10月29日 記者会見要旨

竹中内閣府特命担当大臣(経済財政政策)・郵政民営化担当 記者会見要旨

(平成16年10月29日(金)11:39~12:02 第4合同庁舎6階 642号会議室)

1.発言要旨

 それでは、第16回目の郵政民営化に関する有識者会議を終えましたので、概要をご説明申し上げます。
 今日の検討項目は3つでございます。
 第1は、共通事項の中にあります雇用、待遇のあり方、これが第1番目。2番目が、経営委員会(仮称)について。そしてもう一つが、監視組織のあり方について。それと私は国会等々の関係で最初の2つを途中からしか聞いておりませんので、その雇用、待遇のあり方、経営委員会については、中城審議官の方から報告させて頂きたいと思います。監視組織以降、全体の話を私の方からさせて頂きます。
 経営委員会と、先ほども言いましたように、雇用、待遇のあり方、後ほど中城さんにやって頂きますので、監視組織についての意見を申し上げます。
 監視組織の機能としては3つあるのではないかと。公正競争の確保、公正競争を確保しなければいけない、コインの両面をしっかりとバランスさせなければいけないということ。それと2番目は、会社のガバナンスの一翼を担うということ。株主が国の場合、公的機関の場合、ガバナンスが弱くなるということを考慮して、会社のガバナンスの一翼を担うこと。第3番目が株式売却等に象徴される民営化をしっかりと推進させること、そういう3つの機能があるのではないかという提議がありました。
 これに関しては、多くの意見が一致したのは、何と言っても公正競争の確保という観点が一番重要であると。これはもう皆さん一致したところでございます。
 会社のガバナンスの一翼を担うという点については、これは少し議論が分かれまして、そうした問題については、やはり株主総会であるとか、しかるべき取締役会の仕組みをつくるとか、そういう点で議論すべきであって、監視組織の役割というのは、むしろ公正競争の確保に極めて重点を置いたもの、狭く、強くすべきではないかという御意見も出されました。いずれにしても、公正競争の一番重要だというのは多くの方々が一致したところでございます。
 ただ同時に、イコールフッティングに関しては、公正取引委員会等々もあるわけで、ここでどの程度のことをすべきかということについては、さらに議論をする必要があるというような意見も出されました。
 さらには、これがどういう組織であるかということについては、強いという意味では3条委員会が望ましいけれども、その場合、担当大臣との関係も重要であるというようなこと、そうした観点からは例えば食品安全委員会、これは8条委員会としてありますけれども、こういうのは比較的うまくいっているのではないか、これは一つの参考例になるのではないかと、そういう御意見も出されました。8条委員会で透明性を強くするということがよいのではないかという御意見も出されました。
 いずれにしても、こうした組織というのは重複して輻湊しないということが大事であるので、やはり範囲や期間をしっかりと限定して、そのかわりしっかりとした強いものにしていくということが重要であるというような御意見でございました。
 同時に、事前事後の透明性を高めるということが必要であると。事前の透明性というのはガイドライン等々をしっかりつくるということであり、事後の透明性というのはそのパフォーマンスをみずからがしっかりとレビューして明らかにしていく、そういう仕組みをしっかりとつくってあげるべきだという御意見がございました。
 これを受けまして、次回以降の進め方については、引き続き先生方の御意見も伺いながら考えていきたいと思いますが、これまでの議論を一応事務局なりにしっかりと整理をしまして、さらに詳細の深めるべき問題について、次回以降、しっかりと議論をしていきたいと思います。
 次回の日程についてはまだ正式には決めておりませんが、集中的にやりましたので、少し整理をしていきたいというふうに思っております。私の方でお答えすべきことがありましたら、先にどうぞ。

2.質疑応答

(問)この集中的にやったのを整理してやっていきたいというようなことですが、そのまとめたものはある段階で提示されるんでしょうか。

(答)議論の整理のようなものはあるわけですけれども、何か方針としてこう決まるとかですね、そういうイメージのものではございません。それはまだ決めるような段階ではないと思っています。

(問)整理したものを、一応、有識者会議にまた提示するような形で。

(答)恐らく何らかの形でそのようなことにはなるんだろうと思います。

(問)次の、次回以降ですね、数字を入れたシミュレーションとかそういうのをやっていくような形になるんでしょうか。

(答)そういうものも考慮にいれなきゃいけないと思っておりますが、例えば次回に間に合うかとか、次々回に間に合うかとか、これはちょっとまだ作業を今始めている、立ち上げている段階でありますので、なかなか日程的にはいろいろ問題があると思います。

