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郵政民営化に関する有識者会議第18回会合 議事要旨

日時
平成16年11月17日(水)
10:05~11:35
場所
中央合同庁舎第四号館(11階)
共用第一特別会議室

○中城審議官 お待たせしました。竹中大臣、所用でちょっと遅れるということですが、すぐ参加されるということなので、始めさせていただきます。
 本日は、皆様お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 これより郵政民営化に関する有識者会議の第18回会合を開催いたします。
 本日は、前回御議論いただきました骨格経営試算の前提及び基本的な枠組みを踏まえ、一定の前提に基づく将来の収支見通しを事務局において作成いたしましたので、まずこの試算についてお手元の資料に沿って、事務局から説明させていただきます。
 その後、試算の内容について御議論いただきたいと考えております。
 また、お手元、一番下のところだと思いますが、お手元の資料の中に、11月9日に日本郵政公社の生田総裁から竹中大臣に提出のあった有識者会議における議論に対する意見というものをお配りしておりますので、後ほどご覧いただければと存じます。
 なお、伊藤教授は所用により、11時20分ごろ御到着になるという予定でございます。
 それでは、事務方から御説明いたします。

○高橋参事官 それでは、お手元の資料に沿いまして、御説明させていただきます。
 この骨格経営試算は、公社の協力を得まして行ったものでございますけれども、1ページ目でございますが、前回御説明しました骨格経営試算の性格について改めて書いております。本試算は、横長のパワーポイントのプレゼンテーション用資料で説明させていただきます。
 1ページ目でございますが、前回御説明しましたことを改めて書きましたけれども、本試算は、有識者会議の議論に資するよう、郵政民営化準備室におきまして、4民営化会社について一定の条件の下で将来収支などを機械的に試算したものでございます。
 税制や委託手数料などを含めまして、すべての前提条件につきましては、政策意図や経営判断とは一切無関係でありまして、郵政民営化準備室として決定したものではございません。
 1ページめくっていただきまして、2ページ目でございます。
 前提条件には様々なものが考えられますが、本試算で用いられたものはあくまで一つの条件にすぎず、計上された計数は試算の前提条件等に応じ変化するものであります。
 また、この試算は、一定の条件の下での将来収支の骨格になると思われますが、さらに新規業務などの要素を付加し肉付けを行えば、将来の民営化会社の経営戦略を練るための第一歩になるものと思われます。
 3ページ目でございますが、骨格経営試算は、次のステップの政策シミュレーション、それと経営シミュレーションにつなげられるものであるというふうに考えております。
 本試算の結果は、もちろんのことながら4民営化会社の将来を保証し、拘束するものではございません。このことに御留意していただきたいと思います。
 4ページ目からは、実はこれは前回もお話ししました骨格経営試算の前提でございます。これは4会社の各会社のところで御説明いたしますので、4ページ目から6ページ目は飛ばしていただきまして、全く同じ資料でございますので、この中で一つ、共通部分で非常に重要な人員の切り分けのことを御説明したいと思いますので、恐縮でございますけれども、7ページ目までおめくりいただければと思います。
 ここは、人員・資産の切り分けでございますけれども、これは前回と同じ内容です。真ん中のところを見ますと、各社の帰属部局にとらわれず、業務の内容に応じて人員を各社に配分しております。
 次の8ページ目をめくっていただけますでしょうか。
 そこに、ケース1とケース2の数字を入れてあります。ケース1は、これは集配特定局などの外務員を郵便集配要員を含めまして、すべて窓口会社へ帰属させたケースを考えておりまして、これは郵便が9万人、貯金が0.8万人、保険が0.4万人、窓口が16.6万人という形になります。
 一方、ケース2でございますけれども、これは集配特定局などの外務員を、機能に応じまして、郵便会社と窓口会社に配分させたケースを考えております。その結果、郵便は先ほどよりちょっと増えまして12万人、貯金が0.8万人、保険は0.4万人、貯金と保険は同じでございます。それで、窓口の方は、先ほどよりちょっと減りまして13.5万人としております。とりあえずこのケース2をこれから御説明する基本的なケースと考えております。
 なお、人員の切り分けに関連しまして、資産の切り分けでございます。
 本試算におきましては、資産の切り分けは、その後の収益に直接関係しないようにしておりますが、とりあえず本試算において、さほど意味を持っておりません。しかしながら、資産の切り分けは、当初B/Sをつくる関係上、必要になるわけでございまして、それぞれの事業用資産を別といたしまして、現預金を4分割するなどの機械的な前提によっております。いずれにしましても、人員・資産の切り分けというのは、政策意図や経営判断とは一切関係ございませんで、民営分社化後の姿を規定するのではないということに御留意いただければと思います。
 次が9ページ目、これから以降は、この数字の説明になるわけですけれども、9ページ目から16ページ目が各社の試算が続きます。いずれもケース2の切り分けという場合を想定した試算でございます。
 この9ページ目の初めは、郵便でございます。郵便会社についての前提条件でございますけれども、3点ほど大きな点がございます。一つは、通常郵便、小包、人件費というのが大きいかと思います。通常郵便、この郵便営業収益の中でございますけれども、大半でございますが、貯金3年間における各種の引受郵便物数の対前年比の増減率の平均値、例えば第1種ですと、これは2.3%程度でございますけれども、これを主要としております。なお、これは最近の現状実績を織り込んでおりまして、公社の中期経営計画よりも若干最近の、直近の経営実態に近い前提というふうに思っております。
 次に、小包でございますけれども、これは公社の市場シェアが2003年度の実績シェアで6%から2005年度に公社アクションプランに期待されている10%に拡大するというケースを想定しております。なお、小包全体の市場規模につきましては、小型物品市場とか、それに宅配便、それと一般小包を合わせたものがございますけれども、直近の傾向で成長いたしまして、その後横ばいと仮定しております。
 次は人件費でございます。人件費につきましては、分社化によりまして、一定の人数が窓口会社へ移行いたしますが、その分人件費シェア減少いたしますけれども、一方で窓口への郵便取り扱いで一定割合となる窓口貢献分、ここでは一応17.5%と置いていまして、それを委託手数料として払います。郵便会社の人件費は、総引受郵便物数の減少につれて抑制される前提になっております。換言いたしますれば、引受郵便物数が減少しても、生産性が一定という前提でございます。
 この結果、人件費というのは年間、この資産では1.1%減少するとしております。なおこの資産の期間中、これは2007年度から2016年度なんですけれども、この定年退職者およそ7、8万人と予想されておりまして、このような自然減を前提としますと、この人件費の傾向というのは、新規採用ベースでいきますと、最近の抑制パターンとそれほどの遜色ない範囲であると考えております。
 次は、固定資産税、印紙税などを払いまして、郵便取り扱いの一定割合となる窓口貢献分の委託手数料は、先ほど申し上げたように払います。ただし、窓口会社から転化されて、これは会社を分割するわけなので、委託手数料に消費税がかかりますけれども、その転化された消費税については、これはもう税額控除が、一応郵便会社ができるために実質的に郵便会社の負担にならないものと考えております。
 9ページ目には、それで計算しますと、ずっと10年間の数字が羅列されておるんですけれども、それらの平均でいきますと、経常利益が400億円強、400億円ちょっとですね。それとあと法人税等差し引くと、税引後利益というのは250億円ぐらいだと思います。
 ここで法人税というのは、一律単純化のために40%、税率で計算をしておりまして、この法人税等の計算の税率というのは、その後の会社もすべて同じでございます。これが郵便の話でございまして、次に10ページ目、貯金でございます。
 この貯金会社の前提につきましては、3つほどやはり大きな項目がありまして、一つは金利、もう一つは総資金残高、これは預金ということで大体置き換えてもいいかもしれませんけれども、それとあと人件費の3項目でございます。
 まず、非常に金融で重要であります金利でございますけれども、これは金利がフラットということで、2016年度まで現在の低金利がほぼ継続するという前提でございます。具体的には、10年金利は1.44%という形で横ばいとしております。
 次に、総資金残高でございますけれども、これは2016年度の最終残高は、大体160兆程度というふうに思っておりまして、通常貯金というのは1兆円ずつ減少。定額というのは、満期再預入というのが一定割合になるように調整いたしております。この総資金の動向については、誠にちょっと飛んで恐縮なんですけれども、14ページにB/Sがありますので、そちらをご覧いただいた方が、わかるのではないかなと思います。誠に恐縮ですが、14ページを開いていただきますと、貯金のB/Sがあります。
 ここで郵便貯金を見ますと、2006年度は214兆、負債の方の郵便貯金が214ですけれども、これが142という形で減少しております。非常に雑駁に言うと、大体3分の2という形です。それと、預託金とか借入金、預託金は資産の方にありまして、50兆ぐらいありますけれども、借入金は28兆とありますが、これは財投関連のものでございます。2016年にはなくなります。なお、ここでは貸付金というのはちょっと少額に載っておりますが、ここは地方公共体向け貸付でございまして、新規の貸付業務によるものではございません。この貯金の減少傾向というのは、恐らく公社の中期経営計画を外挿したものであると思います。外に伸ばすということですね。
 一方、それで前にちょっと戻っていただきまして、10ページですけれども、ここで運用の仕方、資金が入って運用の仕方の仮定を置かなければいけないんですけれども、それは国債で◆運用いたします。一定の期間構成と投資構成ということで、直近の割合、大体は各、短、中、長というのは大体が均一に買う、そういう形で置いております。そういう投資構成を維持するという前提で運用は掲載しております。
 次は、人件費でございますけれども、これは2007年度以降、窓口会社に移行する人員が多くございまして、分社化により大きく減少することになります。ここでいきますと、人件費684億ということです。これは、それでなおこの試算では、切り分けた人件分を除きまして、この684というのは一応横ばいという形でありまして、まだ少額でありますので下げてもいいんですけれども、ほとんど意味がないので、これは計算の簡単なために横ばいとしております。
 ただし、窓口会社への全く仮置的な手数料は次にございます。とりあえずこの仮置的な手数料につきましては、貯金残高に応じた変動的な手数料というのと、固定的な手数料ということで委託手数料を考えております。
 具体的には、変動的なところは、貯金残高に0.35%を掛けておりまして、あと固定的なところではATMが大体1台あたり300万円としております。この0.35%、35ベイシスの話ですけれども、これは大体貯金口座当たり年間1,500円程度ということと、あと、こういうのは店舗の効用がどういうふうにあるかと。例えばインターネットバンクと普通のバンクの3年ものの金利差なんかが30ベイシスちょっとありますので、大体その店舗の効用というので35ベイシスを置いております。
