを図っていくということでよいのではないかと思います。
 それから、年金制度の移行についても円滑に厚生年金に進めるように検討をお願いしたいというふうに思っております。

○中城審議官 どうぞ。

○宇田プリンシパル 1点確認なんですが、郵政監察官制度の中で、この5,000件ということで犯罪発生件数なんですけれども、例えばこれ4つの、少し細かい話になりますが、4つの会社に分かれていくときに、一体これ金融関係で起きてくる、いわゆる事故ということと、それから例えば郵便を捨ててしまうとか、そういったような話で郵便に絡むものと、何かいろいろ出てくるんだろうと思いますね。細かい話になってしまいますので。ただ、この監察官、内務検査的なものを組織の話としてはどこにどう入れていくのかというようなことは今後の組織設計の中の課題としては出てくるかなと。
 それから、あるいはモラルについてどういうふうに考えるかということも、こういう規律を導入するというのは当然必要なんですけれども、もう一つは労使の中での自治に委ねるというふうになっているところでどう設定するかということなので、そこのあたりはここに書かれているように、ある程度経営の自由度というのは必要になってくるかなというふうに思っておりますが。

○中城審議官 では、どうぞ。

○山下理事 この資料には、職員の引継ぎ、労働条件等は極めてあっさりとしか書かれておりませんが、私どもとしては、この雇用に関する問題が民営化に向けて最も重要かつ困難な課題の一つである、と考えております。このことは、5つの「基本原則」の1つ、「配慮原則」に関わる問題であり、制度設計を行う上で考え方を明確にしておくべき点である、と存じます。
 昨日、一昨日の先生方のご議論を伺っておりますと、民営化後の新会社は税金等、民間並みの負担が課せられる一方、政府による株式保有が残る間は、新規業務は基本的に認められない、金融業務は基本的には大幅にスリム化し、ナローバンク的な業務に特化させる方向であると理解しています。そうしますと、新会社の採算は、当然、大幅に悪化しますので、経営を成り立たせていくためには、雇用の維持、郵便局ネットワークの維持を図ることは困難ではないか、したがって会社が生き残っていくためには雇用を大幅に削減していくしかないというのが先生方のご主張のポイントであると感じました。実際、先週の読売新聞では、そのような点が基本的な方針である、との報道がございました。これに対して、連合の笹森会長が、記者会見で、「政府は職員の雇用は保障すると言ってきたけれども、民営化後については知らないよというような馬鹿なことが最初から出てきたということについて、これは許せないという思いでいる。官業にするのか、民業にするかの以前の問題として、労働問題としての大きな障壁を政府としては出してきた」との発言をされております。また、公社の労働組合は当然強く反発しております。今後の労使関係は厳しくなるものと思われます。  私どもの立場から、雇用の問題に関するご議論に当たってご留意いただききたいことが、主として4点ございます。
 第1には、組合は、公務員身分を維持すること及び公務員身分を離れたとしても、雇用は保証されるべきであると、要望しているわけでございますが、この問題に関する交渉は公社の労使関係を越えたものであります。この問題の解決に公社経営陣が努力すべきは当然ですが、立法事項でもあり、決定権は政府にあります。こうした大きな枠組みに関する交渉については、政府として責任を持った交渉をどのように進めていくかという点を明確にしていただく必要があると思います。
 第2には、新会社の労働条件について、労働組合との団体交渉により、協約、規則等をあらかじめ定めておくことが必要となりますが、公社の現経営陣に協約締結権限があるとは考えておりません。これまでと全く異なる経営体制となるわけですから、交渉に当たり、雇用の確保や賃金水準等の労働条件のあり方について、すべて一から積み上げていく覚悟が必要ですし、長期間にわたる雇用保証など、当然厳しい条件が出されることが予想されます。新経営陣の手足を長期間にわたり縛ることになりかねませんので、この点も新会社の経営を考えますと極めて重要な問題だと思います。
 第3には、2007年4月には現在の3つのビジネスユニットを4つの独立した会社に分けることから、新会社の業務内容、労働条件等を明らかにした上で、一人ひとりの職員の帰属会社を個々に決定していくことが必要となりますが、これには相当な時間と労力が必要になると予想されます。法制的な枠組みが確定するのに時間を要しますし、労働組合は現在のところは民営化反対の立場にありますので、交渉のテーブルにつくこと自体がいつになるかわかりません。このため、労使交渉と職員の帰属の決定は、民営化に向けての実務対応において大変時間的に余裕のない綱渡りの作業になると想定されます。
 第4は年金の関係でございます。ドイツポストなど、欧州の郵便事業体から話などを聞きますと、過去の年金債務の積立金不足の負担をどう分担するかが、民営化後の新会社の経営が成り立つかどうかの最大のポイントの一つである、と言っておられます。この問題をどう取扱うのかも極めて重要な論点であると考えています。
 いずれにせよ、ただいま申し上げた雇用の問題及び年金の負担をめぐる問題は新会社の経営が成り立っていくかどうかという観点から極めて重要なポイントであると思われますので、これらが明確になるよう、十分なご検討をお願いする次第であります。
 以上です。

○中城審議官 今のは政府への要望ということですか。

○山下理事 いいえ、この場でご検討いただきたい。

○中城審議官 どうぞ。

○奥山相談役 今の御意見わかりましたけれども、赤字になることがある意味で極めて明確なようなお話でしたけれども、ここはぜひシミュレーションを出していただいて、新しい、あるいは新商品を出す場合としない場合のもとでの損益がどうなっていくかということを昨日は申し上げましたけれども、ぜひ実際に見てみたいということで、その上で本当にどの程度赤字になるのか、あるいはもしかしたら利益が出るのか、そういうことを確認しながら今のお話は承っていきたいと、私はそう思っています。

○吉野教授 先ほど新しい経営陣の方への給与体系のフレキシビリティーという御議論ございましたけれども、もう一つやはり既存の職員の方に対してもやはり生産性といいますか、それに応じて弾力的に給与の体系を変えていくということもぜひ必要だと思います。それこそやはり職員の方々のモラールをうまく引き出すことにもなると思いますので、ですからやはり給与体系のやっぱり弾力化というのは民営化に向けて必要なことだと思います。

