11月19日 記者会見要旨

竹中内閣府特命担当大臣(経済財政政策)・郵政民営化担当 記者会見要旨

(平成16年11月19日(金)12:10~12:24 第4合同庁舎6階 642号会議室)

1.発言要旨

 それでは19回目の郵政民営化に関する有識者会議を終えましたので、概要のご説明をさせていただきます。
 今日のテーマは3つあります。会社の法的な位置付け、各事業会社(特に貯金会社・保険会社)との受委託関係、そして第三種・四種郵便物の提供範囲、それぞれ一度ご議論いただいたことではありますけれども、さらに議論を深めていただくという趣旨で行っております。
 会社の法的な位置付けに関しては、会社の形態は基本的には商法でいう株式会社なわけですけれども、それを特殊会社的なものにするのかどうかとについては、決して対立概念ではなく、特殊会社的なものになる場合も規制の中身がどうなるのかという、その中身の問題であろうというようなご意見が主流であったということだと思います。つまり何を規制する必要があるのかというような問題だと。
 事務方からは設立と会社の継続という点で、例えば郵便事業は特に考慮する問題があるというような認識を持っているという意見を申し述べさせていただきました。それとの関連で、例えば存続のための政府の関与はどうあるべきなのかとなると、当然のことながら出来るだけ規制を少ない方向でやってもらわなければいけないというようなご意見が主流でございました。つまり経営の自由度を与えるという立場が必要であるというご主張であったと思います。
 受委託の関係につきましては、ホールディングズ、持株会社の関与をどのようにしてもらえるのか、持株会社がしっかりと関与して、適正に受委託が行われるような仕組みが必要なのではないかというご意見が出されました。同時に、民有民営を前提にするならば、これはやはり受委託も自由でなければ、自由であるという原則がなければおかしいのではないかというようなご指摘もありましたし、また移行期間に関してはステップ論で段階を踏んでいろいろ考えていくというやり方もあるというようなご指摘もございました。
 第三種・第四種に関しましては、基本的には前回と同様、最低限必要なものにしっかりと整理していく必要があるということ、今回そういった作業を進めているということに関しては、そういう方向をしっかりとやっていくべきだというご意見がございました。また、第三種・第四種によって赤字が生じていることになっておりますけれども、この赤字の金額そのものについては吟味をしてみる必要があるだろうという指摘がございました。つまりこの制度があることによって、一体どのくらいの限界的な収益、限界的な費用が発生しているのか、限界的なマージナルプロフィットとマージナルロスが一体どのような状況になっているのかということは難しいのだけれども、理論的に、平均費用をそこに当てはめて金額がこれだけあるという、赤字がこれだけあるというような議論ではいけないのではないか、そういうご指摘があったのは前回からの若干の変化でございます。
 詳細はまた議事概要等を発表させていただきたいと思いますが、私の方からは基本的には経営の自由度をできるだけ持っていただく、これは会社の法的位置付けにおいても、受委託関係においても、これは共通する一つの思想でなければいけないだろうというようなことを申し上げさせていただきました。その上で、今は第2ラウンドとして法制化に必要な事項、例えば今日のように会社形態をどうするかというようなことをこちらからテーマを出して議論をしていただいておりますが、遠からず今度はこういう視点が抜けているではないかとか、こういう論点の整理が必要ではないかというのを有識者議員からも必要があればペーパー・資料を出していただいて、自由な討議を行う場も設けたいということを申し上げました。
 私の方からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)会社の形態の一貫性のことですけれども、郵便について事務方からは特殊会社になるべきではないかというような意見が出されたということですが、これについては何らかの整理をされたのでしょうか。

(答)今日、何かを決めてはおりません。基本的な考え方として、一般の会社でありますとつくるのも自由、なくなるのも自由ということになるわけですけれども、どうしても会社をつくらなければいけない、会社を存続してもらわなきゃいけない場合に特殊会社的な枠組みが適用されますので、例えば郵便のようなものについてそういう枠組みをどのように考えるかということを自由にご討議いただいたということです。

(問)それについて、どのような意見が多かったのでしょうか。

(答)先ほど申し上げたとおりです。特殊会社化、郵便をどうするかということについて、直接集中的に議論したわけではありませんけれども、要するに特殊会社かどうかというのは、いわゆる対立概念というよりは、特殊会社的なものノする場合にも一体何を規制するのかという中身の議論が大事という話であったということです。

(問)今後のスケジュールなんですけれども、先ほど遠からず有識者の方に論点整理のペーパーであるとか、これまでされなかった議論の提案を受けるとかという話があったんですが、どういうふうに進めていかれるのですか。