 さらにこの委託手数料のほかに、固定資産税とか印紙税は一応払うということになっております。それとあと、窓口が支払う消費税も負担するという形、転化をするということで負担するという前提であります。さらに、預金保険料、この窓口手数料、ちょっと上になってしまいますけれども、ここ足元の料率、残高で0.08%ですから、これを継続するものとして計算をしております。
 この結果、10年間でございますけれども、経常利益が大体平均して4,200億円ぐらいです。それであと法人税等を引きまして、税引後利益が2,500億円程度になります。
 次の11ページ目が保険でございます。
 これは、企業会計のお詳しい方でしたらすぐわかると思うんですけれども、この保険につきましては、項目がちょっと会計的な意味での項目になっておりませんで、実は三利源という形で、これは保険を分析するのにはよく使うやり方なんですが、それをそのまま載っけまして、それで経常利益を算出するという形の簡便なやり方をとっております。ちょっとここの三利源を企業会計の方に分解するのはかなり難しゅうございますので、結果的に答えは同じになると思いますけれども、この三利源という形で出させてもらっています。
 保険会社の前提でございますけれども、これも金利と、貯金の残高に相当する責任準備金残高、それとあと人件費の3つが重要かと思います。
 まず、金利でございますけれども、これは先ほどの貯金と全く同じで、一応フラットのシナリオで考えております。
 次に、残高なんですけれども、これは2016年度の責任準備金残高というのは大体70兆になるように一定の新規保険料額を想定しております。この残高の動向というのは、まことに恐縮なんですけれども、後ろの方の15ページのところにB/Sが載っておりますので、そちらをごらんになっていただいた方が多少わかるかなと思います。
 恐縮でございますが15ページの保険のB/Sをごらんいただければと思います。
 ここで、負債のところで、責任準備金が111兆というのがありますが、これが72、これも大体3分の2ぐらいになるというふうに思っておりまして、それに伴いまして、有価証券運用というのも減り、あと貸付金というのも減ります。ただ、この貸付金、これはやはり地公体向けなどでございまして、新規の企業貸付とかそういうものは含まれておりません。これは24兆円から10兆円程度に減少するという形になっております。
 それとまた前の11ページにお戻りいただけますでしょうか。
 今のこの残高の減少というのは、これも公社の中期経営計画の最近の動向を外に伸ばした、外挿したというものというふうに考えております。一方、この資金の運用ですけれども、これもやはり貯金と同じようなんですけれども、こちらの方は地公体向け貸付というのがありますので、国債等貸付金というのを一定の期間構成ということの投資構成を維持するということで、前提で運用を掲載しております。
 次は人件費、この11ページの真ん中当たりですが、これはやはり貯金と同じように2007年度以降、窓口会社に移行する人員が多くて、分社化により大きく減少するという形になりまして、本試算では一応横ばいという形で仮定をしております。物件費も同じです。
 次が、ここの費用のうちの下の窓口への委託手数料ですけれども、これは新規契約分の保険料の一定割合というふうに仮定をしております。大体1年ぐらいの、1年分の保険料を支払うという、そのようなイメージがございますけれども、これは民間生命保険会社の代理店への委託手数料報酬とかなり近いものと理解をしております。この委託手数料のほかに、固定資産税、印紙税などを払いまして、さらに毎期払う消費税も転化されますので、それも払うという形で租税を計算しております。
 それとあと、その下に保護機構負担金、これ正確に言いますと、生命保険契約者保護機構負担金でございますけれども、これにつきましては、足下の算定方式、これは残高と収益に掛けるものでございますけれども、これが同じといたしまして、2007年度へ納付するという形になっています。ただし保険というのは最初スタートがほとんどないものでございますので、最初のこの負担金は少のうございます。
 そういう結果、全部やりますと、この経常利益で、段階では、大体これは10年間で平均しますと2,600億円程度ですね。それとあと契約者配当とかを引きまして、法人税なんかを引きますと、税引後利益というのが、これが大体平均すると200億円ぐらいという形になります。
 次の12ページ目をおめくりいただけますでしょうか。
 これが窓口のP/Lでございます。窓口会社の前提でございますけれども、重要なのが3会社からの委託手数料、それとあと委託手数料に伴う消費税、それと人件費でございますけれども、3会社の委託手数料の繰り返しになりますが、先ほど言いました郵便につきましては、売上高の窓口貢献分というものがあるところでございまして、貯金は残高に応じたものと固定的なもの、それと保険会社は新規契約分の保険料の売り上げ、そういう形にしておりますので、ここに出てきている数字というのは先ほどの窓口、貯金、保険のP/Lに出できた委託手数料と同じ数字をここに上げております。
 なお、これらの窓口会社と3会社の手数料については、このような取引高ベースの手数料というのが将来的には自立のためには望ましいというふうにも言われておりますけれども、分社化当初からこのようなことが可能かどうかと、実務的には別途検討されるべきものであると思いますし、さらに実際の手数料の話をしますと、このような試算のような単純なものではないと思います。さらに複雑なものであると思いますし、いずれにしましてもここで示した手数料の考え方は、数ある中の一つに過ぎませんで、試算のために便宜的に選んだもので、特段の意味があるわけではないということには御留意をいただきたいと思います。
 先ほどの数字ですけれども、委託手数料はずっと並べておりますけれども、ちなみに10年間で平均して言いますと、郵便系というのは大体3,000億円です。それとあと貯金系が大体7,000億円、それとあと保険系は5,500億円ぐらいになっております。
 次の前提としましては、委託手数料に伴う消費税でございますけれども、これは先ほど3会社のときに申し上げたとおり、窓口会社、一応払うんですけれども、3会社に全部転化するという形になっております。これはそれぞれ委託もとの郵便、貯金、保険が変わるものでありますので、それぞれのP/Lには一部反映されておりますけれども、窓口会社の試算の中には出てきておりません。
 最後は人件費ですけれども、人件費は分社化することによって、かなりの人員がここに帰属するという形になります。ここの試算では、郵便と同じように1.1%減少ということで計算をしております。これは郵便と全く同じことでございますけれども。その結果でございますが、経常利益、それが10年間平均では大体1,700億円程度です。それで、法人税なんかを引きますと、大体1,000億円ぐらいの税引後利益という、そういう形になります。
 次が、13ページからのB/Sでございますけれども、13ページから16ページまでは各社のB/Sを仮につくってみました。2006年度のB/Sにつきましては、当初、現在の公社のB/Sを参考としまして、資産、負債の切り分けを行ったものでございますけれども、資産につきましては、それぞれ帰属は明らかな事業資産は別といたしまして、現預金は4分割などの機械的な前提においています。
 負債につきましても、帰属の明らかなものは事業負債でやっていますけれども、退職給付引当金というのは人数割りという形で、機械的に分けております。本来、このような資産などの切り分けというのはリソースの配分ということでございますので、言うまでもないんですが、経営戦略の基本、根幹であると思います。ですから、いずれにしましても今度の資産などの切り分けというのは政策意図や経営判断とは一切ございませんで、言うまでもないんですが、民営分社化後の姿を規定するのではないというふうに御留意いただきたいと思います。
 2016年度のB/Sにつきましては、すべての項目はほとんど横置きでございますけれども、各会社の最終利益のみを剰余金資本に加えるという形でございます。
 これで13ページから16ページまでざくっと済まさせていただいたと思いまして、最後に17ページでございます。
 最後の17ページというのは、いわゆる感応度分析というものでございます。繰り返しますけれども、9ページから12ページまでは資産の切り分け、人員の切り分けが一応ケース2という形で計算をいたしました。それとあと郵便、貯金と保険のボリュームというのは今までちょっと御説明したような前提条件という形でございますが、繰り返しますと、金利というのはフラットというシナリオのもとでの収支条件、収支計算でございますけれども、このシナリオが変化した場合に、収支がどのように変化するかというのを一表にまとめております。
 例えば人員の切り分けでは、ケース1の場合は各会社の収支がどうなるのか、ケース2と比べてどうなるかというのをここに書いてございますが、若干軽微な動きでございます。と申しますのは、人員を切り分けて、例えば、貯金と保険は全く関係ないのは定義上そういうふうになるわけなので、ケース1とケース2では全く同じですから関係ないわけなんですけれども、郵便の方が多少増えますと、その分、人件費が増えるんですけれども、その分、窓口への委託手数料が減るという、そういう形になりますので、それが相殺して余り収支は動かないという形になります。
 次に、ボリューム減の話ですけれども、これは例えば郵便では第1種が、先ほど2.3%と言いましたけれども、それをもうちょっと、3.5%ぐらいの減少と。それとあと小包もアクションプランが未達とかいう、かなりドラスティックな変化を想定しております。その場合ですと、郵便は、生産性一定というもとですと、それに応じて人件費を多少、ちょっと減らしますので、余り大きな動きにはなりません。
 貯金では、これは先ほど総資産が大体160、150幾つとなりますが、それ140ぐらいに、10ぐらい下げたらどうなるのかということで計算をしております。そうなりますと、ボリュームが減るものでございますので、これはかなり大きな1,000億オーダーの収支の減少になると。収支と申しますのは経常利益でございますけれども、そのくらいの減少になろうかと思います。
 保険では、新規保険料がさらに1割ぐらい減少するという形で想定をしております。そこで先ほどの基本ケースと比べますと、これは実は保険は確かに収入が減る、保険収入が減るんですけれども、その一方で、この委託手数料というのも減少するということで、この2つが結構同じぐらいの数字になるので、余り経常収支というのは変化しないという形になります。
 その結果、窓口会社というのは、各社からの委託手数料という形で成り立つんですけれども、先ほど郵便とかは残高、それと保険は新規保険額という形ですから、ともに減りますので、それは窓口会社の収支は減ります。
 3番目の金利上昇のパターンでございますけれども、これは金利が毎年20ベイシスポイントほど上昇していくという仮定を置いております。それで先ほどフラットの場合とどのように違うかという計算でございます。
 貯金会社は、これ郵便が全然関係ないというのは、貯金会社は今のポートフォリオを前提する、先ほど短、中、長が大体同じように運用するという、そういう形になりますので、余り変化がない。言い直してみますと、多少の金利上昇に対しては、結構耐性があるというようなことで試算ができております。ただし、これは金利をあるときに急激に上昇させたストレステストではございません。ですからそういう場合の収支がどうなるかということについては、ここの分析ではちょっと対応ができないということを申し上げておきます。
 保険会社なんですけれども、これは保険会社が金利上がりますと、過去の予定利回りが実は低いため、再運用の利回りが高くなるということになりますので、収支がよくなります。かなりよくなると思います。結果として、窓口会社というのは、ほとんど変わらないのですが、実はこれは先ほど窓口会社の手数料が貯金の残高、それとあと保険の新規という形なんで、金利には関係ないので、多少金利が動いたとき、それが変われば変わりますけれども、金利そのものについてはほとんど関係がないという形で軽微でございます。
 以上でございます。

