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郵政民営化に関する有識者会議第19回会合 議事要旨

日時
平成16年11月19日(金)
10:01~11:56
場所
中央合同庁舎第四号館(4階)
共用第二特別会議室

○中城審議官 それでは、定刻になりましたので、これより郵政民営化に関する有識者会議の第19回の会合を開催いたします。
 大臣は所要で若干遅れると聞いております。
 それでは早速議題に移らせていただきますが、これまでと同様に資料につきましてはポイントをかいつまんだ形でさせていただきたいと考えております。
 それでは事務局から、お手元の資料「主要検討項目(その2-3)」というところにつきまして、各事業会社の法的な位置付け、それから窓口ネットワーク会社の受委託関係、第三種、第四種郵便物の提供範囲の3点につきまして、お手元の資料に沿って御説明させていただきまして、その後御議論いただきたいと存じます。
 それではまず最初に、各事業の法的位置付けについて御説明させていただきます。
 2枚めくっていただきまして1ページ目でございますけれども、これは基本方針でございまして、各会社の法的な位置付けということについてでございますけれども、機能ごとに4会社を設立すること、それで持株会社を設立すること。それから移行期における組織形態としまして、2007年4月に4会社と国が全額株式を保有する純粋持株会社を設立するということ。それから窓口ネットワーク会社、郵便事業会社については持株会社が全額保有するけれども、郵便貯金会社、郵便保険会社については、移行期間中に株式を売却して民有民営を実現するということ。それから持株会社の株式の売却を国が開始するけれども、3分の1超の株式は保有するということでございます。
 これに関しまして次のページでございますけれども、前の有識者会議における関連する議論という形でまとめさせていただいておりますが、持株会社は特殊会社でもいいのではないかという議論。
 持株会社についてはまず一般の商法上の株式会社を原則に考えて、それができない場合は特殊会社とするのがいいのではないか。持株会社を特殊会社とする理由は不明確である。
 国の株式保有規定があると特殊会社でなければならない根拠が不明確だということ。
 それから特殊会社の場合には、国が必要に応じて貸付金または補助金による財政的な支援を行うということができるわけで、これに対する一定の歯どめが必要ではないか。
 早い段階からビジネスの自立性を高め、イコールフッティングを確保するために、また一貫性の原則に則り、商法上の株式会社を原則とすべきではないか。
 特殊会社とする場合には、その理由を明らかにするべきではないか。
 それから窓口会社、郵便事業会社、郵便貯金会社、郵便保険会社、すべて商法上の株式会社とすべき。基本的に民営化の主旨にできるだけ沿った方針とすべきということ。
 それから、早い段階からビジネスの自立性を高め、また一貫性の原則に則り、商法上の株式会社を原則とすべきではないか。
 ネットワーク会社、郵便事業会社、郵便貯金会社、郵便保険会社すべて商法上の株式会社とすべきで、基本的に民営化の主旨にできるだけ沿った方向とすべき。
 このような御意見があったと思いますけれども、これにつきましては次のページでございますが、株式会社の法制につきましては、法制局などとも議論を今進めている途中でございますけれども、少し私どもで整理した考え方を書いてございます。
 まず考え方の1でございますが、郵政民営化に伴って設立される持株会社、ネットワーク会社、郵便事業会社、郵便貯金会社、それから郵便保険会社の各会社の法的形態は、いずれも商法に基づく株式会社である。商法上の会社ということは変わらないということでありますけれども、上記の各会社に対しまして、設立、存続、監督等に関し、政府がどのような関与を行うべきかという観点から、各会社に対する規制のあり方というのは決まってくるということでありまして、特殊会社か一般商法会社かというような対立概念として二者択一という形で行うべきものではないということであります。
 それで、各会社に対する規制等のあり方を考えるために、典型的な特殊会社についての規制のあり方を以下に整理したということであります。
 特殊会社の特性というのは、特殊会社とは、特殊法人のうち、商法上の株式会社であるものをいうということで、商法上の株式会社というベースは同じということであります。その共通概念の特殊法人とは、法律により設立される法人または特別の法律により特別の設立行為をもって設立すべきものとされる法人ということでございます。この場合、特別の設立行為とは、政府が命ずる設立委員が行う設立に関する行為をいうとされている。特殊会社法においては、一定の政策目的を実施す驍スめに、会社の設立、存続、解散、合併、分割といった組織変更に関する規制が規定されている。それ以外の業務に関する規制については、会社の存続を担保するため必要な範囲で措置されている。特殊会社である場合、特殊会社でない場合にかかわらず、事業を行うに当たって一定の公共的観点からの規律が必要とされれば、各種の事業法、例えば電気事業法といったようなものにおいて必要な規律を課すことになる。事業法は、当該事業を実施する限りにおいて一定の規制に服するよう法的に担保するものであり、事業に参入するか否かは事業者の任意ということであります。
 そこに図が書いてありますけれども、特殊会社というのは、その左の四角にありますように、国の政策により必ず設立される必要があるもの。それで会社の存続ということで、この間の規制については、会社の存続を担保するために必要最小限のものにすることができるということであります。特殊会社としては、右の端の四角でありますが、任意の解散等がなされないよう国の関与が必要ということでございまして、設立とそれから任意の解散がされないような国の関与が必要なものについてそういう規定があるものが特殊会社ということであります。
 事業範囲につきましては、本来、一定の政策目的実現のため国が設立する法人であるので、本来事業に支障が生じないようにするため、事業の範囲を制限する例が多いが、他方で、本来事業への支障可能性を別途の手段、例えば事業計画の認可等により担保すれば、事業範囲自体には制限を設けないということも可能であるということ。
 それから、監督規制につきましては、当該会社に事業を適確に行わせ続けることを担保するため、定款の変更、毎年度の事業計画、代表取締役の選定・解職の決議、合併・分割・解散の決議、新株発行、重要財産の処分、利益処分・損失の処理等について認可制をとるものが多いけれども、その監督規制の内容は会社によりさまざまである。なお、特殊会社も事業法等があれば、それに服する株式会社であることは、一般商法会社と同様ということであります。
 過去の民営化の事例といたしまして、国営企業や企業的性格の強い特殊法人が民営化される場合は、最近の例ではすべて一たん特殊会社とされており、その後一部については完全民営化ということがとられているということであります。JR東日本の場合は、特殊法人である国鉄が特殊会社であるJR東日本を設立して、その後、平成13年に特殊会社法から外れて、JR東日本というのは商法上の会社ということになったわけですが、平成14年に株式をすべて売却するという形で完全民営化が達成されているということであります。
 持株会社、窓口ネットワーク会社、郵便事業会社、郵便貯金会社、郵便保険会社、こうした各会社に対する規制等のあり方については、基本方針を踏まえて、政府がどのような関与を行うべきかという観点から、それから法制上の検討を行って、それぞれ最もふさわしい法制上の措置を考えていくというのが基本的方針だということであります。
 次のページに特殊会社の規制の強弱ということでありますけれども、規制が強い場合と弱い場合というのがありまして、認可をする場合、認可を必要としない場合とありますけれども、これまでの例では参入と退出のところが、参入のところは強制設立である、退出が認可、合併、分割のところが認可ということでありますけれども、事業計画とか社債とか長期借入れとか利益処分とか、重要財産の譲渡、それから役員規制といったようなものについては、規制の強い場合は認可にしていますけれども、それは認可にしない場合もあるということでございます。
 その次のページはJRの例でございますけれども、2列目のところを見ていただきたいと思いますが、国鉄から62年4月にJR東日本、JR東海、JR西日本というふうなものができておりますけれども、その3つにつきましては、平成13年の12月に特殊会社法から削除されたということであります。そしてJRの東日本は14年6月、JR西日本は16年3月に株式を全部売却する形で完全民営化が達成されたということでございます。
 その次のページはNTTの例でございますけれども、NTTは、これは持株会社をとった例ということで出しておりますけれども、日本電電公社が60年4月にNTTの特殊会社になりまして、下の方の矢印にありますように、NTTデータとかドコモといったような形で子会社をつくっていったということと、平成11年7月に政府が46%保有するようなNTTの持株会社をつくりまして、100%の株式を持つNTT東・西という特殊会社と、それからNTT長距離という100%の保有の、これは普通の一般商法会社ですが、こういう形をとったという例があるということでございます。
 株式会社の形態につきましての御説明は以上でございまして、引き続きまして、窓口ネッgワーク会社の受委託関係について御説明させていただきます。

○細見審議官 それでは、引き続きまして、受委託関係について御説明をいたします。9ページでございます。
 最初に、郵政民営化の基本方針の関連部分が書いてございますが、これは窓口ネットワーク会社につきまして、適切な受託料の設定及び新規サービスの提供により、地域の発展に貢献しつつ、収益の確保を図る。そのため、郵便、郵便貯金、郵便保険の各事業会社から窓口業務を受託するということでございます。
 他方、各事業会社につきましては、それぞれの事業会社につき、窓口業務は窓口ネットワーク会社に委託という文章が入っているということでございます。
 これに基づきまして前回御議論いただいたわけでございますが、その有識者会議に関連する議論につきましては下段に書いてあるとおりでございます。
 受委託については、当初は法律にしっかり書かないと利用者において不安があるかもしれないが、移行期は持株会社があり、実態として業務を確保できると思われるので、原則当事者間の自由でよいというような意見、その他基本的には原則当事者間の自由ということができるだけ望ましいのではないかという意見が多く出たところでございます。
 これを踏まえまして、今回は論点整理みたいな格好にさせていただきまして、最終的な考え方というものはまだ疑問形にさせていただいております。
 考え方のページ、10ページでございますが、各事業会社と窓口ネットワーク会社の受委託関係については、1.基本方針において各事業会社は窓口業務を窓口ネットワーク会社に委託するとともに、窓口ネットワーク会社は各事業会社から窓口業務を受託し、適切な受託料を得ることとされている。
 2番目に、郵便局の利用者の利便を民営化後も確保(利便性の原則)し、円滑な移行を確保する観点からは、郵便局において引き続き郵便・郵便貯金・郵便保険のサービスが提供されることが重要であること。
 3番目としまして、また、現実的にも、当面、窓口ネットワーク会社の収入のほとんどは各事業会社からの受託収入であり、窓口ネットワーク会社における受託事務の安定的実施を経営的に担保する必要がある。
 といった要素を考慮する必要がある一方で、他方、郵便貯金会社、郵便保険会社とも、民有民営の方向が明確であり、経営の自由を確保する必要があること。また、両者とも営業網として郵便局ネットワーク以外の代替手段が当面考えにくく、制度的に規律しなくても一定の受委託はなされるのではないかと考えられるということ。
 それから、受託料等の条件については当事者間の利害が対立することも考えられるが、民営化当初は郵便貯金会社・郵便保険会社とも持株会社の子会社であり、持株会社による調整も期待できるといったことを考慮した制度設計が必要と考えられる。
 これは前回いろいろといただいた議論を両論から整理をさせていただいたということでございます。
 このようなことを踏まえまして、郵便事業会社、郵便貯金会社、郵便保険会社との受委託関係をどう考えるか、また、民営化を円滑に進める観点から移行期のあり方をどう考えるかということで御議論をいただければというふうにまとめてございます。
 次のページ以降は前回の議論のまとめを示したものでございまして、これはもう既にごらんいただいているとおりのものでございます。
 私の方からは以上でございます。