○宇田プリンシパル 今、山下さんがおっしゃったことに関しての前段の部分なんですけれども、私も三段論法的なところがどうも通らないなという感じがしておりまして、そこのところはコひ確認をしていただきたい。シミュレーションということも含めて議論するというのは賛成ですね。手足を奪う的な、イコールフッティングで、ナローバンクといっているわけではない。それから、ではアセットは何兆になるんですかというのも議論されていないですよね。それから、やっぱりみずから管理を分離して、それでそれぞれイコールフッティング上の問題がないということを公社がちゃんと説明ができればかなり自由度というのは出てくる。まずそこの部分の議論が抜けたままにイコールフッティングの議論をするから、どうも論理の飛躍ではないかなと思います。

○宮脇教授 先ほどの御指摘の点につきましては、私も奥山さんが言われたように、一度幾つかのシミュレーションしていただいて、全体として共有した上で、それで議論していきませんと、すれ違いのままになってしまう。それやはり確認した上で詰めていくべき話だと思いますので、ぜひそういうことをお願いしたいと。

○吉野教授 たびたび恐縮ですけれども、先ほどドイツポストの話がありましたが、やはり皆さんのお話のように、年金の制度を変えていったときに、例えば積み不足があるなり、実像もよくわかりませんけれども、そのあたりしっかり教えていただいて、国家公務員共済組合からもし厚生年金に移るとすれば、どういうような形での比率とか、そういう負担が必要かというのもぜひシミュレーションを教えていただきたいと思います。
 それから、先ほどやはりコアバンク的というお話があったんですけれども、もし民間の金融商品をネットワークで今後ますますうまく販売できるとすれば、そこはビジネスチャンスでありますし、それから郵便事業でももしうまい形で海外に展開するなり、いろんなことができれば新しいビジネスチャンスですから、やはりシミュレーションの中でも少しそういう外からの収益の部分も入れた形、それから今考えられているような既存の形、そういうものを含めた、ぜひシミュレーションをお願いしたいと思います。

○中城審議官 どうぞ。

○伊藤教授 今、山下さんの方から出た議論は、非常に大事な点を1つ言っていて、実は昨日かおとといの最初のところで翁さんとか何人かの方がお話しされた話だと思うんですけれども、結局この全体の、これはこれからの議論に多分なるんだと思うんですけれども、全体像を考えないと個々のフレームというのは議論できない。昨日もちょっと申し上げて、もう一回繰り返しになって申しわけないんですけれども、この全体のフレームワークを考えるときに、幾つかの方程式の制約条件が、制約というか、あるいは考慮条件があるわけで、一つはもう何度も議論に出ているいわゆるイコールフッティングの話ですね。これはいわゆる民間とのイコールフッティングだけではなくて、例えば海外との関係もあるかもしれません。いずれにしても、そこをどう考えるかと。本案のことの中でイコールフッティング論が変わる、これはかなり議論されてきただろうと思うんです。
 それから、2つ目は、これも昨日議論になったマーケットとの関係で、いわゆる国際市場とかその他の話がある。それ以外に実は政治的には非常に大事だし、我々もそこを考えなければいけないのは、既存の雇用とかあるいは今までの年金制度の連続性の中で、これ全部もちろんそのまま維持することが可能なのか、あるいは多少整理しなければいけないのかということは大事ですけれども、これは先ほど今、山下さんの方から議論があったように、そこからの経営に対して非常に大きなやっぱり制約になることも事実。しかし、これをやっぱり守らないとなかなか労使関係も難しいだろうと。その既存の今までとの連続性をどう考えるかという。
 それから4つ目は、いわゆるそういう中で新会社にとってどの程度のオポチュニティーがあるのか、つまり先ほどのシミュレーションという話ですけれども、あるいは逆に難しさがあるのかと、こういうことを少し考えていって、多分、これ方程式ですから、全部を全部100%満たすということが最初からできればね、そういう解があれば問題ないわけですけれども、そういうことがなかなか難しいからこういう議論しているんだと思うと、どこかである程度、どういうウエートでやるのかというふうなことも、数字で出すかどうかは別として、やっぱり何か問題を考えなければいけないんだろうと思いますから、そういう意味でぜひ第2ラウンドのところでは、そういう日程なりいろんな制約の中で、では昨日のような議論、どういうふうに議論するのかとか、今日の雇用の話とか、年金の話はどうするのかということをやっぱり考えなければいけないのかなというふうに思います。

○中城審議官 よろしいですか。
 それでは、次の議題としまして、9ページでございますけれども、経営委員会、これは御説明いたしましたように、経済財政諮問会議で生田総裁がこういう提言をされて「るわけでございますけれども、こういったものについての目的、位置付けについての御意見があればお願いします。どうぞ。宇田さん。

○宇田プリンシパル この生田総裁のメッセージは読めばわかるんですが、これ、どういう背景で何をいつまでにつくるためにこういうような提案をされたのかというのは、何かもう少し情報というのはございますでしょうか。

○中城審議官 山下さん。

○山下理事 今も労使関係のご議論がありましたが、いずれにせよ、新会社は2007年4月から民間会社になってマーケットで競争していくことになりますので、その時点で、例えば労働協約等も締結されていなければいけません。2007年4月から新しいビジネスモデルのもとで経営していく、システムについても新しいビジネスモデルに沿ったものにすることが一番望ましいという意味で、新会社の経営を成功させるためには、できるだけ早く新経営陣を決めて、新経営陣が新しいビジネスモデルを策定し準備をしていくことが大事であるというのが、生田総裁の基本的な考え方です。もちろん、現経営陣は新経営陣の準備作業に協力していきますが、新経営陣が責任を持って労働組合と交渉し、あるいは、新しいビジネスモデルをタイムリーな形で考えていくためには、法律成立後、新経営陣をなるべく早く決めていただく方がよいというのが、当方の考えでございます。