○中城審議官 それでは、ただいま説明させていただきました論点に関しまして、御意見、御質問などいただきたいと思います。

○奥山相談役 今回お出しいただいたのは、いろいろな政策的なオプションは入れないで、いわばベースのシミュレーションだというお話で承ったんですけれども、一応、そのシミュレーションが正しいかどうかで幾つか前提と数字のやりくりについて伺いたいと思います。
 まず一つは、9ページ、郵便のP/Lですけれども、収益の方で、引受郵便物数の郵便と小包で、郵便は何%減っていくとおっしゃったんですか。

○高橋参事官 第1種が2.3%減でございます。第1種がほとんど多いので、ほかは過去の2001年から2003年までの一応実績を機械的に置いて……

○奥山相談役 だから毎期毎期2.3%減っていくという実績を一応ここへ置いてみたと。

○高橋参事官 2.3%というのは、2001年から2003年までの引受物数の伸率でございましたので、2.3%減がですね。ですから、それをそのままずっと先まで伸ばす、そういうような仮定でございます。

○奥山相談役 それから小包は、6%からむしろ10%拡大するとおっしゃったんですね。

○高橋参事官 これはアクションプランがございまして、2003年が6%のシェアだったんですが、2005年アクションプランによりシェア10%という形になっておりますので、仮にそれが達成できるという前提のもとで伸ばしていったということでございます。

○奥山相談役 それから人件費で、年1.1%減少と。それは定年退職者7、8万人の、郵便では何人かわかりませんけれども、そのうちの大部分が定年退職者でいると。それで、新規採用はどのぐらいを見込んだんですか。

○高橋参事官 この人件費の1.1%減ということなので、人数というか、給与の関係があって、仮に給与が全く伸びなければ、1.1%減というのを新規採用、この全社ベースの新規採用数に置き直しますと、大体4,000人とか5,000人程度の数字だと思います。

○奥山相談役 はい。郵便はどのぐらいのウエートになりますか、そのうち。

○高橋参事官 これケース2ですから、27分の12ですから、半分弱ですかね。ですからそこでいきますと……

○奥山相談員 それも同じパーセントで、人数の同じ……

○高橋参事官 ええ、そうすると多分2,000人とか、そういうオーダーになるのではないでしょうか。

○奥山相談役 それから、窓口委託料は、17.5%とおっしゃいましたね。

○高橋参事官 はい。

○奥山相談役 それがどうかというのはちょっとまた後にしますけれども。それから、貯金では、貯金会社では金利はフラットで、それから運用については短、中、長、同程度にして行っていると。それで、預金保険料は残高の0.8%、窓口委託料は残高の0.35%ですね。