○中城審議官 それでは、続きまして、第三種、第四種郵便物の提供範囲につきまして御説明させていただきます。

○伊東審議官 それでは、15ページになりますが、第三種、第四種郵便物の提供範囲について御説明をさせていただきます。
 15ページは、上の方が基本方針の抜粋でございます。その下が前回、10月27日に御議論いただきましたものを掲げてございます。
 一番上の丸でございますが、政策目的の妥当性、代替手段の有無を考慮して検討すべき。それから4つ目の丸ですが、基本は自由にして経営の判断に委ねるべき。しかしながら、盲人用など個別のものについてその必要性を議論すべき。
 こういった御意見をいただきましたので、私どもの方から関係省庁などに意見を伺っているところでございます。そのほか10月27日以前あるいはそれ以降につきましても、いろんな関係団体から意見が寄せられております。本日はそれを御紹介するとともに、ここにも掲げられております経営の自由度、つまり経営の判断に委ねるという大原則のもとに、新会社になりましても現在行なわれている本当に必要性のあるものが確実に継続して行なわれるかどうかというのをどのように担保するかというような問題につきましても御議論賜れればなと思っております。
 それで、1枚おめくりいただきまして16ページでございますが、以下それぞれの種類ごとに制度の意義あるいは代替手段の有無、あるいは関係省庁の意見というのを掲げてございます。
 一番最初に(1)で第三種郵便物でございますが、簡単に制度の意義を書いてございますが、詳細な経緯につきましては、もうご覧になっていただいているかとは思いますが、26ページに表のような形、流れ図のような形で改正経緯を書いてございます。説明は省略をさせていただきますが、それを簡単にまとめたのが16ページの第三種郵便物につきましてはアでございます。
 それから、イにつきましては、代替手段の有無、一部民間メール便を利用しているところがあるとか書いてございますが、第三種郵便物につきましては、ここといった関係省庁というものがございませんので、関係団体に意見を聞いております。あるいは関係団体から意見が寄せられております。29ページ、30ページにそれをまとめてございます。
 29ページをちょっと開けていただきたいと思いますが、一番上の方に新聞関係団体、さらにその下には専門新聞関係団体、新聞関係団体は一昨年にも要望がございまして、今回改めましてこちらから伺って、そういう要望について承ってきておるところでございます。専門新聞関係団体は11月16日、最近ですが、そこに書かれているような、必要だというようなことでの意見をいただいております。
 一番上の丸の最後の2行目で、公職選挙法の関係は前にもちょっと御紹介申し上げましたけれども、そういう点からも非常に第三種というのが重要だというようなことを今回改めて伺ってきているところでございます。
 そのほか、第三種に限らず、視力障害者関係団体とか、幾つかの団体が10月27日以前あるいはそれ以降、次の30ページにわたっていろいろ紹介させていただいておりますが、要望が寄せられているところでございます。
 それで、もう一回16ページにお戻りいただきまして、16ページの下の方に(2)第四種というのがございますが、アが通信教育でございます。これも制度の意義というのを17ページに書いてございます。そうはいいましても、代替手段というのがある程度出てきているのではないかということが(イ)に書いてございまして、文部科学省が関係省庁になりますので、(ウ)で文部科学省の意見をそこに記述してございます。特に下から3行目にございますが、生涯学習の振興に果たす役割は極めて大きいというような意見を文部科学省からはちょうだいしているところでございます。
 それから、下のところは点字・盲人用録音物でございますが、これにつきましてはやはり何らかの制度として残すことの必要性は前回もいただいておるところでございますが、18ページに(イ)で、そうはいいましても、いろいろ音声読み上げソフトの利用とか、多少なりとも代替手段が出てきているのではないかということも事実としてございますので、(イ)に掲げてございます。(ウ)は厚生労働省の意見でございますが、非常に視覚障害者は高齢者が多い、※印の2つ目のところにありますが、視覚障害者総数30万1,000人のうち、60歳以上の者は73.4%という数字を掲げてございますが、そういう点とか、あるいはインターネット、電子メールを用いている人は非常にまだ少ないというのが※印の1のところで書いてございます。
 それから、ウの植物種子等でございますが、制度の意義は次のページにわたって書いてございますが、いろいろな配達手段というものは多様化しているということで、代替手段があるのではないかというのを(ウ)に掲げてございまして、(ウ)が関係省庁、農林水産省でございますが、場合によっては制度の廃止もやむを得ないという御意見をいただいているところでございます。
 それから、最後、エが学術刊行物ですが、昭和41年に設けられたわけですけれども、これも前回も御意見ございまして、インターネットも含めていろんな代替手段があるのではないかということを(イ)に書いてございます。20ページ、(ウ)で文部科学省の意見をそこに書いてございますが、インターネットは普及しているけれどもということで、4行目から5行目にそういう記述がございまして、学術刊行物の大勢は依然として冊子媒体による提供を行っておりということで、まだ必要だというのが文部科学省の御意見でございます。
 それで、冒頭にもちょっと申し上げましたように、いろいろな御意見を踏まえまして、法律で義務付ける範囲をどのように判断するのか、真ん中よりちょっと下にあります丸でございますが、その場合にどういう形で義務づけるのか、あるいはその料金というのをどういうふうにするのか。今盲人用は無料ですが、それ以外は同じ重量の一種・二種よりは安い形で料金が設定されているわけですが、そういったものをどうするのか。あるいはその時代に応じて追加・廃止というものをどのように考えていくのか。
 それを御議論いただく際に、現在の枠組みはどうなっているかというのは一度御紹介をしておりますが、24ページ、25ページに現在の三種・四種の規定ぶりをちょっと掲げてございます。
 24ページをちょっとお開きいただきたいと思いますが、一番上の23条というのが第三種郵便物でございます。法律上は第三種郵便物、定期刊行物ということでしか書いてございません。要件として毎年1回以上とか、総務省令では年4回というのが書いてあるわけですが、新聞とかそういう細かいのはすべて今約款になっております。
 それから、四種につきましては26条ですが、これは法律でその種類といいますか、項目を掲げております。1から5までありますが、1が通信教育で、2、3が盲人関係で、4が植物種子等、5番が学術刊行物、そういう意味では、三種・四種と一口に言いましても、ちょっと法律上の立て方が違っているところでございます。
 いずれにいたしましても、料金につきましては、一番下にございますが、中身は25ページになりますので、次のページをおめくりいただきたいと思いますが、今料金は認可制になってございまして、25ページの、アンダーラインを引いてございますが、5番ですけれども、同一重量の第一種郵便物の料金の額より低いものであること、これが認可条件になっているわけでございます。
 こういう現在の枠組みを踏まえまして、経営の自主性に委ねるという判断のもとに、そうはいいましても必要なものは引き続き実施されることをどう担保するかというような観点からの御議論をいただければなというふうに思っております。
 それから、もう一回本文の方に戻って恐縮ですが、21ページをお開きいただきたいと思います。21ページは、今度は項目が支援措置ということで、ちょっとA案、B案というのを掲げてございます。義務付ける場合に国の支援措置についてどうするか。A案というのは前回のこの有識者会議の場でもお配りさせていただいていると思いますが、生田総裁から出された意見の中にもそれに関連する部分がございますので、参考1で紹介をさせていただいております。それからB案につきましては、収支は黒であるとか、あるいは公社の経営判断で決められることとか、要するに支援措置を講じなくても新会社の経営努力の中で吸収していくことが可能ではないかというのがB案でございます。これも参考2で経済財政諮問会議における財務大臣の発言というのをちょっと引用してございます。
 22ページですが、B案を採用した場合でも、盲人用だけについては何か考える必要があるのではないかというようなのをちょっと掲げてございます。これは前回も御紹介したかと思いますが、33ページに主要国における郵便の政策料金というのが掲げてございます。その一番右側の備考欄に、特に盲人用につきまして何らかの支援措置を行っている国が幾つかございますので、これも参考にしていただければと思います。
 私の方からは以上でございます。

○中城審議官 それでは、ただいま御説明させていただきました論点に関しまして御意見、御質問などをいただきたいと思います。順を追って、会社の法的位置付け、もしそれがなければ次の各事業会社の受委託関係という形で進めたいと思いますが、どうぞ御意見をお願いいたします。

○宇田プリンシパル 最初の質問なんですが、今なぜこの課題を3つ、きょうここで議論するのでしょうか。前回骨格試算をやりました。そこで骨格が見えて、それからエコノミクスというものの考え方が少し見えてきたこの段階で、あえてここの議題を3つ、きょう議論するというところは何なのかということ、それから今後骨格試算に基づいて次に一歩進んだ議論というのはどういうことを考えられているのかをお聞かせ願いたい。

○中城審議官 前々回表の形で一回御説明したと思いますけれども、この前議論されたことを1つ整理していたわけですけれども、第2ラウンドの進め方としまして、主要検討項目として議論が残っている点というところの中で、今日やっているような会社の法的位置付け、それからここの受委託関係、三種、四種の提供範囲というのが議論として残っていたわけでありまして、そういうものをやっていくということであります。
 もちろん、前回のシミュレーションの続きはどうなるのかという議論は当然あるわけでございますけれども、それについても次のステップというのはもちろん準備をしなければいけないわけでありますけれども、当面第1回目は骨格経営試算という形で出しまして、これは今それについていろんなところの各方面の反応とか、そういうものを見なければいけないと思いますし、次の政策シミュレーションにどういう形でやっていくかというのはもちろんこれから議論していただかなければいけないわけですけれども、この主要検討項目の中で議論が尽きてなかったり、あるいはそれに対しまして幾つか反応が出てきたことについても、これは個別のものということナございますけれども、議論していただきたいということであります。
 特に全体像の中で、この位置付けというのを、前回1ラウンドやった後で、全体像というのを位置付けた中でこの個別の問題にさらに戻っていただくという形で、今回はこの3テーマ、次も大体個別の問題についてまず議論を整理させていただくということでやらせていただいているわけであります。

