郵政民営化って何?
(郵政民営化に関するQ&A)

 民間に委ねることが可能なものはできる限り民間に委ねることが、より自由で活力ある経済社会の実現に資するとの考え方で、国または日本郵政公社が提供してきた郵政事業について、民間企業(株式会社)が経営を行うようにした改革のことです。

 平成17年10月、郵政民営化関連法が成立し、平成19年10月1日に日本郵政グループ※1が発足し、郵政民営化が開始しました。

 その後、平成24年4月、日本郵政グループの体制等の見直しを内容とする郵政民営化法等一部改正法が成立し、平成24年10月1日から、5社体制であった日本郵政グループは4社体制※2となりました。

 郵政民営化後、公正かつ自由な競争を促進する観点から、日本郵政株式会社、株式会社ゆうちょ銀行、株式会社かんぽ生命保険の3社の株式の売却が進められる一方で、全国2万4千の郵便局ネットワークを維持しつつ、多様なサービスが実現しました。

 主な新しいサービスとしては、

  • ・全国銀行内国為替制度(全銀システム)への加盟により、送金可能な金融機関の範囲が大幅に拡大(平成21 年1 月)
  • ・4kg まで全国一律料金で送付ができ、ポストへの投函や追跡サービスも可能なレターパックのサービスを開始(平成22 年4月)
  • ・KITTE(JP タワー、平成25 年3 月)等の商業施設を開業
  • ・1kgまでの荷物を厚さに応じた全国一律料金で送付でき、ポストへの投函や追跡サービスも可能なゆうパケットのサービスを開始(平成26年6月)
  • ・地域金融機関がその地域の企業を支援する目的で設立した地域活性化ファンドへの出資を開始(平成28 年7月)
  • ・郵便局のみまもりサービスを開始(平成29年10月)
  • ・健康に不安がある方でも加入しやすい引受基準緩和型養老保険、終身保険及び医療特約並びに先進医療技術料を保障する先進医療特約の提供を開始(平成31年4月)
  • ・自動的に不足額を融資する口座貸越のサービスと「フラット35」(住宅ローン)を直接取扱うサービスを開始(令和3年5月)
  • ・入院等を従来よりも手厚く保障する医療特約の提供を開始(令和4年4月)
  • ・ライフプランや家計状況の変化等に合わせた最適な運用ポートフォリオを提供する投資一任サービス(ゆうちょファンドラップ)の取扱いを開始(令和4年5月)
  • ・地域内の流通を支援する、ぽすちょこ便のサービスを開始(令和5年9月)
  • ・終活をサポートするサービス「郵便局の終活日和」を開始(令和6年2月)
    • などがあります。

      ※1 日本郵政株式会社、郵便事業株式会社、郵便局株式会社、株式会社ゆうちょ銀行、株式会社かんぽ生命保険の5社

      ※2 日本郵政株式会社、日本郵便株式会社、株式会社ゆうちょ銀行、株式会社かんぽ生命保険の4社

 現在、郵政民営化は、郵政民営化法における移行期間中です。移行期間中、金融2社(株式会社ゆうちょ銀行と株式会社かんぽ生命保険)は、銀行法や保険業法によって他の銀行や生命保険会社と同様の規制を受けるほか、郵政民営化法による上乗せ規制(預金受入れ・保険引受けの限度額、新規業務の認可制※3など)の適用を受けます。

 また、政府が保有する日本郵政株式会社の株式がその発行済株式の総数に占める割合は、できる限り早期に3分の1超まで減少させることになっていましたが、令和3年10月29日に3分の1超まで減少しました。

 さらに、日本郵政株式会社が保有する金融2社の株式は、その全部を処分することを目指し、経営状況、ユニバーサルサービスの確保への影響等を勘案しつつ、できる限り早期に、処分することになっています。令和5年12月31日現在、議決権保有割合は、株式会社ゆうちょ銀行が61.5%、株式会社かんぽ生命保険が49.8%です。

※3 株式会社かんぽ生命保険は、日本郵政株式会社が株式会社かんぽ生命保険の株式の2分の1以上を処分(令和3年6月9日)したことから、新規業務については、認可制から届出制に移行しました。

 郵政民営化の移行期間中、金融2社は、郵政民営化法による上乗せ規制の適用を受けますが、次のいずれかの要件を満たした日に上乗せ規制の適用がなくなります。

  1. 日本郵政株式会社が保有する株式会社ゆうちょ銀行(または、株式会社かんぽ生命保険)の株式の全部を処分
  2. 日本郵政株式会社が保有する株式会社ゆうちょ銀行(または、株式会社かんぽ生命保険)の株式の2分の1以上を処分した上で、株式会社ゆうちょ銀行(または、株式会社かんぽ生命保険)と民間事業者との間の適正な競争関係や利用者への役務の適切な提供を阻害するおそれがないと内閣総理大臣と総務大臣が決定 上乗せ規制の適用がなくなった日※4以降で、最初に訪れる3月31日までが移行期間となっています。移行期間が終了すると上乗せ規制の適用がなくなり、郵政民営化が完了することになります。

※4 株式会社ゆうちょ銀行、株式会社かんぽ生命保険、それぞれの会社ごとに判断し、いずれか遅い日

 郵政民営化(平成19年10月)後に郵便局や株式会社ゆうちょ銀行で新たに預入する預金等については、他の民間金融機関と同様に預金保険制度※5で保護されますが、政府による保証はありません。 また、郵便局や株式会社かんぽ生命保険で新たに加入する生命保険契約についても、他の民間生命保険会社と同様に生命保険契約者保護機構制度※6で保護されますが、政府による保証はありません。※7

※5 決済用預金に該当する預金はその全額が保護され、一般預金等に該当する預金等は、元本1千万円とその利息等が保護されます。

※6 原則、破綻時点の保険契約に係る責任準備金等のうち、その90%までが補償されます。

※7 郵政民営化前に預入した定期性の郵便貯金等と加入した簡易生命保険契約は、日本郵政公社から独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構に承継され、預入された貯金の払戻しとその貯金の利子の支払、簡易生命保険契約の保険金と年金等の支払を政府が保証します。

 政府に郵政民営化委員会が設置されています。

 郵政民営化委員会は、内閣総理大臣が任命する委員5名で構成されていて、行政の判断が有識者の中立的・専門的な意見を踏まえたものとなるよう設置されました。次の役割を担っています。

 総務省と金融庁に株式会社ゆうちょ銀行や株式会社かんぽ生命保険から新規業務の届出や認可申請が提出され、総務大臣と金融庁長官から意見を求められた場合など、必要に応じて調査審議を行ったり意見を出したりします。また、3年ごとに、郵政民営化の進捗状況について総合的な検証を行っています。

 なお、郵政民営化委員会、総務省、金融庁は、相互に連携しています。総務省と金融庁は、郵政民営化法によって監督するほか、総務省は、日本郵政株式会社法で日本郵政株式会社、日本郵便株式会社法で日本郵便株式会社を監督し、金融庁は、銀行法や保険業法で日本郵政株式会社、株式会社ゆうちょ銀行、株式会社かんぽ生命保険、日本郵便株式会社を監督しています。