○高橋参事官 預金保険料は0.08。

○奥山相談役 0.08。それは今の実績ですね。

○高橋参事官 ええ、そうでございます。

○奥山相談役 一般的なね。リーズナブルな。それから保険のP/Lですけれども、これちょっと数字がわからないんですが、金利については預金、貯金と同じだということおっしゃったんですけれども、死差と利差と費差で、三利源の小計が3,026億円の赤になっていますね、2007年見ますと。それで経常利益が793億のプラスになっていますよね。この間、ちょっと差があるわけですけれども、損益には何かここ出ていないんですけれども。

○高橋参事官 失礼しました。この三利源合計は、今、委員がおっしゃったように3,026の赤でございますけれども、保険には追加責任準備金というのが積んでありまして、それの取り崩しという形でほぼ毎年3,000から4,000億円弱の取り崩しがございまして、それを入れまして経常利益が計算されております。

○奥山相談役 16年3月のバランスを見ますと、簡易生命保険業務の区分バランスで見ると、契約者配当準備金というのが3兆8,061億円あるんですね。それの取り崩しですか。

○高橋参事官 追加責任準備金はもうちょっと大きいと思います。

○奥山相談役 追加責任準備金というのは、保険業務の中に出ていないんですよね。

○高橋参事官 公社のバランスシートの中にはたしか載っていると思いますけれども、責任準備金の中で……

○奥山相談役 責任準備金の中へ入っているの。

○高橋参事官 はい。

○奥山相談役 配当準備金ではなくて……

○高橋参事官 配当準備金ではなくて、責任準備金の中の話でございます。

○奥山相談役 それは不要のzを取り崩したという意味ですか。

○高橋参事官 将来予想されるもので以前に積み立てていた分がありますので、そこは一定のルールでずっと将来取り崩していくと。9兆円弱の追加責任準備金がございますので、それを取り崩して経常利益は計算をしております。

○奥山相談役 9兆円。それで1年間で3,800億。

○高橋参事官 これは年によってちょっと違いますけれども、3,000億円程度ですけれどもね。そのくらいの取り崩しを毎年行っていると。

○奥山相談役 それ何か9兆円の取り崩し基準というのは決まっているんですか。

○高橋参事官 これは公社さんの方で、何か積んだときの基準というのがございますので、それにのっとってやっています。

○奥山相談役 ということは3,000億程度、そうすると30年、9兆円取り崩す、そういう額があるということですか。

○高橋参事官 そうですね。

○奥山相談役 そして、経常利益から税前利益にまた差がありますよね。

○高橋参事官 はい。

○奥山相談役 この間は何ですか。

○高橋参事官 これは配当です。793と351の差なんですけれども、これは配当がありまして、実は公社が既に約束した確定配当というのが1,100ぐらいありますので、それを引いて税引前利益が出てきます。

○奥山相談役 確定配当。

○高橋参事官 はい。配当には多分2種類あると。確定した配当と、あと契約者配当という形で、確定配当がこの超過分という、余剰があったときに払うという2つがあると思うんですけれども、一応その確定した配当という、既に約束している保険契約なんかで約束しておりますので、それは1,100ぐらいこの年はありますので、そこを引いて350という形の△が出てきております。

○奥山相談役 その後ずっとそうですか。

○高橋参事官 ええ。確定配当は、これはだんだん保険が下がりますから、だんだん年々年々下がっていく数字なんですけれども、この年は1,000億円ぐらい。それからずっとだんだん下がって、最後の方はほとんどそういう確定配当の数字は100億円程度の話になります。

○奥山相談役 というのは、2016年でも2,700億が500億になっていますよね。

○高橋参事官 失礼しました。今の確定配当の説明でございまして、さらに剰余が出たときには、契約者配当するという形にしておりますので、これは剰余の80%を契約者配当に回すという、そこは下限のルールがありますけれども、そこの80%を契約者配当に回すという仮定をしております。

○奥山相談役 ありがとうございました。
 それから、窓口P/Lで、人件費なんですけれども、前に貯金と保険の営業マン的、セールス的な人は、一つの試算として、各社に帰属させるということもシミュレーションとしてやってみたらどうかということを申し上げたと思うんですが、きょうはそれ出てないんですけれども、これ窓口P/Lの人件費の中にどのぐらいの人数、わかりますか。あるいは金額でも結構なんですけれども。

○高橋参事官 ちょっと、先生のやつでまだ計算ができていないんですけれども。非常に目の子で言いますと、多分2万人ぐらいではないでしょうかね。ちょっとその細かい数字がまだ……。

○奥山相談役 では、それはまた……。とりあえずまた後で意見を申し上げさせていただきます。

○吉野教授 全体の比較をさせていただきます。9ページから12ページまでがそれぞれのところ出ていますが、一番下の当期利益で見ると、9ページの郵便が大体3分の1から4分の1ぐらいに減少と。それから、次の10ページの貯金が当期利益、一番下で見ますと、大体半分ぐらい。それから保険はほとんど変わらない。それから最後の窓口会社が3分の1ぐらい、こういうざっくりとしたところだと思うんです。
 それから、一番最後にいただきました感応度分析で見ますと、17ページでありますけれども、今後ボリュームが減っていくときにやっぱり一番影響を受けるのが一番下の窓口会社と貯金ではないかと。そうすると、窓口会社はやっぱりほかのことをしながら何か収益源を得ないと長期的にはいけないのかなというのが全体的な印象なんです。ですからやっぱり投信の販売とか、いろんなほかのものをやっていくと。
 それから、固定費の分配に関してちょっとお伺いしたいことと、それから郵便などは先ほど生産性が一定だという仮定だったと思うんですけれども、いろいろ技術進歩をすれば郵便の効率も上がると思いますので、変動費用というところはわかったんですけれども、固定費はどういうふうに分配されたのかどうかと。
 それから、やっぱりこれから委託手数料が随分、お互いにどうやって決めるかが問題になると思うんですが、そのときに、この委託手数料を変えても、先ほど人員の切り分けではほとんど関係なかったわけですけれども、委託手数料を変えることで大きく変動するのかどうか、教えていただきたいんですれけども。

○高橋参事官 最初に固定費の配分ですけれども、これは減価償却ということですと、物件費の中に含まれておりますので、それぞれ資産割という形になろうかと思います。それとあと生産性の話は、これは実は計算に入れておりません。これは機械的な計算でありますので、一切生産性の話は、生産性の向上とか、そういう話については入れずに、ただ一定という形で取引高に応じて人件費、物件費を減らすという、そういう仮定を置いたということでございます。
 最後の話が、固定……

○吉野教授 委託手数料をいろいろ変えることが、先ほど人員の振り分けに関しては余り影響がないということが出ていたんですけれども。

○高橋参事官 それは、委託手数料は変えますと結構大きく変化しますね。それにこれは単純な話かもしれませんけれども、人員の切り分けと委託手数料というのはある意味でリンクしているというか、そういう形になろうかと思います。ですから、人員を切り分けて、その委託手数料を多くすれば当然収支は動くとは思います。要するに、人員の動いた人員経費と委託手数料の関係という形で、もちろん各社の収支には影響が出てくると思います。

○宇田プリンシパル 最初に物件費の配分の仕方、これの考え方を教えていただければと思います。例えばシステムとか、非常に大ぐくりな考え方で結構ですので。
 それから、2番目は預託の部分がゼロになっていくというのはよくわかるんですけれども、大体これ、いつの段階でどの程度かというのを明らかにしていただければと思います。