○宇田プリンシパル そうなると、1つ目の議論のポイントは一般会社、株式会社かそれから特殊会社か云々ということよりも、どういう規制がかかるのかというところであって、そこをどうフレームワークで議論するのかということが実は大事ではないかと思います。
 特殊会社の規制の強弱というチャートはあるのだけれども、一体どこの部分に規制をかけて、どういうところは自由にやらせるのかという議論は一体どこでされるのでしょうか。今ここで我々が特殊会社でいいですよみたいなことを言うと、法律論上はすごく進みやすいとは思うのだけれども、議論の本質はどうもそこにはなさそうだなと思います。
 そこの課題の立て方というのが何となく腑に落ちないというか、違和感があるなという感じがしていますが、ほかの方がそうではなければどんどん進めていただければいいと思います。

○奥山相談役 まず最初の会社の法的位置付けということについて、全体としてどのように規制をかけるか、あるいは監督していくか、そういう問題かと思いますけれども、前回のときにも申し上げましたように、基本的にはその事業会社、郵便貯金、郵便事業、郵便保険、ここにおいてはやはり一貫性の原則からかなり自由度が確保されるような仕組みであるべきではないかというふうに思います。
 それで私個人の意見としては、それは窓口ネットワーク会社もそこに入ります。持株会社においては、いわゆる経過的移行期間においては、それなりの政策がきちっと反映されているかどうかということを確保する意味で、少なくとも政府が100%持つ段階においては、やはりそれなりの考え方が盛り込まれることがあってもいいのではないか。したがって、それが特殊会社になるのか、あるいは一般の会社で特殊的な概念を入れるのがいいのか、その辺は法的なテクニックでちょっとわかりませんけれども、基本的にはほかの事業会社とは分けていいのではないかと思います。
 それで、できるだけ監督権というものが事業会社には及ばない、あくまでも親会社である持株会社を通して及ぶということで、かつその持株会社が徐々に株式を売却していって民営度を高めていくという段階で、逆にいえば経営の自由度も高めていくわけですから、そこは個々の会社の規制をかけることはいかがなものかというふうに思います。
 あとでこれは許認可、郵便料金一種、三種の問題にも絡んでくると思うのですけれども、そこにおいても私はやはり自由度を持たせるために一工夫必要ではないかというふうに思っています。料金の問題はまた後で申し上げますけれども、ここのところにおいては私としてはそのように考えた方がいいのではないかという意見を申し上げたいと思います。

○伊藤教授 前の2人の方の議論とダブる部分はあると思うのですけれども、前回のシミュレーションのところの議論でもちょっと出たと思うのですけれども、特に移行期間の間、4つの会社がそれぞれきちっとやっていけて、もちろん移行期間が終わった後、しっかりした民営会社で、どの規模でやるかということはそのときの経済状況とか運営状況とかビジネスの状況によると思うのですけれども、移行することが大事だと思うのですけれども、その際の、前回のシミュレーションでもかなり明らかだったと思いますけれども、いわゆる窓口会社の受け取るいわゆる委託手数料といいますか、この水準というのはやはりかなり大きな問題で、ここのところは次のところとも非常に関係があると思うのですけれども、ある程度の自由度を認めながらも、そこはやはりしっかりやっていかないと難しいだろうと。
 そういう意味では、ここは持株会社の機能というのは今の観点から非常に重要だろうと思います。それで、それを特殊会社にするかどうかということは私ちょっと法律的なことがわかりませんので、先ほどの前のお2人の方と同じように、やはり規制のあり方とか、どういうふうに監督するかという観点から考えて、その上で望ましいものを考えたらいいと思うのですね。
 ここから先はちょっと私、誤解しているかもしれませんけれども、間違っていたら訂正していただきたいのですけれども、ここの持株会社と下の会社との関係というのは非常に重要で、例えばNTTグループの中でいろんな会社がぶら下がっていますけれども、何が起こるかというと、結局利益を上げているところが非常に声が強くなるのですね、また当然だと思うのです。利益を上げられるということは非常にいいことですから、例ヲば1つの例としてドコモみたいなところは非常に結果的に携帯電話が非常に強くなって利益が上がって、上げていることは非常に結構だと思いますし、そのとおりだと思うのですけれども、じゃ持株会社にみんなお金を集めて研究開発をするときに、今までと同じように出してくださいよというとき、声が強くなるのは大体儲かっているところで、だからそれはいい面と悪い面と両方あるのですけれども、この前のシミュレーションなんかからも何となく予想できることは、これから10年間、10年という非常に長い月日でございますから、もちろん儲けていただくことは非常に結構なんですけれども、その結果としてどこかのところに非常にバイアスが結果的に出てきちゃうということも、移行期という観点から非常に難しい。そういう意味で非常に微妙な舵取りをやはりやらなければいけないわけで、それはやはり何かあまりリジッドに規定に書くのは難しいのかなと。問題は持株会社がそこでどこまで機能を発揮できるかということにかかってくると思うのですけれども、これはかなり移行期の期間の中で重要な問題だろうと思いますので、そういう意味で2つ目の問題と1つ目の問題をセットにして詰めていくという必要があるというふうに思います。

○吉野教授 私は前回も申し上げたのですけれども、貯金と保険に関しては最初から株式会社の方が、変な規制とかいろいろな政治的な圧力みたいなのがかかりにくくなると思いますし、それから最初から自立性を高めるという意味では、私は株式会社の方がいいと思います。郵便などはやはりユニバーサルサービスとかいろいろなことがありますので。
 あと、今伊藤先生がおっしゃいましたけれども、ここの中で全然議論されておりませんが、今後各会社で技術開発とかそういうものが必要になってくると思います。もし郵便が本当に海外でやるとすれば、海外の技術に勝るようなすばらしいものを創っていかなくちゃいけないわけですから、その点に関してもここでは恐らく持株会社のところでやるのだと思いますが、考慮を少ししていただければと思います。

○宮脇教授 4事業の会社のところにつきましては、私は基本的に株式会社という形で自由度を上げていくという、そういうことが必要だと思っております。持株会社のところのあり方なんですけれども、2つあると思うのですが、国が株主であるということによってなされるガバナンス、それによってこういう存続とかそういうところをどこまで担保できるのか。つまりそれによって担保できる範囲内であれば、法律的に特殊会社というところに持っていくその理由付けというのが非常に低いと思うのですけれども、そこ以上に何か政策的に担保するべきものがあるということがあるのかどうなのかということと、それからもう1つは、これは制度設計の問題なんですが、逆に特殊会社の方が透明性を確保できるやり方というのが一方ではできる場合があると思うのですね。通常の株式会社形態で非上場のものに比べるとそれができる。ただしこれは制度設計上の問題なので、特殊会社だからそれができるということでは全くないと思うのです。
 したがって、ここのところは、先ほど来ありますように、対立概念ではないと思います。ただ株式会社という以上に、国が株主であるということ以上に担保するべきものというものを明確にした中で特殊会社、そしてそこでの情報の透明化というものを一段と確保するというようなことが必要なんじゃないかというふうには思います。

○翁主席研究員 この間の移行期の絵を見まして、やはり移行期の姿と最終的な民営化の姿とをうまく考えながらこの問題も考えていかなければならないと思います。移行期の間というのはだんだん自立をしていって、政府からの優遇措置とか政府からの補助が小さくなる一方で、徐々に規制が緩和され、自由度が広がり、そして金融については完全な民有民営の姿になっていくということが展望されているわけですから、そういった姿が実現しやすいような、後戻りしにくいような、一貫性の確保できるような、一番やりやすいやり方を考えていくということが重要なのではないかと思っています。
 その意味では、例えば銀行、保険については、旧勘定について保有を分けて、公社承継法人というものと組織も分けておりますし、そちらがいわば国の一部ということでございますから、むしろ新会社の方というのはもう商法上の会社ということでいいのではないかというように思います。
 それから窓口ネットワーク、郵便会社というのも、最終的には極めて自由度の高い会社にしていくということを展望するのであれば、基本的にはまず商法上の会社ということから考えていくということが望ましいのではないかなというような感想を持っております。

○奥山相談役 先ほどの意見に若干補足しますと、具体的に申し上げますと、4ページの(3)で監督規制ということで書いているとこ・ェございますね。特に、毎年度の事業計画、代表取締役の選定・解職の決議、合併・分割・解散の決議、その他云々がありますが、これはまさしく一般に言うホールディングカンパニー、100%株主であれば、こういうことは当然行わせることができるわけですし、ましてやその戦略的な事業計画というのはホールディングカンパニーでできるということは常識的だと思うのですね。
 それで、直接その事業会社自体がこういう監督規制を法律で受けるとすると、やはりそれはかなり自由度がなくなって、将来的にその法律を改正しないといろいろなことができないというふうなことになると、これは大変重い、なかなかうまくいかない、そういう規定になるのではないかということで、ホールディングカンパニーになるべく権限があって、そのホールディングカンパニーが株を放出していくごとにその支配権が弱まっていく、そんなイメージを私は描いているので、先ほど申し上げたわけでございます。補足させていただきます。

○宮脇教授 私もちょっと補足させていただきますと、先ほどの特殊会社の件なんですけれども、ここの御説明にありますように、基本的に根っこというのは商法上の株式会社、商法上の会社なんだというところだと思うのですね。実態上で行くと必ずしもそうならない、法律の制度上で行くとそうであったとしても、その会社のガバナンスの性格から行くと、公的な部分の影響力をより強く受けてしまうという事例というのも、これは見受けられるわけで、本来的に商法上の形態、そこが根っこなんだということをベースにして、それに対して政策的に何かより国の株主というガバナンスよりも強い、そういったものが必要なのかどうかというのを明確にして、先ほど申し上げた情報という問題につなげていくということだと思います。