○宇田プリンシパル そうすると、少し、今のお話だと基本的には法律が通った以降から始めて、新経営陣を一応選定をして、それでつまりそれは来年の何月か私はよくわかりませんけれども春だったら春と。その次の2001年半とか2年間というのは、両方がパラレルで走っていくというような、こういうイメージ。つまり新経営陣が決まって2年間は並行して走るという、こういうイメージなんですね。次の経営陣が決まっていて、2年間両方で経営が進むというのはちょっと最初イメージがわきにくかったんですけれども、もともとはそういうイメージだったということなんですか。

○山下理事 現在の公社と新会社は全く違う経営の枠組みになるという前提で考えますと、新会社のトップがビジネスモデルをはじめとする新しい経営の枠組みを準備していくことが望ましい、と考えます。当然、現経営陣も協力し、従業員が様々な情報等を実際に引継ぐという意味で連続性はあると思いますが、いずれにしても、新会社の経営トップが新しいビジネスモデル等の設計や労働組合等との調整を行う必要があります。新しい経営トップ、経営陣が早く決まり、様々な意思決定を早目早目に行っていくことが大事である、というのが生田総裁の考え方である、と私は理解しています。

○中城審議官 どうぞ。

○奥山相談役 再度確認で恐縮ですけれども、この経営委員会のあり方というのは、あくまで新会社ができて、その新会社の経営陣ができて、その新会社の経営陣に対して新会社になってからどういうふうに経営していったらいいかというための経営のあり方についてのアドバイスなり、もしかしたら指示も出るのかもしれませんけれども、そういうことのための委員会、こういう理解でよろしいんでしょうか。

○山下理事 現在の公社の経営陣は、理事会、経営委員会等の枠組みの下で機能しているわけです。新会社の設立は2007年4月ですので、来年、例えば6月に法律が成立し、7月か8月に新会社の経営トップが決まり、公社の現経営陣が何人か入るのかわかりませんが、何人か中核になる方が決まることになると思います。ただし、その時点では新会社は設立されていないため、新経営陣の決定権は、おそらく、2007年4月以降の制度設計等に関わるものに限られると思います。また、労働組合との交渉については、政府がどういうふうにお決めになるかわかりませんけれども、現経営陣に権限を与えるということにするのか、新経営陣が権限を持ってやるのか両方の可能性があります。つまり、新会社の準備経営委員会は、労働組合との交渉、新会社のビジネスモデルの策定、新会社の情報システムについてどう考えるか等について、2007年4月に向けて準備期間中における準備作業、考え方を指示していく機関となるのではないかと考えています。

○宇田プリンシパル 多分今ぐらいの情報の中で議論しなくてはいけないんでしょう。ここだけはA案もB案もなくて、どのように考えるかというふうに書かれておりまして、その後が白紙なので、これをどう取っかかりで議論をしていったらいいのかなというのはちょっと悩ましいところなんですが、幾つか今回提案しておいて、次回全体を議論するときにもう一度議論したらいいかなと。
 まず、幾つかのことを議論しなくてはいけないんですが、これもともと何を目的につくるのでしょうか。この目的というのは、2007年4月の新しい組織をスムーズに立ち上げるに向けて、事業とか組織、その他、インフラについて今から設計をし、検討を進めていく。なぜならば、それは2007年すぐからスタートしても、それはまたそれに時間がかかってしまうから。だからそれは今からやっていきましょうと、多分こういうことなんでしょう。違っているかもしれませんけれども。でも目的ははっきりしていただいた方がいい。
 それから、この位置付けというのは、公社の経営陣がかなりの部分関与していくのか、それともそれはもうかなり離れた形で進めていくのかというのは相当違う話でありまして、今のお話だとかなり別途考えていく組織であると。そうすると例えば民営化推進本部の下に経営準備委員会みたいなものができるということでしょうか。
 あるいはもう一つのオプションというのは公社の中でラインとは別にもう一つ別なラインを使って考えていくと。これは海外ではそういうようなやり方でやっているところもあります。ただ今のお話を伺っていると、完全に分けていくようにもきこえる。また委員会だけあってもしようがないので、ワーキングチームが必要になってくる。事業モデルを考えるとか、組織を考えるとか、それからインフラを考えるとか、こういうようなものについても検討チームとか検討組織というのが多分必要になってくる。ではこれがどこに組成されるのか。民営化準備室の中なのか外なのか。あるいは間なのか。それから公社の人間はそこに入るのかとか、そういうメンバーとか話が出てきますと。
 それから、設置時期というのは、もともと2007年にそういうことをスタートさせたいとしたらば、後ろに戻ってきてスタート時期を決めないといけない。来年の春で果たして間に合うのか。もうそろそろ同時並行的にやっていかなくてはいけないのではないか。10、11月ぐらいからでもやらなくては間に合わないとか。まず何をやるかということと、それがどのぐらいかかるかというところをあわせて考えるしかないでしょう。
 権限のところなんですけれども、これも幾つかのパターンがあるんですが、例えば完全にその新経営陣を選んでやるというやり方もあるけれども、プランというのは一つしっかりつくっておいて、実際に企業を経営する人がそれを見直す。自分のやり方というのは当然のことながら出てくる。しかしながら大枠は変えないで進めていくと、こういうような方法はいろんなところで今行われている。クオリティーの高いものをつくっておいて、どこかの時点で例えば3カ月前とか5カ月前にマネジメントが決まったときに、その人がもう一回これをレビューして、それをそのままでいいのかどうか、自分としての目標設定はどうするのかみたいなことを検討する時期を与えて、それが何かによって承認されてスタートしていくというようなやり方もある。
 それから、今言ったような緩い縛りにしておいて、最後で縛るというやり方も私はあるような感じもするんです。あと検討の内容というのが出てきて、これは事業モデルを設定するというところから組織体制、今言った新しい組織のガバナンスとか、それから組織の構造とか、権限、役割とか、組織、運営の仕組みとか、人材、人事システムとか、それからそれ以後の、どうやって全体をそのあと5年間、企業を変革させていくかというところのプログラムづくりとか、このようなことというのはみんなこのあたりで考えていく必要がある。今は余り細かいところまでは言いませんけれども、スタートまでの間に非常に基本的なことを考えるステージと、詳細を考えるステージと、それから少し試行なんかをやるステージというふうに3つ位に分けてデザインすることもできる。こんなようなイメージというのは、描こうと思ったら描き得る。
 今これがいいと言っているわけではなくて、何かそのようなことを少しここに案なら案として、1つか2つなり、イメージをつくって、目的に応じて、こういうような形で体制とか関係、位置付けとかを落とし込んでいただいてから、意見とか議論をした方がいい。何か今のまんまでちょっとこれでどうでしょうかと言われると、私だったら今みたいなことをちょっと落とし込んで、それで少しプラスマイナスというのを議論されたらいいのではないかなと、こんなふうに思います。