○高橋参事官 最初に物件費の方いきますと、物件費の切り分けというのは、基本的にはディスクロージャー資料を参考にさせてもらったわけなんですけれども、物件費って業務費とか、それぞれがちょっと事業別に分けておりまして、郵便局舎にかかわるものというのは窓口郵便という形で分けたりして、その他は性質に応じて、あと不動産配分とか人員配分なんかに応じてちょっと機械的に振り分けております。
 減価償却につきましては、実はその不動産配分という形に応じて振り分けております。その他経常費用というのが、一応人件費割という形で、応じて分けて、そのような基本的には考え方を持っております。
 それとあとは、貯金は10年後には、10年もあれですからなくなってしまうと思いますけれども、保険は長期契約が随分ありますので、恐らく10年後では3、40兆程度は残るのではないかなというふうに思います。その意味では、この計算ですと半分ぐらいが旧来のもの、半分ぐらいが新しいもの、そういうふうな形になろうかと思います、保険はですね。
 それとあと、貯金についていえば、それはほとんど全部新しいものに変わると、そういうふうに思っています。

○翁主席研究員 資本のところでちょっとお伺いしたいんですが、例えば郵便貯金、保険については当初の資本構成の段階でとりあえずというか、規制上のリスクアセットは、国債でもっているので、ほとんどゼロに近いので信用リスク規制は満たしていると思うんですが、少し金利リスクを勘案して、これはレギュレーションがどうなるかわからない話なんですけれども、例えば今、バーゼルなんかで行われているアウトライヤー銀行というのは、金利ショックが200ベイシスポイントあった場合に、ティア1とティア2の合計額に対して2割を超える経済価値の低下が生じる場合は、アウトライヤー銀行として定義するということになっていて、もちろん国際銀行でもないですし、これが直接適応されるわけではないということはよく承知した上での質問なんですが、この金利リスクに対して、資本の付加がこういった当初の段階で十分かどうかということについては、どういうふうに考えればいいのかということですが。

○高橋参事官 極めて難しい御質問ですから、どこまでお答えできるかわかりませんし、先ほどちょっと感応度分析のところで、ストレステストでないと申し上げたわけなんですけれども、私が公社の方から伺っているストレステストでいきますと、1年間に300ベイシスポイントを動かしたときに純資産価値がどうなるかという話だと思います。
 以前にも、この会議でちょっと御披露があったと思いますけれども、私が知る限りでは300ベイシスポイントで大体ネットワースが3兆円ぐらいだと思います。この定額郵貯の特性からいいますと、リニアに考えるのはどうかという問題がございます。それで、リニアに考えるのがどうかという問題がございますが、仮に200ベイシスポイントでいきますと、リニアだと思えば2兆円のネットワースの変化になるというわけなんですけれども、ここの自己資本を見ていただくとわかると思いますけれども、2兆円でしたらそれは、もともとこのB/Sが現金を4等分するという、非常に機械的な話なので、ある意味で大胆に計算上はやっているわけなので、そこから「きますと2兆円というのは、とても先ほどの翁委員の御指摘があったアウトライヤーというか、20%に収まるとはなかなか申し上げにくいのではないかなと思います。

○奥山相談役 先ほど質問はしたんですが、少し感想というか、意見を申し上げたいと思うんですけれども、まず郵便の損益ですけれども、この窓口委託料が17.5%というものが、高いのか安いのかというのはちょっとわかりませんけれども、もしそれが前提として、それから先ほど定年退職者が7、8万人見込まれるのに対して、毎年新規採用を4,000人ということは、約半分をとっていくということの、その按分比がこのP/Lの人件費、きているとしますと、やっぱりこの経常利益の段階、あるいは当期利益の段階で見て、少し予測がぶれると、必ずしも収益がよくないなと。2012年までは200億台を当期利益でも保っていますけれども、その後100億台に落ちるという、こういう基礎的なシミュレーションの結果ですね。
 やはり、郵便というのはそれほど大きな変革を見込めないとすれば、ここで収益拡大というためには、郵便料金上げるとか、そういうことは考えられないと思いますので、いかに国際的な拡大を、外に向かって図っていって、それで収益を上げるとか、あるいは効率的に、やはり人件費、やはり自然退職者に対して、半分も補充するということではなくて、やはり効率的な経費、運営の仕方というのを見込んでいかないとよくないのではないか。あるいは窓口委託料がもしかしたら17.5高いので下げるというふうな話で、相乗効果で、やはり将来的な展望というのを持てるようなP/Lにしないと、このままだと基礎的なシミュレーションだけだとうまくないなという感じがいたします。ここはだから次の政策的なシミュレーションに移るときに、そういう、見るのかもしれませんけれども、現段階ではそんな印象を持ちます。
 それから、貯金のP/Lにつきましては、今、翁さんがちょっとお話ありましたけれども、どう転ぼうと、そんなに利益が減ることはないなということで、これは大変な会社であるなという印象です。
 それから保険につきましては、やっぱりさっきちょっとお話伺っていてわからなかったのが、責任準備金の中に余剰的な準備金があって、それが9兆円だというお話ですが、それは要するに一般的な保険会社ではないものがあるということなのか、普通の保険会社でもある得ることなのか、そのほかに契約者配当準備金というのが3兆以上あるわけですね。ですから、もともとかなり余裕を持った残高、バランスシートがあって運営していくということであると、かなり余裕を持った損益で将来ともやっていけるのかなというふうに思いまして、ただそこはここの表では実態が出ていないんですね。経常利益でぽんと出てしまっていて、その間に責任準備金の余剰分の取り崩しという欄が入っていないものですから、そこは明確にしておいた方がいいのではないかなと思います。いずれにしろ、立派にやっていける会社だなと。
 それから、最大の問題は窓口会社ですけれども、資産見ますと、先ほどの郵便の委託手数料の率の問題はありますけれども、トータルで見た場合に、委託手数料が立派な収入になっているなと。あれだけの人件費の割合を、12万人ですか、失礼、窓口だから13万人を置いておいても、収支で相当な高利益を上げていけるということは、4会社の基礎的なシミュレーションとしては、この窓口P/L、初めてできるわけですけれども、立派な収支だなというふうに思います。
 結論の前に、持株会社、ホールディングカンパニーの本当は損益があるわけですよね。それは今日お出しいただいていないので、それは政策段階になるのかもしれませんけれども、ぜひシミュレーション、出していただきたい。つまり各社がどれだけ配当して、その配当を受けてホールディングカンパニーが損益をやっていけるのかということは確認したいと思いますけれども。
 それは別としまして、やはり4社でシミュレーションしたものについて、郵便のところが基礎的なP/Lでは、このままでは、将来的な問題がないことはないなという印象を持ちまして、この辺はどう考えるのかというのが大きな課題かなというふうに思います。

○高橋参事官 ありがとうございました。技術的なことだけお答えしますと、追加責任準備金は、ふつうの民間の保険会社には余りないと思います。ただ、こういう考え方というのは国際的なのではありますけれども、日本の実態というか、保険の中ではありません。

○山下理事 確か、民間生保も追加責任準備金を積む仕組みを持っていると思います。
追加責任準備金というのは、保険会社が、将来見込まれる逆ざやに対応するために、加入時の計算基礎で計算した額に積み立てるものです。加入時に比べて金利が大きく下がった場合、約束した保険金を払えなくなるおそれがありますので、追加的に計算し直してマみ立てるものです。民間生保の場合は、将来収支を予測する期間が短いと思います。簡保は、たしか28年だったと思います。