○宇田プリンシパル まずこの10年間の移行期間というのは、規制をどんどん緩和をしていく方向で議論されていくと思うのですね。一方で経営の自由度というのは、ふやしていく。そのときに何に対して規制をずっとかけておかなければいけないのかということに関しては、これではよくわからない。規制はとにかく外していく方向にあるわけで、何を軸に置いておかなければいけないのか、特殊会社にあえてしておく必要というのがどこにあるのかという理由がわからない。例えば設立だけは担保するのだったらどうしたらいいかという、個別の議論をすればいい。
 あえて規制がかかる方に物事を置いておくという理屈がよくわからない。むしろそれはない側に軸を置いておいて、そこに経過措置の最初だけ、必要なところだけは後ですぐ解除できるように、つまり持株会社のガバナンスでどうにでもなるというふうにしておくというのが原則じゃないかなと思うのですね。
 4事業会社というのを特殊会社にする理由というのは、この資料の中からではよくわからない。持株会社のところはどうなのかということなんですが、これも宮脇先生おっしゃったように、設立とか存続とか、そういうところがどうしても法律的に必要だということであれば、そういう対処の仕方というのはあるとは思います。それ以上に、ここに何か特に強い規制をかけておく必要があるのかというと、それもよくわからないですね。窓口の使用義務とか、それから例えば仲裁機能については、規制が絡まないとできないのかということを考えてみると、そういうことではないのではと思います。持株会社についても、特殊会社にしておく理由を法律的にあるいは法律のプロから示していただかないと、なかなか議論しにくい。
 それがもうテクニカルにそういうことなんであるということであれば、それはここで議論しても仕方がないと思います。

○宮脇教授 今の点、私もそうなんですけれども、唯一特殊会社であることに対する積極的な理由付けをするとすればなんですが、株式会社形態よりも民営化のプロセスをスムーズにするために特殊会社にする、そういうことがもしあり得るのであれば、それは積極的に理由付けというのはされるのだろうと思うのです。特殊会社というのは一定の政策目標ですから、規制をして拘束する以外に政策的にスピードを上げるということをやって特殊会社というものに対する1つの位置付けで、ただそのことが明確にならない限りにおいては、先ほど申し上げているように、株主以上のガバナンスが必要になる政策的な理由というのはなかなか明確にならないのじゃないかと、そういうことです。

○細見審議官 一言、二言だけ申し上げますけれども、1つは、ネットワークもそうでしょうし、郵便会社もそうだと思いますけれども、ここに言われているように、私自身が法制局の人間でもないですし、法律の専門家ということではないわけでございますが、基本的には設立と存続を、特定の会社として設立し、特定の会社として存続をするということを、言ってみれば国が責任を持って行うという必要があるのかないのかというのが多分特殊会社なり何なりということにするかどうかの基本的なメルクマールだというふうに理解をしておりまして、ネットワーク会社の場合には、恐らく郵便の窓口業務というものについて、言ってみればこれはやらなければならないこととして、多分2017年以降も継続してほしいということがあるのだろうと。あわせて郵便局の設置基準というのがあるので、郵便局の設置基準というものがあるということは、設置をし続けることを期待をされているということになるということだと。努力義務がかかって設置基準を設けるということだと思います。
 そういうことを踏まえた上で、特別に必ず設立するものとして、あるいはまた、存続するものとして規定をする必要があるのかどうかというのが、多分会社法制としてのポイントになるのだろうと思います。その上でどのような規制がそのために必要になるかというのは、2段階目の議論として、先ほどここにありますように規制がきつい場合、規制が緩い場合、両方いろいろあって、そこにはいろんなバリエーションがあり得るのだろうと思う。その意味では宇田先生がおっしゃったとおり、規制の程度がどのぐらいになるかというのが多分非常に大事な問題だというのは全くそのとおりだと思います。
 ただ、法制上の設立、その特殊会社か一般会社かというところでは、ある意味ではその設立そのものを国がちゃんと担保する必要があるのか、あるいは存続を担保する必要があるのか、あるいは自由な解散ができないようにしておく必要があるのかというのが、恐らく法制上の問題としてはテクニカルな議論として出てくるわけであって、それをどう法制局との間でお話をした上で適切な形に持っていくのか、こういうような話ではないかというふうに理解をしております。

○宇田プリンシパル もしそれが例えば設置基準であるとか維持をする義務であるとか、これは数なんかも含めてなんですけれども、特殊会社になるとどこまで規制がかかってくるのだろうか。できるだけ規制をしようと皆さん思うわけだから、だからもう目に見えているわけでありまして、先ほど宮脇先生の規制をしないことを目的にして規制を減らしていくことでも宣言して言い続けない限りは、規制は絶対増えちゃうわけですね。こういうところを我々がテクニカルにわからないと思って油断していると、何かとんでもないことが起こるのじゃないかなというのがありまして、だから私はちょっと警戒気味に言っています。今おっしゃったのは非常にいいポイントをおっしゃっていただいて、やはり2017年以降も維持させていきたい。
 それはそうなんだけれども、窓口は1つたりとも減らさないで行くのかというようなところまでここで網をかけていくことになると、この前の試算の際の議論とも少しずれてくるという感じもする。

○細見審議官 設置基準についてはこの前御議論いただきましたとおり、皆さんの方からも量的な基準を設けるのがいいか悪いかという議論をいただいたところでございますし、そういうものも踏まえて結論を出していこうということだろうともちろん思っています。ただ今の段階で具体的なものを何かお示しするというわけにはいきませんけれども、それはそういうことではないかというふうに思っています。いろんな意味で規制がどんどん強化されるのではないかということの御心配があるかもしれませんけれども、例えば設置基準については基本方針の中に法律上の取り扱いということで、法的に住民のアクセスが確保されるように配置するという趣旨を入れろということが書いてあるわけで、法律に何か書かなきゃいけないということがここに入っているわけでございます。その上で具体的な設置基準のあり方について制度設計の中で明確にする、こういうような構成になっているので、そういうものを踏まえた、言ってみれば法律的なフレームワークをつくらなければいけないというのがある意味で義務付けられている世界だというふうには理解しております。
 ただ、その中でどういうようなものをつくるかというのは、それはもう御指摘のありましたような皆様方の御意見も踏まえて、私どもの方からも余り極端な数的な基準を出すような例を前回出してないと思うわけでございますが、その上でいろいろ御議論いただいたものを踏まえて考えていきたい、こういうことだというふうに思っております。

○宇田プリンシパル どうもありがとうございます。
 あともう1点、これは私の方からお聞きしていいのかどうかわかりませんけれども、公社はこういうものに対してどう考えを持っているのか、経営の自由度を拡大をさせていきたいという中で、例えばどういうスタンスで臨まれているかというのを、よろしければお聞きしたいのですけれども。

○山下理事 私どもとしては、基本的に、国による経営の関与とか監督規制は必要最低限にしていただきたい。経営自由度が最大限発揮できる形が望ましいと考えております。ただ、今ご議論がございますような、どういう法的形態をとるべきなのかという点につきましては、私どもはこれじゃなきゃ困るという立場にはございません。

○奥山相談役 今、細見審議官のお話の中で、1つだけ教えてもらいたいのですが、設立はわかりましたけれども、存続を法律で決めるということは、逆に言えば解散をさせる、させないというところですね、これは今までの事例で言うとどういうふうに関与されるわけですか。

○細見審議官 先ほど何ページかに、後ろの表についていたと思いますけれども、6ページでですか、6ページについていたと思いますが、退出ですね、一応認可がかかるというのが上から2番目ですね。これが普通の規制が弱い場合、強い場合も含めて、別に退出が禁止されているということじゃなくて、退出に当たっては認可なり何なりがかかるというのが普通のあり方というふうに理解しております。

○奥山相談役 そうすると、持株会社を特殊会社とした場合に、その株式をある程度売却して、3分の1は持つということになっていますけれども、それは仮にいずれかは売却して完全に民間化するといったときに、法律の中にその解散の時期とか、そのことを条文ではっきりうたってある、こういうことですか。

○細見審議官 解散の時期とかなんとかということではなくて、要するに退出する場合には認可が要るということが書いてあるということだというふうに理解しております。

○奥山相談役 認可というのは、法律で認可が要ると。

○翁主席研究員 質問なんですけれども、電力会社やJR東日本が突然解散されたら国民はとても困るわけですけれども、それらは今は特殊会社でなく、電気事業法や鉄道の事業法で、やっているわけですから、例えば郵便や窓口ネットワークを事業法で、国民が困らないように担保するということはできないことなんですか、法律上。

○細見審議官 2つありまして、1つは、私の方は事業法という、郵便窓口ネットワーク事業法というのは基本的にないという世界があって、その中でどうするかという問題だというふうにご理解をいただければと思います。

○伊東審議官 郵便に関して申し上げれば、まさに翁委員御指摘のとおり、他の公益事業との比較というものを頭に置きながら、先ほど来出ております一般商法上の会社に対してどのような、ある意味では制度的ないろんな手当てをするかということになるわけですが、先ほどの資料の説明にもありましたように、事業法の世界というのは出入り自由の世界です。確かに突然今サービスをしているところがなくなるのは困るのですけれども、制度としてはそれは困るということを困らないようにはしてないわけです。
 しかしながら、郵便はユニバーサルサービス義務を行う郵便事業会社というものを特定して基本方針はできていますので、そこを私どもとしては何らかの形で法制度上特定しませんと、出入り自由の世界にはならないというのが、すべてテクニカルなことですと言ってしまいますと議論が成り立ちませんので、そうはあえて申し上げませんが、ややそれに近いようなことではなかろうか、その違いを申し上げればですね。

○奥山相談役 どうも伺っていると、この5ページの2番のこの書き方ですね、「基本方針を踏まえ、政府がどのような関与を行うべきかという観点から、」ということで見ますと、今のお話も含めて考えますと、やはり何らかの規制なり、あるいはそういう設立等の法的根拠を持つということで、それぞれの会社法をお考えのようなイメージをちょっと受けとめたのですけれども、そこは前々から議論で申し上げているように、最もふさわしい法制上の措置というのは最小限にして、基本的には民間の株式会社の商法で行くという、そういうふうに思っているわけですが、そこは今確認したいのですが、そのそれぞれの会社法じゃないとうまくいかないのじゃないかというふうにちょっと読めたのですが、そこはいかがなんでしょう。