(問)次、出すときなんですが、これまでのように、A案、B案という形で出すのか、それともある程度集約した形でですね、これまでの議論を一つにまとめた形で出すのか、その辺の方向性はどうなっているんでしょうか。

(答)集約できるものもあるかもしれませんし、集約できないものもあるかもしれませんので、ちょっとここはケースバイケースだと思います。

(問)先ほどの御説明で、3条が望ましいが担当大臣との関係もあるのでという点なんですけれども、担当大臣との関係というのはどういう……

(答)ちょっとどういう御趣旨かよくわからないんですけれども、引き続きそういった観点をチェックする大臣を置くということを、その方がイメージしておられるのか、主務大臣のことを意味しておられるのか、ちょっとそこはよくわかりません。詰めた議論にはなっておりません。

(問)3条委員会の方がいいっていう御意見というのはあったんでしょうか。

(答)3条委員会が強いという点では、強さを持っているという意味では3条委員会が望ましいという御意見を言った方がおられました。しかし同時に、先ほど言いましたように、食品安全委員会という8条委員会のようなものが非常にうまくいっているのではないかと。それで透明性を高めてやるのは一つの方法ではないかという御意見もありました。ばらけていると思います。

(問)今まで、これを、資料等は公表してきているかと思うんですが、それに対してですね、一般の方からの、一般とか業界とかですね、意見が改めてあったりとか、そういうようなことというのはあるんですか。

(答)いろんな意見が事務局に来ているのかどうか、ちょっとそこら辺、私は確認をしておりませんが、私が接触する範囲では、結構専門家の方等は見ておられて、いろいろと御意見をくださる方がいらっしゃいます。引き続き、こういう透明性を高める、こういうプロセスには配慮したいと思います。

(問)その件で、ちょっと昨日のことで申しわけないんですけれど、例の特別預金の話、ありましたよね、新旧分離の話。特別預金ですと、これまでの議論でしたら、旧勘定分がそれこそ新会社から、バランスシートから外れて、民営化の点ですごくいいというような金融業界からの話もあったんですけれども、特別預金の話が出てきたことによってまた逆戻りになっちゃうんじゃないかというような批判が想定されるんですが、その点、昨日は、強弱はどうだったんですか。

(答)技術的に詰めるということだったと思います。私の知っている、認識している範囲では、これは金融に詳しい方が精査して頂くと、信託方式と基本的には同じだということは御理解頂けるんだと思うんですね。

(問)見た目の問題……

(答)見た目の問題ですね、御指摘のとおり見た目の、それは昨日も申し上げたとおりなんですが、我々としてはなぜああいう承継法人に持たせると、承継法人を登場させたかというと、これは繰り返しになりますけれども、民間企業のものを政府が保証していて、こちらで政府が保証していて、こちらでリスクに運用するという、そういう不都合が生じることを防ぐと、そのためにこのバランスシートを切り分ければいいと。で、その切り分けるのと同じような効果を、その特別預金のシステムでやることができるのであるならば、これは一つの方向であるということで、信託方式とともに、今技術面、ただこういうやり方を今まで日本ではとったことがないようでありますので、これは法技術的に可能かという大問題もありますから、実効性の問題と技術上の問題、これは両方、A案、B案ともにですね、またしっかりと議論しなければいけないと思います。

(問)大臣、郵政の話とはちょっと関係ない経済財政の件で恐縮なんですけれども、今朝、消費者物価指数が公表されました、今月の。地震や台風の影響で生鮮食料品が上がっていると。今日も、物価担当官会議、開かれるということなんですけれども、今後の対策、現状、簡単にちょっと今の御見解を伺いたいと思います。

