11月26日 記者会見要旨

竹中内閣府特命担当大臣(経済財政政策)・郵政民営化担当 記者会見要旨

(平成16年11月26日(金)11:51~12:11 第4合同庁舎6階 642号会議室)

1.発言要旨(内閣官房郵政民営化準備室:中城審議官)

 今日は第20回の有識者会議が開かれましたが、竹中大臣は国会本会議に出席のために欠席されましたので、私の方から会議概要をご説明いたします。
 お手元の資料にありますように、今日は「主要検討項目(その2-4)」ということで、3つの検討項目について議論いたしました。
 1つ目は「郵貯、簡保の既契約を新契約と一括して運用するための具体的な仕組み」、2つ目は「郵便保険会社民有民営後の公社承継法人契約の取扱い」、3つ目は「監視組織の具体的な機能」ということでございます。
 新旧契約を一括するやり方につきましては、新旧契約勘定を分離する意義ということで、資料3ページ目にありますように「基本方針を踏まえて以下のように整理されるのではないか」として、「(1)新会社が契約する預金・生命保険については政府保証は付かないものであること、(2)旧契約については引き続き政府保証が付与されるものであること、を明確に示すため、旧契約に係る政府保証付債務は公社承継法人に引き継ぐとの政策対応をとった」ということであります。その法人格を分離させて、新会社の運用リスクが政府保証付債務に係る預金者・保険契約者に及ぶ可能性を極力回避し、過去の政府保証から国民負担が生じるリスクを回避するスキームを構築するということで、そういうことについての2回目の議論でございます。
 先生方のご意見でございますけれども、一つはこうした一括運用をするとき、旧契約分と新契約分についてのディスクロージャーというものをはっきりする、特に運用面の方は割と分かりやすいが、コスト面、特に人件費といったようなものが「新」で出ているのか「旧」で出ているのかというようなことをはっきりと示す必要があると。それから、どういう形でリスクフリーの資産を持つのかということをきちんと別途にアナウンスしていくことが必要ではないか。それから、資料にもディスクローズのことについて「特に新規会社の経営状況を的確に把握していく観点からも、郵貯会社・郵保会社が『公社勘定の資産・負債の管理』部門について管理会計上の損益を把握し、公表していく必要があるのではないか」というふうに書かれていますが、これについて実施をしていくということが重要だという議論がございました。それから、政府保証債務からの利益が郵貯・保険の新会社に帰属していくということにつきましては、イコール・フッティング上の問題がありさらに検討を進めるべきではないかというご指摘があったところであります。
 承継法人につきましては、特に保険の場合は移行期間最長10年を経過した後でも相当額の残高が残るので、その取扱いについてあらかじめ考えておく必要があるのではないかという議論がございました。資料11~12ページにありますが、ある一定の仮定をおきますと、10年経っても簡保の場合は保険金あるいは総資産額がそれぞれ36兆円とか48兆円残るというようなことについてのご議論でございました。これにつきましては、新旧契約の分離ということで、例えば公社承継法人自体のガバナンスについて制度設計上の工夫が必要ではないかというご意見のほか、旧契約については基本的にその利益は旧契約者の配当ということになっていくのかというご質問がございまして、基本的にそういう考え方でやっていきますというやりとりがありました。それからご意見として、旧勘定が赤字になった場合の経営責任についても考える必要があるというご議論がありました。
 最後に、監視組織の議論がありました。これは資料の13~14ページでございます。先生方のご意見としましては、特に監視組織にどういう人材が入るのかということが非常に重要になってくる、例えば利害関係者が入ることが良いのか等、どういう人が入るべきなのかの議論。それから、監視組織というのは非常に重要だが立場によって色々な意見の違いがあるので、監視組織のあり方についてのルールを議論しておく必要があるのではないか。それから、監視組織の役割というものを少し幅広く考えた方がいいのではないか、民有民営の判断、例えば株式を何パーセント売却していくかということについて、あるいは受委託をいつまで縛るかというようなことについても含めて対応すべきではないかというご意見がありました。
 その一方で、やはり新会社のボードとそれから監視委員会というものの役割というのは、ボードのミッションと監視組織の役割を分けて考えるべきで、経営に関するところはボードがやって、監視委員会というのはイコール・フッティングを柱に見るべきではないかというご意見がありました。また、ボードの役割は企業グループとして収益を上げることを第一義的に考えるので、イコール・フッティングや民業圧迫について考えるという点で監視組織の役割があるのではないかというご意見もありました。
 基本的には以上でございます。次回は12月10日に、これまでの議論の整理と有識者の自由な討議を予定しております。前回、竹中大臣から有識者の方々から視点を変えて、自由に議論をしていただくことが必要というご発言がありましたので、そのような機会を設けたいというふうに考えております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)スキームについて、これまでに2つの案がそれぞれ郵貯と簡保について出ているのですが、どちらに傾くとか、今回は大勢としてこうであるとか、そういうことはあるのでしょうか。

(答)大勢としてということではございませんけれども、信託スキームと特別預金スキームという2つの検討状況についてのご質問はありました。ただ、どちらにすべきというような議論ではなかったと思います。

(問)ディスクロージャーの観点からいうと、特別預金では運用は一体的になるので、新旧別個の運用成績がどうであるのか外から見えない、そういう観点からいうと信託スキームが良いという話になっているわけですか。