○中城審議官 そういうことではありません。要するにこれは基本方針を踏まえてどういうふうに関与すべきかというところは法制上の検討が必要なわけですけれども、有識者会議の御意見というのは、基本的に全体をできるだけ自由にした方がいいだろう、そういう御意見だったと思いますけれども、今細見審議官が言いましたように、設立とか退出といったところについては、テクニカルなものとして特殊会社というのがあるという点、そういう点も含めて法制上の検討をしたいということでありまして、4つの会社は会社法をつくるということを前提にしているということではございません。

○宇田プリンシパル 質問なんですけれども、これはもう一回先ほどの話に対する質問なんですけれども、USOがあると、これは特殊会社にならないという議論はあるのですか、法的に。

○伊東審議官 ユニバーサルサービス義務を負わなきゃいけないから特殊会社でなきゃいかぬということを言っているつもりはありませんし、そういうことはございません。

○中城審議官 それでは、引き続きまして窓口ネットワーク会社の受委託、先ほどちょっと伊藤先生からも手数料の話で議論が少し出ておりますが、この点に対して御意見があればよろしくお願いします。

○宇田プリンシパル 2番目のポイントのところで、最初の丸の後の3つというのは、だれのスタンスとしてここに載せられているのでしょうか。有識者会議で前回議論したことでは多分ないと思うのですけれども。

○細見審議官 1番目は基本方針に書いてあることでございますので、この点は多分基本方針に書いてあるとおりということだということで理解をしております。受託して適切な受託料を取るということで書いてあります。
 2番目は利便性の原則という昔からあるものをクォートさせていただいたということであります。
 3番目はこの前の実態的な議論を踏まえたということで、これは私どもで文章をつくらせていただいたということでございます。
 それで、後段の方にはもちろんいろいろ前回御議論いただいたことも全部入っているというふうに理解をしております。

○宇田プリンシパル そうすると、これは準備室の意見だというふうに考える……。

○細見審議官 という要素があるということを言っているわけでありまして、これがすべてであるということを言っているわけじゃなくて、いろいろな議論の整理として書かせていただいたということでございます。準備室がこうなければならないということを言っているわけではなくて、こういう意見もあるだろうということで書いてあります。

○宇田プリンシパル ちょっとしつこくて申しわけないのですけれども、ちょっと気になったのは、2番目のポイントの、利便性の原則で昔から言われているからこういう文章にしたというところなんですが、「郵便局において引き続き郵便・郵便貯金・郵便保険のサービスが提供されることが重要であること。」というのは、一般論でこういうことを言うことと、これまでの論点としてこれの意味するところは別ではないかと思います。必ず郵便局においては3つの事業が提供されるべきであるという解釈にもなるし、それから郵便窓口じゃなくて郵便局として考えるということにもなるし、そういう意味では結構あいまいな言い方じゃないかなということです。
 つまり、今窓口と郵便事業とそれから郵便保険事業とという、事業の話をしている中で、いきなりここに「郵便局において引き続き郵便・郵便貯金・郵便保険のサービスが提供されることが重要である。」というパラダイムで文章が出てきている。昔ながらの話をそのまま入れましたというのだったらそうなのかもしれないけれども、今議論されていることとは違うのじゃないかなと。
 だれがこういうことを議論されているかということは別として、こういう議論が整理として出てくるというのは、若干意外感があるのですが、いかがでしょうか。

○細見審議官 そのユニバーサルサービスについてこの前いろいろ御議論いただいたとおりでございますし、そこは基本方針の中に一通りの整理が法的にはされているのだろうと思います。したがって、これは実態としてそういうことを希望している人たちがいるという、そういうふうに御理解をいただければと思います。多少あいまいだと言われれば御指摘のとおりだと思いますけれども、そういうふうに御理解をいただければと思います。

○宇田プリンシパル 正しい言い方ですね、それは。じゃ、これは重要であるという方々がいるというふうに解釈をしておきます。

○奥山相談役 この1、2、3、4、5と、ある意味でいい整理をしてくれたと思います。1、2、3がある意味で1つの方向で、4、5は、「といった要素を考慮する必要がある一方で、」ということで反対概念を言っていただいているわけで、私はもともとこの4、5というのはきちんとここに載っているわけですから、ぜひこの4、5で制度設計が必要と考えられるということの方向に重点を入れてほしいなと思います。
 ですからこの最後の「以上のことを踏まえ、」というところは、恐らくこの4、5を中心として考えるということで、そういう結論になるといいなということを申し上げたい。

○吉野教授 今の奥山委員の御意見と似ているのですけれども、やはり保険や貯金も、たとえすべての郵便局で販売されるとしても、全部の商品を全部の郵便局で販売する必要はないわけですから、ある程度特定化されたスタンダードなものは全部の郵便局で、それからそうじゃないものはある特定のところでというフレキシビリティもあると思いますので、私は4番、5番の考え方もぜひ入れておいていただければと思います。ですから、2番と4番、5番というのが両立しないということでは必ずしもないと思います。

○宇田プリンシパル 前回骨格試算を議論したときに、例えば受託関係であるとかあるいは委託手数料の設定は全体のビジネスを考えていく上で非常に大事ということは理解されたと思います。それを受けた上での今日の議論ということになるのだと思っております。
 事業の骨格がわかってきたということ、それから経済合理性が一定量理解されてきた中で今回議論をしていくとどういうことかというと、1つは委託手数料について、もちろん当事者間の利害というのは当然あるのだけれども、強制的に非常に大きな力を働かせないといけないということはない。むしろ両者の交渉の調整とか、そういったようなものが必要であって、持株会社の調整という範囲で多分できるのだろうと思います。
 それからもう1つは、前の議論として、特に金融については自由度を持たせて議論しましょうというのがあったかなと思います。
 それを逆に今度強く規制をしていくというようなことというのは、片方で規制をしておいて片方で自由にしていくというようなこともちょっとおかしな話で、基本的にはここに書いてある4番、5番ということが中心になって議論されていくべきことだと思います。制度の設計もそういうことで進められるべきでしょう。骨格試算の結果をそのまま鵜呑みにするわけではないけれども、方向としてはそれが可能だし、十分ビジネスの形態としてもイメージしやすくなった、こういうことではないかと思っています。

○伊藤教授 先ほどのお話をちょっと上塗りする形なんですけれども、もうちょっと幾つか懸念も含めてお話させていただきたいと思いまして、前回ちょっとお話したのですけれども、4会社の間でのいわゆる収入の配分に、ここで言う手数料にかかわってきて、前回説明でちょっと足りなかった気がするのでけれども、郵政4事業の基本的な特質というのは、やはりある種の固定費用的な要素があって、限界費用というのはそんなに大きくないのだろうと思います。例えば郵便を配るのにそんなに金がかかるわけない。しかもその固定費用的な部分がいわゆる目に見えるような設備とかそういうのじゃなくて、過去からずっと続けてきた郵政事業に対する国民の信頼だとか、あるいはそういう仕組みの存在だとか、何かそういうものなんですね。
 これはちょっと専門的な言い方をして申しわけないのですけれども、経済学的にはこれをジュンレン度というのですね。このジュンレン度はどこに帰属するかということは、ある意味で言うと非常に経済的には決まりにくいわけで、ある種先ほど言った交渉、バーゲニングの世界になるわけで、非常に悲観的な見方をすると、それを例えば郵便貯金会社が取るのか窓口会社が取るのか、あるいはほかが取るのかということを全く制度の設計がないままにバーゲニングすると、それはどうなるかわからないわけです。
 問題はこの5に書いてあるところの「持株会社による調整も期待できること。」という、この持株会社による調整が本当にどこまで期待できるかということはかなり大きな鍵になるような気もして、これは危惧かもしれませんけれども、先ほど申しましたように、4会社がそれぞれ、もちろん完全に民営化してしまえば問題ないですけれども、そこまでやはりしっかりやってもらわないと困るわけですから、そこの担保をどうするか。
 ただ一方で皆さんおっしゃるように、それをしかし各事業会社のところでとか、あるいは手数料をそのまま法律の規定で縛っちゃうのも、またこれ非常にフレキシビリティをなくすということで、そういう意味でこの、もう一回言いますけれども、「持株会社の調整も期待できること。」というのを、持株会社の調整が期待できるような仕組みを少し入れておくといいますか、これはやはり持株会社に対する関与をある程度決めておくということで、これは奥山さんと多分そこは違いないと思うのですけれども、そこのところをしっかりやっておいて、あとは自由にするということで、いずれにしても、宇田さんおっしゃったようにこの話は全体の枠に非常に関係あると思いますから、ぜひまた後で議論させていただきたいと思います。

○翁主席研究員 今お話いただいたこととほとんど同じ内容をなぞることになるのですが、やはり移行期の当初と移行期の最後ではかなり話は違うのだろうと思っています。
 移行期の当初というのは当事者間の交渉で、窓口ネットワークにかなりの人や資源が配分されるということもありますので、そういったところをどう立ち上げていくかという上で持株会社がいろいろ配慮するという部分はあるかもしれないのですが、基本的に民有民営を目指すという明確な目標があり、それに向かっての確実な体制が敷かれれば、徐々に手数料体系というのはまともなものになっていくBなっていかざるを得ないし、なっていく方向に制度を設計していくということだと思っています。
 その場合、郵貯は郵貯として、例えば窓口ネットワークだけに依存しない、また異なるデリバリーチャネルを持っていくということになっていくと思いますし、一方で窓口ネットワークというのは、これは日本では初めてで、世界でも余り例がない、大掛かりな製販の分離というのですか、金融の新しい試みだとある意味では思いますが、魅力的になっていけばいろいろな金融機関がその窓口ネットワークを大規模に活用したいというように変わっていくことが期待されるわけで、そこで当然マーケットからみて公正な手数料のもとで国民の利便性にも資するという方向になっていくことが望まれると思います。
 そういう価格付けを展望する意味でも、民有民営を目指す、郵貯、保険はそうですし、窓口ネットワークも株式を売却していく、それにより、そういう方向がきちんと担保されるようにしていくということが基本的に重要で、その中で手数料の体系というのも基本的に市場また価格ベースでやっていくという方向に働くように制度を設計していくということだと思っています。