○中城審議官 どうぞ。

○吉野教授 今の宇田委員のお話はちょっと経営と監視というのは少し両方入っているような気がいたしまして、私は経営というのはやっぱり新しい経営陣が考えていくべきで、そこの経営に対して、先ほど伊藤先生がおっしゃいましたように、民間とのイコールフッティングがなされているのか、マーケットの関係がどうかとか、あるいは雇用とか年金制度の継続性がどうかと、そういうものを監視していくという、私ちょっと違う組織ではないかと思うんですけれども。ですから経営はやはり経営で自由にそれなりにやっていただいて、ただそれが余りにも民間とのイコールフッティングを乱すようであれば監視委員会がいろいろ意見を言うという、そういうような感じがいいと思います。
 あと、伊藤委員のところにもう一つ加えてほしいのはやっぱり日本の金融業に国際競争力をつけるという観点からやっぱり新しい会社もこういう既存の日本の金融機関もこれを機会に世界に打ち勝っていただけるという、そういうところまで監視委員会が助言していただけたら一番いいなというふうに思いますけれども。

○中城審議官 どうぞ、奥山委員。

○奥山相談役 今、吉野先生のお話は、次の監視組織をどうするかということともかかわってくるのではないかと思います。ここの経営委員会の議論は、やはり新経営陣がどのように経営をしていくかということについて、やはりあらかじめいろいろと検討しておいた方がいいのではないかと。そういう目的だと思うんです。ですからここでは新しい経営の仕方について、やはりどうだとかこうだとか、あるいは具体的にどういう実行プログラムを持つんだとか、そういうことを経営者に将来的にアドバイスする、あるいは成りかわってという段階で、いろいろ検討していくべきことであると。それ自体が本当に法律にかなうことかどうかというのはやはり監視組織の次の議題ではないかというふうに思います。

○翁主席研究員 私も今の奥山委員の意見と同じでございまして、経営委員会というのは実質的に4社の新しい経営陣になり得るような、実質的にそこに相当コミットをするような人たちで構成され、経営自体をこれからどう改革していくのかということを議論していくような、そういう組織なのではないかというふうに思っています。その意味ではできるだけ早く立ち上げた方がいいと思いますし、それから実際にさっき御指摘ほかにもございましたけれども、いろいろなワーキンググループをこの下につくって、例えばいろいろなオペレーションどうしていくのかとか、システムはどうしていくのか、人事給与、どうしていくのか、資金繰りどうしていくのか、ビジネスモデルの設計、そういったもの、いろいろなワーキングチームを立ち上げて、実質的に考えていくと。そういったところを通じて、民営化に向けての公社の中のインセンティブもどんどん引き出されていくような、そういった形にしていくことが本来は望ましいのではないかなというような感じを持っております。

○宮脇教授 今の翁さんの言われた点で、最後のところで私も非常に重要だと思っていまして、経営委員会というのはやはり内部的にモチベーションを上げていく、そういう意味でワーキンググループと通じて、全体で作業していくことが大きな意味があると思います。

○伊藤教授 ここでどこまで議論するのか、あるいはどこまで議論できるかってこれ難しい問題だと思うんですけれども、すごく大切な問題を議論しているんですけれども、まだよく見えていない。私だけに見えていないのかもしれませんけれども、つまり今、2007年4月から始まったときに、そこでしっかり経営されるためには、多分もちろん2007年の4月から考え始めてできるわけではないですから、ここに書いてあるように前から考えなければいけないと。そのためにここでいう経営委員会とかあるいは設立委員会とかいう議論が出ていると。
 問題は、その場合何があるかというと、現公社のいわゆる執行部と、仮に経営委員会みたいなものができたときに、そこの関係どうするのかと。一番簡単なのが同じままにして、多少人がかわるにしても現執行部からそのままいってしまうというのが一つの考え方だし、全く別の考え方として、全く別のものをつくっていって、先ほどちょっと話題になったように、同時並行的に関係を持ちながらもやるのという、あるいはその中間があるのかと。つまり現公社とそれからいわゆる経営委員会なるものが同じものなのか、微妙に重なっているのか、かなり分けて考えるのかということと、もう一つは準備委員会にそういうことを考える人たちが2007年を越えて、そのまま経営陣としてそのままいくのか、それともそこはまた違うのかとか、そういう話をもしここで本当に議論しようとするとなかなかこれまた非常に難しい問題なので、我々がどこまで議論して、しかし、そういうことが大事なことは間違いないと思うんですけれども、それはどこまでやるかと。
 逆に余り形をつくってしまいますと、制約がそこから始まりますから、この会議の最初の方でたしか加藤寛さんがお話しされたときに、JRの例を出されて、内部の方の中に新しい国鉄からJRに行くときに中心になってやる人たちがいて、その人たちが非常に大きな役割を果たして、それがモラールを高める上で大事だったというような話をされたということをよく覚えていますけれども、そういう意味では連続性は非常に重要であると思いますけれども、そういう意味でそういうことも全部考えるという意味でここに今日この事務局の9ページの案はほとんど白紙になっていて、議論せよということかもしれませんけれども、多分いろんな条件を考えスときに、そんなに簡単な話ではないし、もし本当に議論するのであればもう少し、いろんな要素を入れて議論しなければいけないし、あるいはそういうことは余りここでは議論しないで、こういうことが重要だよということを早く言った上でどこかでまたこういうことを考えておかないと、そこら辺のところちょっともし事務局でもあるいは委員の方でも何か御意見があれば教えていただきたいと思います。