○篠田審議官 私自身は、このシミュレーション、詳細参加しておりませんが、生命保険の経理について若干承知しておりますので御説明申し上げたいと思います。
 生命保険会社の場合には、どこでも毎月入ってくる保険料の中から将来の保険金の支払いに備えて、積立金というものを持ちます。この積立金を計算するにあたりましては、契約を設定いたしましたときに、あらかじめお預かりした保険料を何%ぐらいで運用できるだろうかということを念頭に置いて、予定利率というものを考えて、保険商品というものを設計します。それを当初計算基礎というんですね。当初計算基礎というのは予定利率以外にも死亡率とか、あらかじめどのくらい事務費がかかるかという付加保険料率とか、そういうものをもとに保険商品を設計していくわけですけれども、そういう契約段階での当初計算基礎と、その後の何年間かの経済変動の中で、金利変動が起きたりしますので、ある会計期間の中で、どれだけの責任準備金を積むかということを考えるときに、当初計算基礎に基づいた責任準備金の計算では足りない場合が出てきます。それをさらにその時点で積み直さないと、将来の保険金支払いができない可能性があると、そういう場合に追加責任準備金を積むということになります。
 総務省の郵政公社に対する指導は、将来、30年ぐらいだったと思いますが、将来にわたって収支分析を行いまして、保険金の支払いに当初計算基礎では足りない場合に、必要な分を積みなさいというふうに義務づけがなされておりまして、これが追加責任準備金と呼ばれているものでございます。
 そういう意味では、これは余剰資金ではありませんで、将来の保険金の支払いのために積まれているものでございます。先ほど、高橋参事官の説明で少し言葉が足りなかったと思いましたのは、この責任準備金というのは、毎期取り崩しをしてまいりますが、それは何のために取り崩しをするのかと申しますと、その期の保険金の支払いのために積んでおいたものですから、その期に保険金の支払いが到来したものについて責任準備金を戻入して、その期の収益として戻入して保険金の支払いに充てていくと、こういうものでございます。
 なお、民間生保でどうかということでございますが、民間生保でも会社によりましては追加責任準備金をある程度積んでいる会社はあると思います。ただこうした追加責任準備金を積むという行為自体が、日本の生命保険業の歴史の中では、低金利が発生しました以降の議論でございまして、古い時代にはこういうものを積むという考え方はなかったようでございます。ちょっとそれ以上につきましては、私もちょっと民間生保の状況は存じておりませんので、この程度にさせていただきたいと思います。

○奥山相談役 今の、民間の保険会社は金融庁の方で積み立てを迫っているというお話あったんですけれども、実態はそこはどうなのかということは一応確認させていただきたいんですけれども。要するに、民間の生保が、追加責任準備金というものを実際どれぐらい引き当てているのか、またそういうシートがどれぐらいあるのか、そこは、今日は無理としても、もしわかったら教えていただきたいと思いますが。今わかりますか。

○高木副室長 ちょっと調べてみます。いずれにしても民間の方は有税になりますから、そんなに積んでいないと思います。実態とそれからルールをちょっと調べて。

○翁主席研究員 今の追加責任準備金のお話を伺いましたが、確認なんですけれども、ここでの骨格経営試算というのは、その期の支払いに応じて、そのつまり残高の減少というか、それに応じて追加責任準備金が減るという形になっていて、将来のものに備えるべき留保というのは、最終的にその分残っていると理解してよろしいんですか。ペースというか、そこはそういう理解でよろしいんでしょうか。

○高橋参事官 ちょっと私、説明が舌足らずになってしまったかもしれませんけれども、計算上としましては、だんだんだんだん追加責任準備金の戻入額が減るという形で計算をしております。

○吉野教授 先ほどの翁委員の金利ショックに対する反応なんですけれども、先ほど短期と中期と長期でバランスをとって運用すると、国債の場合ですね。そうしますと、バイアビリティーのサイズとうまく合っていれば、金利ショックがあってもショックが少ないと思うんですけれども、保険とそれから貯金に関して、それぞれ負債構成に合わせた形で運用するという、そういうシミュレーションなんでしょうか。

○高橋参事官 多分、実際のオペレーションはそういう形だと思うんですけれども、計算上は、投資割合を一定と置いてずっとやってしまいますので、その意味では、金利情勢に応じて投資の構成を変えるということはやっていません。ですから、一定の割合ですから、ある程度の金利のショックは多分大したことないんでしょうけれども、すごく金利ショック与えますと、負債の方の構造も変わってくるとかそういうのがあると思うんですけれども、ですからストレステストだとお答えできないというのはそういう意味なんですけれども、そういうふうな負債の構造まで変わるようなものは全然見込んでいませんし、さらに金利ショックに応じて投資の構造を変えるという前提も置いていません。

○宇田プリンシパル この試算結果をどう見るかということですけれども、まず一つは、4つの事業そのもののいわゆる本質的な構造、これはかなりクリアになっているのではないかと思います。それはどういうことかというと、最後の試算結果を見れば明らかなんだけれども、要は外から入ってくるものが、金利環境とそれからアセットで決まってくる。アセットはボリュームが減っていくから収入もどんどん減ってくる。
 一方、コストというのは、人がそんな割合で減るわけではない。自然減に基づいているので、人件費の割合の大きい事業では、コストは少しずつ減っていきますと、こういう関係ですよね。全体として、いろんな優遇措置を取り去ってみて、何とかプラスが出ています。ではこれは10年間大丈夫なんでしょうかと、これが試算ですよね。入り口の方は150兆、140兆まで減っていく。ボリュームが一番きいてきますと、こういうことなんですね。当然ですよね。割り振り方というのはありますけれども、ここで一つの考え方で割り振ってみたところ、4つの事業というのは、正解かどうかわからないけれども、プラスにすることができる、少なくとも、あり得るということがわかる。
 今議論した中ではそんなに委託手数料をむちゃくちゃ無理しているかとか、人員配置をすごく無理しているかというと、そうでもない。一方将来的に、じり貧になるのは当たり前でありまして、アセット減って人は減らないという、こういう構造ですから、当たり前です。それであっても10年間、少なくとも成り立つことができると、こういうことが一つの見方としてできる。
 これは、もう一回確認ですけれども、公社との協同でやっているという、こういう理解です。これは山下さんにもぜひ御確認をいただきたいんだけれども、そういうことでよろしいでしょうか。

○山下理事 前回申し上げましたが、この試算は、公社が準備室のご依頼に基づいてデータの提供と具体的な計算作業をお手伝いさせていただいたものです。ですから、試算のポイントとなる前提自体は準備室がお決めになったものですし、最終的な試算の結果も準備室の責任で取りまとめが行われたものということです。その意味で、私どもは、いわば下請けとしてこの作業に部分的に参加させていただいた、という位置づけです。この試算の結果の理解については、私どもとしては、例えば資産の分け方にしても、現金を4分の1に割るとか、かなり極端な前提を置いた極めて機械的な形になっていると思います。前提の置き方については、我々は違う考え方を持っていますが、その計算作業自体は私どもも一緒にやりました。ただ前提の置き方は、準備室がお決めになったということです。

○宇田プリンシパル 1点だけ私がここで確認をしたいのは、入ってきたそれぞれの事業からの収入が、窓口の中でぐしゃぐしゃに配分されていないだろうかということです。
 例えばですが郵便の収入が窓口の中で非常に多かったときに、窓口の人はほとんど郵便の収入でやっていますと。そういうときに、そこで金融商品がすごい低コストで売られたら、イコールフッティング上の問題になる。これは今は難しいですけれども、管理会計上、説明できることが必要なんですね。
 4つの事業で、もしそれがクリアできるんだったら、各々が自立していることになる。大事なのは、本日の議論で窓口は委託手数料を恣意的にもらうわけではなくて、一定のルールでもらった中で自立しうるということが見えるということです。
 そうすると、窓口はコストセンターにすべきとか、いろんな議論がありましたけれども、自立できるではないかということになる。前提はいろいろあるというのは確かにそうなんですが、これ非常にシンプルな構造だと思うんですね。入りが決まっていて、入りはアセットと、先ほど言いました金利で決まってきていて、コストは決まっています。あとはどう割り振るか、割り振り方というのは委託手数料です。そうすると、今日の議論では少なくともそれぞれは自立の可能性がある。窓口も自立可能性があるということがこの試算からの意味合いではないかなと理解しました。何か御意見とか、御反論とかあれば、おっしゃっていただいてもちろん結構なんです。どなたかもし御意見あれば言ってください。