○宇田プリンシパル 1点、若干追加的な話ですけれども、金融を民営民有化するということははっきり決まっているという前提であれば、一方で受託関係が統制的なものであったときに民営民有化できるのかという問題は当然あると思います。民営民有化の条件として、ここの関係が市場的な、透明で説明できるような関係になっているというのが前提になると思います。最初からそういう仕組みで進めない限りは民営民有化なんていつまでたってもできないと思いますね。
 したがって、今翁委員がおっしゃったように、最初のうちはこれのトップがそういう調整をするという話であって、そのトップの経営のミッションの一つが金融会社を民有民営化させるということであるとなっていれば、両方の競争的な環境において業務をさせていくというふうに動くことになる。そこに手を入れれば入れるほど民営民有化ができなくなると思います。
 金融が民有民営化をするのであれば、ここの受託関係は一種の透明なルールにしていくということです。これは一体の議論であって、何かそれを分けて議論するということが非常に奇異な感じがします。

○高木副室長 宇田さんに1つだけご質問させていただいていいですか。
 その持株会社が調整するというときに、ちょっとイメージがわかないのですよね。この会社は具合が悪いし、この会社は非常にいい、グループとして見ていると、とにかく収益状況に応じてやみくもに、やみくもというと変ですけれども、市場レートとか何かに関係なく、まあこっちに、自立させるからという動機よりも、とにかく自分の抱えているグループ企業の損益を考えて設定しているということになるような感じがしますね。そうすると、それがずっと続いていくと、どうやって民有民営、つまり民有民営の土台に沿った形になっていませんから、そうだとすると、そこをどういうふうにイメージすればいいのかというのがちょっとよくわからない、ちょっと悩ましいと思うのですね。

○宇田プリンシパル そのトップを任命をするときに、民有民営化ということを目標付けるということは非常に大事なことと思います。
 それから、グループ間の中でやみくもにお金をやり取りをしていると、外に透明になるわけですね。中で難しい部分はあるかもしれませんけれども、一定量はなる。そうしたときに、一般に民間であれば、それが果たしてその企業にとってプラスなのかどうかということは、株主が見ているわけで、それに対して説明がつくかどうかということが要求されるわけです。
 今回の場合ちょっとややこしいのは、一方で政府保証債務が残っている間に、今言ったみたいなことを恣意的にやってしまうと、別な問題になるので、それはやらないぞということは別に監視組織等でモニターをしていく必要はあると思います。
 イコールフッティングと民有民営化というミッション、この2つを実現をさせていくということが次のトップには求められる。じゃそれをだれが監督するのかというと、原則はそれは株を持たれている政府の方でそういうような使命を与えていけるのかどうか、こういうことじゃないかと思っているのですけれども。

○吉野教授 今の関連ですけれども、それぞれ4つの機能の中で、代替的な手段がどれほどあるかによっても今の議論が違ってくると思います。ですから、ネットワーク会社にとってはここからたくさん手数料を取りたい、しかし貯金とか保険がネットワーク以外に販売できるチャンネルがあれば、そことまた競争になると思いますから、そうするとある程度払えなくなる。そういう郵便、貯金、保険の中での代替手段がどうかということと、それから今度は他社がどういう形でそういうプライシ塔Oなり手数料を設定しているかもまた影響すると思いますので、全体が関係するような気がします。

○奥山相談役 経営計画的に言うと、移行期の当初は多分この3番で書いてある「受託事務の安定的実施」のためには、固定費が決まっていて、その固定費をカバーするだけの受託収入がなければ経営が成り立たないということは明らかだと思うので、その固定費を幾らにするか、それに対して受託収入をカバーするために幾らにするか、そこから始まると思うのですね。その固定費は何かというのは、多くの部分は人件費であり、また物件費である。しかしながら、いつまでも人件費と物件費がかかるからそれをカバーするためと言っていますと、よそとの競争でそれだけのいわば手数料がずっともらえていくのか。もっとよそが安いところがあればそっちへ切り替えたいといった話だって10年の間に出てくるかもしれない。
 それで、そこはその経営度を高めて、ネットワーク会社でもシステムをさらに充実し、またいろいろなサービスを強化して、その安定的な収入を得られるように努力する中で固定費もさらに合理化していく。そういう中で完全に民営化できるような体制をつくっていくということじゃないでしょうかね。
 ですから、最初はもうそういう切り口でしか私はできないのじゃないかというふうに思っていますけれども。

○宇田プリンシパル これは移行期をどうデザインするのかということだと思います。多分ステップを3つぐらいに分けて、それぞれごとに第3ステップでは完全に民営民有化ができ、それぞれの関係がクリアな関係になっているということを目指してどうデザインするのか、こういうような感じがしていますね。
 そうしたときに、一回ここで決めてしまうと10年そうなんですよというような議論は違う。自由度を保てるような形にしておかないと、経営としてもすごくやりにくい。それから民営民有化100%を将来的に実現するということも難しくなってしまうので、そこはステップで分けて考えていくということじゃないかと思います。

○吉野教授 この4、5のところは貯金とか保険の側に立ったところなんですが、逆にネットワーク会社からも、2017年までを考えれば、例えば簡保の商品は要らない、民間の生保の方を売った方が手数料がたくさん得られる、こういうことだってあり得ることはあるわけですね。例えば外資の保険会社が来て、セールスエージェントもだれもいない。郵便局のネットワークを通じて、私の商品を売ってほしいから、簡保よりも高い手数料を払います、そういうことだって私はあり得るのじゃないかと思うのです。
 だからそういう意味では、ここは貯金と保険のことだけは書いていますけれども、逆にネットワーク会社自身の方からのことだって私は出てくるような気がいたします。

○山下理事 すみません。いつも先生方と方向が違う発言をさせていただくことになり恐縮ですが、公社の経営が成り立つかという観点で、私どもにおいて心配している点がいろいろとあるものですから、ぜひ発言をお許しいただきたいと思います。
 この受委託の義務付けの関係でございますけれども、先ほど宇田さんから、シミュレーションを見て大丈夫だという話がありましたが、私どもから見ますと、1つは、窓口ネットワーク会社のコストというのは、民営化後10年経ちましても、7割強を貯金、保険の金融業務に依存する格好になるという数字が出たわけでございますし、2つ目は、その郵貯、保険とも移行期間の10年間、一貫して資金ボリュームが減少して収益悪化基調にあるということですから、常にコスト削減圧力がかかることが予想されます。
 この2点が、シミュレーションの帰結として気になるところです。
 仮に受委託を当事者間の自由に委ねた場合には、郵貯会社、保険会社はその民有・民営に向けて、当然収益重視の経営をとらざるを得ないということですから、コスト削減のために取引の少ない不採算店舗での取扱いをやめるということになるのではないかと考えます。
 そうしますと、窓口ネットワーク会社としては、これらの店舗を郵便事業だけで維持することは困難ですので、多数の郵便局が廃局に追い込まれる可能性が生じるということであります。
 したがいまして、そういう観点から見ますと、郵便局ネットワークを維持していくためには、私どもは、3事業会社に何らかの法的な委託義務を課すことが必要になるのではないかと考えているところでございます。
 それから、持株会社が調整できるのではないかというご議論でございますけれども、この新会社の利益のほとんどは貯金と保険によって生み出されるわけでございます。また、持株会社の持つ権限というのは、事実上各事業会社のトップの人事権のみというふうになると思います。こうした持株会社が金融事業会社のコスト削減策を実際に抑え切れるのかどうか。そうした調整が本当に可能なのかという点は、先ほど伊藤先生からもご指摘がございましたけれども、私どもがNTTグループとかメガバンクの持株会社の経営陣からお話を伺ったところ、稼ぎ手である子会社のコントロールというのは極めて難しいということでございました。やはり何らかの法的義務付けがないと、資本の論理が貫徹して、郵便局での金融サービスの提供は困難になり、郵便局ネットワークの維持自体が難しくなるのではないか。それを私どもとしては非常に心配しているということでございます。

○奥山相談役 今のお話を承りましたけれども、その中で1つだけちょっと私と理解が違うなと思うのは、持株会社の経営権の支配というのは必ずしもトップの人事権だけではないと思うのですね。例えばそれぞれの会社の社長が持株会社の役員になるということであれば、持株会社の役員会はすなわちそれぞれの社長会になるわけですよね。ですから、そういう意味では経営計画等のトータルな戦略的な話も持株会社はできるというのが今の持株会社のあり方ではないかと思いますので、必ずしも人事権、トップを決めるということだけで、あとはないということではないというふうに私は思います。

○宇田プリンシパル 2点ですけれども、1つは、両社で圧力がかかっていくとか、両方で切磋琢磨をしていくということ自体を否定してしまうと、民営化の意味がなくなってしまう。別にコストダウンを前提に議論するわけではないけれども、何かしらの両社の緊張関係というのはむしろプラスに働かせることができる。それは経営としても当然考えるべきことではないかと思います。
 それから、フィーの設定のところですが、それぞれ自分のところで今どのぐらいコストがかかっているのかということは一定量わかる。窓口が金融に関して働いている部分と、それから保険に対して働いている部分が、こういうコストであって、それぞれごとにうまく賄われているということであれば、それは金融から見てみても割と妥当な委託手数料になる。そこが余りあいまいだと、両社の間の整理というのがなかなかつきにくくなる。要するに窓口会社で管理会計的はしっかりできるのかどうか。最初はすぐは無理かもしれませんけれども、そういう問題というのも多分出てくるだろうと思います。
 それから、70%が最終的に金融の利益ということを、50%にしたいのか40%にしたいのかとか、その辺はむしろ経営者の今後の考え方だと思います。切磋琢磨すればするほど、その割合というのは達成できるというのが今回の新しい関係です。使われるための窓口会社とは何なのかということを追求するというのが今回の民の経営のいわば中心になってくる。それを今の段階から強制的に決めていくとか、そういうようなことを入れれば入れるほど、70%が80%になり、最終的にはアイドルタイムのところをだれも補完できないような状況になってくる。こういうことは十分あり得るので、その部分はどうやって仕込んでおくのか、こういう議論も一方で必要だと思います。今見えるところで厳しいからという議論も1つあるけれども、当然のことながら厳しくなることを放置しておく経営者というのはいないわけで、むしろそういうところを考えて設計をしていくべきじゃないかと思っています。

