10月27日 記者会見要旨

竹中内閣府特命担当大臣(経済財政政策)・郵政民営化担当 記者会見要旨

(平成16年10月27日(水)11:46~12:09 第4合同庁舎6階 642号会議室)

1.発言要旨

 それでは、先ほど郵政民営化準備室の有識者会議を終えまして、14回目になりますけれども、概要の御報告をさせていただきます。
 今日の主要の検討項目でありますけれども、資料の表紙にありますように郵便事業会社、具体的にはユニバーサルサービスの義務付けの範囲と必要な優遇措置について、それと提供義務を課す公共性の高いサービスの範囲と必要な制度面での措置についてでございます。
 前回から申しておりますように、考え方の整理としてA案、B案というものを示して、それに対して有識者の意見を伺っております。
 まず最初、どういう意見が出たということをかいつまんで御報告するということにさせていただきますが、この有識者会議の進め方として、今個別にいろいろやっているわけですけれども、個別の議論を主体、これは重要であるけれども、全体像をレビューするような機会が必要なのではないかという御意見がありました。これは当然そのつもりでありますと、こちらもそのつもりでありますし、制度に基づいてシミュレーション等々も交えながら、さらに1ラウンド終わった後の議論を進めていくんだという話をしました。
 それと、もう一つここではA案、B案と書いてありますけれども、AないしはBの選択、2択ではなくて、さらにその修正も含めて、さらにC案、D案もある場合もあるでしょうという話がありました。それも僕はごもっともでございますと。これはA案、B案というのは、考え方の整理として論点を明確にするためにこういうふうに書いているだけでありますので、そこは自由に御意見をいただきたく、その趣旨を確認させていただきました。
 まず、A案、B案は見ていただいたらわかると思いますので、御説明いたしませんが、まずユニバーサルサービスについては、日本の場合、民間で既に例えば小包、宅配というのは非常に発達していると、民間が既に存在しているところにユニバーサルサービス義務を課す必要があるのかどうかというような御議論がなされました。日本ほど民間小包が発達している国はないんだという特殊事情をどのように考えるのかということについての御議論をいただきました。
 とりわけそれとの関連で、イコールフッティングの関係から、小包と信書の収支勘定は明確に分離して、今後議論していかなければいけないのではないかという御議論がありました。その意味では、国内事情を考慮してこの問題を考えていく必要があるというような御意見であったと思います。
 さらには、本当に国民が必要としていることにユニバーサルサービス義務をしっかりと課すべきではないかという御意見もございました。
 さらには、ユニバーサルサービスオブリゲーションとの関連で、一方での優遇措置のような問題が出てくるわけでありますけれども、一般には優遇措置に関してはEU等々でリザーブエリアを設けていますけれども、EU等々でも段階的に低下させていく方向に向かっていると、そのことを念頭に置いて制度設計をすべきであるという御議論がありました。
 基本的なスタンスとしては、民間としての規律、つまり自立を目指すということ、そのことをやはり基本スタンスにすべきで、それプラス不安要因については激変緩和とか、そういったことをしっかり考えていく、そういった基本的な方向としては、民間としての規律に基づいてしっかりやっていく自立の方向であるというような御意見が出されました。それとの関連では、料金についてもできるだけ自由化に向かって進めるべきであるという御趣旨の意見が出されました。
 できるだけ自由をもって規制緩和ができるように、そのためにはユニバーサルサービスオブリゲーションの範囲を大きくしないようにすると、これはコインの両面であるから、そういう努力が必要だという御意見が出されました。
 2番目の提供義務を課す公共性の高いサービスの範囲等々については、例えば学術雑誌の例が出されたわけですけれども、これはこういう措置ができたときの時代的背景というのは、例えばコピーが簡単にとれないとか、そういうことであった。今はコピーも簡単にとれるし、ネットで何よりも学問的な論文というのは、ほとんど今ネットで全員すべてがとれるわけで、そういう時代に比べて、こういった学術雑誌等々については、必要性が大幅に変化しているのではないか、そういう時代の変化ということを踏まえて、今の特別な優遇措置に代替的手段としてどのようなものがあるかということをしっかりと検討した上で制度設計をすべきであるという御意見が出されました。
 一方で、盲人用の措置等々は、これは一つの判断ではあるけれども、極めて重要で必要ではないかというような御意見も出されました。
 こういった問題に関しては、しかし同時に民営化でs便にならないように、民営化したから不便になったという、そういうことにはならないようにしっかりと考える必要もあるという御意見が出されました。
 また、福祉的な政策については、これは一方でどの会社も、郵政に限らずすべての会社が企業の社会的責任という範囲でいろいろなそういう福祉的なこともやっているわけですから、そういった範囲で何ができるかということも視野に入れなければいけないという御意見もございました。
 具体的に、これは第三種、第四種で240億円の赤字が今出ていますけれども、これは決して小さな額ではない。その意味では、必要なことはしっかりやっていく。しかし、時代の変化に合わせて、小さくできるところは小さくしていくということが必要ではないかという御意見がございました。
 それと、必要な制度面での措置に関して、今まで公務員がやっていた仕事をどうするかということに関しては、みなし公務員という制度はやはり考えられる有用な制度ではなかろうかという御意見が出されました。資格制度ということも考えられるけれども、資格制度には資格制度としての難しさもあるだろうというような話が出されました。
 国際業務展開を今後どうしていくかということに関して、その展開について今回議論されておりませんので、また議論をというような御意見がありました。
 基本的な方向としては、自由で自立して競争力を努めていくという方向ですから、できるだけさらなる優遇措置を考えない方向で経営力を高めて、しっかりと対応してもらうのが筋ではないかというお話がございました。
 認可を少なくしていけと、それが基本的な方向であろうということでございます。
 最後に、ユニバーサルサービスオブリゲーションとの関連でリザーブエリアがあると、それとの関係で料金の規制があるというようなことでありますけれども、この問題は監視機構がどのような役割を果たすかということ等も含めて、引き続き監視機構の役割等々も含めて検討をしていこうということになりました。
 いろいろな御意見が出されていますけれども、主要な意見として御紹介できるのは以上のような点でございます。