(答)御指摘のように、消費者物価に関しては、生鮮食料品の値上がり等、一部に今までとは違った動きが見られます。今、言ってくださったように、今日の午後、物価担当官会議を開くわけですけれども、この物価担当官会議っていうのは何かというと、物価が極めて重要だということにかんがみて、物価政策を円滑に推進して、強力に推進するために内閣府に設置された会議でありまして、農林水産省及び経済産業省など、関係府省からで構成されています。
 今日の午後の会議では、台風23号及び新潟県の中越地震の被災地域において、生活関連物資等の供給の確保、それと価格の安定を図ると同時に、これら災害等の日本経済に与える影響を最小限にして、国民生活の安定を確保するために各省が連携してですね、主に2点のことを検討する予定にしています。
 第1の点というのは、生活関連物資等について、便乗値上げ等を防止する観点からも、まず価格の動向の調査、監視をしっかり行うということ、これが第1点。第2点は、生活関連物資等の需給や価格について、国民への迅速で的確な情報提供に努めるということ、こうした点をしっかり各省連携して担当官会議でも議論をさせたいと思っております。
 残りの分は中城統括官から説明させて頂きます。

3.補足説明(内閣官房郵政民営化準備室:中城審議官)

 それでは、最初の2つの点についての議論を御紹介いたします。
 資料の1ページの、雇用、待遇のあり方でございますけれども、一つは③にあります郵政監察官制度に関しましては、民間になれば不要ではないかという意見がほとんどでありました。ただ、内部監査の充実とか、そういったものの強化、内部規律の充実というのは必要であるという御意見であったと思います。
 それから、共済年金制度というものについてはやはり、今、国家公務員100万人のうち28万人ぐらいいるんですから、それは、その制度はどうするかということについてはあらかじめ考えておく必要があるのではないかと、こういう意見もございました。
 また、この共済についてはNTTやJTですね、そういったものの例を参考にすればいいのではないかと、こういったような御議論がありました。
 それから、特に年金については、厚生年金にいくのは、円滑にいくのがいいけれども、規模が大きいのでどういう影響があるかというようなことも考えていく必要があるというような御意見がありました。
 あと、退職、仕事は引き継いでいくわけですけれども、この際に、今、希望退職者というようなものがあれば優遇制度として過去にあったとすればそういった優遇というようなことも考えてはどうかと、こういったような御意見でございました。
 それから、第2の点の経営の話でございますが、これは9ページでございますが、経営委員会に関しまして、基本方針で経営委員会を設置して民営化後の経営や財務のあり方について検討するということであります。これは目的、位置付け、メンバー、設置時期とか権能とかどういうものを考えたらいいかというような一般的な聞き方でしたのでございますけれども、特に経営委員会でどういうものを、何をやるのかということ、それから設置時期をどうするのか、それから権限をどうするのかと、こういったことについて考えていく必要があるというような御意見。それから経営委員会のようなものはできるだけ早く立ち上げた方がいい。そしてその下にワーキンググループというようなものをつくって、ビジネスモデルの設計というようなものを考えていく必要があるのではないかと。特に、そういう場合に公社の中のインセンティブというものが引き出されていくことが望ましいということで、特に内部的なモチベーションを高めていくということが必要ではないか、こういった意見がありました。そしてこれを検討していく上では、新しい経営陣と同時に、既存のラインというものを動かしていくということが非常に重要ではないかと、こういったような御意見でありました。監視組織は大臣から御説明あったので、私からは以上です。

4.質疑応答

(問)すみません、争議権については何か意見ありましたか。

(答)争議権については特に発言はございませんでした。

(問)あと、監視組織のところで、ちょっと大臣のところで申しわけないですけれども、この監視組織は次のような事項に関与することとしてはどうかという、(3)、15ページでございますが、その窓口関係とか郵便関係、貯金・保険関係とありますけれども、大体この辺について意見というかですね、これは全部入れるべきだとか、そういうような意見は。

(答)御意見はですね、そういう具体的なところについて御意見はありませんが、大臣も言われたと思いますけれども、監視組織というのはやはり時限で狭く、狭い範囲でできるだけ強い権限をという御意見と、そういう御意見と、やはりこれからいろんな、どういうことが出てくるかわからないんで、そういう大事なことについてはしっかりと議論することが必要だということで、期限付きということについては皆さん賛成でありますけれども、もう少し幅広い対象というものをいうという御意見もあったということでございます。