(答)今やっています議論の第2ラウンド、法制化・制度設計のために必要な議論は引き続き続けなければいけないと思っております。今のところ、次回は26日の金曜日の10時から、今月中にもう一回開催をしまして、郵便貯金会社、郵便保険会社の主要検討項目について議論をいただく。我々の法制化等の作業の関係で、これはぜひやっていただかなければいけないと思っております。進め方についても有識者の意見を取り入れたいと思います。このときにちょっとできるかどうかわかりません。その次になるかもしれませんが、申し上げましたように、遠からず少し民間の有識者からもいろいろな意見を出していただく機会を是非つくりたいと思っております。

(問)第三種・第四種の限界的な収益というのは非常に難しい表現だと思うんですけれども、要するに数量減とか価格のディスカウントとか、そういうのはちゃんと分析するという意味なんでしょうか、もうちょっと分かりやすく言うとどういうことでしょうか。

(答)例えば、第四種のものを安い価格でやっている、ないしは無料でやっているものもあるかもしれません。そのために赤字が出ている場合に、そういう制度をつくることによってどれだけ売り上げがあるかということと、どれだけ費用がかかっているかということを比べる。それがない場合に比べて、その制度がある場合にどれだけ収益が増えて、どれだけ費用が増えるか、これが限界収益、限界費用という考え方なわけです。
 郵便というのは毎日配っているわけですから、限界費用というのはひょっとしたらそんなにかかってないのではないのかという考え方もあり得るわけです。そういうふうに考えると、例えば郵便の数で平均的に割ったら平均コストが出ますけれども、今言ったようにその制度がない場合に比べて、あるときにどれだけコストが増えているかというのが限界費用で、そういう考え方をとるならば、実は費用というのは余り大きくないのではないのか。逆の場合もあって、限界収益については、その制度がない場合に比べて、値段が安くなることによって取扱量が増えている場合もありますから、その場合、価格が1%安くなったことによって需要が1%以上増えれば、つまり需要の価格弾力性が1以上であれば、収益だって大きいかもしれないですね。これはあくまでも理論的な話として今日は出されておりますけれども、本当はそういうことを考えなければいけないのではないかという、誠に有識者の立場としてのご意見だと思いますが、出されたということです。

(問)関連ですけれども、きょうお示しいただいている第三種・第四種の収支はどういう計算のやり方でこれが出てきているのでしょうか。

(答)これは公社の資料ですので。なかなかそういう限界的な収益というのは出しにくいので、多分平均的な費用等々になっているのではないかなと思いますが、これは公社にご確認をください。

(問)今日の議論との関連ですが、生田総裁から例の書簡が大臣に送られていると思うんですけれども、有識者の会議の場などでご披露されたことはあるのでしょうか。

(答)これは有識者会合に対するコメントでありましたので、前回の有識者会合にその書簡を、有識者の方にもぜひお目通しをいただいて、またいろいろお考えをくださいということで配付をしております。

(問)今日は経営の自由度をできるだけ持っていただくというご意見が多かったというんですけれども、その辺は結構生田さんの書簡あたりが効いているのかと思っているんですが。

(答)私の認識では、有識者の方は以前からずっとそう言っていると思います。とにかく政府の規制をできるだけ小さくして、そのかわり民間にも責任を持ってもらうというのが民営化の意味であるという思想で、前回から一貫して有識者の方は話しておられるのではないかなと、私は認識をしております。

(問)生田さんの懸念する「箸の上げ下げまでいちいち指示される」というのは、ちょっとあれですよね。

(答)基本的には、制度そのものは自由にしっかりとつくりたいという形で議論が進んでいるんだと思います。一方で何回も申し上げましたように、それがたとえ民営化、株式会社になってもデファクトとしての政府保証が残るような場合には、これは民間に対して少なからず影響を与えますので、その影響については監視委員会で監視するというのが基本方針の基本思想ですね。私の理解でございますけれども、むしろ生田総裁がおっしゃっておられるのは、監視の部分についてのご意見ではないかと認識をしておりますB

(問)次回、郵貯・簡保についてやるということは、逆に言えば郵便に関しては有識者会議で制度設計前に議論する部分としては、これで終わったと理解していいんですか。

(答)前に申し上げましたと思いますけれども、一回一通り議論をして、第2ラウンドを議論して、また全体の議論をしなきゃいけないと思っていますので、この議論は今日で終わりとかということではありません。

(問)確認ですけれども、先ほど特殊会社と一般会社を対立概念で考えるべきじゃなくて、何を規制するかという中身のことが大事だというお話だったんですけれども、その辺については、会社について制約を設けるという観点から特殊会社的であるべきだという意見だということなのでしょぅか。

(答)今日は結論を出しておりません。こういう特殊会社の議論というのをしていただこうというふうに思っていますのは、この特殊会社の場合、例えば設立と存続について、これはどうしても設立をしてもらわなければいけないのではないかというご意見があるわけです。一般会社というのは、繰り返して言いますけれども、設立するのも自由、やめるも自由です。郵便の場合はそうはいかないのではないかというご意見があるので、問題の提起をしているわけで、それについて自由にご議論をいただいているという段階です。それについて事務局も、また有識者会議も何かを決定しているということではありません。

(以    上)