2.質疑応答

(問)今日の議論の論点の中で、一致したところとか大勢を占めたところとか意見が分かれているところと整理していただくとどのような感じなのでしょうか。

(答)これは自由に意見をいただいておりますので、この意見について賛成か、反対かということを確認したような問題はありません。複数出された意見としては、先ほど言いましたように、できるだけ市場の中で自立してやっていくという方向、したがって規制はできるだけ小さくしていくという方向、本当に必要なユニバーサルサービスをしっかりとしていこうというようなこと、優遇措置、公共性の高いサービス等々については、代替手段のあり方も含めてしっかりと検討して、必要なことをしっかりとやっていこうとそういう方向であったかと思います。

(問)それと、明日以降なんですが、明日以降でどういうテーマで議論するのか、28、29日ですが。

(答)明日は郵貯、簡保でございます。明後日はその他の監視機構、組織の話とか、少し全体的なことをさらに議論をするということになると思います。

(問)先ほどの小包の点なんですけれども、これは日本の特殊性を勘案すべきだというような話があったんですが、おおむねユニバーサルサービスからは小包を除外してもいいんじゃないかというふうな意見が多数、そういうことだったのでしょうか。

(答)そういう意見が出されたということです。賛成、反対を確認を皆さんにしているわけではありません。

(問)それと、みなし公務員と公証人制度を2点挙げているんですけれども、この点については公証人制度みたいなものよりはみなし公務員でいこうというふうな、そういう方向性が出たということなんでしょうか。

(答)みなし公務員が基本的な方向として考えられるのではないかということに関しては、複数の委員がおっしゃいました。資格制度に関しては、理屈の上では両方組み合わせる場合もあるわけでありますから、資格制度については今日は十分必ずしも話はしておりません。資格制度には資格制度としての難しさがあるというような御意見があったことはありました。

(問)ユニバーサルサービスですけれども、小包のところを含めた方がいいという意見は出なかったということでいいのでしょうか。

(答)日本の特殊事情をどのように考えるかという問題提起があったわけで、小包を含めるべきではないという意見の方も、明示的には必ずしもおっしゃらなかったですけれども、そういうニュアンスのことをおっしゃった方はおられますけれども、それについて含めるべきかどうかと、含めない方がいいかどうかとか、そういう議論はきょうはしておりません。

(問)小包について、重量のキロ数によってラインを引くような、そういう議論はあったのでしょうか。

(答)ここに数字が出ておりますから、それに関する若干の言及、諸外国では少し内外等々で重さを変えているところがあるというような、そういう多少の御紹介はありましたけれども、重さによって変えるべきだとか、そういう議論ではなかったと思います。

(問)公共性の高いサービスのところで、以前大臣が福岡のタウンミーティングで盲人用郵便について、政策的に重要なものについては財政的な措置もあり得るのではないかというような御発言をされたことがあったんですけれども、今日は今提供されているサービスを継続する場合の財政の措置とか、支援の仕方とかというような議論はしたのでしょうか。

(答)そういう議論はしておりません。
 誤解のないように言いますけれども、考え方の整理として申し上げたわけで、これが本当に国としてどうしても必要だということであって、それが経営の中で吸収することが困難であるというような場合は、これは当然別のことを考えなければいけないわけですけれども、むしろ今日はそういうできるだけきちんと本当に残すべきものとの精査をとして、かつ経営の中で判断、企業の社会的責任としてやっていただけるものもあるはずだろうから、しっかりと精査していこうと、そういう話で今日はありました。

(問)みなし公務員制度のことで、いわゆる争議行為等の禁止とか秘密保持義務、それから兼業禁止等ということで、この中に少しくらい議論と言うのは及んだのでしょうか。

(答)特に議論しておりません。

(以    上)