○中城審議官 どうぞ。

○宇田プリンシパル だから私は細かいことまで今、多分無理なんだろうなとは思いますけれども、先ほどの山下さんがおっしゃっていた、別でずっとつくっていくということに関して、一つわからないところがあるんですね。それは例えば事業モデルだとか、いろんな組織だとかということの設計をそのものだけをするのであれば、多分それはできると思うんです。ただし、実際にはそれは実行されていかなければいけない。今度実行を担保するということになると、新しい経営者が経営の仕組みをつくるということで実行を担保させていく。そのときには事前に経営している経営委員会の下にあるチームというのが相当既存のラインの中の人たちを動かしたり、いろんな共同チームみたいなものを組むとかということを進めていく必要が出てくる。最初の枠組みづくりのところは完全に別でいいかもしれないけれども、少なくともそういうような実践のステージにどんどん入っていくんでしょう。そういうことを現実的に考えてみると、既存の経営陣とは別なラインでそれはやってくださいというと、非常に無責任といえば無責任な話になる。新しい組織の運営の仕方とか、新しい事業モデルの運営の仕方というのをどうやって2007年までの間に一定量定着させておくのかというのは、これは新旧の経営陣にとってみて非常に大きな課題だろうと思います。
 やっぱり目的とか位置付けによって随分それは変わってくるものでしょう。経営の枠組みだけをつくりますというんだったら、かなり距離を離れておく必要がある。そうでないと、何か今のものに引きずられて、新しいものができない。それから一部実行の試行とか、インプリに近づけば近づくほど、既存の人たちを動かしていくということがより大事になってくるということで、ここではかなり既存の公社経営陣の協力というか、イニシアチブというのは必要になるかなと、そんなイメージです。
 だから設計のちょっとよくわからないのは、そこですごく距離を置かれているような感じがするので、それは何か新しいとか、何か割と別にやってくださいと。それをすっぽり入れかえると、何か2007年から入れかえますという話だと、それはちょっとワークしないのではないのかなという感じです。

○山下理事 私の言い方が誤解を生んだのかもしれませんが、現経営陣は当然新会社の経営陣に協力して準備作業に取り組んでいきます。生田総裁の考え方のポイントは、2007年4月からの新会社の様々な条件、例えば労働条件、新しいビジネスモデルについては、現経営陣がもちろん準備をしていくことになりますが、意思決定自体は経営責任を有する方が行う必要がありますので、できるだけ早く、新しい経営トップ、中核になる方を決めていただいて、公社の現経営陣が一体となりながら、サポートしていく必要がある、ということです。ります。同時に2007年3月までの中期経営計画の達成については、我々、現経営陣が責任を持ってやっていく、ということだと思います。当然、新会社の準備作業は一体で行うわけです。
ただし、2007年4月以降について、例えば、労働組合との交渉結果は新会社の経営をものすごく制約することになりますので、そういった意味で、意思決定をされる方を早く決めていただかないと、大事なことがなかなか決まらないのではないか、と思います。私どもとして、経営委員会というのはこういう形でなければいけない、こういうものでなければいけないという案は全然ございません。そうではなくて、経営委員会、準備委員会という名称は別にして、早く、2007年4月からの準備をするためにいろんなことが、重要なことが決められる人を決めていただくことがこの民営化をスムーズに実施するための非常に重要な条件ではないかというのが、生田総裁の考え方のポイントでございます。

○吉野教授 経営委員会や準備委員会は内部の方がある程度入りませんと、今までの例の、例えばJRの場合でも例えば日産の場合でも、中がうまくいっているのは、本当に内部を知った方がどう改革しなければいけないかということをきちんとプランされて、そこを実行されたことだと思うんです。ですからそういう意味では、もう既におられる経営陣の中にそういうビジョンを持っている方がおられないといけないと思うんです。その方たちが現状を知りながら、新しい5年後、10年後を見据えてビジョンをつくり、それからまた別の方々がそこに新しい助言を与えていくというAそういう組織である方が一体化ができるのではないかと思います。ですから私は、別々の組織というよりはやっぱりある程度一体になりながら、本当にビジネスモデルを考えるという組織にしていただきたいと思います。

○中城審議官 よろしいですか。
 それでは、次に最後の件でございますけれども、14ページ、監視組織については今までもいろいろ議論が出ておりますけれども、組織に関する考え方、ここではどういうことをやるのか、それから組織をどういうふうに置くのか、そういうようなことの議論かと思いますけれども、御意見があればお願いいたします。

○宇田プリンシパル 昨日の最後のところで、大臣の方から幾つかの目的別に考えて、監視委員会は、イコールフッティングを考えるか、あるいはガバナンス的なものを考えるのか、あるいは能力的なものを評価するのかとか、幾つかの視点があるというお話があったと思います。監視委員会の議論を今までしてくる中で、一番大事だったのはイコールフッティングの議論ではなかったかと思います。軸はそこに置いて議論をしていくというのがいいのではないかと思います。
 イコールフッティングの議論は、多分日本では十分に議論はされてこなかった分野ではないかと改めて思っています。海外だと例えば公正取引委員会みたいなところが、柔軟にやるようなところも幾つかある。でも日本では、一体これをどこに持ち込めばいいかみたいな話は常に問題になっている。今回、非常にいい機会だと思います。しかもこの監視組織というのはそのあたりにフォーカスをしていくというのは、膨らみもしない。しかもぜひ役割が終わったらやめるということにしていただきたいというのがまず基本的な考え方です。