○鍋倉副室長 私もずっと悩んでいる話なんですけれども、会社同士のフィーとか、どこに委託をするとかというのは、窓口会社とほかの3事業会社が原則自由で決めればいいと私も思います。
 それで、ただ問題は、山下理事が言われたように、恐らく儲からないところからはその各事業は撤退したくなると思うのですね。そうした場合に、もう片方で窓口会社は過疎地にもある程度の努力義務があると言っても、下手するとどんがらだけになっちゃって、各事業は逃げていっちゃうということも全くの原則自由だったらあるのじゃないかなと思うのです。
 それは、もう先生方ご存じのとおり、17~18年前にニュージーランドでそういうことが起こりました。これは郵便と郵便貯金と2つあったのですけれども、2つを分割して、それで貯金会社をオーストラリア・ニュージーランド銀行という外資銀行に売ったわけですね。そうした場合に過疎地から撤退しちゃった、当然だと思うのです。
 そこの貯金、保険が儲からないようなところというのは恐らく撤退すると思うのですが、それがまた民有民営だと思うのですけれども、そのときに、それじゃ窓口会社だけ設置基準があって努力義務があって過疎地には残っているという変な話になっちゃうのじゃないか。そこをどういうふうに解決したらいいのかというのが、ずっと私悩んでいまして、原則ネゴでいいのでしょうけれども、何かこの仕掛けみたいなのはないのかなと。

○宇田プリンシパル ついでに言っておきますけれども、ニュージーランドの例はマッキンゼーは関係ありません。いつもニュージーランドという例をどなたかが引き出すので、我々も社内的に調査しましたけれども、関与しておりませんので、この場ではっきりさせておきたいと思います。
 そう言った上での話なんですけれども、まず1つは、本当にその窓口事業の採算性というのは地域別にどうなっているのかというのは、私は今後、よく見ていった方がいいのじゃないかと思います。つまり今までのように郵便の集配を含めて考えていると、当然地方というのはコストがかかります。それは郵便は都心から地方へ行くものが多い。約7割が集配コストでかかるのでどうしても地方というのはマイナスになるという、こういうのが今までの議論だったのですね。それで意識も皆さんそれが定着しているわけです。
 ところが、今回集配業務というのは郵便事業のコストで全部あわせて見るということで、しかもネットワークを全体として1つで見るということなので、窓口事業というのは基本的にはその集配業務のコスト負担からは逃れる、こういう状況だと思います。これがまず1つです。
 それから2番目に、過疎地のところの方がむしろ収益を上げる要素というのは結構出てくる。例えば金融商品なんかを調査をしてみますと、むしろ地方の方が郵貯の窓口等々で金融商品を買いたい人が多いといった結果が出てくる。都心はどうかというと、それはもう当然のことながらどこでも買えるわけで、このような結果は出てこない。そうすると、むしろそういうところというのはうまく使える。過疎地だから窓口事業としてもうからないものはそこに取り残されるかどうかというのは、大きなクエスチョンでありまして、窓口事業の経営者としてはそういう地方集配のコスト負担から離れた上で、本当にこれでどうやって経営するのかということを考えていくという自由度がむしろふえたということではないかと思います。
 それから、郵便の方が儲からない、郵貯の方が儲からない地域から逃れる、逃れないということ、これも例えばその代替手段をどうするかとか、地方のところには代替手段でそういったようなサービスは置いておこう、また代替手段があればいろんなことができるというのは前回議論したとおりですので、今のお話は、必ずしもそうはならないのじゃないかなと、思っています。

○鍋倉副室長 必ずしもそうはならないかもしれませんが、実際にニュージーランドとしてそれがあったというのは事実ですよね。それは私ちょうど旧郵政省にいたときにたまたま出張したのですけれども、そうしたら、郵便局に老人パワーがピケを張って、郵便局廃局の反対というピケを張っていた。それは新聞、ローカル紙ですけれども、ローカル紙の1面トップみたいな感じで写真が出ていたのです。郵便局1つなくしちゃうと90キロぐらい行かなきゃいけないという、日本とはちょっと違うかもしれませんけれども、それはそれとして、年金を受け取るところがなくなっちゃった、90キロも運転できないよというので、おじいちゃん、おばあちゃんがピケを張った、そういうのに出くわしたことがあります。
 だから、確かに必ずしもそうはならないのじゃないかというのはそうかもしれませんけれども、なるかもしれないと。

○吉野教授 今おっしゃいましたのは、やはり地方の方にはアウトソーシングを持ってやっていっていいのじゃないかと思うのです。例えばスウェーデンなんか、地元の酒屋さんにそういうビジネスを頼みまして、ですからメインな収入は6割は自分のやっているもの、2割から3割でいい。あるいは地方自治体の一角にそういうサービスの部分を置くとか、あとスウェーデンではトラック業者が郵便の配達を委託を受けるとか、なるべくミニマムコストでサービスができるということをやはり目指すべきだと思います。
 それから、もし民間金融機関が言うことが正しいのであれば、農協もどこでもあるじゃないか、逆に農協に委託してもいいかもしれない。そういう意味ではなるべくアウトソーシングができるところはアウトソーシングをして、それでコストを下げるという努力が必要じゃないかと思うのですけれども。

○伊藤教授 今出ている議論は非常に大事な議論だと思いますから、ぜひまた議論させていただきたいと思うのですけれども、ただちょっと気になるのは、前回出ていたシミュレーションの中で、いわゆる窓口会社の例えば人件費が非常に大きい、物件費が多い。それはどこで発生しているかというと、前にも議論があったと思うのですけれども、かなりの部分というのはやはり都市部というのですか、いわゆる山の本当に奥のところに窓口会社の人の半分以上がいるわけじゃなくて、むしろ都市部とかあるいはいわゆる地方都市の部分があって、今まず議論になっているのはそこの部分だろうと思うのですね。その固定費をある程度前提としたときに、それが成り立つのかという議論と、それといわゆる過疎の議論というのは別の議論で、多分分けてきちっと議論した方がいいのかなとい、ことと、それから、もちろん過疎の話というのは非常に大事で、どうなるかということはぜひ議論させていただきたいのですけれども、ちょっと比較の対象になるかどうかわかりませんけれども、まさにニュージーランドと日本の違いなのかもしれませんけれども、私、流通のことをやっていてよく言われる話なんですけれども、伸びている流通業というのは、実はタヌキとムジナしかいないところに行った方が儲かるのですよ。それはなぜかというと、先ほどの話に関係があるのですけれども、大都市部というのは、店をつくっても必ず隣にもっと競合なものが出てきちゃう。だから、例えば都心部で窓口になっても、もっと強い、例えば金融機関だとかいろんなものがあるけれども、ある程度の田舎はむしろ、そこに1つのネットワークを持つと、もう要するにほかが入ってくるのは難しいし、なかなか行けないので、うまくいく。ただ本当の山奥は多分無理だと思うのですね。
 だから、問題は全体のバランスとして、本当に雪の中を何時間も歩いていくような山奥のレベルと、それから人口5万とかあるいは3万とかいうところのレベルと、それから大都市と分けて、それでコストがどういうふうになっているか。その上で、仮にニュージーランドみたいな懸念があるとすると、じゃそれを維持するためのコストってどのくらいなのか。それが本当に今議論しているような郵便貯金会社とかあるいは保険会社との間のいわゆる移転の問題とどこまでかかわるのかということを一回ちょっと冷静に数字を見て議論した方がいいなと思います。

○翁主席研究員 以前ちょっと御紹介した行政監察による地方の郵便局の年間の運営費試算を見ますと、内訳はほとんど人件費です。運営費は簡易局で年間1,500万円ぐらい、ちょっと今持ってないのですけれども、無集配特定で2,000万円強だったと思います。物件費というのはやはり過疎地というのは非常に低い。それを考えると、やはり人件費を上回るだけの売上げを確保するためにどういう魅力あるいろいろなビジネスを展開していくかという経営努力が非常に重要だと思いますし、同時に、さっき吉野先生がおっしゃったように、いろいろな拠点とのシナジーを利かせていく。イギリスでも郵便局のほとんどがそういう、ガソリンスタンドと一緒だったりとか、そういうことでシナジーを利かせているということですので、そこは工夫によって、年間の人件費を上回るだけのそういった売上げを確保していくということを経営努力でまずやっていくということだと思いますし、ネットワークの位置、拠点自体も、今回窓口拠点と集配ネットワークを見直すということで、どういったところにそれぞれ窓口を置くのが、過疎地の中での一番利便性があっていいのかということを、もう一回今回の民営化の過程で見直していくということが当然あるのだろうと思っています。

○鍋倉副室長 よくわかりますし、そういう委託みたいなもので店舗を持たないでどこかに吉野先生が言われたように委託をするとか、そういうことがスムーズにできればいいと思うのです。ただ、これは余り言える話じゃないのかもしれませんけれども、特定局長さんというのは自分でお金を借りてそこに店舗をつくっているわけですね。その店舗というのは郵便局で、ほかにも余り転用ができないようなものを何十年かのローンを組んで金を借りている。金を払いながら要するに営業しているということになると、あなたのところはもう要らないよ、こっちの簡易の方に行くからというのもなかなか、そういう仕組みがあるものですから、そういうのがちょっと私の心の中にあるので、なかなかすぐにスムーズに移行するのもいろんな面で難しいなということが根底にあるものですから、先ほどのようなお話をさせてもらいました。

○中城審議官 それでは、時間の関係もございますので、最後の第三種、第四種郵便物の提供に関しまして御意見があればお願いいたします。

○伊藤教授 第三種、第四種必要ありますかって聞くと、やはり必要あるって答えて、種については随分頑張っていただいて、そういう意味では大変感謝しているのですけれども、実はこの話は我々議論しなきゃいけない部分はあると思うのですけれども、ただどこまでこれをごりごりやってやるかという話があって、実は前回私言い忘れた大変大事な論点なので、ぜひまた御検討いただきたいのですけれども、それは、第三種、第四種でこれだけ赤字が出ているという数字がありましたよね。あれをどこまで真剣にとらえるべきかという議論でございまして、こんな話、本当はあのとき忘れてちゃいけなかったのですけれども、多少学問的な話になって申しわけないのですけれども、要するに限界費用という概念だと。つまり今既に第一種、第二種だけ普通の料金でやっていて、仮に第三種、第四種は安い料金でやらなきゃいけないというときに、追加的にもちろん運んでいくわけですけれども、それはもうほかの郵ヨと一緒に運んでいくわけですから、まあひょっとしたらほとんどただに近いかもしれない。学会であちこちに配っている雑誌が役に立つかどうかは別として、とにかくまとめてその映像を送るわけですから、そういう意味でも非常にコストが安くて、これを全部安くしちゃったらもちろん採算が合わないわけですから、できるだけそこの範囲は抑えながら、第一種、第二種のところはそれなりに取っているわけですから、そうすると、これは会計的な物の見方と、ひょっとしたら経済学的な物の見方は多少違いみたいなところがあるかもしれませんけれども、何か私はちょっとうっかりして、第三種、第四種からこれだけ赤字が出ているから考えなきゃいけないという論点で議論したのですけれども、ひょっとしたら赤字じゃなくて、そういう追加的なところは、もちろん限定的なんですけれども、安くやるということであれば、それが採算が合うということであれば、ここでそのために労力をかけて議論することが必要かなという、ちょっと気がしたものですから、追加で。