(問)すみません、経営委員会なんですけれども、2007年4月以降の経営委員会の位置付けみたいなお話はありましたでしょうか。

(答)今回は、事務方ペーパー自体もこういう漠とした聞き方であったんで、そういう具体的な話までは入っておりません。

(問)その設置時期についてもできるだけ早ュというぐらいで……

(答)という御意見があった。

(問)監視組織と経営委員会の仕切りという面では何かお話ありましたか。

(答)経営委員会は要するにこれからの経営をしっかりさせていくということで、経営の立場からやるということであります。監視組織については、もう御紹介あったようにですね、例えばイコールフッティングというようなものが一番重要だとかですね、そういったような形、それからマーケットの関係とか、そういったようなこと、そういうことを見るべきであると。あるいは公正競争の確保といったようなことが大事だとか、こういったような御意見があったと思います。

(問)次回以降のお話、まだ決まっていないということなんですけれども、イメージとしてはどんなペースで、集中的にはやられないのかもしれないですけれども、議案とか想定されるんでしょうか。

(答)まだちょっと決まっておりません。この3日の3回と前回1回と4回の議論を取りまとめた上でですね、それでさらに踏み込んで議論するというところまでしか決まっておりません。

(問)すみません、希望退職制度についての意見があったようですけれども、これは新会社ができるというのと同時に移ろうということですか。

(答)そうではなくて、要するに現行制度は全員移るわけですけれども、御意見としてあったのは、もし辞めるというような人がいたときには、その優遇制度というのは過去の民営化のときにもあったでしょうと、そういうのがあるんだったらそういうものも考えられるのではないかというような御意見があったということです。

(問)新会社に移らないで……

(答)移らないで、自分はもう、ということがあったらそういう人たちにも優遇するっていうことも考えられるのではないかという御意見があったということです。

(問)監察官制度なんですが、民間になれば不要になるのではないかという意見が大半だったというお話なんですが、内部監査体制を充実すればいいということなんでしょうけれども、これはもう皆さん異論はないということなんですか。それとも例えば今報道見ますとね、毎日のように郵政職員の犯罪が報道されていますが、国民の感覚から言うと、やっぱり何でこんなに郵政犯罪が起きるんだろうっていうのがあると思うんですよ。で、いきなりふっとやめちゃって、反発もそれなりにあると思いますけれど、そういう部分じゃそのある程度、何て言うんですか、完全に無くさないまでも、何かっていう意見はなかったんでしょうかね。

(答)それはありません。全員の方が発言されたわけではありませんが、監察官について発言のあった方は皆さん廃止でいいということでありまして、今のような話については、例えば事故が起こるというのは、そういうのは民間の例えば物流会社でも起こり得るので、それは内部監査をしっかりやっていけばいいというようなことを言われたかと思います。

(問)郵政監察官制度は事務局案そのものが廃止の方向を出しているんですけれども、例えばそれにもよるんですが、この扱いについてどのような考えのもとに事務局はこのような廃止することとしてよいかというような問いかけを出したんでしょう。

(答)これは資料にもありますけれども、監察官、例えば6ページのところでありますけれども、現在の監察官、660名おりますけれども、監察官の方々の仕事というのは特別司法警察職員としての職務というのとですね、普通の監査部門の職員としての監査、調査と、こういうものも一緒にやっているわけでございまして、そういう意味で司法警察職員としての職務と同時に、こういった仕事も一緒にやっているということであります。
 それで、次のページにありますけれども、郵政監察官と例えば鉄道公安職員との比較を書いてありますけれども、郵政事業に関する犯罪の捜査というのはやりますけれども、例えば逮捕とかですね、そういうようなものはないということであります。それで、鉄道犯罪っていうのはこれは空間的な犯罪でございますので、45万件ぐらいあったんですけど、これは郵政事業というのは、これは郵便とか貯金とかそういうところで起きる事故でありますので、これは5,000件ぐらいあるわけです。こういうものの各種の事故の調査とかですね、定期的な監査をやっているということでありますので、逮捕をするような仕事ではないということで、内部監査に移してもいいのではないかという御意見だったと思います。

(問)すみません、共済のところで、先ほどJT、過去の民営化の例を参考にしてはどうかという御意見があったということなんですけれども、JTやNTTは非公務員から非公務員だったこと、それが今回は公務員から非公務員になることについて何か御意見とかはなかったんでしょうか。

(答)国共済から抜けるという点では、そういう意味では参考になるところがあるのではないかという、そういう御意見だったと思います。特に一つ一つがどうのということではなくて、過去の経験を生かしてこういうものを考えてはどうかという御意見だと思います。

(問)金融庁の検査の関係は何か御意見ありましたか。

(答)特にそれはございません。

(以    上)