○奥山相談役 この監視組織が、今までの議論を振り返ってみると、大変重要な役割を担うのではないかと思います。それで、まず基本方針で3年ごとにと言っている、3年ごとにレビューするということが、ちょっと大まかなものではないかなと。恐らく経営を始めるとスピード感が相当出てくると思いますので、3年ごとにということではなくて、もうちょっと常時検討するという監視するというふうな組織になる必要があるのではないかと。まず最初にそれを申し上げておきたいと思います。
 そして、この監視組織がどのような権限を有するかというA案とB案ですけれども、いわゆる8条機関は審議会でよく見られることなんですけれども、ともすると意見を言ってもそれが多数意見になればまた別として、それぞれ分かれて意見が出たら、結局その審議会でその意見は留保される、あるいは据え置かれるというふうな状況があって、必ずしも経営に届くようなことにならないのではないかという点で、A案という、いわゆる8条機関というのはいかがなものかというふうに思います。できれば3条機関が望ましいんですけれども、ただここで問題になるのは、推進本部、あるいは担当大臣とどういうふうな形で整合性を持ってやっていけるのかということについては必ずしも明確ではないというふうに思います。私個人としては、この3条でも重要な事項についてはやはり担当大臣なり、本部と連携をしてやっていくということが必要なのではないかという意味では、私は5条機関みたいなことがあってもいいのではないかと、冗談で言っているわけですけれども、そういう位置付けの組織が欲しいなと思います。
 それから、監視組織をどこに置くかというのは、これは推進本部が法律上どう書かれるのかということにも関係すると思うんですけれども、やはり推進本部というものがきちっと法律上書かれたら、それは当然そこに直結する形で監視組織があるべきだというふうに思います。府省に置くと、そこの担当大臣とやはり先ほど申し上げたような関係ができて、必ずしも監視組織で考えられたことが実行に移されるかどうかということについて不安がございます。
 それから、3の事項なんですけれども、ぜひ監視組織というのは何をやるところかという全体像をまず書いておいていただいて、その次に先ほどイコールフッティングの問題も出ましたけれども、多分重要な問題(全般)について検討するという、バスケット条項的なものが入るんだろうと。その中で例えばという形でいろいろとこういうふうに入れてくれると、その監視組織の存在が非常に明確になるのではないかというふうに思います。具体的に何をやるかということについては幾つか意見ありますけれども、またそれは整理した中で申し上げたいというふうに思います。
 それから、(4)の判断の透明性をどのように確保するかというのは、これはA案もB案も必要なのではないかと。事前の透明性も必要ですし、事後的に透明性を確保することは必要なので、これはA案とB案という形で対立する概念ではないのではないかというふうに思います。

○翁主席研究員 まず、私も監視組織、非常に重要なрSうと思うんですけれども、幾つか、3つぐらいの機能が考えられるかなと思っておりまして、まずやはり第1は公正競争の確保ということで、イコールフッティング確保のためにを公正に意見をきちんと言っていく、認可とかそういった際にかかわっていきますので、そこで中立性を確保して、それについての判断をしていくという極めて重要な役割を負うのではないかと思います。
 ここ3日間議論してきたいろいろな業務拡大についての判断について、業務拡大についてのいろんな判断をしていくということが極めて重要な役割だと思っています。ここについては、今までも議論してきましたけれども、やはり一定のガイドラインのようなものを用意して、例えば株式の売却の比率とか、大まかなガイドラインというものを用意して、また適時いろいろな認可事項について判断を示していくということだと思っています。
 それからもう一つ、2つ目はやはり会社に対してガバナンスの一つの一翼を担うという面が考えられるように思います。やはり国が当初は100%株主ということであって、株主からのガバナンスというのははっきり言って、多くの民間の金融機関ほかのまたは運送会社またはコンビニエンスストア、こういったところに比べてガバナンスのプレッシャーというのは弱いということは否めないわけでございますし、もちろん例えば委員会等設置会社にして、社外の取締役を多く設置して、そういった民間の人の意見を入れるというようなガバナンスの強化の仕方も、補強の仕方もあると思うんですけれども、そういったいわば経営のところについても一定のガバナンスをかける。
 例えば、今まででてきた話では、例えば業務を拡大した場合のパフォーマンスを検証してはどうかというようなことを申し上げましたけれども、そういった機能とか、または与信管理体制というのは金融庁が検査していくということだろうと思いますけれども、監視機構もこういったことにかかわるというような点で、ある種ガバナンスの一翼を担うという面があり得るのかなというような気もしております。
 それから、もう一つはやっばりとにかく民営化を推進していくということを監視するわけでございますので、3番目にありますけれども、いわば株式を売却していくというような方向で、2の部分ともかかわりますけれども、より民営化を積極的に推進するというような役割も考えられるのかなというような感じを持っております。そういった考え方に立ちますと、組織のあり方というのは、やはり相当ニュートラリティーというのが担保される必要がございますし、強力である必要があるというように思いますので、この一番最初のページのところでは推進本部に直結させて、8条であれば相当強い8条機関であるかなと思います。3条が本当は望ましいと思うんですが、ここは許認可の権限がほかの主務大臣が持つということなので、ちょっとそこがどう整理できるのかちょっと私にはよくわかりませんが、相当強力であるという、そしてニュートラリティーが担保されるというようなことが重要な要件ではないかなというふうに思います。
 それから、透明性の観点からは、さっき御指摘ございましたけれども、やはり事前に透明性を確保すると同時に、事後的にも例えばそういった認可に当たっての意見とか、そういったことについては事後的に公表するというような形で透明性を確保していくということが極めて重要なのではないかと思っております。