○吉野教授 同じ研究者として違う意見を申し上げますけれども、ここの23ページにいろいろな現在の区分のところがございますけれども、一番下の学術刊行物というのは我々の分野ですともうほとんど本は読まないでインターネットで取りますので、むしろインターネットで取れなければ新しい論文も早く読めなくなっていますので、ただ歴史の人なんかに言わせるとこれは重要だと、そういうことになるかもしれませんけれども、ただ今後はいろいろな学術誌もほとんどインターネットで文部科学省も提供しているようになると思いますので、実質的には余り問題ないかな。
 それから通信教育も、我々の大学もやっておりますけれども、現在は郵送ですけれども、これも多分2007年のころ、2017年にはもう絶対なっていると思いますが、もう携帯端末に圧縮して送るということになると思います。ですから実質的な問題というのはほとんどなくなるのじゃないかと思います。
 それから、下から2番目の種子とか、これだって普通の小包、民間のいろんな手段がありますので、それから盲人用のですと、先ほどありましたけれども、今ボイスメールが出てきていますし、それからこれも私の慶応の卒業生ですけれども、盲人の学生がおりまして、それが今インターネットを通じながら盲人が読めるような会社もつくっていますので、そういうところがたくさん出てくれば、これもほかの手段に、点字のところですが、なると思います。
 ですからそういう意味では、これを一応課しておいてもいいと思いますけれども、実質的には逆に今度はこういう人たちにもっと使ってくださいっていう時代が来て、ほとんど意味がなくなるようには私は思います。

○奥山相談役 自分の業界のことを言うとまたあれなんですけれども、実は会計士協会は最近ここの学術刊行物になるのですか、どこになるのかな、要するに年間毎月出している雑誌を郵便局にお世話になることに変えたのですよね。そうすると、1冊120円ぐらいのものが七十幾らになって、大変コストダウンになって助かっているのですよ。助かっている身でありながら、ちょっと文句を言うのはなになんですけれども、そうは言いながらも、やはりこれだけの赤字というのが、先ほど伊藤先生もおっしゃったですけれども、本当にこんなに赤字があるのかなという吟味はしなきゃいけないと思いますけれども、これだけの赤字があるとした場合に、例えば私どもが利用しているのが、それがその赤字を出すためにやっているとすれば、それがなくなってもやむを得ないのじゃないか、むしろほかにいろいろ利用するもので何とか代替できないかというふうに、利用側の方が考えざるを得ないというふうに思います。
 一方、盲人用とか点字とか、これは私はやはり弱者を担保するという点ではここは本当に慎重に考えるべきだろうと思いまして、そういうことを網羅的に考えると、やはり最低限必要な部分ということに絞って決めていくべきじゃないか。
 今のように、例えば通信教育用とか学術刊行物とか、あるいは月3回以上発行の新聞紙とかということで、ざっくりで言うとやはりかなりそうでなくてもいいものというのが入ってくるような気がしますので、そこはぜひより分けて考えるべきじゃないかなというふうに思います。

○翁主席研究員 今奥山先生がおっしゃったのは、郵便局の、大量に受け取ると割引するというサービスだと思います。結局、競争によって価格が決定されていくというのが本来の姿ですから長い目ではそういうことでサービスの持続性が決まるのでは。繰り返しになりますけれども、本当に政策目的として今もなお妥当かどうかということを考えると、ほとんどのものがもう薄れていると考えていいと思いますし、インターネットがだめでもほかにいろいろなメール便とか、そういったものもあるわけでございますから、郵便事業に義務付けるというものでは基本的にはないのではないかと思います。
 それで、例えば盲人用とか、どうしても残すということであれば、これはやはり民間会社である郵便会社に低料金を義務付けるというものではなく、むしろ補助金ということで対応するというのが筋であると思います。ですが、基本的には、政策目的の妥当性、ほかの手段の利用可能性を考えると、もう基本的にやめていい方向ではないかなと思っております。

○伊藤教授 誤解されるといけませんので、私もやめていいと思っています。ただ、先ほど言ったように、コストの部分についてもう一回本当は検討しておかないと、本当に例えば、先ほどの奥山さんのところの120円が79円でしたっけ。79円でやることによって、例えばそれを120円になったときにやめたといったときに、後者の方が全体の収益が高いかどうかって、必ずしも経済的は言えない部分があるものですから、そういう意味で250億赤字でしたっけ、このところはもう一回検討しないと、余り無駄なことで熱意を上げてもしようがない。
 ただ、筋論としては吉野さんや皆さんおっしゃるそのとおりだと言うふうには、私は個人的には思いますけれども。

○宇田プリンシパル 多分一番しがらみがないと思いますけれども、まずこれはユニバーサル・サービス・オブリゲーションと、それから参入規制とか料金の話と少し議論を分けておくべきでしょう。21ページですか、生田総裁の話ですけれども、「これに要するコストを政府において負担すべきものと考えます。」というのは、これは一般論なのかもしれませんけれども、実際には郵便料金は同一重量の第一種郵便物の料金の額よりより低いものであれば自由に決められる。USOのコストというものと、それから料金規制的なもののコストの話は、分けて議論しておいた方がいいのじゃないかなというふうに思います。
 25ページのを見ると、「低いものであること。」とある。でもここまで低いというのはやはりどうしてなのかなということ、こういう疑問があります。
 それから2つ目は、二百数十億の赤字というのは本当にそうなのかどうかということについては、多分検証は難しいのだろうとは思いますね。その二百何十億かかっているから、じゃ政府で負担してくださいというと、本当にかかってない部分を負担をすることになると、これは大変なことになるわけですね。マージナルに実はコストは全然かかっていませんでした、だけど250億は必要ですというのは、これはまた変な話なわけですよね。だからこういうところはやはりちゃんと議論をして明確にしていってほしいなと思う。
 それで、そう言った上でなんですけれども、USOそれから料金規制ということに関して見れば、民間になっていくということを考えてみると、ここはもう経営判断で決めてくるということで、原則そういうようなオブリゲーションはなくなっていくという方向だと思います。
 今回、いろいろ省庁とかにインタビューしていただいて非常によかったかなと思うのは、こうやって既得権益は維持されていくのかというのがよくわかる。こういう質問をして、あそこはやはりだめだと言っていましたみたいなことでふだんは終わっているのだろうなと。今回はこういう場だから、ひとまず聞いていますよという姿も見せないといけない。ひとまずヒヤリングをやって、決断は別というふうに理解しています。ぜひ民営化の1つのシンボルとして、我々はこうしますというふうにしていただけるとありがたいと思います。

○中城審議官 よろしいですか。
 それでは、時間の関係もございますので、本日の議事はここまでにさせていただきたいと思います。これまで同様、言い足りなかった御意見等は随時御遠慮なくお申し付けください。
 それでは竹中大臣お願いします。

○竹中大臣 貴重な御意見をいただきましてありがとうございます。
 きょうの話を通じて改めて感じるのは、企業というのは収益を最大化することを目指す、恐らく官僚組織というのはインフルエンスを最大化することを目指すという1つの行動原理があるでしょうから、例えば特殊会社になって存続をする、義務付ける、そのときに、例えばですけれども、今までだったら存続させるためには、これは人事も管理しなければいけないし、収益も管理しなければいけないし、事業系統も管理しなければいけないと、幾つでも理屈がついてそういうことになりがちだ。
 今御意見にありましたように、基本的にはとにかく極力経営の自由を認める、縛らない、その方向で徹底して、どういう会社組織であれやるというのは、これはもう大原則なんだと思います。それが民営化の趣旨なんだと思います。
 同時にそれは、2番目の受委託にも反映してくるはずでありまして、経営の自由がほしいのだけれども、受委託は何か義務付けなければいけないというような論理になると、やはり少し困るのだろうなと思うのですね。そこは現実とにらみながら、まあリアリスティックでなければいけませんけれども、できるだけやはり、そこは自由にやっていくという精神をいかに具体化していくかということなんだろうと思います。
 第三種、第四種に関しても、限界費用等との関係で見る、限界収益はどうなっているかというような御指摘は大変重要な御指摘だと思いました。
 1つ、今事務方はやはり大変でして、今いろんなところで各党の先生方に呼ばれていろんな御説明等々をしながら、とにかく法案をつくらなければいけません。したがって、法案をつくるときに最低限決めなきゃいけないことについて御意見を伺うという形になっていますので、問題設定の仕方がいかがかという御指摘がありましたけれども、それは大変ごもっともな面があろうかと思います。それはそれとして踏まえていただいた上で、法案をつくるために必要な点は引き続き出させていただかざるを得ないと思うのですが、遠からず少しちょっと視点を変えて、自由な問題意識に基づく討議、こういう点は踏まえなきゃいけないのじゃないか、少しこういう原則的な議論をしていかなければいけないのじゃないか。これはぜひ有識者の方々も自由に、必要があればペーパーも出していただいて、そういう議論をする機会をつくる必要もあるのかなと思っております。進め方につきましてもぜひ先生方の意見を聞かせていただきたいと思います。

○中城審議官 ありがとうございました。
 なお、本日の会議後の記者ブリーフィングは竹中大臣から行っていただきます。
 最後に次回の日程について事務局から連絡します。

○利根川参事官 次回の日程でございますが、今月の26日の金曜日、時間は同じく10時から12時ということで開催をさせていただきます。
 テーマは郵貯、簡保の既契約を新契約と一括して運用するための具体的な仕組み、公社承継法人業務の受委託スキーム、監査組織の具体的機能といった問題を考えてございます。よろしくお願いいたします。

○中城審議官 本日の会合は以上でございます。どうもありがとうございました。