○山下理事 基本的に、トータルで黒字であるものを4つに分けるのであれば、分け方によっては当然それぞれが黒字になりますので、それだけで自立できるとは必ずしも言えない、という気がします。今回の試算の結果を見ましても、例えば貯金会社、保険会社から窓口会社へ支払う窓口委託料が予想外に大変大きくなっています。15年度決算における郵貯、簡保の経費は合計で1兆6,000億円です。この骨格経営試算における民営化初年度の経費は、窓口委託料が1兆5,000億円に上っているために、それより多くなり、1兆9,000億円に膨らんでいます。去年よりも2007年度の方が3,000から4,000億円も膨らんでいるということで、これは要するに窓口委託手数料を高く設定していることを意味しているのではないかと思います。そうすると、こうした試算結果は、手数料設定の仕方いかんでは、郵便や簡保から窓口会社の内部補助が行われているといった批判を受けかねないような形になっているのではないかという気がします。
それから、貯金会社、保険会社が支払う窓口委託料は、民営化10年後で約1兆1,000億円という多額に上っています。窓口会社のコストが1兆5,000億円ですから、75%近くが引き続き貯金、保険が担うということになります。したがいまして、10年後に郵貯、簡保が完全民有民営ということになったら、この75%の負担を一体だれが負担するのか、ということになります。ですから、窓口ネットワーク会社の経営はこの試算で成り立つということが本当に言えるのかどうかについては、ややクエスチョンだと思います。

○宇田プリンシパル 1つめのポイントですが、私もシミュレーションの中身は知りませんので、先ほど言った窓口の中でのクロスサブの状況というのは、一応気になるところなので、それは今後是非議論しておいた方がいいでしょう。
 もう一つのポイントは、窓口事業はこれはじり貧なんだけれども、経営というのは当然のことながら、新規事業とか、あるいは収益改善努力をする。じり貧になっていって、じり貧ですと言って経営しているのは官ぐらいです。民は、じり貧が見えたら当然のことながら努力をします。ただし、やり過ぎると当然イコールフッティングということになってくる。本日の試算で3年ぐらいの間しっかり準備をして、いろんなこと明らかにしていける。3年、4年ぐらい透明性を確保するために準備をしたり、いろんな仕込みをしておいて、4、5年目ぐらいから花開くビジネスを仕込んでいくことはできそうだと、こういうことなんですね。
 だから、2016年のあとどうなるんだろうかということをおっしゃるけれども、他の会社が窓口というものを切り離して、一切何も頼みませんというふうにならないように、窓口会社は最大限努力をするはずなんですね。当然使ってもらえるようにという努力を最大限します。
 それまでに非常にサービスが悪いとか、いろんなことがあると窓口会社使わないよということが出てくるかもしれないけれども、当然のことながら、そうならないように努力する。そういうのを民間の経営努力ということだろうと思うんですね。どうすれば、このような努力が生まれてくる側に動かせるのかというのが大事な議論だと思います。そういう民の知恵が、この中でどうしたら働かされるかと、こういうことが大事ではないかと思います。
 2016年以降、金融が民有化されていなくなりました、窓口はそのまま座して死を待つのか、あり得ないですよね。当然のことながら、使ってもらえるようにという努力をし、また新たな収入を得ていく努力をする。最初申し上げましたけれども、3、4年ぐらいがいろんなことができる期間というか、準備期間になる。その間でイコールフッティング上の問題も一定量クリアしながら、2016年を見据えていくことができる、こういう見方ではないかと思うんですよね。いかがでしょうか。
 窓口へのクロスサブの点は、またさらに議論を進めればいいけれども、それ以外の点に関してみれば、むしろ知恵を働かせれば、いかようにもなると。むしろ各事業をうまく離陸させるように設計をしていくために使うということのような感じがします。

○伊藤教授 すみません、おくれてきまして。多少、今、内部補助の話が出たので、ちょっと学者的な話をさせていただきたいんですけれども、マージナルコストを割った形のクロス・サブサリゼーションというのは、資源配分に非常に大きなゆがみがあるんですけれども、先ほども出ましたように、スタートの時点で黒字があるということは、過去のいわゆる公社、あるいはそれ以前の時代のいわゆるヒル・アセットがあって、それがこれを生み出していて、いわゆる超過利潤の部分というんですか、レントの部分をどこがとるかと、もうちょっと具体的に言うと、12ページでいうと、窓口P/L会社がどういう手数料を郵便事業とか、あるいは貯金事業から受け取るというのは、これが僕はかなり実は恣意的に判断できる部分であると思うんですよ。だから、すべて内部補助がいけないとか悪いとかいう話ではなくて、資源配分にゆがみをもたらすとか、あるいはいわゆる非常に大きなゆがみをもたらすという意味でのクロス・サブサリゼーションの問題あると思いますけれども、ある種の全体の仕組みの中で今出でいる利益のうちの、それをどういうふうに配分するかと、まさに非常に重要な、高度な政策的判断だと思いますから、もちろん2016年以降はそれがいわゆる市場機能にゆだねられるわけですから、そこから先の話はもちろんあると思うんですけれども、この12ページの結果がいいかどうかということは、これはいろいろな判断があると思うんですけれども、一つの妥当な見方なのかなと。
 だから、後でまた必要があればぜひ内部補助の中で、本来あるべきではない内部補助と、それは多少許容すべき内部補助というのは、どこかでやっぱり一回議論をしなければいけないのかなというような印象を持ちました。

○吉野教授 今の委託手数料の分け方ですけれども、もしこの分け方がうまくきちんと実態を反映していないとすれば、それは人の配分がよくないということにつながると思うですね。ですから、本当は貯金でやっているのに、郵便の方で、人に配分されていると。そうすればそちらの方の収益になるわけですから、委託手数料と人の配分というのはうまくマッチングさせていただく必要があるのではないかと思います。

○奥山相談役 ホールディングカンパニーが出ていないので、ちょっと謁見的で言うのは恐縮なんですけれども、恐らく、このままの姿でいった場合に、今お話が出ましたように、先5年ぐらいたってから、先5年ぐらい見たときに、どういう状況になるのだろうかという不安感が出てくるだろうと。
 逆を言えば、やはり民有民営は、10年ということではなくて、やはりイコールフッティングになるためにも早くして、新商品なり、あるいは新ビジネスを拡大できるような状況にもっていくということの方が大事なのではないかと。それによって収益拡大を図り、またコスト削減を図ると。ただその中には、雇用の問題とか、あるいは郵便局数の減少の問題というのは、約束の部分がありますから、それは最低限その約束を維持しながらどの程度合理化できるかということも含めてやっぱり考えるべきなのではないか、ただこれは政策に入ってしまうかもしれないので、ちょっとこれ以上は申し上げられないんですけれども、10年たって民有、民営ではないなと。もうちょっと早くした方がいいのではないかという感じは持ちます。

○翁主席研究員 17ぺージの感応度分析のところに、ボリュームが減れば収益がこれだけのオーダーで減るという御説明があったわけなんですけれども、先ほどのお話を聞いても、リスクとビジネスということを考えた場合には、当初の郵貯ほどの姿というのは、体力目いっぱいのリスク量をしょって、スタートするんだということを念頭に置いて考える必要があると思います。
 そういう意味では、巨額のリスクをしょいながらビジネススタートするわけですから、リスク量を徐々に削減する一方で、将来のリスクテイクに見合うような形で資本を増強できる完全民営化に早く持っていく姿を考えなければいけない。同時にそれは窓口ネットワーク会社に関して、郵貯系の収益にできるだけ依存しない品揃えをもった経営への移行、ということを早く考えていくということが非常に重要だということを示唆しているように思われます。
 それから、郵便に関しては、当面退職給付引当金の関係で、人員の割り振りも変わって、こういった形で当期利益が出る姿になっていますけれども、やはりこの期間、なるべく競争力を強化して、それは効率化ということと同時に、新しい分野に力を入れていくということだと思うんですけれども、それで自立をして、じり貧をとにかく変えていくということが重要なんではないかという感じがいたしました。
 で、奥山さんからも今、早期民営化ということがありましたけれども、これはもう経営の話ですけれども、どういうエグジット戦略を描いていくのか、上場していくのか。例えば、早い段階でいろんなところがスポンサーとして、こんな新しい資本提供をしてこんなことをしてみたいというようなところが出てきたらどうするのか、完全民営化へのプロセスでそういった経営の話になっていくと、いろんな可能性が出てくるような気もしております。そこの辺はまだ余り議論が行われていませんけれども、どういうエグジット戦略を描くかということも、非常に経営戦略と密接な議論をしなければわからない話だなというふうに思います。