○宇田プリンシパル 私は若干ちょっと違うかもしれないんですが、先ほど申し上げましたように、これは株主としてのガバナンスの部分というのは、このイコールフッティングの議論とはかなりコンフリクトが出でくるので、分けてしまった方がいのではないかなと。監視委員会でやらせるのはむしろ割と狭い範囲で強くやらせる、短くやらせるというのがコンセプトでないのかなと考えています。
 というのは、まず一つは経営の社外取締役とか、それからあるいは外部の人でも、経営のことを全然知らない人が出てきてなんだかんだ言っても、これは経営としてはほとんど役に立たないんですね。今の社外取締役の一番の問題というのはそういうところも結構出てきている。これは持株会社の形式とか、そういうものとは全く関係なく、日本はそういうような人材ほとんどなくて、経営の外から行ってアドバイスを適切にできる人たちがいない。しかもイコールフッティングを検査するというような人と、それから経営を、ガバナンスを経営がわかってやる人とが一緒の人でできるとは思えない。ここに学者の方がいらっしゃって申しわけないんですけれども、学者の方がいっぱい並ぶと経営はますますやりにくくなるということがときどき起こって困る。すみません、そういう意味ではないんですけれども。
 したがって、私は経営のガバナンスをしっかりデザインするというのは別に議論をすべきと。そアではやっぱり経営者が経営をしやすいように、ボードが役割を果たしていくということですね。ただ当然のことながらそれは間接的には、これはもちろん官が持っているということもありますので、最後のところ、多少緩んだ議論になりがちになったり、今の延長を考えてみるとそこのところは結構相当しっかりやっておかなくてはいけないなとは思います。ここはむしろやっぱり経営をサポートするというか、経営が健全にいくような形でしっかりとガバナンスしていくというのが一つの役割であって、監視をしていくというのは一種ブレーキを踏むというようなことでありまして、しかもそれは社内の監査ということでは当然だめです。外の競合相手をやっつけろというのでみんな考えるわけですね、経営陣というのは。そうじゃなくて競合相手と同じ土俵かどうかということで第三者的に明確に見ていくというのは明らかにもう一つ別に必要で、しかもこれからの10年間、一番それが問題になりそうだということもあるので、私はガバナンスのこととは分けてほしい。
 それから能力のチェックについては、これは金融庁、あるいは会計事務所などが監査をすればいいというようなことで既存のものをできるだけ使う。要はもう一つ申し上げておきたいのは、やたらにこういう組織がいっぱいできてきていて、今回のこれは非常に大事なのはわかるんだけれども、またもう一つ何か政府の組織ができてしまった形になると、それはそれで気持ちが悪い。ぜひ時限的に狭い範囲で、しかしながら強くという形がいいのではないかと、これは基本的な私の考えです。

○伊藤教授 私も多分皆さんの意見の中で見ると宇田さんに近いのかなとは、学者なんで少し言い方が違うかもしれませんけれども、狭い範囲ということをやっぱりかなり考えなくてはいけないのかなと思います。往々にしていわゆる善意を持ってつくった制度が動き始めますと、非常におかしな結果になることがあるかもしれない。郵政事業を民営化するわけですから、はしの上げ下ろしを全部、どこかでコントロールするなんていうことは絶対あってはいけないわけで、そういう意味ではやっぱり監視委員会の役割は何かということについては、もちろん必要なことはやらなくてはいけないんですけれども、そこはかなりやっぱり限定的に、しかし多分限定的な部分はしっかりやらなくてはいけないだろうと。
 例えばイコールフッティングは、僕は非常に大事だとは思いますけれども、しかしこれを全部ここでやることは本当にいいのかどうかということも、これちょっとぜひ議論させていただきたいと思うんです。例が適当かどうかわかりませんけれども、ADSLの接続に関するNTTとそれ以外の業者との関係について、これは例えば公正取引委員会が舞台になって議論になったようなところも一部ありました。どういう表現をしたらいいのかわかりませんけれども、監視については重要なことだけをやり、それ以外についてはできるだけ経営の自主性に任せるような形にしてあげて、しかしそれでも出てくる問題というのは、もちろん金融庁があれば、あるいは公正取引委員会もあるわけですすので、そういうところで対応すればよいと思います。
 そういう意味で何をやるかということにも非常に関係あるんですけれども、こういう表現が正確かどうかわからないんですけれども、よくいろんな規制を考えるときに、ネガティブリスト、ポジティブリストという言い方がありますけれども、そういう表現を使わせていただくならばどちらかというとやっぱりネガティブリスト的というんですか、それにここに書いてあるようなことについては一応それに関心を持ってしっかりやるけれども、しかしそれ以外についてはできるだけ経営の自由度を認めていくと。もちろん競争政策とかあるいは金融の秩序とか、そういうほかの政策体系のもとでという、制約のもとでということですけれども、というようなことをやっぱりある程度ここで考えておく必要があるのかなというふうに思います。
 その上で、組織論がよくわかりません。ただ私たまたまこの食品安全の話をかなり関心を持ってみていますのでこれと比較させていただきます。これは8条委員会ですよね。しかし、それでもしっかりした役割を果たしているような気がしますし、ですから、内閣府に下に置くのがいいのか、推進本部の下に置くのがいいのかということは非常に微妙ですけれども、結局どの範囲のことをこの監視委員会がやるのかということを考えたときに、この食品安全委員会のスタイルみたいなものも一つの候補として僕はあるのかなというふうに個人的には思っています。
 それから、翁さんがおっしゃった点、非常に大事で、民営化を推進していくと、10年待って完全民営化するというのではなくて、できるだけ早く民営化を推進していくということを、単に監視だけではなくて、一つのガイドライン的な形でサポートしていくというようなこともひょっとしたらこの監視委員会の重要な役割になっていくのかなというふうに思います。

○吉野教授 大体皆さんの御意見と同じです。まず一つは期限付きの組織にしませんと、やっぱりこういうものというのは必ず延びてしまうと思いますので、ぜひそこはいつまでという組織をつくっていただきたいと思います。
 それから、やっぱり公取とか金融庁とかほかの組織もありますから、私は8条委員会で、それで強いトランスペアレンス以外に、そこがパブリシティがあると、そういうような組織で外にきちんと意見が言っていけるというのが一番動きやすいのではないかと思います。
 それから、やはり新会社は民営化後に株式を売却するわけですから、新会社はやはりもうけないといけないわけですね。そうしなければ絶対株も売れませんので。そういう意味では新会社の経営はとにかく自由にやっていただくと。しかしそれをイコールフッティングの立場とか、あるいはマーケットの関係とか、それから制約条件になる雇用とか、そういうところからいろいろそこに対して公正な立場から意見を言っていくという、そういう組織であるという方がいいと思います。だからそういう意味ではとにかく新しい経営陣は自分たちでやれることをやっていくと。それに対してマーケット、あるいはイコールフッティングからいいかどうかということを監視していく組織であるということを望みます。

○宮脇教授 私は一番重要なことは、民営化に対するいろいろな意味でのかかわりというのは輻輳してはいけないというのが大原則ではないかと思います。ですから、欧米の例を見てもやはりかかわりを持つ機関というのが非常に輻輳してしまうと、民営化というのはうまくいかない。やはり監視組織等についても機能というのはかなり限定的でかつ強くという、そういう形にしていくということが基本ではないかと思います。
 それではその監視組織、どのような権限かということですけれども、8条機関についてもかなり従来とは違う形というのが出てきているので、B案のようにみずから許認可を持つ3条機関というのは強いけれども、それによって生ずる制約というのもかなり出てくると思いますので、8条機関の中でどこまで強い機関にできるのかといったようなことを考えていくということかなと思います。
 それと、事前の透明性と事後の透明性ということからいけば、これは本当に両方があって初めて成り立つ話であって、事前におきましてもガイドラインというものをきちっと定めておくということは監視機関においても必要不可欠なことであるというふうに思います。