(答)ディスクロージャーの話としては、むしろ資料の3~4ページにあるように、公社勘定の資産・負債の管理の部門について、別途管理会計上の損益を把握し、公表していくやり方が必要である、という議論が出ていたということであります。

(問)監視組織の形態について、3条委員会と8条委員会がありますけれども、これについても今日は特に具体的な議論はないのでしょうか。

(答)3条・8条の議論は全く出ておりません。前回のラウンドの終わりの方でも、結局3条・8条というよりは狭い範囲で強い意見を持つべきだとか、透明性を持つべきだというような論議になっております。本日は制度的な議論はしておりません。

(問)10日に議論の整理とそれから自由討議があるということなのですけれども、その先年内に例えば会議の方で何か取りまとめがあるなど、スケジュール的なものがあれば教えていただけますか。

(答)この有識者会議は基本的に取りまとめや何らかの結論を出すという性格のものではないので、そういうことは考えておりません。10日以降の日程も決まっておりません。

(問)監視組織ですけれども、今おっしゃったように、前回は強い権限を、という意見が多かったと思うのですが、今回の資料の「考え方」の部分では、単に「意見を述べることができる」という記述になっています。意見を言うだけだと、それを受けた民営化会社の方で何をすべきというのが正直分からないのですが、権限の強さに関する議論というのが今日はなかったのでしょうか。

(答)今日は範囲の議論はありましたけれども、強さをどうするという議論は特にございません。

(問)そうすると「意見を述べることができる」という表現というのは、何らかの権限の強さを意味して書いているものなのですか。

(答)「意見を述べることとしてはどうか」ということであり、「意見を尊重する」ではどうか等の議論はありません。

(問)補足してほしいのですが、新規法人と承継法人とのバランスの工夫が必要であるということについて、旧契約の利益は旧契約者の配当になるという話をされたのですが、このやりとりというのは保険の……

(答)保険の2番目の議論です。10年経過後について議論をすべきだというご意見があり、第2番目にそういう議論が出ています。

(問)旧契約の利益は旧契約者の配当になる、というのは、旧契約者の配当が侵害されるというようなご懸念をどなたかの有識者の方が持っておられて、お答え……

(答)そういうことではなく、旧契約で上がった利益が新会社に行く、10年後の後も続いていくのではないのかという議論に対して、保険の基本的な考え方は旧契約の部門で利益が上がれば、それは配当として旧契約者にお返しするというのが基本的な考え方であり、10年後以降も残高が残るからといってそれが新会社の方の利益になっていくというような懸念はありません、というような議論でした。

(問)「ありません」とおっしゃられるのはどなたですか。

(答)そういう基本的な考え方でやっています、というのは、事務方の説明です。

(問)旧勘定が赤字になった場合の経営責任について議論があったということですが、具体的には経営責任を求めるべきだというようなお話だったのですか。

(答)ご発言は、旧契約が赤字になったときは色々な問題がある、例えば元々の商品の商品性に起因する問題と、その後の運用が悪いというようなことがあるわけだけれども、そういうときの経営責任というものをどういうふうにするかということをきちんと考えておく必要があるのではないかというご議論だったと思います。

(問)監視組織をいつまで設置するかということについて、今日、議論があったわけではないのですか。

(答)今日はありませんけれども、基本的な理解は、移行期間中という考え方のもとで議論をしているということです。

(問)監視組織ですが、意見を述べることができるということであれば従来の審議会のようなものだということで考えられるのですが。

(答)事務方の考え方として、そのような書き方をしているというだけであります。これは議論のための素材なのです。ここのところについて特に議論はありませんでした。むしろ「例」以下の取扱範囲について、議論があったということです。

(問)準備室の考え方が8条の方に行っているということですか。

(答)資料13ページにある基本方針に「許認可を含む経営上の重要事項について意見を述べる」とされているので、そういうふうに記載したということで、特に事務局の意図はありません。

(問)ボードと監視組織との見解が分かれることも想定されると思うのですが、その場合の対応というのは、何か議論になったのでしょうか。

(答)意見が分かれるということではなくて、ボードの役割というものと監視組織の役割というのは違っており、ボードに任せることはボードに任せ、経営の関係のものはボードに任せて、監視組織はどちらかというとイコール・フッティングを柱にしてやればいいのではないかという議論と、監視組織にも色々幅広いことをやらせた方がいいんではないかというご意見があったと思います。

(問)ここで、意見を聞くべき事項としての例示が何点か挙げられていますが、これについてはもっと幅を広げるべきだとか、こんなものでいいんじゃないかとか、その辺の議論というのは……

(答)ですから、もう少し幅を広くということで、受委託関係をいつまで縛るかとか、あるいは民有民営の判断でも株式を何パーセント売却していくかとか、そういうことについてもやってはどうかというご意見の方がお1人おられたということです。

(問)次回の12月10日までに自民党の案というのも多少出てくるでしょうけれども、次回にはその辺も含めた議論を……

(答)党の案を直接議論するということは特に考えておりません。それに党がどのようなものをお出しになるのかもちょっとわかりません。次回は自由討議ということで、むしろ委員の方から色々な提案をしていただくということかと思います。

(以    上)