○奥山相談役 さっき、数字を確認するのを一つ忘れたんですけれども、新規採用4,000人とおっしゃっていましたよね。そのコスト、幾らかわかりますか。幾らで見ているか。

○高橋参事官 これは、給与は同じというふうに置いておりまして、コストといいますか、平均の給与は年金とかそういうのが徐々にちょっと増えていきますので、そういう意味での保険料とか、そういう意味でのコストは置いておりますけれども、給与そのものは一応同じという形で計算をして、それで人件費1.1%減を達成するためにはどのぐらい人員が減らなければいけないかという逆算して、そこで新規採用というのを計算して、大体4,000人ぐらいではないかなというふうに思っております。

○奥山相談役 金額的には、今出ませんか。

○高橋参事官 すみません、ちょっと。

○奥山相談役 はい、わかりました。結構です。

○吉野教授 よく、昔はこういう3つの事業、一緒にやっていることの範囲の経済性といいますか、エコノミー・オブ・スコープがあることがやっぱりコストを削減しているんだということがあるわけですね。そうするとその部分のエコノミー・オブ・スコープの部分は、窓口会社に入っていると考えていいのか、それともやっぱりそれぞれに分配されていると考えていいのか、もし今日でなくて結構なんですけれども、ですからやっぱり規模の経済性と範囲の経済性というのは、やはり窓口会社のところで3つを一緒にこれからもやるわけですから、あると思うんですよね。その部分のベネフィットというのはあるような気がいたします。

○高橋参事官 すみません、ちょっと範囲の経済性までやっていなくて、多分、おっしゃっているとおり、窓口ではちょっと残るかなとは思います。規模の経済性というのは、最近の実証研究ですと、意外に余りなくてというんで、郵便なんかでもよく規模の経済性という話が出ますけれども、OECDなんかのレポートですと、郵便のうちのごく一部のものだけとか、それもさらに最近の研究ですと、余り技術革新とか、あと郵送手段の話、それとあと集中的な住宅なんかがあるというので、規模の経済性というのも最近の研究のものが弱くなっている、OECDがそんなレポートを出していました。

○宇田プリンシパル 今回の試算によって、一つは事業の構造そのもの、骨格が見えるというのが一つ。
 もう一つは、どこをいじればどういうふうに収益が変わるのかというのが見えてくる。そういう意味では、合わせておくとわからないこと、できないことが、こうやって分けてみると議論できるようになる。例えば生産性を向上させるための手段とか、そういうようなものがかなり見えてくる。そういう議論ができるというのは私は非常に大きな一歩ではないかと思います。
 今の規模の経済とか、範囲の経済ということに関して、現場の方から見て補足しておきますと、金融においては、今規模の経済という議論というのは、なくなってきている。むしろ大きすぎることで非効率になり、コストがかかってくるということで、いかに分けて運営をしていくのかというところに、議論はシフトしてきている。
 例えば郵便について、集配と窓口を今回分けた形で、生産性をどうやって向上したらいいのかということを考えてみる。そうすると、ネットワークを最適化しようと思ったときに、今の郵便局を前提としなくて、郵便事業が例えば配送所みたいなものを最適な場所につくれるようになるとすると、それによって郵便のネットワークのコストというのは下がるかもしれない。当然経営者としては下げるために、そういう検討をはじめる。今まではそういうところは、郵便と窓口は一体だという中で手がつかなかったんだけれども、郵便事業と窓口事業というふうに分けてみると、そういう経営の自助努力の余地が生まれてくる。
 一方、窓口事業は、スコープと言えるか、一人が何品種売るのかとか、どのぐらいセールスができるかということによって生産性が決まってくる。いかにクロスセル、即ち重ね売りですけれども、重ね売りをさせるかということがここでの勝負になってくる。郵便事業はネットワークを効率化させることによって生産性を上げる。窓口事業はクロスセルをできるような販売力をつけるということで生産性を上げていく。
 今言ったようなことが、多分、分けた場合の効率性ということになる。つまり、4つに分けると、考え方も自由な発想が可能になり一人当たりの生産性が向上する余地が出てくるということではないかと思います。そういう議論ができるようになるというのは非常に大事なことであって、この試算は、その第一歩ではないかと思っています。

○中城審議官 ほかに御意見ございませんでしょうか。それでは、まだ時間、少し早いですけれども、本日の議事はここまでにさせていただきたいと思います。
 今までと同様、言い足りなかった御意見等ございましたら、引き続き遠慮なくお申しつけいただきたいと思います。それから、出ました宿題については、早急に準備したいと思います。
 それでは、竹中大臣、一言お願いします。

○竹中大臣 今日も大変よい御議論をいただきまして、本当にありがとうございます。今回の骨格経営試算と、あえてシミュレーションとか、経営シミュレーションとか言わないで、骨格試算と名づけた意味は、前回もお話ししたとおりであります。これから政策判断をしていかなければいけない。さらには、経営判断をしていっていただかなければいけない、その枠組みの部分を骨格をまず明確にしておきたいという趣旨でありますので、この条件等々についていろいろ御精査をいただきましたこと、本当にありがとうございます。
 途中で宇田さんがおっしゃったように、この4事業の本質的な構造が、ある意味では非常にクリアになるというようなこと、つまり外部要因としては金利とアセットの残高であって、一方コストは漸減、人件費等々、そういう中でしかし4つをプラスを続けることはできるのではないだろうかと。そういう中で、今回の枠組みに沿って、どのような政策をするか、どのような経営をするかという一つの基礎にするということに尽きるのだろうと思っています。
 それと、4事業の自立についてはいろいろな議論があると思いますけれども、これも最終的には経営のところで判断をしっかりしていただかなければいけないのですが、骨格で見る限り、とても無理だと、そういうことではないと。少なくとも、そういう努力次第では、そういうことは可能なんであって、その方向でやはりしっかりと政策と経営のあり方を議論していこうではないかというのが一つの業因なのかなと思っております。
 途中で山下さんもおっしゃったように、ここは公社の協力を得て、準備室の責任において行った試算であるということだと思っております。本題はこういうのを今後どのように展開していくかというところが戦略的には多分一番重要で、やはり政策の判断に入っていかなければいけないんだと思います。
 今日は、骨格試算という、それの象徴は現預金を4分の1ずつ割り振っていると。まさに骨格で判断をしないで、等分というのも一つの判断ではあるんですけれども、そういうところに象徴されておりますけれども、そこをしっかりと判断をして、現実をつくっていく、そのプロセスに少しずつ、ステップバイステップで入っていきたいと思います。
 経営の判断の話になりますと、やはり経営委員会が大変大事だと思いますので、それをどういうタイミングでスタートしていただくかということもしっかりと判断をしていかなければいけないと思います。
 ここでの意見に対して、生田総裁からも御意見をいただいております。これを、いろんな立場でいろんな御意見あろうかと思いますけれども、すべての意見やはり前向きにとらえてしっかりと議論していきたいと思っておりますので、今お手元に、多分今日配付しているのだと思いますが、お目通しをいただいて、また当然皆さんのそれに対する御意見はあろうかと思っております。生田さんのその御意見の中でも経営委員会は早くというような御意見は同時にありますので、そこはしっかりとやっていくということなのかなと思っております。

○中城審議官 ありがとうございました。
 なお、本日の会議後の記者ブリーフィングにつきましては、竹中大臣から行っていただきます。
 最後に、次回の会合の日程について、事務局から連絡があります。

○利根川参事官 次回でございますけれども、明後日19日の10時から12時ということで予定させていただいております。内容的には、各事業会社の法的な位置づけ、窓口ネットワーク会社の受委託関係、それから第3種、第4種の郵便物の提供範囲について御議論いただきたいというふうに考えております。場所は、この建物の4階にございます共用第2特別会議室になりますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。

○中城審議官 本日の会合は以上でございます。
 どうもありがとうございました。