○翁主席研究員 私も最も重要な点は公正競争の確保にここが役割を果たすということであって、その目的に対して利益相反を与えるような組織であれば大きな問題になるというように思っています。例えば、株式売却を進めるというアクセル役は例えば特例法に売却を進めるように書いておくとか、またはガバナンスもいろいろなやり方によって確保するよう工夫することとすれば、、その意味において、イコールフッティングの確保ということに、ここが最も貢献するということが重要だと思っております。

○中城審議官 ほかにいかがでしょうか。

○宇田プリンシパル 先ほどのちょっと補足ですが、イコールフッティング、私もイコールフッティングが大事で、これが中心だということで考えておりますが、大事なのはこれ、じゃ、いつだれがどういうガイドラインをセットするのかということは考えておかなくてはいけない。ここは今、過去3日間もいろんな議論はあったけれども、では、何が起こると何をやっていいのか、どういう条件になってくると何をやっていいか、何をやってだめなのかということの一種のガイドライン、こういうようなものというのは必要ですよね。それを全てここの新しくやられるところにお任せしますよと言うと、この方はどういう方がなられるのかもよくわからないので、やや不安になるというところもあります。だからこのガイドラインをいつだれがつくるのかということと、それからこういうものが一体どうやって選ばれるのかということ、ここのところが公正、透明であるということ、そこからまずスタートするべきではないかと思います。

○翁主席研究員 今の点に関連して、私も同じ意見なんですけれども、準備期間についても、この公正競争の問題というのは当然議論が起こってくる話なので、そのガイドラインをいつ決めるのか、または監視組織というのは移行期スタートのときからなのか、よりもっと前でもいいのではないかという議論は当然あり得るし、私はもっと準備期の段階からこういったことをやっぱり考えておく必要があるのではないかなというように思います。

○奥山相談役 私、先ほど申し上げたことと後から出たことについて若干補足しますと、期間を限定して、民営化がきちっとなされた後は解散するというふうネ仕組みにするという、そういう期間限定は私も賛成であります。ただその期間、監視組織がどの範囲までをいわばモニターしていくかということについては、確かにイコールフッティングが最大のポイントではありますけれども、恐らくそうはいってもいろんなことが出てくるであろうと。経営者の方は、経営委員会と相談しながらいろいろやるんでしょうけれども、これはどうしても会社が存続していく、きちっとした利益を出すということで経営していくというのは当たり前のことですから、それが本来の私どもが理解しているそういう民営化の中で逆らう部分がもし出てくれば、そこはどうなんだろうというモニターはしていく必要があるので、イコールフッティング、もちろん一番大事なことですけれども、それに関連していろいろ多くのことが出てくるだろうと思いますので、そこはもうちょっと幅広に対象を定めておいた方が機能するのではないかというふうに思います。

○吉野教授 関連ですけれども、イコールフッティングをどうやって定義するかというのは非常に重要だと思いまして、例えば保険の中で既に3割のシェアを占めているのをイコールフッティングではないのか、それでいいのか。それから預貯金でも2割、あるいは貯金の中で3割近いと。それがイコールフッティングとしていいか、そういうところもきちんとしておきませんと、新しい経営陣がもしそれが大き過ぎるのであれば、やっぱりそれを少しダウンサイズさせながらやっていくという、そういう方向になると思いますから、やっぱりある程度早目に何をもってイコールフッティングとするかということを示してあげないといけないのではないかと思います。

○中城審議官 それでは、時間の関係もございますので、本日の議事はここまでとさせていただきます。
 これまでと同様、本日言い足りなかった意見等は引き続き事務局の方へお申し出いただきたいと思います。
 それでは、竹中大臣から一言お願いいたします。

○竹中大臣 どうも3日間ありがとうございました。
 私は今日、ちょっと国会の関係で半分ぐらいしかお伺いすることができなかったのですが、おっしゃること大変、皆さんおっしゃること大変リーズナブルで大いに参考にさせていただきたいと思います。
 これからの進め方についても先に事務局からあったかもしれませんけれども、まずは先生方の御意見を伺いながら、とにかく一巡したところでもう少し踏み込んでいろいろやっていかなければならない段階になりますので、それに合わせた形での御議論をぜひいただきたいと。リピートではなくて、踏み込んだ形で議論をして、かつ御指摘がありましたように、シミュレーションの問題も含めて、やはり全体のチェックをしながら制度をつくっていくということが大変重要なポイントになろうかと思います。個別にはなかなか難しいことがたくさんあるわけですけれども、その都度、これは頻繁にまた御相談することになると思います。進め方、それと特に細かいところだけれども、自分は大変気になるんだと、そのようなところがありましたら、別に会合があるとき、ないときにかかわらずいろいろ御意見を賜れればと思います。
 ありがとうございます。

○中城審議官 ありがとうございました。
 それでは、本日の会議後は記者ブリーフィングを行います。最後に次回の会合の日程等について事務局から連絡があります。

○利根川参事官 既に事務的には御都合伺わせていただいておりますけれども、この後の会合につきましては、これまでいただきました御意見をまた整理をさせていただきまして、さらに御議論をいただいきたいテーマを中心に、また開催をさせていただきたいと思っています。そういう意味では具体的なテーマとか日程等についてはもう少しこちらの方でも検討させていただき、また御相談させていただきながら決めていきたいと思っていますので、また改めて御連絡をさせていただきたいと思っています。

○竹中大臣 これは先生方の日程とか一応お伺いしているの。

○利根川参事官 はい、伺っています。

○竹中大臣 どんどん多分入っていくと思いますけれども、うまくそこら辺は調整してください。

○中城審議官 それでは、本日の会合は以上でございます。どうもありがとうございました。